IS ーバトライド・クロニクル   作:帰灰燼

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もうライダー関連でサブタイ決めるのやめようかな……


第六話 プライドと決闘と売り言葉

 

 

 

 

「つまり、適性さえ判明しなければ来るつもりは無かったと?」

 

「おお。 てか、適性が分かってからどれだけマスコミの奴らが押し掛けてきたと思ってんだ! この前なんか、いきなりナントカ研究所とかいう奴らに拉致されそうになったんだそ! 千冬さんが来てくれなかったらどれだけ厄介な事になってたと思ってんだ!」

 

「まあまあ、落ちつけって。 まあそういう事だからさ、俺達はISに触れた事すら無かったんだよ。 倭は聞いての通りだし、俺と巧はその後の一斉適性検査に引っ掛かってここに送り込まれた訳だしさ」

 

「まさか、二匹目のドジョウ狙いで全国一斉に男子のIS適性検査が行われるなんて思わなかったからな。 正直いい迷惑だ」

 

「お、思ったより大変なのですわね……」

 

 

三者三様の態度に、セシリアの方が思わず引く。

 

 

「それにしても、ISを容易く破壊する怪物に、それを退治する「仮面ライダー」……俄かには信じがたいですわね」

 

「確かに、実際目の前で見た俺ですら未だに信じられねえんだよなあ……」

 

「てか、それって都市伝説の類だろ? 大方、新型のISを見間違えたんじゃねえか?」

 

 

因みに、唯一倭に正体がバレていない真司も含め、「仮面ライダー」の正体は明かしていない。

 

巧からは口止めされている事もあるが、「IS並の戦力を有しながら男性も使えるパワードスーツ」などという代物がもし世間に広まれば、その所有者はどのように扱われるか分かった物では無いと判断したからだ。

 

 

「だが、全身装甲のISなど未だに誰も開発していないだろう。 仮に姉さん以外が開発出来たとして、そんな珍しい代物が都合良く事態収拾に来るものか……」

 

 

箒の言葉に、その場の全員が渋い顔で溜息をつく。

 

 

「と、とにかく、ISの事でわからない事があれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げない事もありませんわ。 下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですし、それにわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

「エリートねえ……あれ、そういや倭って教官に勝ってなかったか?」

 

「ちょっ、いきなり何言ってんだよ!!」

 

 

慌てて真司の口を塞ぐが、時既に遅し。

 

 

「……は?」

 

 

見ると、セシリアが目を点にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてこうなった……」

 

「だから悪かったって。 いつまで腐ってんだよ」

 

「どうしてこうなった……」

 

「駄目だこりゃ、全然聞こえてねえぞ」

 

「どうしてこうなった……」

 

「むう……仕方ない、千冬さんでも呼ぶしかーー痛っ!?」

 

「織斑「先生」と呼べ、馬鹿者」

 

 

いつの間にか背後に立っていた織斑先生から愛の鞭ならぬ出席簿を食らう箒。

 

 

「全員揃っているな。 丁度いい、部屋の鍵を渡しておく」

 

「へ? 俺達って、暫くは自宅からの通いだって聞いたんですけど?」

 

「それがですね、事情が事情なので、政府の命令で無理矢理部屋割りを変更したらしいです。 ……皆さんはその辺りの事を聞いてます?」

 

「いえ、全然」

 

「みーとぅー……」

 

 

山田先生からの問い掛けに、真司と項垂れたままの倭が揃って首を振る。

 

 

「いつまで不貞腐れているか、馬鹿者。 大神はどうなのだ?」

 

「ま、聞いてはいませんが予想はしてましたよ。 何せ世界中掻き集めても五人しかいない男性IS操縦者だ、自宅からはるばる通学させて万が一何かあった日には、何を言われるかわかったもんじゃない」

 

「なるほど、つまり貴重なモルモットなんだからちゃんと檻に繋いどこうって訳か」

 

「人聞きの悪い言い方をするな赤城。 お前も女権団体から脅迫の手紙を送られた事くらいあるだろう」

 

「あー、確かに」

 

「実際、そこで頭を抱えている馬鹿者は某国の遺伝子工学研究所の人間に拉致されかけたからな。 女権団体が同じような事をしないとも限らん」

 

「なるほど……そういう事情だったらしゃーないか、俺だって命は惜しいし」

 

「理解して貰えたようで何よりだ。 山田先生、鍵を」

 

「はい、織斑先生。 大神君と赤城君は1030号室、橘君と篠ノ之さんは1025室ですね」

 

「いやちょっと待った! 今ナチュラルに変な事言ってましたよね!?」

 

「やっと復活したか。 たかがオルコットとの模擬戦でそんなに不安になる事も無いだろうに」

 

「火種にガソリンぶち込んだ人がそれ言いますか!?」

 

 

倭がこれ程憤慨しているのには訳がある。

 

先程の休み時間明けの授業にて、開始直後にセシリアが織斑先生に山田vs教官戦の詳細開示を要求した所、どうやら記録していたらしい映像を公開したのだ。

 

まあ、クラスの大半が教官のドジっぷりに大爆笑していたが(因みに、よく見たら山田先生だった。 勿論本人は涙目)。

 

だが、セシリアには他のクラスメイトとは違う物が見えていたらしく、何か考え込んでいたと思ったら突然「決闘ですわ!!」と一言。

 

織斑先生も注意するどころか、丁度いいとばかりに決闘の勝者を再来週に行われりクラス対抗戦の代表者とする事を宣言。

 

当然、倭は勝手に決めるなと抗議するが、勝負から逃げるのかと織斑先生とセシリアの両者から煽られ、気がついた時には後の祭り。

 

わざわざ「やってやらあ!!」の一言を録音までされ、めでたく国家代表候補生vsIS初心者の無理ゲーが決定したのだった。

 

 

「仕方あるまい、上の方から男性操縦者の稼働データの収集を指示されているんだ。 代表候補生との模擬戦程好都合な状況はあるまい」

 

「ああそうですか……それで、箒と相部屋なのは何でなんですか? もしかして、身内を監視役として充てようって腹ですか?」

 

「そうなのですか、ちふーー織斑先生」

 

「それもあるがな……お前は私や束の覚えも悪くないし、篠ノ之に至っては束の肉親だ。 政府からしてみれば、護りやすいに越した事はあるまい」

 

「ああ、厄介者を一纏めにしとこうって腹か。 けど、篠ノ之は納得出来るのかよ?」

 

「まあ……確かに見知らぬ男子と同棲というのは抵抗はあるが……」

 

「いや同棲て」

 

「何だったら俺が代わるか? 身内に年頃の女がいるんでな、倭よりは不快じゃないと思うぜ?」

 

「大神か……篠ノ之、どうする?」

 

「そうですね……」

 

 

暫し考え込んだ後、小さく頷く箒。

 

 

「巧、その言葉に甘えて構わないか?」

 

「ああ、任せろ」

 

「一ヶ月程すれば部屋割りの調整も終わると思いますから。 すいませんが、それまでは相部屋でお願いしますね」

 

「分かりました。 じゃあ、荷物持ってくるんで今日は帰っていいですか?」

 

「あ、いえ、荷物ならーー」

 

「私が手配しておいた。 着替えと携帯の充電器があれば問題あるまい」

 

 

簡潔にも程があるのは気のせいでは無いだろう。

 

 

「大神と赤城は身内の方が既にこちらに送ってくれている筈だ。 部屋の前に置かれている筈だから、他の者に開けられる前に回収しておけ」

 

「「分かりました」」

 

「あ、因みに男子の皆さんは今の所大浴場には入れませんので気をつけて下さいね」

 

「ま、当然でしょうね」

 

「風呂は部屋に備え付けのシャワー室で済ませろ。 では、寄り道せずに帰れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、1025室。

 

 

「済まなかったな、大神。 無茶を言ってしまった」

 

「気にするなって。 俺からしてもやかましい奴と同室ってのは御免だったんでな」

 

「ふふ、確かに真司は少し軽薄そうではあったな。 ……なあ巧、本当に私と初対面か?」

 

「ああ、違いないぜ。 気になる事でもあるのか?」

 

「いや、気になるという程でも無いのだが……お前とは、初めて会った気がしなくてな。 何と言うか、妙に安心出来るというか……おかしいよな、初めて会った筈なのに……」

 

「そうか……悪いが、シャワー使わせて貰うぜ。 先に寝てて構わないぞ」

 

「ああ」

 

 

シャワー室へ消えて行く巧をそれと無しに眺める箒。

 

その背中に、とある幼い少年の姿が重なる。

 

 

「……未練、だな。 あいつはもう居ないというのに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡の向こうに、眼鏡を外した自分の姿が見える。

 

 

「……ったく、今更どの面下げてって奴だな……」

 

 

自重気味に嗤うその瞳はーー不吉な迄に「緋かった」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はセシリアとの決闘です


それではまた
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