IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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戒斗のキャラが掴めない……


第十二話 Gの危機/勝利の価値

 

 

 

 

そして、チーム鎧武 対 チームバロン の対決当日。

 

舞台となるサウスステージでは、チームバロンリーダー・駆紋 戒斗と、彼に勝負を挑んだチーム蒼天リーダーとのインベスバトルが繰り広げられていた。

 

だが、

 

 

「どうした、その程度か」

 

「くそっ、こんな筈じゃ……!」

 

 

蒼天のリーダーの操るBランクインベスは、戒斗の操るCランクインベス「三体」の猛攻に為す術も無く翻弄されていた。

 

 

「流石戒斗、三体同時だってのに完璧に扱いこなしてやがるぜ」

 

「僕達じゃ一体操るのがやっとなのに、やっぱり戒斗さんは凄いや」

 

 

チームバロンのメンバー・ザックと<ペコ>が口々戒斗を褒め称える中、戒斗のインベスが蒼天のインベスに無慈悲にトドメを刺し、バトルは終了した。

 

 

「ふん、ウォームアップにもならなかったな」

 

「くっ……すまない深琴……」

 

 

蒼天のリーダーの使用していたドングリロックシードを手に、心底つまらなそうに呟く戒斗。

 

そこに、チーム鎧武の面々が駆け付けて来る。

 

 

「戒斗! お前、何してんだよ!!」

 

「ふん、売られた喧嘩を買ったまでだ。 そういえばこのステージは元々蒼天の所有だったな。 さしずめ、ステージを取り戻して鎧武とのバトルを中止にするつもりだったのだろうが、当てが外れたな」

 

「……前からお前には言いたい事があったんだ。 何でそこまで弱小チームを目のかたきにするんだ!俺達はお前等にちょっかいを掛ける気もなければ、ランキングにも興味はねえ! 俺達はただ、この街で仲間と一緒に踊っていたいだけなんだ! 頼むから、俺達の事は放っておいてくれ!」

 

 

その言葉に、戒斗は不快感を露わにする。

 

 

「群れなければ何も出来ない弱者の集まりが、口だけは達者だな」

 

「何だと!」

 

「言い過ぎだぞ、チームバロン!!」

 

「「「そうだそうだー!!」」」

 

「ダンスが鎧武より不人気だからって、インベスゲームで八つ当たりしてるんじゃないわよ!!」

 

「ひっこめー!!」

 

 

余りに一方的な物言いに、倭だけで無くバトルの噂を聞き付けたギャラリーの面々からも憤りの声が上がる。

 

 

「戦いもしない傍観者共が……これだから弱者は目障りだ! 強い奴なら簡単でいい。 勝つか負けるかで話が決まる。 だが、負け犬共は叩きのめしても、生意気にも遠吠えばかり鬱陶しい!」

 

 

我慢ならないとばかりに戒斗が放った殺気混じりの怒号が、ギャラリーを一瞬で黙らせる。

 

ステージ中央が俄かに殺気立つ中、ステージ脇では蒼天のリーダーが深琴と<リカ>、<チャッキー>に介抱されていた。

 

 

「ゴメン、私達の為に無茶させて……大丈夫?」

 

「ああ……気をつけろよ深琴。 戒斗の奴、複数操作を抜きにしても相当腕を上げてるぞ」

 

「複数同時に操作なんて、卑怯にも程があるでしょ!」

 

「ルール上は問題無いのが厄介よね……私達じゃ真似しようにも出来ないし」

 

「倭ちゃん、大丈夫かな……」

 

 

深琴の妹である眼鏡美女<白鳥 武(しらとり たける)>の冷静な意見に、白鳥姉妹の親友である<香山 水依(かやま すい)>が心配気な声を漏らす。

 

 

「大丈夫、あのロックシードならまず負けないわ。 後は、あいつらが何を仕掛けてくるか……」

 

 

深琴がステージ中央に目を向けると、倭と戒斗のやり取りがヒートアップしていた。

 

 

「じゃあ何か、バトルを吹っかけてきたのは俺達が目障りだから潰したいって、それだけの理由だってのか!」

 

「当然だ! 負け犬どもがただつるんで、チームを名乗るなんざ、お笑い種だ!いっそこの場で消えてしまえばいい!」

 

「大体、お前らロックシード持ってんのか?」

 

「よかったら、一個くらい恵んであげようか?」

 

「何なら、お前が直接インベスと殴り合ってもいいんだぜ?」

 

 

戒斗の背後で口々に倭を罵るチームバロンのメンバー達。

 

 

「あいつら、言わせておけば……もう頭きた!!」

 

「ちょ、落ち着いて深琴ちゃん!」

 

「リカ、姉さんの足を押さえて!」

 

「離してよ!! あいつら、一発ぶん殴ってやる!!」

 

 

怒り心頭で暴れる深琴を必死で抑えるチーム鎧武の面々。

 

 

「何やってんだよあいつら……」

 

 

チーム仲間の醜態に、倭も苦笑するしか無い。

 

 

「ま、お陰で頭が冷えたぜ。 一応確認しとくけど、俺達が負けたらプレイヤーパスを渡す()()で良かったよな?」

 

「ふん……その代わり、万が一貴様が俺に勝つような事があれば、このサウスステージと……おまけだ、こいつもくれてやる」

 

 

そう言って戒斗がロングコートの内ポケットから取り出したのは、<L.S.-05>の型番が記されたパイナップルのデザインが施された錠前だった。

 

倭はそのロックシードに見覚えがあった。

 

 

「それ……ランクAの錠前じゃねえか!」

 

 

そう、そのロックシードは前日シドに見せて貰ったランクAのカタログに載っていた<パインロックシード>だった。

 

 

「安心しろ、俺が使うのはこっちだ。 解散の瀬戸際だ、見返りくらい奮発してやる」

 

 

懐から<L.S.-02>、<L.S.-03>、<L.S.-14>と記載されたロックシードを取り出し、戒斗は不敵に言い放つ。

 

 

「C+の<クルミ>にB-の<ピーナッツ>、Bの<ドングリ>まで……戒斗の奴、ランクBまで同時に操作出来るの!?」

 

 

思わず驚愕の声を上げる深琴。

 

四肢を取り押さえられたままなのでイマイチ締まらないが。

 

 

「面白え……だったら、こっちも遠慮無しだ!」

 

 

そう言って倭がパーカーから取り出したのは、前日シドから謎の森の木の実と引き換えに手に入れた<L.S.-06>と記載されたイチゴ型ロックシードだった。

 

チームバロンの面々が驚愕する中、戒斗だけが不敵に笑う。

 

 

「ランクAか……何処で手に入れたか知らんが、面白い。 貴様がどれだけ使いこなせるか、俺に見せてみろ!」

 

「おうよ!」

 

 

同時に錠前を解錠する二人。

 

その瞬間、ギャラリーやお互いのチームメンバー、果ては戒斗や倭まで驚愕の声を上げた。

 

何故なら、

 

 

「こいつ……あの時のシカ野郎じゃねえか!」

 

 

そう、倭が呼び出したのは姿こそ立体映像の如くぶれているが、紛れも無く数日前IS学園に現れた青い鹿のインベスだった。

 

しかも、戒斗が呼び出したインベスは大きくても腰までしか無いが、倭が呼び出した鹿のインベスは倭と変わらないサイズの等身大で呼ばれていた。

 

 

「まじかよ……ああもう、こうなりゃヤケだ!! 行け、シカ野郎!!」

 

 

倭が指示を出すと、シカインベスは先日の別個体とは打って変わって従順に戒斗が操るインベス達に挑んで行く。

 

 

「来るがいい!」

 

 

複数のインベスを完璧な連携で操り迎撃させる戒斗。

 

そして、双方が激突した。

 

 

 

 

数分後。

 

ステージ上に立っていたのは、倭の操るシカインベスのみだった。

 

そもそものスペックが違い過ぎる上、倭を始めとするチーム鎧武のメンバーも低ランクとはいえ1ランク上の相手に勝てるだけの技量は持ち合わせている。

 

結果、戒斗の操るインベスはシカインベスに有効打すら与えられずに尽く各個撃破され、たった一体残ったランクBインベスも最早虫の息だった。

 

 

「ここまでか……!」

 

「えーと……なあ、一回仕切り直そうぜ。 これどう考えてもチート過ぎだろ?」

 

「俺に情けを掛けるか……!」

 

「いや、そんな親の仇みたいに睨まれても……」

 

 

正直気まず気な倭。

 

その気の緩みが致命的な隙となり、

 

 

「ーーってえ!!」

 

 

次の瞬間、倭の手に握られていたイチゴロックシードは派手に弾き飛ばされていた。

 

 

「! ブルォォォォォォォォォォ!!」

 

「やべえ、暴走した!? うわっ!!?」

 

 

直後、実体化したシカインベスの裏拳でまともに殴られた倭はステージ裏まで飛ばされ、コントロールを失ったシカインベスはバトルゾーンの壁を破壊し、あろうことか観客に襲い掛かった。

 

 

「ヤマト!? まさかあいつら、また卑怯な手を使ったわね!?」

 

「姉さん、今はあのインベスを止めないと! 水依、倭の容態を見てきて!」

 

「う、うん!」

 

 

武の指示を受け、倭の元へ走る水依。

 

深琴達もシカインベスを止めるべく観客の元へと走るが、肝心のロックシードが運悪く観客の足元へと飛ばされた事もあり中々見つからない。

 

しかも、暴走したシカインベスが初級インベスとは比べ物にならない程の強さを誇る事もあり、観客への被害がパニックを更に加速させていた。

 

 

「どうしよう、このままじゃ……!」

 

 

深琴の心が、絶望的な状況に打ち拉がれつつあったーーその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー貴様、何のつもりだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の怒号に振り向くと、未だかつてない程の怒りの形相をした戒斗がチームメンバーのペコの胸ぐらを締め上げていた。

 

見ると、ペコの手には木の枝で作られた簡素なスリングショット(所謂パチンコ)が握られている。

 

恐らく、先程倭の手からロックシードを弾き飛ばしたのもペコの仕業だろう。

 

 

「だ、だって僕達は負ける訳にはーー」

 

「だから、このような姑息な真似をしたと言うつもりか? ーー巫山戯るな!! 小賢しい手段で得る勝利等に何の価値がある!! 勝利とは、圧倒的な力で真正面からねじ伏せ、叩き潰し、奪い取ってこそ価値がある!! それを貴様は……よくも、俺の顔に泥を塗ってくれたな!!」

 

 

忌々しいとばかりに吐き捨てると、戒斗はペコからスリングショットを奪い取りへし折った。

 

 

「やっぱりな。 お前の指示じゃないって思ってたぜ」

 

 

へたり込むペコを余所に振り向くと、水依に肩を借りて立つ倭の姿があった。

 

 

「ヤマト! 無事なの!?」

 

「この位どうって事ねえよ……ってて……」

 

「ふん、相変わらず無駄にしぶとい奴だ。 ……受け取れ。 これは貴様の物だ」

 

 

そう言って戒斗が投げ渡したのは、先程まで操作していたドングリ、クルミ、ピーナッツ、そしてパインのロックシードだった。

 

 

「おっと。 全く、お前だって相変わらず勝負事にはクソが付く位真面目じゃねえか」

 

「強者としての筋を通したまでだ。 ーー奴は俺が始末してやる」

 

≪Banana!!≫

 

「お前、それーー」

 

「ーー変身!」

 

 

 

 

≪Lock-on!!≫

 

≪Come on!!≫

 

≪バナナアームズ!!≫

 

 

 

 

戒斗がいつの間にか装着していた戦極ドライバーに<L.S.-08>と記載されたバナナ型のロックシードをセットすると、倭の法螺貝とは違う勇壮なトランペットとファンファーレ調の音楽が鳴り響く。

 

そして、バナナロックシードを「斬った」瞬間、頭上に召喚されたバナナが戒斗の頭に被さりーーあろう事かそのまま歩き出した。

 

 

「え、バナナ!? バナ…バナナ!?」

 

「<バロン>だッ!!」

 

 

戸惑うザックの声に律義に応える戒斗。

 

 

≪Knight of Spear!!≫

 

 

次の瞬間、バナナが切れ目から展開し、西洋鎧を思わせる形状へと変化。

 

その姿は、正しく赤き騎士ーー仮面ライダーバロンのものだった。

 

 

 

 

「お前が、バロンだったのか……」

 

「ふん……貴様はそこで寝ていろ。 今から俺が、本当の強さと言う物を見せてやる!」

 

 

それだけ言うと、バロンとなった戒斗はシカインベス目掛け駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと補足です

チーム鎧武の本拠地は本来、原作と同じウエスト(西の)ステージでしたが、本編開始前にバロンとのインベスゲームで奪われました(因みに戦ったのは裕也で、普通に実力負けです)
なので、本作ではダンス仲間として仲がいいチーム蒼天(てか、蒼天って調べても良く分からなかったんで本作ではほぼオリ設定です、ごめんなさい)から本拠地を借りて活動してました
因みに蒼天のリーダーはインベスゲームが嫌いなだけで、ザック位の相手なら普通に勝てる実力者です
つまり、第三話の回想でザックがやった行為は「チーム蒼天には勝てないんで間借りしてたチーム鎧武に勝負を吹っかけ、しかも負けそうになったんでペコの反則に乗じて勝ちをもぎ取りステージを手に入れた」事に……うわあ、最悪(汗)


次回は鎧武とバロンの共闘の予定です

それではまた
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