怪獣娘トリガー ~ウルトラマントリガー復活計画~ 作:特撮恐竜
前回のキングゴルドラスは言わずもがなですが、『笑顔のために』で出した恐竜戦車もあるティガ怪獣と同じ特徴を持っているが故にその怪獣のオマージュとして選びました。その共通するティガ怪獣、皆さんは一体何か分かったでしょうか?
レイカの元に1人の怪獣娘が訊ねてきた。レイカはその怪獣娘の顔を見て思い出しながら声を上げる。
「ええっと・・・確か・・・貴方は広報部のデバンさん⁉︎お久しぶりです‼︎」
「ボクの事、覚えていてくれたんだね‼︎嬉しいよ‼︎久しぶり、確か・・・アギラちゃんと一緒にミクラスちゃんの大怪獣ファイターデビューのインタビューをした時以来だったよね⁉︎」
「はい‼︎」
レイカに話しかけてきたのはGIRLS広報部に所属するマスコット小怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『デバン』である。彼女は広報部にて新たにGIRLSに入隊した怪獣娘へのインタビューやGIRLS主体のイベントなどの宣伝紹介などを配信する動画配信チャンネル『デバンチャンネル』を配信している。
レイカも同時期に入隊したアキ、ミクの3人と一緒にインタビューを受けており、かなりガチガチに緊張しながらも彼女に応えてみせた事があるのだ。その日以来もレイカはGIRLS内で何度かすれ違ったり、ミクラスの大怪獣ファイターデビューの友人インタビューなどの場面で対面している。
今日も上げる予定の動画を編集して帰る予定で、いつもと様子が違って暗い顔を見せるレイカを見かけ、放っておけなくなったデバンはレイカに話しかけたのだ。
「ウインダムちゃん、どうしたの?何か顔が暗かったよ。何か嫌な事でもあったの?」
「えっ・・・それは・・・えっと・・・。」
デバンの問いにレイカは自身の本当の心を打ち明けようか悩み始める。そんな彼女の気持ちを察したデバンはレイカの両手を優しく握りながら問い掛けた。
「ウインダムちゃん、話したくないなら別にいいよ。けど、これでもボクだってGIRLSに長い事勤めてる怪獣娘だし、色んな後輩の悩みを聞いてきたんだ。だから・・・これ以上、1人で抱え込むのが辛い事があるなら遠慮なく吐き出してくれていいんだよ。」
「デバンさん・・・ううっ・・・。」
デバンの手の暖かい温もりを感じながら放たれた彼女の優しい言葉にレイカは思わず涙をうかべる。そして、涙が溢れそうな目を抑えながら彼女は自身の気持ちを打ち明け始めた。
その頃、闇の巨人vs怪獣娘vsヒッポリト星人の戦いは激しくなっていた。ヒュドラムが俊敏な動きでレッドキングを翻弄する。レッドキングはヒュドラムの速さについて来れず、獣殻にいくつもの切り傷がついている。彼女は脇腹を抑えながら膝を付いた。
『遅いですねぇ・・・そんな動きで私を捉えられるとでも?』
「畜生・・・!」
ヒュドラムの余裕そうな態度にレッドキングは舌打ちしながら拳を地面に叩きつける。その後ろからミクラスが飛びかかり、ヒュドラムに拳を向けて突っ込んできた。しかし、ヒュドラムはミクラスの動きを見切るとダガーヒュドラムからの斬撃波でミクラスを吹っ飛ばす。
「うわああああああああ⁉︎」
ミクラスの体は大きく吹っ飛び、ノイズラーのブロンズ像に向かっていく。彼女の体とノイズラーのブロンズ像がぶつかろうとした時、マガジャッパが駆け寄り、両腕の吸盤をクッションにしてミクラスを受け止めた。
「大丈夫ですか、ミクラスさん‼︎」
「ジャッパちゃん、ありがと。助かったよ。」
マガジャッパがミクラスの支えを受けてる後ろではザンドリアスがダーゴンの胸に拳を打ち込んでいた。しかし、怪獣娘の中で幼い彼女の攻撃はダーゴンにダメージを通す事など出来る訳もなく、逆に押し返され、ダーゴンの腕の殴打を受けてしまう。
「くっ・・・ぐっ・・‼︎」
ザンドリアスは吹っ飛ばされて地面に倒れる。再び起き上がるとこちらに向かって拳を構えながら向かってくるダーゴンを見て自身に意識を集中させる。そして彼女の体はクリスタルに包まれた。このクリスタルでダーゴンの拳から身を守ろうとする。しかし、ダーゴンの拳はクリスタルをいとも簡単に破り、彼女を更に吹っ飛ばした。
「きゃあああああ⁉︎」
ダーゴンの拳を受けて壁に激突したザンドリアスはこれまでの戦闘で限界だったのか変身を保てなくなり、道理サチコの姿に戻ってしまう。
「ザンちゃん‼︎」
「うう・・・、強すぎ・・・だよ・・・マジで・・・‼︎」
『幼き怪獣娘よ、我に挑もうとした勇気は認めようではないか。だが、力が足りなければ何の意味もなさん‼︎その事を覚えておくのだな。』
「お、覚えてなさいよ・・・今度は・・・絶対に・・・負けないんだから‼︎」
ミクラスに支えられながらダーゴンを睨むサチコの後ろでカルミラはマガバッサーが放つ風の刃を弾いていた。マガバッサーが飛び立つと同時に再び風の刃を放つがカルミラは上空からの刃も全て光の鞭で撃ち落とす。舌打ちしたマガバッサーは上空からの奇襲を掛けようとするが横から割って入ってきたヒッポリト星人の火球がマガバッサーを襲う。
マガバッサーは寸前で避けると自身に向かって火球を放ちながら飛んでくるヒッポリト星人から距離を離すべく飛ぶもヒッポリト星人も彼女の後について飛んできた。そのままヒッポリト星人とマガバッサーの空中での鬼ごっこが始まった。ヒッポリト星人が放つ火球やミサイルを避けながら彼女が方向を変えて下に降下するとヒッポリト星人も降下、上空に上がるとヒッポリト星人も上がる、方向を変えると相手も同じ方向に変えるなどキリがない鬼ごっこがそのまま続く。
「どこまで付いてくるつもりだ⁉︎あんまり女の子にしつこいと嫌われるぜ‼︎」
「ヒョホホホホホホホホホ‼︎では、鬼ごっこは終わりとしましょうか‼︎」
ヒッポリト星人が胸の結晶体にエネルギーを集めて光線を放とうとする。それを見たセブンガーがユナから借りたGUTSスパークレンスに怪獣としてのセブンガーが描かれたGUTSハイパーキーを装填する。
〈BOOT UP! IRON FIST‼︎〉
セブンガーがGUTSスパークレンスから溢れる力を右腕に集めて拳をヒッポリト星人に向ける。そして力が十分に溜まるとセブンガーはロケットパンチを放った。
「硬芯鉄拳弾、発射‼︎」
「ぐわああああああ‼︎」
セブンガーが放ったロケットパンチがヒッポリト星人に命中する。ヒッポリト星人は下から来た予想外の攻撃を受けると地面に落下する。そしてヒッポリト星人は起き上がったと同時にガッツ姉妹のダブルキックを受けて吹っ飛んでいった。
「「はあああっ‼︎」」
「ヒョホオオオオオオ⁉︎」
ガッツ姉妹は吹っ飛んでいったヒッポリト星人を前に構える。しかし、彼女達はカルミラの光の鞭に捕まってしまった。カルミラは光の鞭で捕らえた2人の顔が苦痛で歪むほどに締め上げる。
『お前達の分身能力と瞬間移動は厄介だからねぇ・・・早めに封じさせてもらうよ‼︎』
「しまった・・・‼︎」
「ぐっ・・・ぐぐ・・・‼︎」
「そうなんだ・・・そんな事があったんだね・・・。」
「はい・・・。デバンさん、私・・・怖いです・・・闇の巨人も・・・死ぬ事も・・・。」
その頃、レイカは自身の心の内をデバンに打ち明けていた。デバンは涙組むレイカに優しく寄り添う。そんな2人の様子をツバサは曲がり角に隠れて眺めていた。そこにキングジョーとエレキングがやってくる。
「ツバサ。」
「エレキングさんにキングジョーさん。」
「ツバサ君、ウインダムちゃんの様子はどうデスカ?」
「大分落ち着きました。少なくともさっきよりは・・・。」
「・・・そう。」
「エレキングさん?」
暗い顔を見せるエレキングにツバサは疑問を浮かべる。キングジョーとエレキングは顔を見合わせると再びツバサに向き合った。
「これから私達もカルミラとヒッポリト星人と戦っている皆の応援に向かうわ。ダーゴンとヒュドラムも姿を現したみたいなの。」
「ええっ⁉︎」
「しかもヒッポリト星人の手によってブロンズ像にされてしまった者もいるらしいのデス。状況はワタシ達怪獣娘側が不利になってしまいマシタ。」
「なっ⁉︎最悪じゃないですか‼︎僕も」
自分も行くと言い掛けたツバサをエレキングが制止する。そして2人はデバンの胸で泣いているレイカに視線を向ける。
「ツバサ、今の貴方に必要なのはウインダムの心のケアよ。」
「今、ウインダムちゃんの心は闇の巨人との戦いで死に掛けた事により弱り切ってイマス。ウインダムちゃんの側にいてあげて下サイ。」
ツバサは彼女達の背中を見送る。そして2人が視線からいなくなった事を確認すると再びレイカに目を向けた。レイカは先程のツバサとエレキング、キングジョーとのやり取りを聞いていたのか体が固まっている。そして再び震え出した。
「だ、ダーゴンと・・・ヒュドラムまで・・・それにアギさん以外にもヒッポリト星人に・・・ブロンズ像にされた人が・・・そんな・・・。」
「ウインダムちゃん?」
「わ、私も行かなきゃ・・・私も・・・けど・・・カルミラだけじゃなくダーゴンとヒュドラムまで・・・でも・・・でも・・・でも・・・私は・・・私は・・・私は・・・私は・・・。」
「ウインダムちゃん‼︎ウインダムちゃん‼︎落ち着いて‼︎ウインダムちゃん‼︎」
レイカは出動しなければいけないという使命感と闇の巨人との戦いで体には植え付けられた恐怖心の狭間で正気を失いかける。しかし、デバンの叫びで再び正気を取り戻したレイカはデバンを見つめる。
「落ち着いた?」
「え・・・ええ・・・ありがとうございます・・・。」
レイカはデバンから目を逸らす。レイカは沈んだ表情で細々と心の内を曝け出す。
「御免なさい、デバンさん・・・ダーゴンとヒュドラムまで現れた上にヒッポリト星人によってブロンズ像にされた人達が増えたと聞いて・・・怪獣娘として出動しなきゃいけない・・・けど、また闇の巨人に殺されるかもしれない・・・そう思うと震えが止まらなくて・・・アギさん達は・・・皆さんは・・・闇の巨人と立派に戦っているのに・・・私だけ・・・怖くて怖くて・・・仕方ないんです・・・。そして・・・そんな自分が情けなくて・・・。」
レイカの心境を聞いたデバンは立ち上がると側にあった自販機でホットコーヒーを買い、微笑みながら彼女に差し出す。
「ウインダムちゃん、誰だって死ぬ事が怖くない人なんていないよ。闇の巨人達が復活する前からシャドウビーストとの戦いで死に掛けた経験をした怪獣娘は沢山いたよ。皆、ウインダムちゃんと同じように死ぬ事への恐怖心に囚われた・・・けど、皆、恐怖心を克服してシャドウビーストに立ち向かったんだ。」
「私以外にも・・・その人達はどうやって乗り越えたのですか?」
「ん〜、そうだね。乗り越えたきっかけはそれぞれ皆異なるけど・・・皆、大切な事を思い出した・・・それだけは言えるよ。」
「大切な事・・・ですか?」
「きっとウインダムちゃんも感じた事がある筈・・・それを思い出して・・・。」
デバンの言葉にウインダムは考え始める。そしてふと隠れているツバサを見かけた時、初めてシャドウと戦った時の事、そしてツバサとの過去を思い出した。
アニメキャラのストラップをランドセルに付けてトボトボと歩く小学生くらいの少女がいた。その少女こそ、小学生の頃のレイカである。この頃からアニメ好きなレイカだったが、彼女の好きなアニメを知る者達が1人もおらず、共通の話題で盛り上がれる友人がいないこの頃の彼女は孤独感に苛まれていた。
夕日の中、表情を沈めて歩くうちに学校の花壇の手入れを熱心に行なっている少年を見かける。レイカはその少年から視線を離す事が出来なかった。そして気付いた時には少年の側まで来ていたのである。
「ん?君、どうしたの?」
「え?」
「いや、なんかこっちを見ていたから何かあったのかなって。」
「えっ、いや・・・何でもないです‼︎気に・・・気にしないで・・・下さい。」
レイカは一度花壇から目を離すと再び少年に目を向ける。そして少年はレイカのランドセルのストラップを見るとそれを指差しながら問い掛けた。
「見た事ないストラップ付けてるね。そのストラップ、一体何?」
「えっ?・・・これ?アニメのキャラだけど・・・。」
「へ〜、何ていうアニメのキャラなの?」
「ええっ、知りたいんですか⁉︎多分知らないキャラだと思いますけど・・・。」
「いいよ‼︎ランドセルにストラップを付けるくらい好きなんでしょ?そのキャラが出るアニメ、面白そうなんだもん‼︎」
「私だけ盛り上がってついていけなくなっちゃうかもしれませんよ・・・それでもいいんですか?」
「そんなの気にしないよ。これから知っていけばいいんだからさ、それより顔暗いよ。ちょっと待って‼︎」
少年は足元の花を取るとレイカに笑顔で差し出した。レイカは差し出された花を見て呆然としている。
「はい、これ‼︎女の子は笑ってる顔が1番だよ‼︎スマイルスマイル‼︎」
レイカは唖然とすると少年の言葉を聞いて涙を浮かべる。少年はレイカの様子に慌てて話しかけた。
「えっ⁉︎何で泣いてるの⁉︎僕、何か悪い事した⁉︎だ・・・だったら御免‼︎」
「ううん・・・違うんです・・・私、アニメ好きだからって皆から『オタク女』って・・・揶揄われてて・・・そんな私に・・・そんな笑顔で接してくれて・・・。」
「そうだったんだ・・・酷い事をするんだね。君のクラスは。一人一人好きなものは違っててそれを好きだって気持ちを否定する権利はないって僕の母さんが言ってたよ。だから、アニメが好きなら好きだって言っていいと思うよ。」
レイカは自分と同い年の少年から優しく言葉をもらい、更に涙を浮かべる。そしてそのまま2人はストラップのキャラが出てくるアニメについて話しながらいつのまにかレイカも花壇の手入れに参加していた。
「・・・へぇ、面白そう‼︎またアニメの話、聞かせてよ‼︎」
「ええ‼︎」
「あっ、また笑った‼︎やっぱり笑顔が似合うよ‼︎僕はマナカ・ツバサ‼︎君は?」
「し、白銀レイカです。」
「タメ口でいいよ。これからよろしくね、レイカ。」
これが白銀レイカとマナカ・ツバサのファーストコンタクトであった。そして時は流れてレイカは怪獣娘となり、GIRLSの正式な一員となるための入隊試験を受ける事になった。そしてその最中、シャドウの事件が起こる。レイカは先輩である、ラン、ミカヅキ、ベニオ、同じようにまだ見習いだったアキ、ミクの2人と力を合わせてシャドウを倒す事に成功した。そして戦いの後、レイカは戦いの舞台となった浅草で自身の手を見ていた。
「本当に私・・・ここで戦ったんですね・・・。しかも・・・私のこの手で・・・この力で・・・シャドウを倒す事が出来たんですね・・・。」
「そうだよ‼︎君もここでわたし達と一緒に戦ったんだよ‼︎この街を守るためにね‼︎」
ミカヅキの言葉で改めて自分に戦う力がある事を知ったレイカの頭には幼馴染の姿が映る。そして純粋にアニメ好きだった頃から腐女子になっても変わらずに自身に接してくれた幼馴染の笑顔を思い浮かべながら決意を固めた。
(ツバサは小学生の頃からずっと変わらずに私と接してくれた・・・そして私の事を大切にしてくれた・・・男子に揶揄われてる私の事を守ってくれた・・・そんなツバサの事を・・・これからは・・・この力で・・・守ってあげられるんだ・・・これからは私がツバサを守って見せる‼︎この力で・・・自身に宿るこの怪獣の力で‼︎)
そして現在、レイカはこれまで培った思い出を思い出している。そして再び目を閉じるとデバンの横で立ち上がった。
「そうでした・・・私・・・大切な事を忘れてました・・・私は・・・私は‼︎」
「ウインダムちゃん?」
「デバンさん‼︎ありがとうございます‼︎私、大切な事を思い出しました‼︎」
「ウインダムちゃん、何処行くの?」
「自分のやるべき事を成し遂げに行ってきます‼︎」
レイカはデバンに礼を言うとその場から走り去っていく。ツバサは思わずレイカを呼び止めようとするがそれをデバンが制止する。
「デバンさん・・・。」
「あの子は大切な事を思い出して・・・やるべき事をやりに行ったんだよ。今はウインダムちゃんの気持ちを優先してあげて。」
ツバサはデバンの言葉に頷く。そして自身も決意を決めてレイカの後について走って行った。
その頃、怪獣娘達はエレキングとキングジョーという実力者の2人が来たにも関わらず劣勢を強いられていた。ヒッポリト星人によってマガジャッパ、レッドキング、セブンガーの3名がブロンズ像にされ、戦力が大幅に減った上にカルミラ達闇の巨人の実力に押されていたのである。
エレキングの尻尾の鞭とカルミラの光の鞭がぶつかり合う。両者の鞭は空中でぶつかり、激しい音を鳴らしながら激突する。
その後ろではキングジョーがダーゴンの拳に耐えていた。ダーゴンが連続で放ってくる拳にキングジョーは腕を交差させながらガードするが頑丈な彼女といえど強力なパワーのダーゴンの拳の衝撃に顔を歪めて苦痛を見せずにはいられなかった。
『ハッハッハ‼︎あたしと同等の鞭捌きが出来る小娘がいたとはねえ‼︎お前は1番楽しめそうだよ‼︎』
「私はこれでも戦闘タイプじゃないわ‼︎・・・だから貴方の戯言に付き合うのは勘弁願うわよ‼︎」
『ほう、我の拳を耐えるとはな‼︎だが、耐えてばかりでは何も変わらんぞ‼︎』
「そんな事・・・分かってマース‼︎」
キングジョーが拳を握りしめて力強いパンチを放つ。しかし、ダーゴンはそれを受けて少し後退するだけだった。
『成る程、中々いい拳じゃないか。流石我が剛腕を耐えるだけの事はある‼︎』
「それはどうもデース‼︎」
キングジョーは決め手となる攻撃がない事に苦痛の感情を抱きながらダーゴンを睨む。その時、後ろからレイカがこちらに向かって走ってきた。
「ウインダムちゃん‼︎」
レイカは立ち止まると目前にカルミラとダーゴンを、その横でヒッポリト星人の火球とミサイルを拳で弾きながら応戦するミクラスとヒュドラムのダガーヒュドラムからの突きを腕で防ぎながら顔を歪ませるマガバッサーを確認する。そして闇の巨人とヒッポリト星人の姿を見て再び彼女の体は震え出した。カルミラの肘打ちを受け止めたエレキングは思わず叫ぶ。
「何しにここに来たの⁉︎今の貴方じゃこいつらには勝てないわ‼︎早くここから離脱しなさい‼︎今の貴方じゃ足手纏いなのよ‼︎」
『はん‼︎よそ見している暇があるのかい‼︎』
カルミラが膝蹴りてエレキングを引き離すとカルミラバトンを形成してエレキングに叩き付ける。エレキングな左腕の盾で防ぐもその足は後退していく。そしてカルミラは再びレイカに目を向ける。レイカの視線は下を向き、今でも体が震えていた。
「確かに・・・今の私じゃカルミラにも・・・ダーゴンにも・・・ヒュドラムにも勝てない・・・そんな事は分かっています・・・でも‼︎私は・・・かつてウルトラセブンと共に侵略者と戦ったカプセル怪獣の魂を継ぐ怪獣娘です‼︎だから・・・私は戦います‼︎初めてシャドウと戦った時に誓いました‼︎大切な人達を守るために戦うと・・・そして今、私の大切な人達が危険に及んでいる‼︎怖いなんて言ってる場合じゃない‼︎」
レイカは力強く顔を上げると自身のソウルライザーを取り出して操作する。そしていつも変身の時に叫ぶあの言葉を叫んだ。
「ソウルライド、ウインダム‼︎」
レイカの体は光に包まれ、怪獣娘の姿に変身する。そしてキングジョーを殴り飛ばしたダーゴン、マガバッサーを斬り伏せたヒュドラムもウインダムに気づくと彼女に視線を向ける。震えが収まり、闇の巨人達を見据えたウインダムは自身の体に意識を集中させる。そして彼女の背中から無数のミサイルが放たれた。
『何⁉︎』
「はああああ‼︎」
ウインダムから放たれた無数のミサイルはそのままカルミラ達に向かっていく。カルミラは光の鞭で、ダーゴンは自身の両腕でミサイルを弾く中、ヒュドラムは後ろに飛び上がり、ミサイルを避ける。しかし、ウインダムはミサイルを撃ち続け、ヒュドラムとヒッポリト星人にミサイルが向かっていく。ヒュドラムは剣でミサイルを捌くもヒッポリト星人だけはまともに受けて大爆発を起こす。
『ぐっ⁉︎面倒な事になったものですねぇ・・・先程まで私達に震えていたというのに・・・‼︎』
「ぐわああああああああ‼︎」
『調子に乗るんじゃないよ‼︎』
カルミラは光の鞭でウインダムを捕らえると激しく締め付ける。ギチギチと彼女の体が軋むが、ウインダムは自身の体を縛り上げる鞭に苦痛の顔を見せながら耐え、額からレーザーを放つ。その威力は以前より上がっており、まともに受けたカルミラは火花を散らしながら後退する。
『なっ⁉︎怪獣娘如きに‼︎』
そしてウインダムは自身の右手に力を集める。それを見たアキトが怪獣のウインダムが描かれたGUTSハイパーキーを、ユナが自身のGUTSスパークレンスを彼女に投げる。
「白銀‼︎」
「レイカちゃん、これを使って‼︎」
ウインダムはユナとアキトからGUTSスパークレンスとハイパーキーを受け取るとハイパーキーを装填し、展開する。そして引き金を引くと同時に彼女に力が注ぎ込まれる。
〈BOOT UP! FIRE FIST‼︎〉
「ウインダムレイカインパクトォォォォォォ‼︎」
カルミラはカルミラバトンを形成し、迎え撃つ。そして光のバトンとウインダムの拳が激突した。両者共に耐えるがウインダムが更に力を上乗せしする事で力を増す。そして力の小競り合いに決着がつく。
「はあああああああああああ‼︎」
『なっ⁉︎うわああああああああ⁉︎』
カルミラは大爆発しながらウインダムの拳に吹っ飛ばされていく。煙が晴れた先では所々黒こげになったカルミラが力を入れて立ち上がっていた。彼女は屈辱で体を震わせている。
『よくも・・・よくも小娘如きがぁぁ・・・このあたしをぉぉ・・・絶対に・・・絶対にお前だけは許さないよ‼︎何がなんでもここで息の根を止めてやろうじゃないか‼︎』
「ヒョホホホホホ‼︎私の事を忘れてもらっては困りますね‼︎」
その後ろではウインダムのミサイルを受けてダメージを負ったヒッポリト星人が立ち上がる。ヒッポリト星人はその場にいた者達を一通り見回ると巨大化する。
「何がなんでも貴方達を始末し、エタニティコアを頂きましょう‼︎」
『ちっ‼︎面倒なのが・・・ダーゴン、ヒュドラム、怪獣娘の方はアンタ達に任せるよ‼︎』
『お、おい‼︎』
『分かりました。そちらは任せますよ。』
『その代わり、あの銀色の怪獣娘は始末するんじゃないよ‼︎アイツはあたしがこの手で・・・アンタ、確かウインダムとか言ったね‼︎覚えていな‼︎この借りは何が何でも返すよ‼︎』
カルミラも闇の力を増幅させ、巨大化する。そして光のバトンを形成し、ヒッポリト星人と格闘戦を始めた。ヒッポリト星人は光のバトンを腕で受け止め、胸からの光線でカルミラを後退させる。カルミラは光の鞭でヒッポリト星人を捕まえると自身に引き寄せて拳を顔面に放つ。ヒッポリト星人はその痛みに顔を押さえる。そしてカルミラの蹴りがヒッポリト星人の腹に直撃する。ヒッポリト星人は腹に来た痛みに耐え、カルミラの足を掴むとそのまま投げ飛ばす。そして倒れたカルミラに紫色の火球を放った。カルミラは立ち上がるとバク転しながらそれを避ける。
現場に到着したツバサはカルミラとヒッポリト星人の戦いで壊れていく街を見るとすぐさまGUTSスパークレンスとトリガーのハイパーキーを取り出した。
〈ULTRAMAN TRIGGER! MULTI TYPE‼︎〉
起動したGUTSハイパーキーをGUTSスパークレンスの銃底にセットした。
〈BOOT UP! ZEPERION‼︎〉
銃身を開いてGUTSスパークレンスを持った右手を持ちながら天に掲げて叫んだ。
「未来を築く希望の光‼︎ウルトラマントリガアアアァァァァ‼︎」
〈ULTRAMAN TRIGGER! MULTI TYPE‼︎〉
ウルトラマントリガーが光と共に現れ、カルミラとヒッポリト星人に向かって構える。トリガーを見た2人はこちらに向かって構えているトリガーに戦闘態勢を取った。
『トリガー・・・こんな時に・・・‼︎』
カルミラは光の鞭を形成してトリガーに振るう。トリガーはバク転して避けるとカルミラに近付き、拳を放つ。腹に拳を受けたカルミラが後退したと同時にヒッポリト星人が紫色の火球を放つ。トリガーは手刀で弾くとヒッポリト星人に飛び蹴りを放つ。
ヒッポリト星人はこちらに向かってくるトリガーを見極め、横に逸れると反撃と言わんばかりに殴り付けてくる。トリガーはヒッポリト星人の拳を受け止め、胸にチョップを打つ。ヒッポリト星人が怯んだ隙に今度はトリガーのストレートパンチが決まり、ヒッポリト星人が吹っ飛んだ。
「ジェアッ‼︎」
「ぬおおおおお‼︎」
倒れたヒッポリト星人を迎え撃てるように構えると再びカルミラが自身の首に腕を回して絞めてきた。後ろから来たカルミラに肘打ちを3度決め、引き離すと回し蹴りを放つ。カルミラは腕を組んで蹴りを受け止めるがその体は後退する。カルミラと再び距離を離したトリガーは構えるも横から飛んできたヒッポリト星人の赤い破壊光線を受けてビルを倒しながら吹っ飛んだ。
「ジェアアッ⁉︎」
「ヒョホホホホホホホホ‼︎私をお忘れですか?ヒョホホホホホホホ‼︎」
その頃、ダーゴン、ヒュドラムと戦う怪獣娘達のうちミクラスとガッツ星人(ミコ)はトリガー、カルミラ、ヒッポリト星人の三つ巴の戦いを眺めていた。
「凄い戦いだね。」
「うん、怪獣対超獣対宇宙人並みの・・・ううん、それらを超えた戦いだよ。」
『よそ見している余裕があるのか‼︎』
ダーゴンが2人に向けて拳を放ってくる。ミクラスは飛び上がり、ガッツ星人(ミコ)は瞬間移動で避けるもダーゴンの拳が命中した道路には大きなクレーターが出来ていた。ミクラスは降下と共にダーゴンに拳を放つ。ダーゴンも拳で迎え撃ち、互いの拳が激突すると同時にミクラスの体は大きく吹っ飛ぶ。
「うわああああああああ⁉︎」
そのまま地面に激突したミクラスは変身を維持できなくなる程のダメージが溜まり、変身が解けてしまった。ミクはこちらに向かってくるダーゴンを睨む。
「ぐっ・・・ぐぐぐぐ・・・‼︎」
「ミクさん‼︎」
その時、ウインダムが拳をドリルのように回転させながらダーゴンに向かっていく。そしてミクを庇うようにダーゴンに向かって回転する拳をぶつけた。しかし、ダーゴンはウインダムの拳に動じず、彼女に向かって拳を放つ。ウインダムは腕からのジェット噴射で拳を避けるとダーゴンの横に回り込み、至近距離からミサイルとレーザーを一斉に放った。
『ぬおっ⁉︎』
ダーゴンが気付くと同時に大量のミサイルがレーザービームと一緒に襲い掛かる。ダーゴンは腕を交差させて大量の弾幕から身を守るがその火力に体が少しずつ後退する。そしてミサイルが切れた時にはミクをダーゴンから引き離す事に成功する。
『ほう、我をその怪獣娘から引き離す程の火力とは・・・中々やるではないか。少しだけ見直したぞ。』
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。」
『だが、もはや弾切れのようだな‼︎もはや我に撃てる力は残っていまい・・・ここで終わりだ‼︎銀色の怪獣娘よ‼︎』
「そうはさせないわ‼︎」
ユナが横から割って入り、ゼットンのハイパーキーを装填したGUTSスパークレンスをダーゴンに向け、ゼットンの力を宿した火球を放つ。ダーゴンは腕を交差してそれを防ぐ。ユナは今度はゴルザのハイパーキーを装填し、超音波光線を放った。
〈BOOT UP!ULTRA SONIC‼︎〉
ゴルザの力を宿した超音波光線を受けてダーゴンは僅かに後退する。ユナはダーゴンに向かってGUTSスパークレンスを構えながら睨む。
「人類は・・・怪獣娘は・・・貴方達なんかに負けやしない‼︎絶対に‼︎」
ユナがダーゴンに向かって力強く宣言してる頃、トリガーはヒッポリト星人の頭の突起を掴み、動きを封じるとその身にパンチを撃ち込んでいた。ヒッポリト星人はトリガーから離れると腕からミサイルを発射する。トリガーは体を逸らして避けるが追尾機能を持つミサイルがUターンして背中に命中する。トリガーが仰向けになって倒れるとヒッポリト星人はさっきのお返しと言わんばかりにトリガーを無理やり起き上がらせるとその鳩尾に何度もパンチを撃ち込んだ。そして最後のとどめと言わんばかりに胸の結晶体から光線を放ち、トリガーを吹っ飛ばす。
「ジェアアッ‼︎」
「貴方にもブロンズ像になってもらいますよ‼︎ヒョホホホホホホホ‼︎」
トリガーが立ち上がった瞬間、その身はアギラ達をブロンズ像にしてしまったあのヒッポリトカプセルに包まれた。トリガーはカプセルに拳をぶつけて何度も脱出しようと試みるが一向に壊れる様子がない。そのままヒッポリトタールがトリガーをブロンズ像にしてしまうと思われたその時、光の鞭がヒッポリトカプセルに叩き付けられる。光の鞭の打撃で壊れたヒッポリトカプセルから脱出すると光の鞭が飛んできた方向に目を向ける。そこにはカルミラウィップを構えたカルミラが立っていた。
『今回だけ特別さ。後は無いよ‼︎』
トリガーはカルミラに頷くと再びヒッポリト星人に向かって構える。そしてトリガーが飛び上がると同時にヒッポリト星人も飛び上がり、空中戦に突入した。カルミラは飛び立っていった両者を見て仲間に目を向ける。
『そろそろ潮時だね・・・お前達、撤収するよ‼︎』
カルミラの声を聞いたダーゴンはミクを支えるウインダムと2人を庇うユナを見る。
『ユザレ、そして怪獣娘達よ‼︎今日のところは見逃してやろう‼︎次は無いと思え‼︎』
ダーゴンは闇のオーラと共に姿を消していった。その後ろでヒュドラムが両手を上げてやれやれと言わんばかりの仕草をしている。
『はぁ、まだ物足りないのですがねぇ・・・。』
「逃さないよ‼︎超音波光線‼︎」
ゴルザの額から放たれた光線をかわすとヒュドラムは彼女達を見下ろせる位置のビルの屋上に立つ。
『皆さん、また遊びましょう。』
「待て‼︎」
マガバッサーが飛び立ち、ガッツ姉妹が瞬間移動でヒュドラムがいるビルに向かう。しかし、3人が到着した時にはヒュドラムの姿はなかった。
その頃、上空ではヒッポリト星人とトリガーが激突していた。ヒッポリト星人が放つ火球を避けながらトリガーはトリガーハンドスラッシュを放つ。ヒッポリト星人もそれを避け、お互いに火球と光弾の撃ち合いが続いた。トリガーが火球を突っ切ってヒッポリト星人を蹴飛ばす。
ヒッポリト星人も上空で落ちる自身を制止し、トリガーに向かっていく。ヒッポリト星人がトリガーを掴んで投げ飛ばすが、トリガーも踏ん張って空中に留まる。再びヒッポリト星人が火球を放つがトリガーは左右に飛んでそれを避け、顔面に飛び込んでパンチを決める。尚も空中に踏み止まったヒッポリト星人はミサイルと火球を同時に連射するがトリガーは手刀で弾いてヒッポリト星人に接近する。そしてマルチ・スペシウム光線を放ち、ヒッポリト星人を打ち落とした。
「おのれ・・・この偉大なヒッポリト星人がこんなところでやられていい訳が無い・・・いい訳が無いのだぁぁぁぁ‼︎」
冷静さを失ったヒッポリト星人が胸から光線を放ちながら火球とミサイルをヤケクソ気味に連射する。トリガーは光線を避け、火球とミサイルを手刀で弾き返すとゼペリオン光線を撃つチャージに入る。光エネルギーを集めると腕をL字に組んでゼペリオン光線を放つ。ヒッポリト星人はトリガーの必殺光線を受けて、地面に倒れると同時に大爆発を起こした。
その後、ブロンズ像にされたアキ達も元に戻り、GIRLSに集まったツバサ達はレイカの様子に安堵している。彼女が恐怖を克服できた事に喜んでいるのだ。
「皆さん、本当にご迷惑お掛けしました!」
「いいっていいって‼︎あたし達こそウインちゃんが元に戻って良かったよ。」
「本当に良かったです・・・けど、本当に大丈夫ですか?」
「はい!!この通り大丈夫です!!」
「ウインちゃんが大丈夫なのはあたしが保証します!!あたしの目の前でカルミラにもダーゴンにも臆せずに立ち向かいましたから!!」
ミクの声を聞いてブロンズ像にされた者を除くその場にいた皆が頷く。それを聞いたトモミはレイカを見て笑みを浮かべる。
「どうやら本当のようですね・・・でも病み上がりというのもあります。後の事後報告は任せてウインウインは帰って大丈夫ですよ〜。ツバツバはウインウインの様子を見てあげて下さい。」
「ありがとうございます‼︎」
「分かりました!!」
トモミの言葉でその場を後にしようとするレイカの後ろからツバサが走ってくる。ツバサは明るく話しかけた。
「レイカ、一緒に帰ろ‼︎」
「うん‼︎」
「漸くおまピトも落ち着いて見られるね。」
「そうね・・・ああああああああ⁉︎」
「どうしたの?」
突然叫び出したレイカにツバサは疑問を浮かべる。レイカは深刻そうな表情で落ち込みながら答えた。
「色々あって・・・忘れてた・・・おまピトの公式アンソロジーコミック・・・ヒュドラムに襲われた日が発売日だった・・・。」
「あー・・・。」
「もう・・・売り切れてるわよね・・・。」
「仕方ないさ。新しく入荷されたら一緒に買いにいこ!!」
「ツバサ・・・うん!!」
2人はGIRLS東京支部を後にするとそのまま並んで帰路についていった。そんな2人の後ろ姿を夕陽が祝うように照らしていた。
次回予告(CV:マナカ・ツバサ)
「1日に1時間だけ動く謎のロボット『サタンデロス』。超強力なバリアでどんな攻撃も通じない。この強敵に勝つにはあのバリアをどうにか攻略しなくちゃいけないんだけど・・・。次回‼︎
スマイルスマイル‼︎」