IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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今回から、タグから「アンチ・ヘイトは年の為」を外します

書いてて胸糞悪くなった……


第十六話 理由のある悪意

 

 

 

 

数日後。

 

個人ではどうにもならないと判断した真司は、五反田食堂を訪れた日の内にとある知り合いに第二回モンド・グロッソの真相の調査を依頼。

 

内容が内容だけに、その情報を電話などというセキュリティがザルより緩い連絡手段でやり取りする訳にもいかず、放課後顔見せついでに直接情報の受け取りに向かう事になったのだが、

 

 

「昨日の今日でまた外出許可だと? 貴様は自分がどれだけ危うい立場か解っているのか?」

 

 

と織斑先生方からツッコミを受け、紆余曲折の末学園側から派遣された保護者同伴という条件を呑む事で外出許可が下りたのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、その「保護者」がなんで貴方なんですかね、篠ノ之博士?」

 

「まあまあ、細かい事は気にしなーい気にしなーい」

 

 

色んな意味で危険過ぎる「保護者」と共に、真司は知り合いの待つ場所へ向かっていた。

 

 

「てか、貴女って身内以外には興味を感じないと聞いてたんですがね。 俺なんかについてくより、倭の白式の解析でもしてた方が楽しいんじゃありません?」

 

「酷いなー、別に束さんだって誰でもかれでも突っぱねてる訳じゃないんだよ? こう見えても人を見る目はあるつもりなんだからさ」

 

「とてもそうは見えないんですけどね。 言っときますけど、向こうじゃ大人しくしてて下さいよ。 怒らせると怖い先輩がいるんですから」

 

「ふふん、それは凡人共の態度次第だね」

 

「不安だ……てかこの人、こんなに気軽に外出してたらまずい立場なんじゃないのかよ?」

 

 

言いようの無い不安を胸に、真司は目的の場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、織斑 一夏は誘拐されて、殺された……そういう事っすか?」

 

「ああ、まず間違い無いだろうな」

 

 

真司の問いに、30代半ばといった感じの男性は神妙な面持ちで頷く。

 

 

「第二回モンド・グロッソってドイツで開催されてたんすよね? 会場の警備は何処の担当だったんすか? 優勝候補の身内を会場で誘拐されるなんて、ザルにも程があるっしょ」

 

「それがな、どーもきな臭い話でな……ところで真司」

 

「なんすか編集長」

 

「お前の後ろで玲子と睨み合ってるウサミミの嬢ちゃん、何とかならないか?」

 

「……背景だとでも思ってた方がいいっすよ」

 

 

そう言って溜息を吐く真司の背後では、20代半ばといった感じの美女が篠ノ之博士に対して感情を露わにしていた。

 

 

「ですから、ISを生み出したことについて、貴女がどう責任を取っていくつもりなのかと尋ねているんです!」

 

「何度も言わせないでくれるかな? 私は、あんな不細工なクズ鉄と火薬の塊を私のISとは認めないし、ISコアだって私がちゃんと公平に分配してあげたのに馬鹿共が勝手に賠償とかなんとかで目茶苦茶に偏らせちゃったんじゃないか。 そんな状況で世界が目茶苦茶になったからって責任取れだなんて、虫が良いにも程があるんじゃないかな?」

 

「しかし、雛形を生み出したのは貴女でしょう!?」

 

「じゃあ何? お前は新型のシャンプーを開発した人が居て、その人のレシピを盗んで勝手に添加物を追加して作られた商品で健康被害が起きたからって、最初にそのシャンプーの基礎を開発したその人に責任取れって言うのかな?」

 

「そ、それは……」

 

「同じ事なんじゃない? この束さんは、あくまでも人が単独で宇宙に出られるようにと思ってISを作ったんだ。 それを無理矢理武器載っけて兵器呼ばわりして、挙句女性にしか使えないからってイコール女性が偉いなんて頭の悪い常識を広めたのはお前達じゃないか。 それを棚に上げて責任取れ? 両腹どころか背中まで痛いよ」

 

「う……」

 

 

歯に絹着せぬ物言いに、玲子と呼ばれた女性は思わず傍らにあったデスクトップ型パソコンに肘をぶつけてしまう。

 

 

「痛っ」

 

「え?」

 

 

振り向くと、応接スペースでノーパソを弄っていた女性が頭を摩っていた。

 

 

「嶋田さん?」

 

 

玲子が声を掛けてみるが、余程作業に没頭しているのか返事が無い。

 

 

「んー……えい」

 

 

束が嶋田に気づかれないようにパソコンを軽く小突いてみると、

 

 

「あいたっ」

 

 

再び小さな悲鳴を上げる。

 

言っておくが、嶋田は完全に背中を向けているし、近くに鏡に使える物は無い。

 

 

「……見えてる?」

 

「そんな筈は無いと思いますけど……」

 

 

二人でヒソヒソ話をしていると、嶋田はおもむろに立ち上がり、

 

 

「貴女達には、パソコンに対する愛が足りない……」

 

 

と、眼鏡の奥の鋭い眼光を煌めかせつつそう告げると、再びノーパソでの作業に戻った。

 

 

「えー……とりあえずインタビューはこれで終わりという事で……」

 

「まあ、束さんはそれで構わないけどさ……」

 

 

毒気の抜かれた感じで取材を切り上げる二人。

 

 

「相変わらずっすね、嶋田さん」

 

「あいつは筋金入りのパソオタだからな。 ま、問題も解決したし話の続きといくか」

 

 

そう言って、編集長は真司の前に書類の束を差し出す。

 

 

「とりあえず、これが俺が使えるだけのツテを当たってみた結果だ。 正直、ヤバ過ぎて記事にも出来ない代物になっちまった。 見るんなら、其れ相応の覚悟はしとけよ」

 

「そんなにヤバいんすか?」

 

「簡潔に言うと、ドイツと日本と某秘密結社から命を狙われる」

 

「それなんて007?」

 

「お前が007だったら俺もこんなに心配しねえんだよ。 いくらお前が「仮面ライダー」だからって、国一つ敵に回して勝てる訳でもねえだろ」

 

「そりゃそうですけど……」

 

 

と、そこに篠ノ之博士が食いついてくる。

 

 

「ねえねえしんくん、仮面ライダーってこれの事?」

 

 

そう言って篠ノ之博士が仮想モニターに映し出したのは、赤い仮面ライダーに変身して戦う真司の姿だった。

 

 

「やまっちが変な化け物に襲われてたからちゃちゃっと助けに行こうとしたら、こんな面白そうなのを見つけちゃったんだよねー。 良かったら、この束さんに教えてくれないかな?」

 

 

そう言って真司に詰め寄る篠ノ之博士の瞳は、新品のおもちゃを買い与えられた子供の如く期待に輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって、とある路地裏。

 

その一角にて、見るからに素行のヤバそうな複数の男女が一人の少女を取り囲んでいた。

 

 

「随分と遅かったじゃないか。 ほら、お客さんが待ってるんだからさっさと行くよ」

 

「………………」

 

「何してるんだい? さっさと来な! それとも、「あの写真」を学校にバラまいてやった方がいいのかい?」

 

「……もう、嫌」

 

「あん? 何か言ったかい?」

 

「もう嫌だって言ったのよ! ばら撒きたければばら撒けばいいじゃない! 万引きの合成写真も、貴女達に無理矢理やらされた援交の隠し撮りも!これ以上、貴女達の言いなりになんてなるもんですか!」

 

 

その言葉に、不良達の中で一見まともな制服を着た少女が嘲るような笑みを浮かべる。

 

 

「へえ、いい度胸じゃないか。 けど、アタシに逆らっていいのかい? 知ってると思うけど、アタシの母親は有名な女権団体の会長をやってんだよ。アンタんとこの食堂を潰す事なんか、ハエを潰すより簡単に出来るんだ。 家族を路頭に迷わせたく無かったら、今まで通りアタシらの小遣いを稼いでくれた方がいいんじゃないかい?」

 

 

 

 

返答は、パァン!という音と共に振り抜かれた平手打ちだった。

 

 

 

 

「家族にはもう話したわ! お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、お兄も、皆私の味方になってくれた! 皆さえいてくれるなら、貴女達なんか怖くなんかない!!」

 

 

その言葉に、平手打ちを食らった少女は頬を押さえ俯く。

 

 

「……ああ、そうかい。 わかったよ……アンタ達、もういいよ。 犯っちまいな」

 

「へへっ、そうこなくちゃ」

 

「前からこのガキを泣かしてやりたかったんだよ。 どんな顔で泣いてくれるのか楽しみだなあおい!」

 

「ひっ、や、嫌ああああああ!!?」

 

 

路地裏に少女の悲鳴が響く。

 

だが、その声は奥まった路地に阻まれ、表まで届かない。

 

 

「あーあ、久々の新品だから高く売れたのにさ。 けどまあ、ちょっとくらい使い古されてても良いとこの女子学生にゃ違いないか。 「未使用品」はめんどくさいって客もいるしね。 ああ恭弥、あれ用意しといて。 二度と生意気な口聞けないように、しっかりヤクの味覚えさせとかないとね」

 

 

数の暴力に蹂躙されていく赤毛の少女を見下ろし、黒髪の少女はその容姿に似つかわしくない下卑た笑みを浮かべる。

 

 

「さて、お前らしっかり押さえとけよ。 心配すんな嬢ちゃん、すぐ天国に行かせてやっからよ」

 

「い、いや……やめて……!」

 

 

恭弥と呼ばれた不良が、注射器片手に赤毛の少女に迫る。

 

少女も必死に逃れようとするが、手足をがっちり押さえつけられており、僅かに身じろぎする事しか出来ない。

 

そして、その腕に鋭い針が突き立てられるーー

 

 

「いや……助けて…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて……お兄……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーーうわっ!?」

 

 

その悲鳴と共に、少女にのし掛かっていた男の一人が「消えた」。

 

 

「ーーえ?」

 

 

少女に迫っていた不良も、何が起こったのか解らない様子だ。

 

そして、異変はそれだけでは終わらない。

 

 

「なっーー」

 

「うおっ!?」

 

 

少女の上半身を押さえつけていた男達が、背後へと引っ張り込まれるかのように次々と消えていく。

 

だが、男達の背後にはコンクリートの壁と、割れたガラスの破片が散らばっているだけだ。

 

 

「な、何だよこれ……ぶっ!?」

 

「っ、やあああああああっ!!!」

 

「ぐへっ!!?」

 

 

異変に気を取られた瞬間、恭弥の顔面に少女の頭突きがヒット。

 

間髪入れず、脚の戒めを振り切った少女の渾身の蹴りが股間を蹴り抜き、恭弥を悶絶させた。

 

 

「ちょっ、何やってんだい! 蘭の奴、逃げちまったじゃないか!」

 

「あ、あのガキ……もう許さねえ!! ボロボロになるまでヤってやらあ!!」

 

「追うぞ!! 散々ひん剥いてやったからな、あのカッコじゃそう早く走れねえだろ!!」

 

 

必死で逃げ出す少女ーー蘭を追い、駆け出す不良達。

 

だが、不良達は路地裏の地理を熟知しているらしく、蘭は次第に追い詰められていく。

 

そしてーー

 

 

「あ……!」

 

 

程なく、袋小路に追い詰められてしまった。

 

 

「全く、手間掛けさせんじゃないよ!」

 

「あぐっ!?」

 

 

黒髪の少女に髪を掴まれ、引きずり倒される蘭。

 

 

「逃げられると思ったかい? 諦めな、アンタは一生アタシ達に食い潰される運命なんだよ!」

 

 

愉悦に歪んだ笑みを浮かべ、蘭を見下ろす少女。

 

その背後に、何者かの影が差す。

 

 

「ああ、やっと追いついたかい。 ヤクは拾っといたからさ、さっさと犯っちまうよーー」

 

 

そう言って振り向いた少女の表情が凍り付く。

 

何故なら、少女の背後に立っていたのはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「グロロ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

首から上を食い千切られた恭弥の死体を引きずった、犀の怪人だった。

 

 

 

 

 

 

 




一言だけ


本当ごめんなさい




次回はバトル回です

それではまた
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