【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】 作:外なる天使さん
今にして思えば──俺はこの世界特有のVIP対応ならぬヒトオス対応に対しイージーモードうめぇと言いながらも、どこか馴染みきれていなかったのではないだろうか。
それは非常に曖昧かつ感覚的なモノで──例えば俺はお国から貰える補助金で贅沢をしたり、湯水の如く趣味に費やしたところで何の罪悪感も抱かなかった。何故ならあれはヒトオスの将来的な射会貢献を見込んでのことで、結婚の義務化という前提の下に成り立っているからだ。
しかしそれがこの国で一般的に推奨される常識や風潮となってくると、当然ながら対応の幅はそれぞれの厚意や好意に依存する。
もちろん純粋な善意だけでなく、お店や個人の都合もあるだろう。要は極力ストレスを与えずに育てた牛さんの方が美味しいミルク(直喩)をいっぱい出す、といったノウハウが義務教育レベルで浸透しているだけであり、あわよくばワンチャンという下乳もとい下心込みであることも頭では理解している。おっぱいは揉まされたが。
だがこの世界でどれだけモテようと、俺は基本的に陰の者。流れ着いたのがインドであろうと異世界であろうと、染み付いたモノはぶっかけ痕と同じでそう簡単には拭えない。
前世の日本人的感覚のせいでどうしても気後れの方が先に来てしまうし、服屋で店員さんが寄って来た時には即座の退却を自分の脳ミソへと進言したくなる人種なのだ。おっぱいは揉まされたが。
だからバーチャルが一番気楽。やっぱり通販しか勝たん。
これまでそう思っていたが──それは間違いだった。
先程のコーヒーショップの店員さんを例とするならば。恐らく彼女は帰宅後ベッドの上で俺の手の感触を思い出し、それをオカズに今夜はまるで覚えたてのサキュバスの如くひとり遊びに励むのであろう。……そう考えるとちょっと興奮するな。グラビアアイドルなんかはある一定の境地に達すると、オカズにされた数=勲章と捉えるようになると聞くし。普段配信でアラシコどうこうと言ってる身ではあるものの、相手はコメント欄のバーチャル稼業。ネタかガチか微妙なラインなので、どちゃシコされてる実感はあまりない。フェス的なイベントを経験すればまた違う感覚を得るのかもしれないが……。
ともあれあの店員さんが自分のリスナーかどうかは不明だが、リアルで偶然接した相手を性欲の海に突き落としたかと思うと、ジワジワと妙な背徳感が……。
まあその辺りはともかくとして、気付いちゃったよね。
これ結局身体で払ってるだけじゃねぇ???
だっておっぱいを揉まされてるんですよ……!?
……もうね、あんなの『支払いは
そりゃあ調子に乗ってこちら側からああしろこうしろと過剰なサービスを要求するのは駄目なパターンだが……。目に見えない形で払うもん払ってるってなったら話は違うじゃんね。
つまり俺は今まで世のヒトオス共を増長したアホだと思っていたが、真のアホは寒空の下のチンポのように縮こまっていた俺の方だったというわけだ。
それに気付いた今の俺は、言うなればアラヤくんVer2。
アップデートによって環境への適応と自身への正当化を果たしたことによって俺は特別扱いへの抵抗感、そしておっぱいを揉んでお礼を言われることへの違和感を完璧に"克服した"っ……! 今後は一切の遠慮なく、存分にヒトオス様としての正しい待遇を味わい尽くしてくれようじゃないか。
つまりここから始まるのは反撃のアラヤくんR18ってワケよ。*1
フハハハハハハ、やれるじゃないか! まずは手始めに、そこの美味しそうな定食屋さんでお腹を満たしてくれるわ……!
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STAGE1 お食事処『腹母亭』
「いらっしゃいませ~! お一人様で──って、え、男の人!? あ、ごめんなさい! えっと、おシコり様でよろしいでしょうか!?」
何でそこ言い直した???
……い、いや落ち着け。きっとただの聞き間違いだ。ずっとコメント欄ばかり見てたせいで脳が誤作動起こしちゃったかな~あはは。
既に帰りたい気持ちが芽生えつつあったが、流石にこれで冷やかしでしたは失礼過ぎる。こちらがひとりであることを伝えると、店員さんは何故か申し訳なさそうな表情で、
「あの~……うちの店、個室とかないですけど大丈夫ですか? 一応、奥の方の席なら空いてますけど……」
……ここって普通の定食屋さんで合ってますよね? お高い料亭的なお店ではなく。そりゃあ最近はチェーン店でも個室風のボックス席とかがあるくらいだけど……この場合の個室って、多分ガチの個室って意味では? ええ……ヒトオスくんの外食ってそういう感じなの? うそでしょ。
「……自分はそういうの気にしないので、普通で大丈夫です。くれぐれも、普通に、お願いします」
「本当ですか? それなら今日は天気もいいですし、日当たりの良い窓際のお席にもご案内出来ますよ!」
そういうことになった。
「いや~、さっきはすみません。うちの店に男の人が来てくれたのなんて、あそこで鍋振ってるお婆ちゃんの見た妄想が最後だったから、びっくりしちゃって。胸は大きいのに小心者なんですよね~あたしってば」
「それお婆さん本当に大丈夫なやつ?」
席でメニューと睨めっこしていると、先程の店員さんがそんなことを言いつつお冷……というより冷たいお茶を持って来てくれる。
可愛い感じの店員さんだ。長めの癖っ毛を後ろで緩く束ねており、美人なのは言うまでもないがとにかく明るくて愛嬌がある印象を抱く。
制服の方はいわゆる和風モダンというやつだろう。前掛けが長くてよく見えないが……女性店員しか居ないからか、下はズボンではなくスカートか何かのようだ。
……でも貴女は相当図太い方だと思いますよ、僕は。
チラッ。
「あ、ご注文お決まりになりました?」
……座ってるんだよなぁ、目の前に!
「あの……何でずっとそこに居るんです?」
「? お客さん変なこと訊きますね。折角来てくれた男の人をお待たせするわけにはいかないじゃないですか~。いつでも注文を伺えるように待機しておかないと!」
レストランのテーブル担当みたいなもんかなぁ。でも対面に座って待つのは何か違くない? ずっと立ってろってのもアレだけどさぁ……。もうそれは長年の常連との距離感なんよ。
「まあまあ。こっちのことはどうぞ気にせず、ゆっくり決めて下さい。何か質問があったら遠慮なく言ってくださいね、小鉢の中身からあたしのスリーサイズまで、全部余さずお答えしちゃいますよ~♡」
そういう言い方されると最後のやつがちょっと気になるじゃん……。でも見えてる地雷は踏まない主義なんだ、すまんな。
「じゃあ折角だし、店員さんのオススメってありますか? 出来れば肉系で」
「それなら断然『鶏の唐揚げ定食』ですね! うちはむね肉ともも肉の両方から選べるんですけど、むねは衣薄めの塩味でしっとりヘルシー、ももは味付け濃いめでサクッとジューシー。私的には、そこに柚子胡椒多めに付けるのが超オススメですよ!」
ほう、中々にいいじゃないか……。端的ながらも食欲を煽る説明、定型文ではなく自分なりのアレンジを効かせてくるのも心強い。食べ慣れている証拠だ。そういうのでいいんだよ、そういうので。
「いいですね、それにします。……あの、むねとももの合盛りって出来ますか? 店員さんの話を聞いたら、どっちも凄く美味しそうで決められそうになくて」
「いひひ、嬉しいこと言ってくれますね~、もっちろん大丈夫ですよ! 唐揚げ定食、むねもも合盛りっと──よいしょ♡」
すると店員さんは笑顔で注文をメモした後──突如服を脱ぎだした。
「これですか? だってほら、唐揚げだとどっちも見た目が同じじゃないですか。だからうちでは間違い防止のために、こうやって……むねならおっぱい、ももなら太ももを出していつでも確認出来るようにしてるんです♡」
いやそれ絶対今決めたルールですよね? なんならこの店のホール担当お前だけじゃねーか! 他に同じ注文入ったらその時点で詰んどるやろがい!
内心でのツッコミを置き去りにして、最終的に店員さん上は半脱ぎで胸元を露出し、下は前掛けをスルスルとたくし上げ太ももを──ってちょっと待て。
「下に何も穿いてないんか!?」
「やだな~、ちゃんとパンツは穿いてますって。ほら紐パン♡ それにうちの前掛けは前後に丈があるタイプなんで、長めのスカートと何も変わらないでしょ?」
見せるな見せるな。……そうかなぁ、そう言われると何かそんな気がしてきたわ。全裸コートの変態だって脱がなきゃ普通の防寒にしか見えないし、実害がないならもういいかなって……。
まあこの店員さんは半分くらい脱いじゃってるわけだけど。でも目の前で脱ぐのがヤベーだけで、冷静に露出の比率で考えたら余裕でセーフなんだよなこれ。なんなら前世のハロウィンパリピ共よりよっぽど慎ましい格好っていうね。それはそれでどうなんだ。
「そうだ、忘れるとこでした! 定食はお味噌汁の具も選べるんですけど、お客さんはアワビと松茸──あ、間違えた。シジミとなめこ、どっちが好きですか?」
今間違える要素ありました???
「……じゃあシジミで」
そう言うと、店員さんは笑顔で注文内容を復唱。そしてなるほど……なるほど……と呟きながらオーダーを通しに向かった。とても怖い。
……やっぱり店を間違えたかな。い、いや落ち着け、何だかんだ言ってお触りひとつされてないんだ。それに大事なのは味だろう、後悔するにはまだ早い。
俺はゆっくりと天井を仰ぎ、静かに瞑目しつつ思った。
何でメシ屋に来てストリップ見せられてるんだろう……と。
────。
──。
この唐揚げめっちゃ美味ぇ!?
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「つい食べ過ぎてしまった……」
調子に乗ってご飯のおかわりまでしちゃったよ。でもそれくらい美味かった。特に柚子胡椒での味変が効いたな……夜までに消化出来るといいのだが。
そんなことを考えながら一息ついていると、例の店員さんが服装そのままでやって来た。お前その格好のまま揚げ物やったら死ゾ。
「おにーさんおにーさん、よかったらこれどうぞ。あたしからのサービスです」
「いいんですか?」
ファンシーな容器に入ったプリンだった。定食屋でプリン? と思って視線を向けると、店員さんは少し照れくさそうに頬を掻きながら、
「いや~実は趣味なんですよね、こういうの。雰囲気壊れちゃうので店には置けないんですけど、味には自信ありますから!」
それにほら、と彼女は言葉を添え、
「周り見てください。おにーさんが美味しそうに食べてるの見た人らが『あの店は男性を笑顔にする程の味なのか~』って押し寄せて、店内はかつてない量のお客さんでもうパンパン! 名実共に腹母亭ってやつですよ♡ なんなら外に行列出来ちゃってます。これがやらしい悲鳴ってやつですか~……いや~忙しい、忙しい」
そう言い残して彼女は仕事へと戻って行った。
……そういえばここ窓際席だった。店の外から注目されるということ自体が完全に意識の外だったが、ヒトオスの宣伝効果を考えるとそうなるか。
確かこの席を勧めたのはあの店員さんだったな。勿論最終的に選んだのは俺であるが。つまり上手いこと客寄せチワワ……もといポメ様になっていた、というわけか。
フッ……だが悪くないぞ。決して悪くはない、そんな気分だった。
……っていうかいつの間にか呼び方変わってない? 気の所為?
────。
──。
「ありがとうございました~! また食べに来て下さいね~!」
幸いにも店内がクソ忙しかったので、揉み取りイベントはスキップ出来た。っていうかお釣りの出ない金額出せばいいだけだったわ。
また来て下さい、か……多分また行っちゃうだろうなぁこれ。だって普通に美味かったし。お冷がお茶だったり、味噌汁の種類を選べるのはかなりポイント高い。しかも徒歩圏内だから立地に一切の不満がないっていうね。
まあ店員の風紀に関しては些か以上の問題があったような気はするが……そこは俺がとやかく言うことではない。
さて此度の勝敗は、双方が得をしたということで引き分け──いや、違うな。メシ屋にとっては、客に美味いと言わせた時点で既に勝ち、か。
──最後のプリンの味については、語るだけ無粋というものだろう。
ちんこすう(マシュマロ)
オナホや電マのようにご自由にお使い下さい。
また作中のネタとして取り上げることがあるのでご了承下さい。
作者シコッタ-
更新アクメ通知bot。
カクヨム版
特殊タグがないので差別化のためやや早漏です。