また続くかもしれません
旅先で作成した魔道具の数々を整理することにした俺は、整理している最中に作成途中だった地図を発見。
その時に必要になるものの位置を示すという魔道具である地図を完成させておくことにした。
少々時間がかかったが朝食の前には完成させることができたので、朝飯前であったことは確かだ。
ホグワーツの朝食は朝から豪勢であり、フレンチトーストと分厚いベーコンを使ったベーコンエッグを皿から取り分けておくと、校長であるアルバスの話が始まる。
朝食前ということで手短に終わったアルバスの話。生徒達が注目している席を見てみると仲良く一緒に座っているセブルスとリリー・エバンズの姿が見えた。
セブルスの恋が実って付き合い始めた姿を見ているホグワーツの生徒達は、純粋にセブルス達を祝福していたようだ。
しかし何故かホグワーツで愛の告白をする時に、俺から貰ったネックレスをプレゼントすれば両想いになれるという噂が流れていたようで、恋に悩む生徒達が俺の部屋まで押し寄せてくるという事態になった。
明らかにセブルスが原因だが、噂を鵜呑みにしている生徒達にこそ問題があるな。
噂は噂でしかないから本当に両想いになれるとは限らないぞ、と俺が言うが、それでも欲しいと退かない生徒達。
「欲しいと言われて簡単に渡せる品ではない、きみ達が守護霊の呪文で有体守護霊を呼び出せるようになったらネックレスをプレゼントしよう」
そう言ってネックレスを欲しがる生徒達を追い返しておき、静かになった部屋で、たまには本でも読もうかと思っていると部屋の扉がノックされる。
今度は誰かと思って扉を開ければスラグホーンとトムに校長であるアルバスまで加わった3人が立っていた。
立たせたままというのも失礼なので、俺の部屋に3人を招き入れてから杖なし魔法で椅子と机を引き寄せておき、紅茶と茶菓子を用意しておく。
全員が椅子に座ったところで、アルバスから話を切り出す。人狼についてどう思っているか聞いてきたアルバスに、治療が可能なのか興味がある程度だな、と答えておいた。
それからも人狼について色々な質問や、人狼と出会った時にどう対処するかということを聞いてくるアルバスと、黙って紅茶を飲んでいるスラグホーンとトム。
ようやく俺が人狼について偏見や差別意識を持っていないと判断したアルバスは、ホグワーツの生徒の中に人狼がいることを明かしてきた。
グリフィンドールの2年生のリーマス・ルーピンが人狼であることを知っているのは、今此処にいる者達だけらしい。
アルバスは俺にも人狼という症状を抑える魔法薬を作る為の手伝いをしてほしいようだ。
日本で旅をした時に河童に治療薬について教わったり、人魚に生き血を提供してもらったりもして、治療に関する魔法薬について特に詳しくなったが、出会った魔法生物達からも色々と材料を提供してもらったりもしたな。
という訳で豊富にある様々な材料を3人に見せてみると物凄く驚いていた3人。
それから場所を移して全員で人狼の症状に効果がある魔法薬を作っていくことになり、強力な毒が必要となることがわかった。
トリカブト程度の毒では、完全な治療薬は作れないだろう。人狼の狂暴性を抑えて理性を保つことはできるだろうが、それは完全な治療薬とは言えない。人狼を完全に治療する為には、もっと強力な毒が必要となるようだ。
スラグホーンとアルバスが頭を悩ませている時に、俺がバジリスクの毒ならどうだろうか、と言ってみると、トムが秘密の部屋に行ってバジリスクから毒を貰ってきます、と言い出してアルバスとスラグホーンを驚かせていたな。
もう秘密の部屋は開かないと言っていたトムが、生徒のことになれば真剣になって、自分の決めたことを曲げてでも生徒を助けようとしている。
トムは、生徒を大事にする立派な教師になった。
俺は、そう思う。
秘密の部屋から直ぐに帰ってきたトムが持つ大きな瓶にはバジリスクの毒が詰まっており、治療薬に使う原材料としては充分な量があるようだ。
それからしばらく調合作業が続いていき、分霊箱すらも破壊することができるバジリスクの強力な毒を使った人狼の完全な治療薬が遂に完成。
しかしいきなり生徒に飲ませるのは問題がありそうなので、実験に使っても構わない相手を捜す必要があった。
完成した治療薬を詰めた瓶を持って、ホグワーツから空を飛んで移動した俺は、魔道具の地図を使って人狼であるフェンリール・グレイバックを捜し出してから魔法で動きを封じ、強引に治療薬を飲ませる。
飲ませた治療薬で、即座に死亡するということもなく五体満足で生きているフェンリール・グレイバック。
とりあえず人に飲ませても問題がないということは確認できたので悪質な犯罪者でもあったフェンリール・グレイバックを魔法省に引き渡しておき、ホグワーツに戻ることにした。
その後俺がホグワーツに帰ってきてから、リーマス・ルーピンを呼び出して人狼の完全な治療薬を飲んでもらうことになったが、治療薬を飲んだ本人であるリーマス・ルーピンが言うには物凄い味がしたらしい。
人狼を完全に治療する効果ばかりを気にしていて確かに味までは気にしていなかったか。
都合良く、明日の夜は満月の日である。治療薬でリーマス・ルーピンが人狼ではなくなったかどうか確かめるにはちょうどいい日だ。
明日の夜は叫びの屋敷にリーマスと共に向かうとしよう。
トムとアルバスも俺と一緒に立ち会うつもりのようだが、スラグホーンだけは遠慮するらしい。
まあ、流石にそこまで付き合わせる必要はないか。人狼の治療薬の調合で、スラグホーンには充分に働いてもらった。
全員で作成した人狼の治療薬の効果を確認するのは俺達3人だけにしておくとしようか。
翌日、夜になる前にリーマス・ルーピンを連れて叫びの屋敷へと向かっていき、これから月明かりが入ってくる部屋で、いつでも魔法が使えるように杖を構えたアルバスとトム。
夜になり満月となって、月明かりが叫びの屋敷内にある部屋へと入ってきた。
満月に照らされたリーマス・ルーピン。
人狼のままであるなら、満月を見たリーマス・ルーピンは人狼に姿を変えていた筈だが、リーマス・ルーピンは人の姿のままで全く変化していない。
涙を流して喜んでいるリーマス・ルーピンは、治療薬によって完全に人狼から解放された。
人狼ではなくなったリーマス・ルーピンは、これからもホグワーツで生徒として過ごせる筈だ。
ほとんど伝説上の生物であるバジリスクの毒が重要な人狼の完全な治療薬は、ホグワーツ以外で作ることは不可能に近いだろう。
高度な調合技術も必要になるのでスラグホーンやトム並みの腕が無ければ作れない治療薬でもある。
アルバスの不死鳥の涙や、俺が提供した水中人とは全く違う日本の人魚の生き血も原材料に入っているので、この治療薬に値段をつけるとしたら凄まじい金額となることは間違いない。
学生であるリーマス・ルーピンには絶対に払えない金額なのは確かなので、支払いを求めるようなことはしないでおいた。
リーマス・ルーピンは俺達に呼び出されて治療薬を飲んだだけということになるだろう。
今回の完全な人狼の治療薬は、人狼治療薬と名付けられて、この人狼治療薬を欲しがる人狼には、ホグワーツは無償で治療薬を提供するようだ。
人狼となって苦労してきた人々にとっては朗報であることは間違いない。
とはいえホグワーツに人狼達が押し寄せてきても困ることになるので、完成した人狼治療薬は希望者の自宅に届けられる形となる。
日本の人魚である八尾に配慮して人狼治療薬のレシピを公開することがなかった為、正確なレシピが公開されていない人狼治療薬のことを信じられていない者達も多数存在していたようだ。
しかし人狼治療薬を飲んだ者達が人狼となることがなくなった姿を確認できた者達が多数おり、人狼治療薬が本当に人狼を治療することが可能だとようやく信じられたらしい。
それからは多数の人狼達から人狼治療薬を望まれることになり、俺達はホグワーツで授業を行ってから、ひたすら大量の人狼治療薬を作成するという日々を過ごすことになる。
1度飲めば2度と人狼になることはない人狼治療薬を希望する者達の数だけ作成して配送し終えた俺達は、一仕事終えた気分になっていたが、明日もホグワーツでは普通に授業があった。
年齢的に体力に限界がきていたスラグホーンがダウンすることになり、明日の魔法薬学は俺が引き受けることになったようだ。
翌日の魔法薬学では火傷の治療薬を作ることを決めて、ホグワーツの生徒達に手本として俺が火傷の治療薬を作成してみせてから実際にやらせてみる。
順調に作っている生徒もいれば苦戦している生徒もいて、向き不向きというものが良くわかった。
俺からの助言もあって、なんとか生徒全員が火傷の治療薬を作ることができたが、特に出来が良かったのはレイブンクローの生徒だったな。
「この火傷の治療薬は、実に良くできている。レイブンクローに10点」
俺が加点しておくと喜んでいたレイブンクローの生徒達。まだ彼等は2年生であるから、ホグワーツにようやく少し慣れてきたところだろう。
ハッフルパフとレイブンクローの2年生と行った魔法薬学の授業を終えて、次はグリフィンドールとスリザリンの上級生と魔法生物飼育学の授業を行っていく。
俺が杖なし魔法で作成しておいたヒッポグリフの精巧なゴーレムを使って、ヒッポグリフについて学んでいくことになったグリフィンドールとスリザリンの上級生達。
ヒッポグリフを発見しても不用意に近付かないようにと生徒達に注意点を教えておき、どう対応するのかが正しいかもしっかりと教えておいた。
実際にヒッポグリフに乗ってみたいというグリフィンドール生に、ヒッポグリフとの触れ合い方も教えておき、誇り高いヒッポグリフには敬意を持って接するようにと忠告を言っておくと、グリフィンドール生は頷いていたな。
ホグワーツの校内にある森にはヒッポグリフも生息しているが、ヒッポグリフに乗りたいとしても1人で勝手に森には行かないようにとグリフィンドール生には釘を刺しておく。
それからはヒッポグリフのゴーレムを使って授業を続けていくと、見事な対応を見せたグリフィンドールとスリザリンの上級生達。
とりあえずグリフィンドールとスリザリンに10点ずつ加点しておいたが、上級生にもなると加点されても落ち着いていたな。
問題なく授業が終わって部屋に戻ったところで、有体守護霊を出せるようになった生徒達が俺にネックレスを貰いにやってきた。
実際に守護霊の呪文を唱えて、有体守護霊を出現させた生徒達。10人は居るが、よくこの短期間で有体守護霊を出せるようになったものだと感心する。
それぞれの有体守護霊である動物を元に、強力な守りの魔法を込めた銀色の動物のネックレスを作成して渡しておいたが、ネックレスを受け取った生徒達は、これから愛の告白をしてくるようだ。
まあ、頑張ってくれとしか言い様がないな。
後日聞いた話によると、どうやら全員告白が成功したらしい。それはめでたいことなのかもしれないが、俺が作成したネックレスを欲しがる生徒が更に増えそうな予感もした。
その予感は正しかったようだ。
ホグワーツで結婚相手を捜す生徒は、とても多かったようで凄まじい数の生徒達が俺の部屋に押し寄せてくる。
ネックレスネックレスとうるさい生徒達を黙らせて、守護霊の呪文で有体守護霊を出せるようになってから出直してこいと追い返しておいた。
俺に追い返された生徒達は所属する寮の上級生に教えを乞いに行ったり、優秀な同級生に助けを求めるものもいたりして、守護霊の呪文で有体守護霊を出せるようになる為に、あらゆる手を使っていたらしい。
時には寮すらも越えて助言を求める生徒もおり、寮の垣根を越えてホグワーツが一体となっているようで、守護霊の呪文に真剣に取り組んでいる生徒達。
ホグワーツの本来の授業に取り組むよりも生徒達が真剣なのは、人生がかかっているからだろう。
毎日校内のいたるところで守護霊の呪文が唱えられており、銀色の煙まで到達している生徒達もちらほら居た。
そろそろ有体守護霊まで出せるようになる生徒が出てきてもおかしくはない。
俺がネックレスの作成を頼まれる時は近そうだ。
ホグワーツが休暇に入る前に、なんとしても俺からネックレスを貰いたい生徒達は、必死に守護霊の呪文を唱えている。
数日後、遂に有体守護霊にまで到達した生徒が出た。
しかし出た有体守護霊がカモノハシだったので、その生徒はショックを受けていたようだ。
なんとか俺にネックレスのデザインを変更してもらえないか頼んできた生徒に断りを入れて、銀色のカモノハシのネックレスを作成して渡しておく。
これで愛の告白ができるのか、と迷っていた生徒だったが、覚悟を決めたようで、行ってきますグリンデルバルド先生、と言って俺が作成したネックレス片手に部屋から出ていった生徒。
確かあの生徒が好きな相手はハッフルパフの上級生で、カモノハシが大好きだった筈だから、何も問題はない。
ただ片想いをしているだけで、あまり相手のことをリサーチしていない生徒が最近は多いような気がするな。
まあ、幼馴染みで結ばれて、幸せそうなセブルスとリリー・エバンズを見た生徒達は、自分もあんな風になりたいと思ってしまったのだろう。
ホグワーツの休暇が近づいてきたところで、俺の部屋にレギュラスが友人を連れてやってきた。
レギュラスの友人であるというバーティ・クラウチ・ジュニアが緊張しているようだったので、特製のバタービールを提供して落ち着かせておく。
俺が用意した特製のバタービールを一口飲んで、美味しい、と言って緊張が解けた様子のバーティ・クラウチ・ジュニア。
僕の大切な友人を、色々とお世話になったグリンデルバルド先生に紹介しようと思ったんです、と言ったレギュラス。
大切な友人とレギュラスに言われて照れている様子のバーティ・クラウチ・ジュニアは、まだまだいたいけな少年だった。
仲の良い生徒達に、微笑ましい気持ちになった俺は、試しに作成した特製の和菓子を出してみる。
今まで見たことのない様々な種類の菓子に目を輝かせた少年達。和菓子を食べていった2人は、気に入ったものがあるようだ。
レギュラスは芋羊羹が特に気に入ったようで、バーティ・クラウチ・ジュニアは、どら焼きが1番気に入ったらしい。
お試しということで量は多くなかった和菓子は、直ぐにレギュラスとバーティ・クラウチ・ジュニアの腹の中に消えていく。
夕食前なので腹一杯になるということがないように、気を付けていたが2人は食べたりないと言いたげな顔をしていた。
「これから夕食なのだから我慢しておきなさい2人共。夕食前に生徒を菓子だけで腹一杯にしたら俺がダンブルドア校長に叱られてしまうから今日はこれ以上食べさせることはできないぞ。また今度俺の部屋に食べにくればいい」
そう俺が言うと、わかりましたグリンデルバルド先生、と素直に従った2人。
あんな美味しいお菓子初めて食べました、と言ってきたバーティ・クラウチ・ジュニアに、和菓子という日本の菓子だが、気に入ってくれたなら嬉しい、と言いながら笑いかけておく。
じっと此方を見ていたバーティ・クラウチ・ジュニアが、グリンデルバルド先生は授業中は凛々しい感じなのに、今は穏やかで優しい感じがしますね、と言った。
まあ、授業は授業でプライベートはプライベートで切り換えているから、雰囲気が違うように感じたのだろうな。
授業中はホグワーツの教師であるから、切り換えるようにしているとバーティ・クラウチ・ジュニアに言っておくと、今のグリンデルバルド先生の方が接しやすいと思います、と言うバーティ・クラウチ・ジュニアと頷くレギュラス。
「さて、そろそろ夕食だ。会話は終わりにして移動するとしよう」
俺の言葉に席を立つレギュラスとバーティ・クラウチ・ジュニア。スリザリンの2年生である2人を連れて食事をする場所まで移動していく。
寮ごとに分かれている席でスリザリンが集まる場所に、レギュラスとバーティ・クラウチ・ジュニアを連れていき、空いている席に座らせておいた。
2人を座らせてから教員用の席にまで向かうと、アルバスの右隣が空いていたので静かに席に座る。
休暇に入る直前ということで、ホグワーツに残る生徒達や、家に帰る生徒達に向けた言葉をアルバスが校長として言った。
アルバスの生徒達を思いやった言葉は、しっかりと生徒達に伝わっていたようだ。
それから夕食が始まり、ホグワーツの屋敷しもべ妖精が作った夕食を食べながら生徒達の様子を観察してみると、セブルスとリリー・エバンズ以外にも何組か寮が違う生徒達が一緒に夕食を食べている姿が見える。
見覚えのあるその生徒達は、俺が作成したネックレスをプレゼントして両想いになることができた生徒達だった。
上手くいっているようで何よりだが、彼等は他の生徒達から様々な種類の視線を向けられていたな。
もっとも多い視線が羨望であり、憎しみがこもった視線が全くないことは、ホグワーツが平和だという証拠だと言えるだろう。
ホグワーツが休暇に入り、生徒達の大半が家に帰っていく。現在ホグワーツに残っている生徒は数少ない。
ホグワーツに残った事情がある訳ありの生徒達は、全員問題を起こすことなく静かにホグワーツで過ごしているようだ。
休暇中に、残っていた仕事を全て終わらせてから、気分転換としてホグワーツをしばらく出ることにした俺は校長であるアルバスに外出許可を貰ってからホグワーツを出ていく。
杖なし魔法で透明になって空を飛び、様々な場所まで行って旅をしていた俺は、とある町で魔法族の幼い子どもと出会う。
その幼い子どもの名は、クィリナス・クィレル。魔法族と非魔法族との間に生まれた子どもであるクィリナス・クィレルは、幼いながらも聡明な子どもだった。
もしも将来ホグワーツに通うとしたら、クィリナス・クィレルが組分けされるのはレイブンクローになるだろう。
初めて出会った家族以外の魔法使いに興味津々だったクィリナス・クィレルは俺に様々なことを聞いてきた。
答えられることには答えておき、俺が出会った様々な魔法生物の話をしてみるとワクワクしていたクィリナス・クィレル。
実際に魔法生物を見てみたいと言うので、様々な魔法生物の形をした精巧なゴーレムを複数体作成して、クィリナス・クィレルに見せておくと喜んでいたな。
ゴーレムは残しておくと問題がありそうなので、杖なし魔法で全て消しておくことにしたが、クィリナス・クィレルがそれをとても悲しんでいた。
余りにも悲しんでクィリナス・クィレルが泣いてまでいたので、手に乗る大きさで、様々な魔法生物に姿を変える小さな箱型魔道具を作成して、それをクィリナス・クィレルにプレゼントしておく。
クィリナス・クィレルの掌の上で姿形を自在に変える小さな魔道具。様々な魔法生物に姿を変える魔道具に笑顔を取り戻したクィリナス・クィレルは嬉しそうに笑っている。
その魔道具は魔法を知らない相手には見せないように、とクィリナス・クィレルと約束しておき、素直に了承したクィリナス・クィレルに、素直な良い子にはお菓子もあげよう、と作成した和菓子である特製のカステラを一切れ渡しておいた。
カステラをパウンドケーキだと思っていたクィリナス・クィレルに、日本という国のお菓子だと説明すると、珍しいお菓子だと喜んでいたな。
美味しそうにカステラを食べたクィリナス・クィレルが幸せそうに笑う。
そろそろ移動しようかと思ったところで、別れを告げると寂しそうな顔をしていたが、いずれホグワーツで会おう、と俺が言うと、頷いて笑顔を見せてくれたクィリナス・クィレル。
いずれホグワーツにクィリナスが来たら歓迎してやるとするか。
そんなことを考えながら杖なし魔法で透明になって空を飛び、日本へと向かうと海に近付いて友人になった人魚の八尾と一緒に作成した笛を吹く。
笛の音で呼び出された人魚の八尾に、以前提供してもらった生き血で助かった人が沢山居ることを伝えておくと、八尾は笑っていた。
それからしばらく人魚の八尾と話をしていると、魚を取ってきた八尾が手早く捌いて、刺身の盛り合わせを作り、一緒に食べよう、と言ってきた八尾。
一緒に刺身を食べていると、じっと此方を見ていた八尾に、どうしたのか聞いてみると、何でもないと言って八尾は笑う。
食事を終えてから、八尾との会話を続けておくと、また生き血を提供しなくてもいいのかという話になった。
万病や外傷を治すという日本の人魚の生き血を、再び人魚の八尾に提供してもらった俺は、八尾に欲しいものがないか聞いてみる。
すると指輪が欲しいと言ってきた八尾。俺が作成した魔道具であるサファイアの指輪を八尾にプレゼントしておく。
強力な守りの魔法が込められたサファイアの指輪は人魚の八尾を守ってくれることだろう。
それからえら昆布を食べた俺は八尾と一緒に海を一泳ぎしてから、えら昆布の効果が切れる前に陸へと戻り人魚の八尾と別れた。
海水で濡れていた服を杖なし魔法で乾かして清めると一瞬で綺麗になった服。そろそろホグワーツに戻っても良いかもしれないと判断して、俺は杖なし魔法で透明になって空を飛んでホグワーツへと戻っていく。
到着したホグワーツで部屋に戻ると、俺が帰ってきたことに気付いたのか、部屋がノックされる。
扉を開けると、そこにいたのはトムだった。グリンデルバルド先生チェスでもしませんか、と言ってきたトム。
他の教師はアルバスも含めて俺のことをゲラートと呼ぶが、トムだけは学生時代と同じくグリンデルバルド先生と言う。
その理由を聞くと、トムにとって俺はいつまでも恩師で尊敬すべき先生であるかららしい。
魔法界のチェスは駒が動くので、普通のチェスよりも迫力がある。トムと一緒にチェスをしているとアルバスまでもがやってきて、俺とトムのチェスを観戦していた。
とりあえずチェスは俺が勝ったがトムは、俺に相談したいことがあるようだ。
ホグワーツの卒業生でありブラック家の分家、ベラトリックス・ブラックから、トムは熱狂的なアプローチを受けているらしく、遠回しに結婚してください、と何回も言われて物凄く困っているようである。
渋いイケメンで優秀な教師であるトムにアプローチをかけてきた生徒は何人かいたようだが、ベラトリックス・ブラックほど諦めの悪い生徒は初めてであるらしい。
何度断りを入れても、決して諦めないベラトリックス・ブラックの執着は凄まじいようで、トムは完全に困っていた。
トムが別の誰かと結婚しなければ諦めないような気がする、と率直な意見を言ってみると、やっぱりそうですか、と項垂れるトム。
今のトムには誰かと結婚するつもりはないようだ。死ぬまで独り身でいるつもりである今のトムにとっては、ベラトリックス・ブラックは迷惑な相手でしかないのかもしれない。
ベラトリックス・ブラックの妹であるナルシッサ・ブラックが、純血で名家のルシウス・マルフォイと婚約が決まっていることで、ベラトリックス・ブラックは自由に結婚相手を選べるようになっていたことが、トムにとっては不運だったのだろう。
優秀な魔法使いであるトムとの結婚に分家のブラック家も乗り気であるようで、ベラトリックス・ブラックを止める存在は居ない。
トムが優秀な魔法使いでなければ分家のブラック家も反対していたことは間違いないが、優秀なトムであるならばと受け入れられてしまったことは、トムにとっても想定外だった。
これからもベラトリックス・ブラックからトムへのアプローチが続くことは間違いないな。
流石に結婚するには年齢的に問題がある歳になったらアプローチは止まるかもしれないが、それまで何十年もかかるだろう。
ちなみにかつて渋いイケメンだった頃のアルバスが生徒に告白された時は、ゲラートが好きだからきみの気持ちには応えられないと言って断っていたらしい。
それは知りたくなかった。
アルバスのその断り方を聞いたトムが、僕は女性を好きになれないと言って断ったらベラトリックス・ブラックは僕を諦めるでしょうか、と言い出す。
どうやらトムは大分追い詰められているようだ。とりあえずその方法は、もしこれから好きになった女性ができたら困るから止めておきなさい、と言っておいた。
トムが好きな特製のバタービールを渡しておくと、一気に飲み干したトム。とにかくベラトリックス・ブラックと結婚はしたくないトムは、頭を悩ませている。
「嫌なものは嫌でいい。トムは生徒だった相手を傷つけないように優しく断り過ぎていたんじゃないか?たまには厳しく減点をする時のような気持ちで断りを入れてみたらどうだろうか」
俺がそう言ってみると、今度手紙が届いた時は完全に脈が無いということがわかるように厳しく断りを入れてみます、と言ったトム。
それから数日後、ベラトリックス・ブラックが失恋して部屋にひきこもっているという情報が魔法界に流れたらしい。
スッキリした顔をしていたトムの様子から、ベラトリックス・ブラックとトムの縁は完全に切れたようだ。
ベラトリックス・ブラックがトムに断られてもアプローチをかけてきていたのは、トムが今まで優しい言葉で断りを入れていたからだったのかもしれない。
断りを入れるトムに足りていなかったのは、きっぱりと切り捨てる厳しさだったみたいだな。
うまくいく関係もあれば、うまくいかない関係もある。
人間関係は難しいな、と思いながら授業で使うゴーレムを、俺は杖なし魔法で作成していった。
原作と違う点
セブルス・スネイプとリリー・エバンズの影響でグリフィンドールとスリザリンの溝が無くなってきており、交流が増えている
フェンリール・グレイバックが人狼ではなくなり魔法省に捕まっている為、人狼を積極的に増やす存在が減った
リーマス・ルーピンが人狼治療薬で人狼ではなくなった
脱狼薬よりも先に人狼治療薬が発表されて、人狼治療薬の作成者である4人に勲章が送られる
人狼治療薬によって人狼の数が凄まじく減って、新しく人狼になった人も人狼治療薬で直ぐに治療される為に、人狼の数が凄まじく減少した
バーティ・クラウチ・ジュニアが死喰い人になっていないので、バーティ・クラウチ・ジュニアの母親がアズカバンに身代わりで送られることがない
グリンデルバルドからネックレスを貰う為に、守護霊の呪文を覚えているホグワーツの生徒が多くなっている
幼い頃にグリンデルバルドと出会ったクィリナス・クィレルは、マグル学よりも魔法生物飼育学に強い興味を示すようになって活発な性格となり、ホグワーツでいじめられるようなことがなくなった
ベラトリックス・ブラックが死喰い人になっていない
トムに一目惚れしたベラトリックス・ブラックがベラトリックス・レストレンジにならずトムに執拗なアプローチをかけたが、トムにバッサリと断られて失恋
ベラトリックス・ブラックは失恋を引きずり分家のブラック家で引きこもる生活を続けていたが、新しい恋と出会って、幸せな家庭を築く