【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】 作:外なる天使さん
てくてくてく、と三人で事務所の廊下を歩いている。
道中について深くは語るまい。しいて挙げるなら、警備のメイドさんや受付のメイドさんに挨拶したら返事が「おかえりなさいませ~」だったことくらいなものだ。
……うむ、何もおかしな点はない。連れのふたりは一度事務所に顔を出した後、男を訪ねて三擦り半していたわけで。それに企業箱においてはVもスタッフも言うなれば運命共同体。にじこんは兄弟であり姉妹。にじこんは家族。なんならここもオフィスビルの中というより、既婚のスタッフもいるから防姦上の理由で一本丸ごと朱雀院ビルだから住環境整い過ぎててほぼ華燐さんの家だしな……。
だからといって物理的に家族をこさえようとしないでね。すれ違いざまに小声で「……ご主人様♡」とか俺にだけ聞こえるように囁かれるの、マジで心臓に悪いから。ビクッてなっちゃう。
しかし今の俺には頼もしい仲間がいる。まあ将来有望な悲しき魔女予備軍二名に、チワワの瞳を持つレベル1勇者ポメラニアン(自虐)というクソ雑魚パーティ構成なので、これが国民的RPGと名高いエキドナクエストなら即全滅……からのお持ち帰りお婿さんコース一択となってしまうのだが。
結局何が言いたいのかというと、パーティの基本構成は四人ひと組。──つまり今更ながら、二期生って四人いるんだよねって話よ。
「……この様子だと、多分蜜水の奴もどっかに居そうだなぁ」
「実はアタシらもまだ会ってねーんだよな。アイツのことだし間違いなく来るとは思うんだけど……」
どうやらアラヤくんを誘き寄せる計画こそ共有しているものの、具体的な約束があるわけではないらしい。集合時間決めたら全員抜け駆けしそうだもんな……。
「逆にひとりだけ通話参加だったら大草原不可避」
「それは流石に呼んでやれよ……」
っていうか君らと同じ思考回路だとしたら、未だに俺のことを探してお外を彷徨っている可能性すらあるのでは……? だとしてもマネージャーかスタッフの誰かが把握してるとは思うが。
そんなことを雑談しながらタレント用控室の扉を開く。
「あ、やっと来た~」
すると入るなり、にじこんのスタッフとは異なる*1見覚えのない女性がソファーから立ち上がり、こちらへ声を投げた。
彼女は親しみを感じさせる笑みを浮かべながら、小走りで駆け寄って来ては薄いピンクのリップから甘い声を奏で、
「初めまして~、わたしがみんなの蜜水つぼみおねーさんで~す」
──ライトブラウンのロングヘアーに、やや垂れ気味な優しい目元と色気のある泣きぼくろ。そして本日最大である驚異の胸囲を包む乳袋搭載型のブラウス、下は落ち着いた色合いのプリーツスカートというあざとさの塊であった。
そして俺と目が合った瞬間、
「あわわ、本物の男の人だ……おまけにどう見ても歳下。じじじじゃあ君がアラヤくんでいいんだよね? ね!? うわぁ~……えっろ♡ ねぇねぇ、勝手に持ち帰ったりしないからさ~、抱っこしていい? ダメ? ダメか~、やっぱりセクハラになっちゃうもんね……。セクハラは良くないよね、うん。──じゃ、君がおねーさんのこと抱っこして♡ それならいいよね?『イイヨー』*2やったぁ~♡」
あっ……(察し)。
ってか早い早い早い、展開が早い! しかもよく見ると表情が固定されてるうえにクッソ早口でなんか怖い! あっこら抱き着くな、いやむしろしがみ付いてるわこれ! ……ぐぎぎ、ふわふわのおっぱいをむぎゅむぎゅ押し付けながら何か良い匂いをさせやがってヒトメスがよぉ……! 好きになっちゃったらどーする!?*3
──だが俺は動けなかった。それは決してこの鬼公方アラヤがおっぱいに弱いだとか、断じてそのような軟弱な理由ではない。
思い出して欲しいのだが、こちとら差し入れで両手が塞がっている状態なのだ。中身はカリンさんのお夜食堂配信を狙ったクソデカケーキと、スタッフさんたちに買ってきた大量のシュークリーム。メイちゃんにも「差し入れ買っていきますね」と言った手前、もしこれが台無しになったら一体どうなるか。
たかが差し入れのお菓子とはいえ、この世界では男からのプレゼントと同義の超レア物。やっぱり無しで、など到底受けいれられる筈もなく意地でも回収するだろう。
よって「そこにあるじゃないですか、男性にしか作れない特製の『
「すーはー、すーはー♡ ……あ、もう無理限界、わたし今日からここに住む。婚活戦争からも人工授精で孫をせっつく親からもドロップアウトして、オギャ式呼吸で光合成しながらここでひっそりと生きてイぐぅ……」
「現代社会の闇」
そのような事情と謎の同情心によって下手な抵抗は出来ず、体勢のせいで完全なるフリーハグ状態となっているのが今の俺である。……なお俺以外は正しくフリーな模様。
「──何やってんだテメェ!」
「お゛っ……」
い、イオナさん! 色んな意味で助かったけど、初手腹パンは容赦がなさすぎるのでは……?
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「うぅ……いきなり殴らなくてもいいじゃないのよ~。ほら、おねーさんのベビーベッドも『イタイよぅ、イタイよぅ』って泣いちゃってるよ……? もうアラヤくんの鬼公方くんで直接『よしよし♡』してもらわないと治らないの」
中に誰も居ませんよ。
「──あ、来た来た。メイちゃん、これ差し入れのおやつ。他のスタッフさんたちにも行き渡るように手配して貰っていい? お店を紹介してくれたお礼ってわけじゃないけど、メイちゃんの分はちょっと豪華なやつ買ってきたから間違えないでね」
「あれ? 聞いてる? ほらほらこっち見て~! おねーさん今ボロボロだよ~? 衣装破損って凄くえっちだと思わないかな~???」
「ピロリロリン♪ ──私の好感度、及び忠誠度が極めて上昇しました。……万事おまかせ下さいませ。この身がご主人様愛用の特別なメイドであることを部下と同僚に自慢した後、ついでにそちらのカロリーモンスターもお嬢様のお夜食メニューとすり替えておきましょう。撮れ高の前には配信者の人権なぞ、塵芥の如しですので」
前半は無視するとしてそれ以外はパーフェクトだ、マネージャー。でもぼくはご主人様じゃないよ。
「……よ~し分かった、じゃあ等価交換しよう! おねーさんが君の雄っぱいに住むから、代わりにおねーさんの
──さて、本日何度目かもう分からない現実逃避はここまでにして。散々にお仕置きを受けたうえで簀巻きにされ、それでもなお元気にうにょうにょしているこのムチムチイモムシの処遇はどうしたものか……。
数々の強敵を乗り越えた俺であったが、まさか最後に立ちはだかるのが同期になるとは……でもそう考えるとニーニャもあんまり大差ないな。つーかイオナ以外全員アウトじゃん。やっぱメスガ期しか勝たんわ。
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セクハラを通り越して男を吸う寄生植物へとワープ進化したドスケベおっぱいモンスターは、いやらしいことに同期であった。そんなところだけキャラ設定に忠実になるな。
「ち、違うんです……」
そして解放後の第一声がこれである。落差がすっごい。
最早どの口が言うのかという話だが、ニーニャとの一件もある。一応言い分を聞いてみることに。
「それはもちろん下のお口で──あ、待って待って今のなし。お願い話を聞いて? その、ね……疲れていたのよ」
──曰く、彼女はにじこん合格に伴い、配信業に集中するためにも本職を辞する決断をした。詳細は省くが、彼女の担当ポジションは若さと爽やかさがモノを言う役割らしく……既に20代もゲフンゲフンという業界でもギリギリのラインであり、そろそろ後進に譲っての配置転換を促されていたのが後押ししたそうだ。
契約するにあたって、想像よりもやたらと守秘義務が多かったが──多分俺のせい──完全に囲い込まれる分、生活の保証がされていたのも大きかったという。サンキュー朱雀院。
だが好きでやっていた仕事だけに、それは同時に生き甲斐でもあった。それはまるで処女のまま膜に穴が空いたかのような──その表現要る? あ、要るんだ。──ともあれ喪失感が彼女を苛み、自らを慰めるため「スケジュールを圧迫しなければ別にいいよね!」と前職時代のツテを使って副業を始めたという。──その結果がこれである。
「べ、別に普段はこんなに忙しくないのよ? その、おねーさんも詳しいことは知らないんだけど、何故かここ数日に亘ってあちこちの現場で急に欠員が出ているみたいなの。病欠……なのかなぁ? 連絡が取れても水音と獣の唸り声のようなものが響くばかりで、全く会話にならないみたいで……」
食中毒や集団感染を疑いもしたが、同職といっても別団体。欠員となった人物に面識や繋がりと呼べる程の関係性はないらしい。はえー、不思議なこともあるもんだなー。
そんなこんなでこの2~3日の間、ヘルプのために朝から晩まであちこちに駆り出されることになったと。見た目の雰囲気からは少し意外だが、体力には自信があった蜜水さんも想像以上の修羅場で流石にぐったり。
「──だからアラヤくんの
……おっと、話の流れさんがまた空間転移を始めたぞ? 同情心さんも一緒にどこかへ飛んでいってしまった。
「そうして残されたのは性欲を持て余した肉体だけ……そう、さっきまでのおねーさんは正気じゃなかったの! そりゃあ天然キャラのフリしてお触りしたり、そのまま匂いも堪能しちゃえ~♡ っていう春風のような気持ちがあったことは否定しません。でもでも、ちゃんとうっかりとおっぱいで逃げ切れるラインで済ませるつもりだったの。信じて!?」
「こいつ行動は大胆な癖して、微妙に言動が小物臭いな……」
っていうかこれ、言い訳じゃなくて単なる自供なのでは? つまり取り繕う余裕がなくなってヒトメス漏れちゃいましたってことじゃんね。
──見た目は完璧に『普段はおっとり清楚だけど本当はとってもえっちなお隣のお姉さん』なだけに、内なる鬼公方くんも涙の台パン不可避である。
もしも彼女の擬態が完璧だったなら、あるいは俺の童貞は殺されていたかもしれない……。正体が残念な方の変態でよかった。いやちっともよくないわ。握った両手を上下にブンブン振って力説する愛嬌のある仕草すら、ダブルこんシコ運動の暗喩に見える。
「……それにアラヤくん、おっぱい押し付けていいって言ったもん。夜はドスケベになっていいって言ったもん! そう、つまり全部アラヤくんのナマがエロ過ぎるのが悪いと思わない? 服を剥ぎ取らなかったのだって、理性なきおねーさんに残った性癖が安全である証明だよ! ここはおねーさんを叱るより、むしろ褒めて伸ばすべきところなんじゃないかな~?」
などと駄々っ子から屁理屈に走るにじこん所属タレント、最年長の2x歳。……どうやら俺に怒る様子が見られないぞ? と察した途端にこの太々しい態度である。しかもここから更に一段上の変態を残してるのかよ。
つーか誰もそんなこと言って──あ、初配信で思いっきり言ってたわ。でもそういう意味じゃねぇよ。日常パートで豹変したら、それはもう貞操懸けのリアル人狼ゲームなんよ。
するとここで見守り組が口を開いた。
「ほむ、みつみんの事情は把握した。確かにアラヤ氏は性癖に毒。よって同情もやむなし」
「あー……まあ大事には至らなかったワケだし、平然としてるアラヤにも多少の責任は……」
「うそでしょ……?」
えっ、何これ。まさか本当に俺が悪い感じの流れなんですか?
だがそう言われると確かに……内容に個人差はあるとしても、客観的に見て一般ヒトオスと比較して明らかに俺の方にその、何か色々と濃いのが集中しがちなのは否定し難い事実である。
ええ~、これマジで俺の方に原因があるやつなの? あ、でもニーニャもそんな風なことを言ってたような……こんシコのインパクトで消し飛んだんだっけ。
……駄目だ、いくら考えてもさっぱり分からないぞ。同じヒトオスボディといえど身体に多少の自信はあるものの、やはり肉体よりも転生由来の成分という気がする。しかしこいつらの言うヤバい物質は、どうやら俺の身体を通して発生しているらしい。
唐突に襲って来た難題を前にソファーで頭を悩ませていると、戻って来たメイちゃんにひょいと持ち上げられてお膝に乗せられた。うむ。
「くっ、どうしてこうも俺だけ他の男と扱いが違う……!? 一体俺のどこがそんなにチョロそうに見えると言うんだ……!」
おや、皆さん何だか急に静かになって。それに何故こっちをガン見しているんです?
「「「お前そういうところだぞ!」」」
……はにゃ?
ちんこすう(マシュマロ)
オナホや電マのようにご自由にお使い下さい。
また作中のネタとして取り上げることがあるのでご了承下さい。
作者シコッタ-
更新アクメ通知bot。
カクヨム版
特殊タグがないので差別化のためやや早漏です。