【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】 作:外なる天使さん
双方無言かつ不動。その裏では体感アニメ1クール分に相当する激しい応酬があったものの、そこは割愛。なにはともあれ、どうにかやり過ごすことに成功した……と思いたい。
その代償は安くはなかった。もはやこの「パンツを穿いているから痴女ではないし、見ての通り危険物も持っていませんよ」アピールに余念がない半裸の土下座を前に、自分は何も見ていませんよ系の作戦は通用すまい。
でも仕方がないんだ……。ショーケースに飾られた超合金ロボを物欲しそうに見つめる、キッズみたいな視線に耐えられなかったんだ。
諦めてその場に座ると、唐突に元の形を思い出したスライムみたいな動きでニーニャが初期位置へと戻って行く。意地でも土下座のスタイルを貫く腹積もりらしい。言葉よりも態度で語れ、などと最初に言い出したアホを飢えた女湯の蒸れ*1に叩き込んでやりたい。きっと対話の重要性が身に染みることだろう。
幸か不幸か、進化のために着衣を覚えたお猿さんの努力を「布面積が少ない方が可動域が広がるしえっちだよね」というライフファックの一言で無に帰した最新の人類たるヒトメスとて、言語までは失っていない様子。
深々とした土下座を再び披露したパンイチ姿のニーニャが、しおらしい口調を作って言い募った。
「今回の企画では、男性に対して多大な負担を強いることとなってしまい、大変に申し訳なく思っている。どうか許して欲しい」
全力の謝罪であった。
「……えっ、それだけ?」
お前それを言うためだけにここまでやったんか!?
……いや、まあトリプル耐久に関しては、結構な事故だったよねと心の底から同意するが。それでも理由に至ってはまだ可愛いものだろう。普段配信でやっていただけに、同じゲームであってもリアルで異性と遊ぶことの価値を甘く見ていたというのもある。なので許すもなにもないのだが……。
「アラヤ氏が不満に思うのも分かる。当然ながら、こちらとしてもそれだけで済ませようなどと考えてはいない。──故にお詫びとして、この通り私の無様かつ屈辱的な姿をご覧に入れることにした。そのための土下座、そのための脱衣」
「違う、そうじゃない」
まさかそれだけで済ませる気か? 的な強請りの意味を込めた「それだけ?」じゃないんだわ。
「ちなみにチェキの撮影も受け付けている。遠慮は無用」
「屈辱を感じてる奴から一番縁遠い台詞だと思うの、それ」
「ほ、本当は私だって辛い……。しかし人は過ちを繰り返す生き物。今日の反省を忘れないためにも、これは絶対に必要なこと。──さあ、折角なので記念に一枚」
「ええ……。脅迫以外の用途で全裸土下座(半)の撮影を促されるとかそうある……?」
なんか違うんだよなぁ……。確かに一糸纏わぬ──否、一糸を纏っただけの土下座は非常にエッッッッなものであると認めざるを得ない。美形揃いのこの世界にありながら一際整ったルックスを持つだけに、その滑稽な姿をより一層無様に引き立てているのも事実であろう。
でもちょっと待って欲しい。
「ニーニャさあ、さっきから色々言ってるけど──
なんだろう、謝罪をダシに性癖擦るの止めて貰っていいですか?
土下座がビクリと僅かに身を跳ねさせた。腰の高さのせいで突き出すような形になった彼女の尻が、落ち着きを失くして小刻みに揺れる。
「な、ななな何を藪から肉棒に……。まさかとは思うが──どれだけ鍛えたところで女には絶対に敵わないヒトメス専用食い倒れ人形を前にこのような間の抜けた恰好を晒すなどというエロ同人ゲーの男性上位シチュが如き行いを、私が自ら望んでやっているとでも?」
「語るに落ちるの極致じゃねーか」
あとお前、今耐久で酷使するよりよっぽど失礼なこと言わなかった???
「か、仮にそうであったとして、それは物事の一面的な見方でしかない……。まず第一に、私はマゾではない。その証拠に、脳内で男性をくっころさせる際には執拗に触手で乳首を責める。未来のダーリン(予定)には致した数だけ正の字を書く*2つもりだし、そのままデートへと洒落込みたい。理想は鎖骨あるいは腹筋だが、男性服は布面積が多い。やはり腕か脚に書くのがベター。大事なのは日常感の演出。奇抜さのない一般的なデザインが望ましい。でもコスプレは浪漫……大変に悩ましい」
さてはこやつ、性癖の話になると早口で喋るタイプか……。*3
▼
「咥えて言えば、あくめでぶじゃまえりょはわらひのしぇーへきがにゃいほーしゅるそくめんのひとちゅにしゅぎにゃいのであって──」
咥えて言うなや。
いい加減に眠いので適当に聞き流していたが、どうやら自分は無様エロだけの底の浅い女ではないのだと主張したいらしい。そういうところが拗らせることになった一因のような気もするが……。ともあれ折角の土下座だし、ここらでひとつ煽っておこう。
「やーい、お前の性癖トラペゾヘドロン~」
「ぐっ……! ぐにゅにゅにゅにゅ……!」
あ、ちょっと効いてる。
「……よ、よもやアラヤ氏は、この程度の謝罪ではご満足いただけないと?」
「いただけません」
いやまあ、毎回コラボの度に配慮されるのも正直ダルいし、謝罪に関してはどうでもいいのだが。
この様子を見るに、謝罪というのもあくまで形式的なポーズであるように思える。要は男を相手に少しやり過ぎちゃったけど、ちゃんと謝って許して貰いましたよ。という対外的な事実を作ることに意味があるのだろう。
とはいえその方法が全裸──もとい、半裸土下座となると話は別だ。
エロに好みはあれど、貴賤なし。【全裸土下座】と【一枚残し】、どちらの属性も非常に良い文明であることは言うまでもない。
だが無様エロジャンルにおいて最も肝要なのは、その精神性。本来優位な立場にある者が屈辱と羞恥に身を震わせて無様に慈悲を乞うその様は、処女(童貞)オタクが抱きがちな歪んだ欲望を満たすのだ。
積み上げてきた自身のイメージ、キャリア、そしてプライド──それら全てが台無しとなること、二度と取り戻すことは叶わないと理解していながら……。相手の関心を引く、ただそれだけのために自らの手で尊厳を差し出し、必死(笑)に媚びを売って懇願する間抜けな姿などは、清楚を映えさせる夜のアドのひとつとも言える。
「つまりニャよ、男の前で脱ぐことを楽しんですらいる今の貴様は、ただ恰好がえっちなだけで無様な中身が伴っていない。単なるファッション半裸土下座に過ぎないのだァ──!!」
「単なるファッション半裸土下座……!?」
なにやら腰に手を伸ばそうとしていたニーニャが、巨乳でぶん殴られた貧乳みたいな表情で顔を上げた。開いたジト目が左右に泳ぐ。
「ま、待って欲しい。この半裸土下座は、そも男性にとって屈辱的であろう姿を詫びとしたもの。謝罪の気持ちに偽りはない。……だが確かに、土下座で男性が抱けるなら躊躇なくゲザる女性は多い。自宅でパンイチのまま過ごすこともあれば、来客の対応にもそのまま出る。運良く男性だった時などは女神に感謝。これでは無様でなくご褒美と言われても致し方ない……」
見た目が美女とか美少女だから許されるけど、やってることは休日のおっさんそのものだな……。
「くっ、私ともあろう者が、目先のドスケベ食い倒れ人形を前に自らの性癖を曇らせてしまうとは……。これではぐうの音も出ない。ぐう」
「そのクッソ失礼なフレーズ気に入ったんか?」
「かくなる上は──誠意の証に、これより"セップク"をお見せする所存」
「待て待て待て。どこまで本気で言ってるか知らんが、そんなアホな理由で腹を切ろうとするのは止めなさいって」
「……? そんな痛そうなこと、するわけがない。──というわけで、既に完成したものがこちらになります」
ええ……ホントなんなのこいつ。第一、既に完成した切腹とは……? 深夜の三擦り
差し出されたのは、これまで土下座の添え物として置かれていた彼女の衣服。
姿勢を維持したままにじり寄って来たニーニャが、丁寧に畳まれたそれを菓子折りを渡すが如くぐいぐいと押し付けて来る。
「つまらないものですが。さあ、どうぞ手に取って。そして隅々までじっくりと確認して。でなければ謝罪を受け入れたものとは認められない」
「いつの間に俺が許される側になっているのだ……?」
もう謝罪という名の押し売りだろ……。え、もしかして俺が余計なこと言ったせいなの?
「っていうかこれ、普通にセクハラなんじゃ──」
「異議あり。セクハラとは男性に嫌悪感を与える行為……つまり受け手の感情次第。例えば一家のパパが妻や娘の洗濯物を畳んだり、服のほつれや下着のくたびれ具合を確認している姿に対し、セクハラを受けていると表現するのはあまりに酷。アラヤ氏が言おうとしていることはそれに等しい。冤罪はよくない」
え、そう言われると確かに……? 全裸土下座を語っておきながら、添えられた服を否定するのはとても失礼なことのような気が……。一瞬、この世界では美女の脱ぎたてをエロいで済ませる俺がおかしいのかとも思ったが──よくよく思えば前世に居た女連中だって、イケメンが着ていたワイシャツは臭いを嗅いだり自分で着ちゃうくらい大好きだしな。*4即ち俺の感覚は正常ということになる。
「うーん、ほなセクハラちゃうか……」*5
「な、なんというチョロさ……」
さて、依然として切腹との関連性は謎のままだが、ひとまず言われた通りに手近なものから両手で持って広げてみる。ブラでっか……。
「しかもなんか生暖かい……」
伏したニーニャがより一層深く頭を沈めた。
「──はっ、一夜を掛けて懐の乳を包んでおりました故」
「歴史の英傑を一瞬で上回るの止めない? なんか違うエピソード混ざってるし」
人肌の汚い表現はともかくとして。ブラの次はキャミソール、ジャケットと順繰りに検分していく。これといって変わった点は見当たらないが──あ、
気付いた。
「前にも増してホットパンツがエロくなっている……!?」
元からして丈が短い部類ではあったが……いつの間にか大胆に切り詰めたらしく。今では半ケツ丸出し確定の、マイクロミニとでも呼べる有様だった。
「然り。アラヤ氏が留守にしている間、涙を飲んでお気にの服にハサミを入れた。この"
「ダジャレじゃねーか」
さてはこいつ、ここまで全部計画通りか?
「私の下着はこの通り、紐パンでもTバックでもない。──つまりこれを穿くと、丈の長さを下着の布地が上回る逆転現象が起こる。主に尻側」
「うわダッサ!!!!」
「これより私はこの可愛くない恰好で人前を練り歩き、帰路へと就くことになる。な、なんという恥辱……」
そこは恥ずかしいんだ……。
基準があまりに謎すぎるが……そういやこいつ、サキュソでもエロ装備禁止されたら弱体化したっけ。
「いっそのこと、身体のラインが出ないくらい厚着させた方が反省するのでは?」
「ど、どうかそれだけは……! 私から類稀なる美貌を取ったら、もはやエロいことしか存在価値が……」
「自尊心のジェットコースター」
「こ、これでも不足と言うのであれば、ブラとキャミにもハサミを──」
「もし乳首の部分だけを切り取るなんてほざいたら、俺はお前を許さない」
「ご、ごめんなさい……」
最初からその一言だけでよかったのでは……?
▼
「……思えば私は昔からそう。男性を相手にする機会があると、いつもこんな調子」
唐突にヘラり始めたニーニャが、パンイチ姿のままシリアスな空気を呼び込んだ。
「大学のサークルでやった女医さんごっこでも、ネタを挟まないと死んじゃう病と診断された。いわゆる不治の病……」
──はい、シリアスちゃんはもう帰っていいよ。交通費? うるせえ一秒でも働いてから文句言え。
「多分、私のこの性格が治ることはない。それでもアラヤ氏は──コラボとか企画とか、これからも一緒に遊んでくれる……?」
つーかやっぱりマグロじゃないか……。それも止まるんじゃねえぞの精神を宿した、エロくて邪悪な方。
まあそれはそれとして、物は考えようだ。仮にリアルの男性コミュが壊滅的であったとて、変人というファクターは=配信者の適性であるとさえ言えるのがこの業界。いわゆるおもしれー女というやつである。その観点から見た場合、
「そもそもリスナーが楽しんでたんだから、企画としては成功でしょ。詳細の詰め方に関しては、要改善を強く主張するが」
耐久配信はVTuberの華、などというのは流石に大袈裟かもしれないが。そもそも地獄企画には全部参加するみたいなこと言ってにじこん入ったの俺だしな……。でも事前連絡なしはマジでヤメロ。それが許されるのは逆凸配信くらいなもんやぞ。
「だ、だったらご褒美……。主催から謝罪までやりきった私には、ご褒美もあって然るべきだと思う」
一瞬の内に殊勝な態度を投げ捨てたマグロ女が、急に調子に乗り始めた。なんだろう、ちょっと優しさを向けたら距離を詰めてくるこの感じ、妙に見覚えが……。
「アラヤ氏、これを……」
自分の中にある引っ掛かりについて思案していると──まるで恋文を渡すかのような勢いで、スマホの画面が向けられる。
──催眠アプリと書かれていた。流石にイラッとしたので叩き落した。
「お前本当に、本当にそういうところだぞお前……!」
「ま、間違えた……。正しくはこっち」
再度差し出された画面に映っていたのは、BOINのQRコードだった。意を決したようにニーニャが言う。
「わた、私と──おおおお友達になって欲しい……!」
わあ、ささやか。
…………。
……。
「え、今までは友達じゃなかったんか!?」
同期ってそういうもんじゃないのん……? というかこいつ、友人と認識していない相手にあれだけ好き放題やってたんか!? ええ……。そんな異性が同じ趣味であることを知った途端、異様にがっついて来る童貞丸出しの陰キャオタクじゃないんだから*6──あ、さっきから漂ってた既視感の正体はこれか!?
そういや二期生は全員陰キャ、とかリスナーにも言われてたっけ……などと得心していると。ポカンとした表情を浮かべる陰キャ処女オタク疑惑を深めたニーニャさんの、その特徴的なジト目からボロボロと水滴が溢れ出した。
な……泣かせたぁ──!?
遅くなりましたが、ファンアート項目にて葛轍偲刳様よりいただいたイラストを追加しました。いつもありがとうございます。
ちんこすう(マシュマロ)
オナホや電マのようにご自由にお使い下さい。
また作中のネタとして取り上げることがあるのでご了承下さい。
作者シコッタ-
更新アクメ通知bot。最近しゃぶ……喋ることを覚えました。
カクヨム版
特殊タグがないので差別化のためやや早漏です。