IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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前回書き忘れましたが、アドベントカードのポイントは調整してます
原作通りだととんだチートライダーになってしまうので……だって、ドラグセイバーの破壊力が100tってどう考えてもおかしいって……


第二十八話 飛翔する騎士

 

 

 

 

「ーーうあああ……ぁ……あぁぁ……っ!!

 

 

鋼鉄のひしゃげる音に混じり、硬い物の砕ける音が響く。

 

 

「ゴボボ……!」

 

 

カニインベスが勝ち誇ったかのような鳴き声を上げる。

 

その右爪には、無惨に破壊された灰色の鱗殻が捉えられていた。

 

当然、それを装備していたラファールの左腕と共に。

 

 

「な、何で……心臓を、貫いた筈なのに……!?」

 

 

ラファールの左腕ユニットを潰され、その中にある自らの左手から響く激痛に悶える静寂。

 

灰色の鱗殻の一撃は、確かにカニインベスの左胸ーー生物の心臓が収まる場所を正確に貫いていた。

 

だが、左胸に大穴の開いたカニインベスは口から紫色の体液を吹き出しながらも、致命傷を負ったようには見えない。

 

 

「ザーンネーンデーシタ♪ ソイツハソノ程度ジャ倒レネエヨ」

 

 

わざわざ静寂を背にするポジションに立ち、嘲りの言葉を口にする謎の男。

 

 

「……! そうか! 静寂、聴こえるか!?」

 

「……う、うん……!」

 

「っと! 多分、そいつに心臓は無え!! 節足動物には、心臓に当たる臓器が無いって、前に学校で習った事があるんだ!!」

 

「何よそれ……そんな所まで似なくても……あうっ……!」

 

 

トドメを刺す気なのか、カニインベスが静寂を右爪一本で吊り上げる。

 

振り上げられる左爪が、罪人の首を落とすギロチンの刃の如く煌めく。

 

 

「くそっ、退け!!」

 

「ヤーダネ♪」

 

 

龍騎も救援に入ろうとするが、ここぞとばかりに攻勢に入った男に阻まれ近づけない。

 

そして、

 

 

「ゴボボッ!!」

 

 

必殺の鋏が、振り下ろされーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー轟音が、響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーゴボボ……ボ…………!?」

 

 

苦鳴を上げたのは、カニインベスの方。

 

響いた轟音はーー

 

 

「ーーいくら心臓が無くても、これは効いたでしょ?」

 

 

静寂の右腕に握られた、アサルトマシンガンの発射音。

 

先程まで効果の無かった筈の弾丸は、確かに重装甲の怪物に膝を付かせていた。

 

 

「ーーハ? オイオイ、何ガ起コッーー」

 

 

気を取られたのは、一瞬。

 

だがーー

 

 

「ーーおりゃあっ!!!」

 

 

一瞬さえあれば、龍騎には十分だった。

 

 

「ナーー」

 

 

その瞬間。

 

男の左視界から、光が消失した。

 

 

「ーーッガァアアアアアアア……ッ!!?」

 

 

突然の激痛。

 

それを齎したのは、左眼に深々と突き立てられたライドセイバーだった。

 

 

「よっとーーいただき!!」

 

 

ダメージによる一瞬の隙。

 

その瞬間を逃さず、男の左手からカードが奪い去られーー

 

 

《Advent》

 

 

「来い、ドラグレッダー!!」

 

『ギャオオオオオオオオォォォォォ…………ン!!!』

 

 

龍騎の呼び掛けに応え、姿見より巨大な赤龍が飛び出す。

 

 

「よくもやってくれたなこの野郎……静寂の分も纏めて返してやるぜ!!」

 

 

ドラグレッダーが龍騎の周囲を取り巻く。

 

そして、ドラグレッダーが離れた時、龍騎の姿は真紅の龍騎士へと変わっていた。

 

 

「ハハッ……イイネエ、実ニイイネエ……ヤッパ、戦ッテノハコウジャナイト!!」

 

 

左眼を潰され、激痛に顔を顰めながらも、男の顔に怒りの色は無い。

 

寧ろ、歓喜の一色に染まっていた。

 

 

戦闘狂(バトルジャンキー)かよ……付き合ってられるか!!」

 

「マアソウ言ウナッテ!!」

 

 

その言葉と共に、男の姿が変貌していく。

 

その風貌は、言うなれば人型の虎。

 

だが、その両腕には蝙蝠のような皮膜翼が携えられていた。

 

 

「! てめえもインベスだったのか!」

 

「いんべす? アア、アノ雑魚共ノ事カ? 俺達支配種ト一緒ニシテモラッチャ心外ダネ!」

 

「支配種? どういう事だ……って、もしかしてさっきの大発生も……」

 

「ソウイウ事サ! コノ際ダカラ名乗ッテオコウカ! 俺ノ名ハ〈シェグウシェ〉!! 誇リ高キ〈ロエデェゴ〉ノ四幹部ガ一人、空ノシェグウシェトハ、俺ノ事ダ!!」

 

 

その言葉と共に、シェグウシェと名乗った虎の怪物は更衣室の天井スレスレまで飛翔する。

 

だが。

 

 

「ーーナッ!? テ、テメエ〈シャムジャム〉、邪魔スンナ!! コレカラガイイトコロナンダヨ!!」

 

 

突如、背後に開いた裂け目から伸びた小さな手に、首根っこを掴まれる。

 

 

「……シェグウシェ、喋り過ぎ。 今はまだ早い」

 

「チッ……ワカッタヨ、帰リャイインダロ!! オイ、ソコノ赤イノ!!」

 

「な、何だよ!?」

 

「名前ハ!!」

 

「名前……し、真司だ! 赤城 真司!!」

 

「アカギシンジ、カ……覚エトケ、テメエヲ倒ス男ノ名ヲ!! コノ、シェグウシェ様ノ名ヲナ!!」

 

 

それだけ言い残すと、シェグウシェはシャムジャムと呼ばれた少女に引きずられるように裂け目の奥へと消えていった。

 

 

「支配種……何だったんだ、あいつ……って、静寂!! 大丈夫か!?」

 

 

半ば呆然としていた龍騎が静寂へと向き直ると、負傷が重いのか弾切れを起こしたのか、左腕を抑え蹲る静寂に対し、よろめきながらも迫るカニインベスの姿があった。

 

 

「てめえ、死に損ないが静寂に手を出してんじゃねえ!!」

 

《Final Vent》

 

「おりゃあああああああ!!!」

 

「ゴボバッッッ!!!?」

 

 

怒号と共に放たれた飛び蹴りが、カニインベスの重装甲を物ともせず爆砕した。

 

 

「静寂、大丈夫か!?」

 

「真司……うん、そんなに酷くは無いみたい……いたた……」

 

「って、折れてんじゃねえか!! 無茶し過ぎだろ!!」

 

「真司だって、私を信じてそんな身体で無茶したじゃない。 知ってるわよ、もう足腰立たないでしょ?」

 

「う……」

 

 

確かに、シェグウシェ相手に無駄に空回りさせられた事で、龍騎の体力は限界に近かった。

 

 

「そ、そういえば何であのカニ野郎にマシンガンが効いたんだ? さっきまでガンガン弾かれてたろ」

 

「簡単よ。あいつに弾丸が効かないのはあの甲殻のせいでしょ? だから、吊り上げられて密着してる時を狙って、ゼロ距離で撃ち込んでやったの。 灰色の鱗殻で開いた大穴に、ね」

 

 

確かに、強固な守りを有するのなら、その隙間を狙えば良い話だ。

 

加えて、身体の表面を鎧で覆われているのなら、外からの攻撃を通さないのと共に、中に入った物が外に出る事も無いという事でもある。

 

例えば、本来なら防護を突き破って標的の急所を貫き、反対側へと抜けるフルメタルジャケット弾。

 

それを直接内部へと撃ち込まれた結果、本来身を護る筈の甲殻は弾丸を「内側へと」弾き、カニインベスの内蔵を滅茶苦茶に引き裂いたのだ。

 

確かに、これなら心臓の無い生物でもひとたまりも無い。

 

しかし、理屈では解っていても、左腕を潰される激痛と迫り来る死の恐怖の中で的確にそれを狙えるかと言えば、首を傾げざるを得ない。

 

恐るべきは、不利な状況下でそれを成し遂げた静寂の精神力と言える。

 

 

「とにかく、さっさと着替えて保健室に行かないと。 肩くらい貸してくれるんでしょ?」

 

「あ、ああ、任せーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーその必要は無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーぐっ!?」

 

 

咄嗟に心臓を守った左腕を、針の如く細い剣先が貫く。

 

 

「ふん……随分と反応が良いな。 仕留めたと思ったんだが」

 

 

冷徹に言い捨てる襲撃者。

 

だが、龍騎はそれどころでは無かった。

 

何故ならーー

 

 

「……何で、〈ファム〉が……てめえ、何者だ!!」

 

 

強引に剣先を引き抜き、襲撃者ーー〈仮面ライダーファム〉に向き直る龍騎。

 

 

「名乗る必要は無い。 貴様は此処で殺す」

 

「ふざけやがって……!」

 

 

フェンシングの構えを取るファムの佇まいからは、確かな戦闘経験を感じ取れる。

 

連戦に次ぐ連戦で消耗し切った龍騎では、まず勝ち目は無いだろう。

 

 

「諦めろ。 所詮貴様は素人。 プロにはーー勝てん!」

 

 

言い放つと、ファムは鋭い踏み込みと共に剣をーー

 

 

 

 

 

 

 

 

《キキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!?」

 

「ぎゃああああす!?」

 

 

ーー繰り出す直前、突如辺りに響き渡った不協和音に、思わず耳を抑え蹲る。

 

龍騎まで巻き添えになっているのは、まあご愛嬌といった所か。

 

 

「だ、大丈夫!?」

 

「み、ミミガー……」

 

 

心配気な静寂を余所に、龍騎は恨めし気な視線を入口付近へと向ける。

 

 

「おま……〈蓮〉!! それ使う時は俺を巻き込むなっつったろうが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー相変わらず注文の多い奴だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

龍騎の文句に面倒臭気に答えたのは、一人の女生徒だった。

 

通常タイプの制服に、オーバーコート型の上着を着込んでいる。

 

腰まで届く長い黒髪を靡かせ、龍騎達へと歩み寄るその姿は、何処か近寄りがたい怜悧な魅力を湛えていた。

 

 

「お前な……10年ぶりに会ったってのにもうちょっとフランクになれねえのかよ!」

 

「少なくとも、お前相手には必要無いな」

 

「ひでえ!!」

 

「逆に聞くが、もし俺が馴れ馴れしかったらどう思う?」

 

 

その問いに、龍騎の脳内で馴れ馴れしく真司に接する黒髪の少女が再生されーー

 

 

(うん、無いわこれ)

 

 

即座に否定した。

 

 

「……それはそれで腹が立つな。 まあいい、とりあえずお前は其処で寝ていろ。 奴はーー俺が倒す」

 

 

その言葉と共に少女が取り出したのは、蝙蝠を思わせる紋章が刻まれたダークブルーの「カードデッキ」。

 

 

「そのデッキ……知っているぞ、貴様……〈仮面ライダーナイト〉……比叡 蓮(ひえい れん)か!」

 

「調べは着いているようだな。 流石は〈亡国機業(ファントムタスク)〉といった所か」

 

「! 貴様……!」

 

「「裏」に精通しているのが貴様等だけと思うな。 ……変身!」

 

 

出現したバックルにデッキを装填すると、その姿はファムや龍騎とも違う闇色の騎士へと姿を変える。

 

 

「丁度良い……貴様のデッキも回収させて貰う!」

 

 

言い放つと、ナイト目掛け襲い掛かるファム。

 

それに対しーー

 

 

《Trick Vent》

 

 

無言で一枚のカードを自らの剣のナックルガードに装填するナイト。

 

 

「遅いぞーー貰った!!」

 

 

勝利を確信し、必殺の一撃を繰り出すファム。

 

その剣先が、ナイトの喉笛を貫くーー

 

 

「ーーな……に!?」

 

 

ーーかと思われた瞬間、ナイトが剣先を軸に「分裂」した。

 

 

「遅いぞーー貰った!」

 

「がっ!?」

 

 

二人のナイトから同時に斬り掛かられ、吹き飛ばされるファム。

 

そこに、

 

 

「遅いぞーー貰った!」

 

「ぐあっ!?」

 

 

いつの間にか回り込んでいたナイトの蹴りが炸裂する。

 

更に、

 

 

「遅いぞーー貰った!」

 

 

吹き飛んだ先に回り込んだナイトの斬り上げがファムを更に翻弄する。

 

そして。

 

 

「遅いぞーー貰った!」

 

「遅いぞーー貰った!」

 

「遅いぞーー貰った!」

 

 

分裂する度に同じ台詞と共に繰り出される攻撃に晒され、ファムの姿は見る影も無い程にズダボロになっていた。

 

その有様は、龍騎が思わず、

 

 

「もうやめたげて!! そいつのMPもう0だから!!」

 

 

と止めに入るくらいに。

 

 

「冗談だろう? これからが本番だというのに」

 

「この上まだボコるつもりかよお前!?」

 

「当然だ。 誰に喧嘩を売ったのか、誰の友に手を出したのか、骨の髄ーーいや、魂の奥底までしっかりと刻み込んでから地獄に送ってやらないと、俺の気が済まん」

 

「お前な……10年も経ってんだからちょっとは丸くなってもいいだろうによ」

 

 

心底呆れた顔で溜息を吐く龍騎。

 

そんな中、ファムが必死に身を起こす。

 

 

「……き……貴様……」

 

「ふん、まだ逆らう元気があるようだな。 もう少し刻んでおくか」

 

「はあ……もー知らん。 勝手にしてくれ」

 

 

疲れたようにナイトに背を向ける龍騎。

 

だからこそ気付いた。

 

ナイトの背後の姿見、その中に広がるミラーワールドから飛来する、黄金の不死鳥を。

 

 

「蓮、後ろだ!!」

 

「何っ!?」

 

 

龍騎の呼び掛けもあって、辛うじて身を躱すナイト。

 

だが、不死鳥の狙いはナイトでは無くーー

 

 

「ぐっーー何の真似だ!?」

 

 

ナイトの眼前に倒れていたファム。

 

 

「連れ去る気か!」

 

「蓮、上だ!」

 

 

見ると、龍騎、静寂、ナイトの頭上に、黄金の羽根が無数に舞い降りつつあった。

 

 

「くっ、真司!! ガードだ!!」

 

「わかってる!!」

 

《Guard Vent》

 

 

その直後。

 

更衣室を大爆発が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、医務室。

 

 

「いだだだだだだだだだっ!!? ちょっ、もうちょっと優しくお願いしますって!!」

 

「贅沢言わないの。 大体、先生からピットで待機してろって言われてたんでしょ? それを無視するから爆破テロなんかに巻き込まれるのよ」

 

「うう……面目次第も御座いません」

 

 

あの瞬間、ギリギリで防具の召喚が間に合った為、三人とも大きな怪我は無かったが、ファムと不死鳥には逃げられてしまった。

 

加えて、更衣室を丸々大破させる程の大爆発により教師部隊が駆け付けてきてしまった事や、真司や静寂が最早戦える状態では無かった為、そのまま医務室へと連行されるしか無かった。

 

幸い、静寂の骨折や真司の刺突傷は後遺症が残る程では無く、決勝戦時にインベスから受けた裂傷も大した事は無いとの事。

 

そして、

 

 

「まあ、鈴の方も何とかなったみたいだしな」

 

「まあ、ね」

 

 

鈴達アリーナ組も、山田先生の指揮する教師部隊の増援により辛うじて事無きを得た。

 

ただ、

 

 

「謎のアーマードライダー……ねえ」

 

「何よ、疑うっての?」

 

「いや、嘘とは思ってねえよ。 ただ、やけにタイミングがいいと思ってな」

 

「確かにね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前、アリーナ内。

 

 

「駄目、もう甲龍のエネルギーが持たない!! オルコット、箒連れてアンタだけでも逃げなさい!!」

 

「冗談ではありませんわ!! 仲間を置いて逃げるなど、貴族のする事では無くってよ!!」

 

 

鈴の提案を即座に拒否するセシリア。

 

だが、甲龍だけでは無くセシリアのブルー・ティアーズも最早戦える状態では無かった。

 

 

「じゃあどーしろってのよ!! このままじゃお互い愛機を棺桶に仲良く御陀仏でしょうが!!」

 

「ですが、凰さんだけ置いて行く訳にはーー」

 

 

背中合わせのまま口論を始める二人。

 

それは、致命的な隙を生みーー

 

 

「キキィィィ!!」

 

「しまっーー」

 

コウモリインベスに絶好の攻撃チャンスを与えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

《プリンスエナジー!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャガッ!? ギャアアァァァァ!!」

 

 

だが、その爪が鈴達を捉える寸前、何処からとも無く飛来したエネルギーの矢が、コウモリインベスを貫き爆散した。

 

 

「へ!? な、何よ今の!?」

 

「凰さん、彼処ですわ! ピットの入口!」

 

 

セシリアの指差す先には、長大な弓を構えたアーマードライダーが佇んでいた。

 

その姿は、倭の戦極ドライバーに残されていた映像の「白いアーマードライダー」に酷似している。

 

だが、そのプロポーションは女性らしい細身で、装甲も網目の無い青味掛かった色をしている。

 

と、そこまで判別出来た時、鈴の耳に通信が入る。

 

 

『お待たせしました! ピット内のインベスは一掃しましたので、これから援護に入ります!』

 

通信の相手は山田先生のようだ。

 

 

「山田先生!? わ、わかりました!!」

 

 

通信に返事を返し、再びピット入口に目を向ける。

 

だが、もう其処には誰も居なかった。

 

代わりに、

 

 

「待たせたな、ガキ共。 此処からは任せろ」

 

 

怒りが炎として実体化したかと錯覚する程の雰囲気を身に纏った織斑先生が、打鉄姿で何時の間にか鈴達の側に来ていた。

 

 

「ち、千冬さん……」

 

「何時の間に……全く気付きませんでしたわ……」

 

「ふん、貴様等が鈍いだけだ。 ーー行くぞ、雑魚共」

 

 

それからは、正に織斑先生の独壇場だった。

 

群がる飛行型初級インベスの攻撃は擦りもせず、瞬きの間に数体纏めて真っ二つに分かれて墜ちていく。

 

その剣技は、現役時代と比べても何ら劣る物では無かった。

 

その光景に、鈴はただ呆然とするしか無かった。

 

 

「凰さん? どうかしまして?」

 

「え? ああ、ちょっとね……ねえ、オルコット。 世界の壁って、高いわよね」

 

「ええ、見上げるのも馬鹿馬鹿しくなる程に。 ですがーー」

 

 

そこまで言って、セシリアは不敵に笑う。

 

 

「ーー何時の日か追い付いて……追い越して見せますわ。 そうで無ければ、代表候補生などと名乗る意味なんてありませんもの」

 

 

その答えに、鈴も愉快そうに笑う。

 

 

「それ、アタシに対する宣戦布告と取っていい訳ね」

 

「勿論ですわ。 お互い、目の前の代表候補生に勝てないようではーー」

 

「ーー世界最強なんて名乗れないわよね?」

 

 

そう言って、二人はどちらとも無く笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 




次回辺りでこの章も終わりですかね


それではまた
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