IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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今回からタグに「スパロボOG」「←ネタのみ」を追加します
既にスコート・ラボとか使ってますし、追加しない方がアレですから


第十五話 傷

 

 

 

 

翌日。

 

一年一組の面々は、諸事情で順延していたIS実習の授業を受ける事となった。

 

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践して貰う。 オルコット、橘、それと赤城と大神、ISを展開しろ」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

織斑先生からの指示を受け、専用機持ち達がそれぞれの機体を展開する。

 

一番早いのはやはりセシリアだ。

 

次に早いのは巧だが……

 

 

「大神……それが貴様のISか?」

 

「ええ。 事前にデータは提出した筈ですが」

 

 

織斑先生が戸惑うのも無理は無い。

 

何故なら、巧のISの待機形態はバイク。

 

そう、やたらメカニカルなデザインのオフロードバイクだった。

 

 

「確かにデータ通りではあるが……スコート・ラボは何を考えているのだ」

 

「俺に言われても……それじゃ、展開しますね。 バジン、ブラスターモードで頼む」

 

〈Ok. Bluster mode.〉

 

 

巧の呼び掛けに応じ、バイクが瞬時に分解。

 

バイクパーツの形で圧縮されていた装甲が量子化、再実体化を経て本来の姿を取り戻し、巧の全身を覆う。

 

 

「0.8秒か。 まあ上出来な方か。 しかし、〈オートバジン〉とか言ったか。 全身装甲(フルスキン)とは珍しいな」

 

「まあ、スマートブレインは宇宙開発の分野にも力を入れてるんで。 宇宙で活動するならエネルギーを消費する被膜装甲(スキンバリアー)に頼らずに宇宙空間に出れた方が便利って事でしょ」

 

 

巧のISーーオートバジンは、待機形態とは打って変わって航空機然とした灰色の装甲が全身を覆う形となっていた。

 

普通、ISはエネルギーシールドと絶対防御からなる被膜装甲で装着者を護る為、デッドウェイトとなる物理装甲は必要無く、精々実体盾を手持ち装備として携行するか、若しくはISの周囲を追随する〈非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)〉と呼ばれる装備を防盾仕様にするくらいか。

 

宇宙空間の真空状態やスペースデブリをも完璧に防ぎ切る被膜装甲があってこそISは宇宙開発用マルチフォームスーツとして、そして最強の兵器としてその名を轟かせる事になったのだ。

 

だが、この被膜装甲、運用には当然SEが必要となる。

 

そして、SEや機体の推進、姿勢制御に使用する〈PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)〉の大元はISコアから供給されるエネルギーだ。

 

それが宇宙のど真ん中で切れようものならーー装着者の末路は語る迄も無いだろう。

 

故に、宇宙空間での安定した活動を前提とするのなら、装着者の全身を密封する事で真空や極低温を遮断し、SEの消費を抑えられる全身装甲型の研究は必須と言える。

 

因みに、ISの開発初期にはそれこそ宇宙服にISの手足を付けたような代物も開発されたらしい。

 

 

「橘、赤城、何をやっている。 熟練した操縦者は展開まで一秒と掛からないぞ」

 

「「は、はい」」

 

 

最後に、展開に手間取っていた二人が同時に展開する。

 

倭は白式を、真司は赤いカラーリングの重装甲ISを、それぞれ身に纏う。

 

 

「それが〈ビルトビルガー〉か。 なんか、えらくゴツいな」

 

「〈テスラ・ライヒ研究所〉の試作機らしいぜ。 対になる機体が盗まれたとかでお蔵入りしてたんだとよ」

 

 

真司の纏うISは、流石に全身装甲とまではいかないものの装甲が多く、白式やブルー・ティアーズと違い非固定浮遊部位が無いシンプルな作りになっていた。

 

一番の特徴は、本来なら量子化収納されている武装が最初から両腕に固定装備されている事か。

 

 

「よし、では飛んで見せろ」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

同時に飛翔する四人。

 

だが、順調に機動するセシリアと巧に対し、倭と真司は明らかに遅れ気味だった。

 

 

「何をやっている。ビルトビルガーの方はともかく、白式のカタログスペックに於ける機動性はブルー・ティアーズより上の筈だぞ」

 

「そ、そんな事言ったって……大体、「前方に角錐を展開するイメージ」なんて言われても急には理解出来ねえっての」

 

「同感。こっちは重いから余計扱いづらいしさ」

 

「倭さん、真司さん、イメージは所詮イメージでしかありませんわ。 自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ」

 

「んな事言われてもな……」

 

「大体、これどうやって飛んでんだ? ビルガーに翼なんてねえし」

 

「教えてもいいが、理解出来るか? 」

 

「専門知識が身に付いていないと難しいですわよ? 何せ、反重力力翼と流動波干渉の話になりますもの」

 

「インテリ共め……」

 

「説明はいいや。 俺の頭じゃ絶対理解出来ねえ」

 

 

秀才二人の言葉に思わずげんなりする凡才二人。

 

 

「倭さん、宜しければまた放課後に指導して差し上げますわ。 その時は二人きりでーー」

 

「ヤマト!! そんなとこでボサッとしてないで、さっさと降りてきなさい!!」

 

 

セシリアの言葉を遮るかの如く、山田先生からインカムを奪った深琴の怒声が通信回線から響く。

 

 

「何やってんだよあいつ……」

 

「あ、織斑先生に殴られた」

 

「角は痛いな」

 

「そこ、無駄口を叩くな。 今から急降下、及び完全停止をやって貰う。 目標は地表十cmだ」

 

「了解ですわ。 それでは皆さん、お先に」

 

 

その言葉と共に、地表へと向かうセシリア。

 

地表スレスレでの完全停止も難なくこなす様は、流石代表候補生といった所か。

 

 

「次は俺が行く。 ゲット・セット! ゴー!」

 

 

続いて、巧が向かう。

 

その勢いはセシリアすら上回るものだったが、肝心の完全停止は僅かにセシリアより高い位置だった。

 

 

「20cmか。 まあ、それだけの大出力機を始めて扱ったにしては上出来か」

 

「チッ、慎重になり過ぎたか……」

 

 

続いて、倭が向かう。

 

そのスピードは前二人を上回りーー

 

 

「ーー地中で完全停止してどうするか、馬鹿者」

 

 

ーーその勢いのまま地表に墜落した。

 

 

「いってえ……反転し損ねた……」

 

「ち、ちょっと大丈夫!?」

 

「倭さん、ご無事ですか!?」

 

 

クレーターと化した地面に横たわる倭へと駆け寄るセシリアと深琴。

 

絶対防御があるとはいえ、やはりあれだけの勢いで激突すれば心配もして当然か。

 

 

「お、おお、何とか……流石ISだ、何ともないぜ」

 

「全く……心配掛けないでよ」

 

「本当です。 シールドバリアーも絶対とは言えないのですから、もっと慎重にお願いしますわ」

 

「いや、悪かったって」

 

 

そのようなやり取りを経て、最後は真司の番。

 

 

「せえー……のっ!!」

 

 

前三人を参考に、スロットル全開で地表へと向かうが、

 

 

「あ、あれ? これ、どうやって止まるんだ?」

 

 

案の定、制御が効かなくなり、

 

 

「危ない、今助けるぞー」

 

「どぼっ!!?」

 

 

落下地点に先回りしていた巧のカウンターキックで強制的にではあるが完全停止した。

 

 

「だ、大丈夫ですの?」

 

「ゲホッ、ゲホッ……おま、ころすきか……!」

 

「安心しろ、その程度じゃ絶対防御は抜けねえ」

 

「そういう問題じゃないでしょ……」

 

 

その後、武装の展開の実演に入るも、

 

 

「遅い。 たかが刀二本で二秒も掛かるな」

 

「ごもっともです、はい……」

 

「フレンドリーファイアでもやらかす気か。 味方を撃ちたくなければすぐ直せ」

 

「は、はい……」

 

「一々音声コールで呼ぶな。 敵に次の行動を教えるような物だ」

 

「了解……」

 

「貴様は……全武装が固定式か」

 

「開発者が「量子化なんて得体の知れない技術を信じられるものですか」と主張したらしくて……」

 

 

といった感じで授業終了。

 

因みに、アリーナに空いたクレーターは倭と真司、そして文句を言いながらも自分から参加した深琴とついでにセシリアの四人でせっせと埋めたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、ようやく終わった……三人共サンキュな」

 

「後で何か奢れよ」

 

「分かってるって」

 

 

アリーナの整地も終わり、更衣室へと向かう四人(女子が実際に着替える場所は教室だが)。

 

と、その更衣室の前に見慣れた小柄な人影が仁王立ちしていた。

 

 

「待ってたわよ、倭! ついでに真司!」

 

「俺、ついでかよ……」

 

「鈴? その格好、お前もIS実習か?」

 

「そ。 あんたの実習見せてもらったけど、中々いい突っ込みだったじゃない。 ま、そのまま墜落しなかったらもっと良かったけどね」

 

「う……大きなお世話だ畜生」

 

 

少々凹んだ様子の倭の姿に、快活な笑みを見せる鈴。

 

その雰囲気に、昨日学食で見せた暗い影は見当たらない。

 

 

「何だったらさ、あたしが操縦見てあげよっか? あたしも一応代表候補生だしさ」

 

「結構ですわ! 倭さんにはこのわたくし、セシリア・オルコットが直々に教えて差し上げておりますので!」

 

「けどセシリアって倭に実質負けてるんでしょ?」

 

「うっ!? い、痛い所を……」

 

 

ぐうの音も出ないセシリア。

 

 

と、そこに真司が疑問を投げ掛ける。

 

 

「鈴、ちょっといいか? お前、昨日倭に「絶対許さない」って言ってたじゃんか。 なんかフレンドリー過ぎじゃねえか?」

 

「確かに言ったわよ、許さないって。 けど、「友達付き合いをやめる」とも言ってないでしょ?」

 

「な、何ですのその屁理屈は!」

 

 

憤慨するセシリアを余所に、鈴は倭に向き直りーー

 

 

「それに、どうせやるなら強い奴の方がぶちのめし甲斐があるでしょ? あたし、弱い者イジメなんて大嫌いだもん」

 

 

その言葉と共に、挑発的な笑みを倭に向ける。

 

 

「ーー面白え。 その言葉、後悔させてやるよ」

 

「やってみなさいよ。 精々、そこのイギリス代表候補生の名前に泥を塗らないようにね」

 

 

それだけ言い残し、鈴は去っていった。

 

 

「倭さん……鈴さんと何があったのですか? 一人の人間にあれだけ敵意を抱かれるなど、そうありませんわよ?」

 

 

セシリアの問い掛けに、倭は痛みを堪えるかの表情を浮かべる。

 

 

「昨日、あいつに好きな奴がいるって話しただろ」

 

「え、ええ……確か、一夏さん、という方でしたかしら」

 

 

セシリアの返答に頷くと、倭はただ一言こう言った。

 

 

「ーー一夏は、三年前に死んだんだ。 俺のせいでな」

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

真司は当事を知る可能性のある人物で、倭や一夏と自分の共通の友人でもある人物を尋ね、とある場所へ赴いていた。

 

 

「何だ、倭の奴そんな事言ってたのか?」

 

「おお。 それ以上なーんも言わねえからさ、お前だったら何か聞かされてないかと思ってさ」

 

「一夏の死んだ原因ねえ……」

 

 

真司の問い掛けに、赤髪にバンダナを巻いた少年は腕組みをして唸る。

 

と、そこに一人の少女が扉を蹴り開けて乱入してきた。

 

 

「お兄、夕飯だって言ってんじゃん! さっさと食べにーー」

 

「お、蘭か。 三年半ぶりか?」

 

「ーーえ? も、もしかして……「真兄」?」

 

 

部屋に居た真司を見るなり、少女の顔に紅が刺す。

 

 

「その呼ばれ方も久しぶりだな。 元気だったか?」

 

「う、うん……いつこっちに?」

 

「つい今さっき。 弾に聞きたい事があってさ」

 

「お兄に? お兄、何の話な訳?」

 

「聞かない方がいいぜ? なんせ、一夏の話だからな。 お前、まだ引きずってんだろ?」

 

「う……まあ、そうだけど……と、とにかく早目に切り上げてご飯食べに来てよ? あ、良かったら真兄も食べてってね!」

 

 

それだけ言い残し、蘭と呼ばれた少女は部屋を出て行った。

 

 

「悪いな、騒々しくて。 兄としてはもう少しお淑やかにして欲しいもんだが……まあ、塞ぎ込んでるよりはマシか」

 

「そういや、昔と比べてなんか大人しくなってたな」

 

「まあ、色々あってな。 で、三年前の話だっけか。 俺も詳しい話は聞かされて無いんだけどな……どうやら一夏の奴、死因は事故じゃないらしいんだ」

 

「事故じゃない?」

 

「ああ。 どうも千冬さんをモンド・グロッソから棄権させようとする動きがあったらしくてな。 それで、唯一の身内だった一夏が狙われてーー」

 

「ーー殺された、って事か」

 

「そういう事だ。 んで、仲が良かったって事で招待されてた倭も現場を目撃したって事で一緒に誘拐されて、倭の方も一命は取り留めたが数日間意識不明の重傷。 それで、目を覚まして開口一番「一夏は無事か!?」、死んだ事を聞かされて「俺のせいだ」。 それ以外何も言わねえもんだから、鈴の奴ヘソ曲げちまってな」

 

「そうか……千冬さんならもう少し詳しく知ってんだろうけど、弟喪った当事者に聞くのもな」

 

「まあ、俺が知ってんのはこのくらいだ。 蘭の奴、一夏が死んだ時は大泣きしてな。 宥めるのに苦労したーー」

 

 

そこまで言った時、弾と呼ばれた少年の顔面に織斑先生の振るう出席簿にも負けず劣らずの勢いで台所用のお玉が直撃した。

 

 

「お兄、話は終わったんでしょ? さっさとご飯食べに行くよ」

 

「蘭……今のは酷くないか?」

 

「いいのよ、お兄なんだから」

 

 

相変わらずの兄妹間のヒエラルキーに、真司は心の中で合掌する。

 

 

「と、とにかく夕飯食べてってよ。 おじいちゃんも久しぶりに真兄に会いたいって言ってるし」

 

「そうだな、食べてくか。 弾、生きてるか?」

 

「あ、ああ、何とか……」

 

 

弾を助け起こしつつ、真司は一夏の死因について考えていた。

 

 

(モンド・グロッソに誘拐事件……どうやら、ここは編集長に頼るしか無さそうだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オートバジンのISモードの姿は、第二次スパロボZの主人公機「ブラスタ」の頭部と胸部をオートバジンの物にした感じです

やはりスコート・ラボときたらブラスタかと




次回はバトクロでのOREジャーナルの詳細説明回です


それではまた
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