【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】 作:外なる天使さん
俺は深い悲しみに包まれた。
やれ幽霊だの妖怪だの、女神だの行き遅れだのはどうでもいい。正直そこら辺のこと突っ込んだら、転生者もジャンル的に似たようなもんだしな。いわゆる憑依転生タイプとか、どう見ても霊が肉体乗っ取った系じゃんね。言い訳不可能なまでに悪霊だろあれ……。
何より俺を打ちのめしたのは、この世界で初めての清楚女性がこの世の者ではない疑惑──ではなく。暫定あの世在住のヒトジャナイメスに比べて、この世に蔓延るえっちヒトメスの方が遥かに残念という涙不可避の現実であった。でも結局やってることは男漁りだし、冷静に考えるとあんまり大差ないっていうか、ひょっとしてただの同類なのでは……?
つーかどっちにしろ清楚いないじゃん……!
俺はショックのあまり床に崩れ落ちようとしたが、メイちゃんシートベルトに引っ掛かって元の位置に戻された。つらみ。
するとそんな俺の手に、誰かの白いお手々が優しく触れる。
「──アラヤ氏、貴方憑かれてるのよ」
「しばくぞお前」
「りょ、手始めに『イキリ女勇者ワンパン敗北お慈悲乞い無様エロ』シチュ希望。アラヤ氏はえっちな魔王役をよろシコ」
駄ー目だこいつ、全方位に性癖が搭載されてて死角がねえや。
「それに心配は無用。真実はさておき、心霊現象に最も有効なのは性に基づく生命エネルギー。即ちシコエッチパワー」
……別に恐怖に怯えて消沈しているわけではないのだが、しかし前世においてもエロが霊に効くという俗説がやたらと多かったのは事実。
「目の前の男性を放置して、おちおちあの世に向かう女性はいない。だからアラヤ氏も自身の『男の子の日』体質を受け入れて、もっと積極的にヒトメスをエロい目で見るべき」
「で、でもニーニャ……! それだと結局オチが同じだよ……!」
ニコポとナデポは確かに転生チートの定番だが、本当にそれしか持ってない奴があってたまるか! パワーじゃ勝てないからあっさり押し倒されるし、スピードとスタミナでも勝てないから逃げたところで興奮を煽るだけなんだぞいい加減にしろ!
「逆に考えればいい──童貞をあげちゃってもいいさと」
「いやそれはアカンやろ」
「……そ、それに今はいやらし──頼もしい仲間が揃っている。いくらどちゃエロなアラヤ氏とて、よもや
そうかな……そう言われると何かそんな気がしてきた。それなら俺も安心して──、
「チョロロ~ン*1」
さわさわ、なでりこなでりこ。
…………。
……。
スゥ──。
「……なるほど。ではこれまでの話を総合して──俺は今後、皆のためにも『常に塩対応』で『スキンシップを一切許さず』もっと『嫌悪感丸出し』にして接すればいい、ということですね」
「そ、そうはならんやろ……」
「え? だって俺がチョロく──とても、チョロく、見られるのは。全部今までの態度のせいってことじゃんね。だから皆が犯罪者にならないためにも心を鬼にして、これからは頑張って冷たく当たるね……」
そう言ってシートベルトを解除、お膝からもぴょんと飛び降りる。
さらば太もも柔らかな椅子よ。お前は何も悪くないが、恨むなら傷心中の俺の心を弄んだそこのアホを恨んでくれたまえ。それじゃあこれからは俺のケツと背中を頼んだぜ、備品のふかふかソファーちゃんよ。
──するとイオナと蜜水、そしてメイちゃんが無言のまま立ち上がった。それぞれ穏やかな笑みと能面のような表情を浮かべてニーニャの首根っこをガッと掴む。目は全く笑っていない模様。
「ニーニャよー、テメーは殊勝な奴だなー。早速あの世に行って、さっきの真相を確かめようだなんて。きっちり送り届けてやるから安心しろよな~?」
「ニーニャちゃんのお口は悪い子だね~。そうだ! 下のお口だけあれば、余計なことを言う上のお口は必要ないよね~?」
「ご主人様、少々席を外します。──ご安心下さい、配信時間までには済ませますので」
なんか仲間割れ始まったで。
「ち、違う、今のはあまりのチョロモンを前に、つい癖が──こ、こんな筈では……。話せば分かる、孕めば分かりゅっ……!」
「それが出来ないから独り身なの。処女なの。喧嘩売ってるのかな?」
「つーかアタシをお前らと同じ変態扱いすんじゃねーって、何度言ったら分かんだよ」
「タレントの不始末への対応も運営の仕事。二度とこのようなことがないように、きっちりとシメておきましょう」
ニーニャ・オホリトテップ。彼女は概ね無敵だが、二期生四天王+1において最弱。……抵抗虚しくズルズルと引き摺られて行く中、その泳ぎまくるジト目が俺を捉えた。
「し、しょしょ待つよろし……」
あい分かった、しょしょ待ちましょう。──いってらっしゃい。
──数分後。
「ピストン運動の如き激しい攻防の末、どうにか処女を守り通した。いっぱい褒めてプリーズ」
「やっぱお前無敵だわ……」
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まあ嘆いていても仕方ない、ここは切り替えていこう。
「それはそれとして、何でまた蜜水はここに居んの?」
「おっと、いいのかな~? あんまり辛口な対応されちゃうと、おねーさん泣いちゃうよ? それはもう年甲斐もなく赤子のように……。な、なので出会いオギャの件はこのあたりでお許しいただければと……」
ごめんて……。言い方が悪かったのは認めるから、自分の醜態を盾に脅すのは止めてもろて。躊躇なく足を舐めようとするのも止めなさい。
ちなみに俺は既に醜態を晒している。何せ床で座布団メイドに抱き抱えられているからな。何故床なのかといえば、先程まで座っていたソファーさんが不幸にもお亡くなりになったからだ。どうやらその場限りの椅子の関係でなくなったことが逆鱗に触れたらしい。
「いやそういう意味ではなく……。イオナもニーニャもわざわざ外で襲撃掛けてきたからさ。ああでも、バイト? で忙しかったんだっけ」
「うん、おねーさん今ね、劇場とかイベント施設とかでヒロインショーの司会をやってるの。あれって基本お客さんの前に出ずっぱりだから、役者さんが裏で兼任するのも難しいし……。本当に大変だったんだよ~」
現場がどうとか言ってたから、一体何かと思えばまた意外な……。いや、案外そうでもないのか? 通りの良いアニメ声だし、外面だけなら教育番組のお姉さんみたいなトコあるもんな。そう言われると、さっきの茶番もどこか手慣れてた感あったし。
「『良い子のみんな~、こーんにーちは~!』──っていう感じなんだけど、興味あるかな? あるよね? そうだ! お詫びに今度チケットあげるから、応援に来て欲しいな~」
まあ正直面白そうではあるが……え、戦隊ヒロインじゃなくて司会のお姉さんの応援に行くの? 絵面ヤバくね……。まあ俺は別にいいけど、それお前が裏切り者として性技の味方にボコられない?
「もちろんこれはお詫びだから、交通費もご飯代も全部おねーさんが出します。あとあと、お買い物代とお洋服代と半ズボン代とお友達代と宿泊費と──」
「日帰りやぞ」
自分の奢りだからって好き放題スケジュールに異物を混入するんじゃない。
「オホり……出した……!」
「何だこいつ急に」
パンフレットを貰ったのでピンク×5とかいうキャラ被りで仲間割れしそうな戦隊の間違い探しに励んでいると、またぞろニーニャの奴が変なことを言い始めた。
「……実はみつみんと顔を合わせた時から、奇妙な既視感があった。結果として幾つかのヒントを必要としたが、先程の掛け声で完全に記憶の扉が開いた。みつみんの正体、それは──先代"オホりのお義姉さん"……!」
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教育番組『お義姉さんといっしょ』にはテーマに沿った複数のコーナーが存在し、それぞれに司会進行を担当する"お義姉さん"という役柄が存在する。
例えば身体を動かすことがメインのコーナーなら、その司会は"体位のお義姉さん"。知育系のコーナーならば"淫語のお義姉さん"、とこのように呼び分けられる。
その中のひとつに『オホにゃん』というマスコットキャラクターとの掛け合いを交えつつ、喉に負担の掛からない正しい呼吸と発声を教えてくれる"オホりのお義姉さん"というものが存在する。……最初はここまでピンポイントな名前じゃなかったらしいのだが、相棒の猫……猫? 型パペットの個性が強すぎて、段々とそっち側に傾いて行ったというのは業界の裏話。
「──で、半年くらい前に番組を卒業したとかいう、その前任の"お義姉さん"がここにいる蜜水だと」
「うむ、髪型や長さは変化しているものの、私の絶対性感に狂いはない」
……いや、お前のそれはヒトオス限定っていう絶妙に使い所がない能力でしょ。ニーニャが気付けたのは、単にこいつがその番組の熱心な視聴者ってだけの理由だろう。しかもそこそこの古参と見た。
「うーん、バレちゃったか~。別に
まあ顔出しといえば顔出しなのかもしれないが、声優とも芸能人とも微妙に違う感じはするよね。何よりキッズたちを従えて教えを施す存在が、オギャオギャする側に進化してるとか誰も思わんし。っていうか本当に教育番組出身なのかよ……。
「ふーん。アタシは風邪でガッコー休んだ時くらいしか見た記憶ないから、よく分かんねーや。蜜水は子供好きなのか?」
放送時間帯のせいなんだろうが、そういう日って不思議と見ちゃうよね、あの手の番組。
「うーん、なんて言ったらいいのかな……。実はデビュー前はね、"淫語のお義姉さん"の方を目指してたの。……でも念願のショタっ子に会ったその日に、当時純粋だったおねーさんの夢は失われました。大手の人気番組だから、男性支援系のスポンサーも付いててね。現実と向き合わせて篩いに掛ける目的で、そういう研修があるんだよね」
子供好き、ってやっぱりそっちの意味かよ……。
「でもリアルショタっ子はね──淫語を教えても耳元で笑顔で囁いてくれないし、それに『セキニン取ってお婿さんにしてくれないと許しませーん♡』とも言ってくれないの! っていうかそもそもお話すら聞いてくれない……それどころか基本的に無視されるの!」
「お前さては『誘惑や悪戯で生意気に振り回しつつも、根底にあるお姉さんへの好意と独占欲を隠しきれないオスガキくん』との出会いとか期待してたろ」
っていうかさり気なく結婚の約束させてキッズの人生を詰ませようと企むなや。……これ研修先に居たのがクソガキっていうより、単に不審者相手にまともに取り合わないよう躾けられてるだけじゃねえ? なんなら将来結婚相手を選ぶ時のための、悪い見本の教材を集めただけな気さえするわ。……いや、教育番組だからむしろそれでいいのか?
「う゛っ……とととともあれ、なんやかんやでその後は別の"お義姉さん"役に採用されて、それからは充実ながらも典型的な未婚の社会人生活ね。でもある日、保護者の誰かが見せびらかすために付き添いで若い息子さんを連れてきたの。その時スタジオで泣いちゃった子が、彼にあやされてメスの顔になったのを見て、おねーさんは気付きました」
気付いちゃいましたか。
「──おねーさんもそっちがいいなぁ~……って」
ショタは変わらず好きだが、しかしショタの中身はオギャれない──つまりそういうことらしい。ちょっと理解出来るのが嫌だわぁ……。
「あ、もちろん性的なこと抜きでも子供は可愛いから大好きだよ! でも今は作る方が好きかな~って♡」
処女拗らせた奴が何か寝言言ってるで。*2
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きょうのカリンさん。
──音程がコースアウトした頓珍漢な鼻歌と、三歩進んでハーフターン……からのバックステッポ! なウキウキヒール音が廊下に響く。
「フンフフンフーン♪ 今~夜は夜っ更か~しおっ泊り、ですですわ~ですわ~ですわ~*3」
ガチャリと。
「みなさま~、そろそろスタジオに移動するお時間ですわよ~。あと夕食は耐久中にもつまめるように、おピザでも注文しておかねーですこと~?」
あっこれ普通に混ざる気満々だな? しかしこの女、自分も夜食配信日だってのにまた重いものを……。
「ちなみに当然わたくしの奢りではありますが、これを好意と勘違いなさって恩に着るようなことはなさらないように。──わたくしはただ、お泊りピザパがめっちゃやりてーだけですわっ……!」
ここまでツン要素が含まれない「勘違いしないでよね」系の物言いとかそうある?
「カリンさんは可愛いなぁ……」
「にゃんですの!?」
俺はとても優しい気持ちになった。ケーキ買っておいてよかったわぁ、完食するまで耐久してね……。
ちんこすう(マシュマロ)
オナホや電マのようにご自由にお使い下さい。
また作中のネタとして取り上げることがあるのでご了承下さい。
作者シコッタ-
更新アクメ通知bot。
カクヨム版
特殊タグがないので差別化のためやや早漏です。