IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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お待たせしました

前告知も無しに話数調整を行った事も合わせて謝罪致します
申し訳ありません


第十四話 凛・龍・襲・来

 

 

 

 

「転校生?」

 

 

それが、倭達が教室に来るなりクラスメイトの〈相川 清香(あいかわ きよか)〉から聞かされた一言だった。

 

 

「そう。 何でも、隣の二組来るらしいよ? しかも噂によると、中国の代表候補生だって話だよ?」

 

「「「中国ねえ……ん?」」」

 

 

見ると、倭以外に真司、それと少し離れた所に居た巧が同じリアクションをしていた。

 

 

「三人とも、心当たりでもあるのか?」

 

「まあ、俺は仕事柄……な」

 

 

箒の問いに、曖昧な答えを返す巧。

 

対して、他の二人の答えははっきりしていた。

 

 

「中学時代に中国からの留学生がいたんだよ。 まあ、二年の頃に国に帰っちまったけどな」

 

「俺は小学生の時のダチに中国から来た奴がいたんだ。 まあ、中学に上がった時に別々になっちまって、それっきりだけどな」

 

「ほう、そうなのか」

 

「「「へえ〜」」」

 

 

納得する箒の背後で、聞き耳を立てていた他のクラスメイトが相槌を打つ。

 

と、そこにセシリアが不安気な表情で尋ねてくる。

 

 

「倭さん、お気になられまして?」

 

「まあ……ちょっとな」

 

「それより橘君、怪我は大丈夫?」

 

「肋骨やっちゃってるって噂だけど、今度のクラス代表対抗戦いけそう?」

 

「たっちー派手に飛んでたもんね〜」

 

「ああ、それだったら最悪セシリアに代役を頼もうかと思ってるんだけど……頼めるか?」

 

「お安い御用ですわ! このセシリア・オルコットにお任せ下さいませ!」

 

「おお〜、せっしーやる気だね〜」

 

「せ、せっしー?」

 

 

だぼだぼ袖のクラスメイトに妙なアダ名を付けられ、素っ頓狂な声を上げるセシリア。

 

 

「〈のほほんさん〉、前々から思ってたんだけどそのアダ名どうにかならないか?」

 

「ええ〜、可愛くていいと思うけどな〜」

 

 

こののほほんさんと呼ばれただぼだぼ袖の少女、とにかく独特のセンスの持ち主で、倭は「たっちー」、真司は「かぎっち」、巧は「がーみん」といった具合に親しくなった相手を妙なアダ名で呼ぶ癖があるのだ。

 

それに加え、アダ名通りののほほんとした雰囲気もあり、気がつくと調子を崩されているといった感じで、箒やセシリアのような生真面目なタイプにとっては少々苦手な相手だった。

 

「あの」戒斗ですら、のほほんさんとは極力接触を避け、会話せざるを得ない時はなるべく簡潔に終わらせるようにしているらしい。

 

 

「とにかく、オルコットさんも橘君も頑張って!」

 

「私達のスイーツ食べ放題は二人の腕に掛かってるんだよ!?」

 

「橘君達が頑張ると、みんな幸せになるんだよ〜」

 

 

因みに、クラス代表対抗戦の優勝者の所属するクラスには、学食で使用出来る〈スイーツ無料パス(半年分)〉なる物が配布されるらしい。

 

クラス内の熱気も理解出来ようものだ。

 

 

「専用機持ちはうちと四組しかいないし、楽勝だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーその情報、古いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

声のした方に、教室のドアにもたれ掛かるように立っていたのは、また幼さが残る小柄な少女だった。

 

そして、「この二人」は少女に見覚えがあった。

 

 

「「ーー鈴?」」

 

「あ、倭に真司じゃない、あんた達一緒のクラスだったんだ。 いちいち顔出しに行く手間が省けたわ」

 

 

その言葉に、倭と真司はお互い顔を見合わせる。

 

 

「ひょっとして、小学生の時のダチってーー」

 

「中学の頃のクラスメイトってーー」

 

「「ーー鈴の事だったのか?」」

 

「あたしだって驚いたわよ、小学校と中学の時の友達が二人もIS乗りになっちゃうんだから。 それなんてジョークって思ったわよ。 それにしても、二人共変わんないわねー」

 

「お前だって全然変わってないだろ」

 

 

真司の返しに、鈴と呼ばれた少女はにっこりと笑いーー異形と化した右腕で真司の頭を鷲掴みにした。

 

 

「ーー今、「特に胸とか」って思った? 思ったでしょ? 思ったって正直に言いなさいよ、殺してあげるから」

 

「ちょっ、待て待て落ちつけ!! 俺を殺してもお前の胸が膨らむ訳じゃーー」

 

「死ねえ!!」

 

「おわあっ!!?」

 

 

突きつけられたISの腕から放たれた一撃は、辛うじて振りほどいた真司の背後の机を木っ端微塵にした。

 

 

「おまっ、本気で殺す気だったろ!!」

 

「あんたが毎回毎回あたしをからかうからでしょ!!」

 

「だからってIS使う事ーーって、IS?」

 

「あ、気付いた? あたし、専用機持ちだから。 クラス対抗戦、簡単にはいかないからね」

 

「って事はーー」

 

「そういう事。 中国代表候補生、〈鳳 鈴音(ふぁん りんいん)〉。 今日から一年二組のクラス代表になったから」

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の昼休み。

 

 

「それにしても、あの鈴が代表候補生なんてね。 正直びっくりだわ」

 

「俺としては、深琴がいきなり転校してきたのにも驚きだけどな」

 

「し、仕方ないでしょ!! 「学園の機密に触れた者を野放しにして置けない」なんて言われたんだから!!」

 

 

話によると、どうやら緑の怪物に追われ迷い込んだあの日、偶然辿り着いた先がアリーナの管制室だったのが問題だったらしい。

 

何せ、IS学園のアリーナといえば、IS訓練や試合の舞台であると同時に、最新兵器であるISのデータ収集の場でもある。

 

その管制室となれば、言わば機密情報の塊な訳で、そこにIS学園が誇る世界最高峰のセキュリティを突破して「偶然迷い込んだ」等と言われても信じられる訳も無く。

 

知り合いである織斑先生の取りなしもあり、一先ず「転校生」との建前でIS学園の保護観察下に置かれる事となったらしい。

 

 

「まあ、俺としては助かるっちゃ助かるな。 気心の知れた仲間がいるといないじゃ大違いだし」

 

「あら、わたくしでは役不足でして?」

 

「え? いや、別にそういう訳じゃねえって」

 

「どうだか」

 

 

わざとらしく拗ねたセシリアを宥めつつ、倭達は食堂に辿り着く。

 

そこには、丼の載ったトレイを抱えた鈴が券売機の前で仁王立ちしていた。

 

 

「待ってたわよ、倭!」

 

「はあ……」

 

「って、何よその薄いリアクションは! 後、真司はどうしたのよ!」

 

「あいつは弁当派だ。 てか、食券買えないからどいてくれ」

 

「わ、わかってるわよ!!」

 

 

そんなやり取りもあって、食事開始。

 

 

「それにしても、お前が代表候補生ねえ……」

 

「何よ、心底意外そうな顔して。 あたしにしちゃあんたがIS動かした事の方がずっと意外よ」

 

「俺もそう思う……あーもう、時間戻せねえかなあ」

 

 

そういって頭を抱える倭の仕草に、思わず苦笑する鈴。

 

そこに、セシリアが恐る恐る尋ねる。

 

 

「あの……鳳さん、でしたかしら?」

 

「鈴、でいいわよ」

 

「では、鈴さんで。 倭さんとは仲が宜しいようですが……もしかして、つ、付き合っていらしたのでしょうか?」

 

「「は?」」

 

 

予想外の問いに思わず目が点になる二人。

 

 

「俺と鈴が? 無い無い、絶対無い。 こいつ、好きな奴いるし」

 

「ふえっ!?」

 

「そ、そうですの?」

 

「ちょっ、いきなり何て事言うのよ!? べ、別に一夏の事なんて……」

 

「いや、俺は一言も一夏の事だなんて言ってーー」

 

 

直後、テーブル下から鈍い音が響く。

 

 

「お……おま、スネは反則だろ……」

 

「ふん!」

 

 

相当御立腹の様子の鈴。

 

と、そこに箒が話し掛けてくる。

 

 

「鳳……と言ったか。 お前も、一夏の事を慕っていたのか?」

 

「だ、だから違うってーーお前「も」? ひょっとして、あんたも?」

 

「う、うむ……自己紹介が遅れたな。 篠ノ之 箒だ」

 

「箒……ああ、一夏から聞いた事あるわ。 あたしが中国から来る直前に引っ越してった「ファースト幼馴染」がいるって。 ふうん、あんたが……」

 

 

品定めするように箒の全身を眺め回す鈴。

 

その時、ある一点に目が行った時思わず涙目になったのは余談である。

 

 

「改めて自己紹介しとくわ。 鳳 鈴音。 鈴でいいわよ」

 

「う、うむ」

 

 

握手を交わす二人。

 

その雰囲気が妙に重苦しいのは気のせいだろうか。

 

 

「そういやさ、あんたん所の代表って誰? そこの金髪? それともあんた?」

 

「き、金髪って……わたくしにはセシリア・オルコットという名前がありますわ!」

 

「あー、ゴメンゴメン。 で、どっち?」

 

「一応俺の方だな。 で、セシリアが補佐」

 

「ふーん。だったら好都合だわ」

 

 

そう呟くと、鈴は空になったラーメン丼の載ったトレイを抱え席を立つ。

 

 

「何せ、あんたを合法的にぶちのめせるんだから」

 

 

一切の感情が篭らない声色で言い放たれた言葉に、同じ席にいた全員が凍り付いた。

 

 

「ち、ちょっと鈴!!」

 

 

我に返った深琴が引き止めるが、鈴は深琴の方を一瞥すらせずに言い放つ。

 

 

「倭……あたしはあんたを許さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

倭達の席から去っていく鈴。

 

その姿を、離れた場所から見つめる者がいた。

 

 

「……随分と根が深そうだな、真司」

 

「だな」

 

 

真司と一真の二人だ。

 

 

「一夏って、もしかして織斑先生の弟さんの〈織斑 一夏(おりむら いちか)〉の事か?」

 

「ああ。 俺はあまり話した事ねえけど、鈴からたまに話に聞く事はあったな」

 

「珍しいな、お前が積極的に友達付き合いしないなんて」

 

「八方美人みたいに言うなよ。 まあ、何て言うか……あいつ、やたらモテる癖に自己評価低い上にメチャクチャ鈍い奴でさ。 「付き合ってください」なんて言われて「いいぜ。 何処に買い物に行く?」なんて返すのは日常茶飯事な奴だったから、見ててムカついてさ……」

 

「あー……成る程な」

 

 

げんなりした様子の真司に、思わず苦笑する一真。

 

 

「そういえば、織斑 一夏って数年前に事故で死んだって聞いた事あるけど……あの様子だと、只の事故って訳じゃなさそうだな」

 

「だな。 何があったか知らねえけど……このまま蚊帳の外ってのはどうにも気分が悪いな」

 

「程々にしておけよ?」

 

「わかってるって」

 

 

かくして、ジャーナリストは動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 




倭と真司の書きわけが出来てないと思う人手ー上げてー


( ´・ω・`)ノ


次回は第二回モンド・グロッソ事件の回想の予定です

それではまた
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