まだ続けられそうなのでもうちょっと続けていこうと思います
ホグワーツを卒業したギルデロイ・ロックハートはジャーナリストとして取材をして記事を書き、金を稼ぎながら本を書いていたようである。
そしてギルデロイ・ロックハートが書きあげた記念すべき第一作の本の題名は、グリンデルバルドの冒険というものになった。
かつて俺が魔法生物達と出会った時のことをギルデロイ・ロックハートには話しており、ホグワーツを卒業したらその内容で本を書きたいと言ったギルデロイ・ロックハート。
脚色しないなら別に本を書いても構わないと言っておいたので、いずれ本が出ることはわかっていたが、それでも第一作目になったことは少々驚いたな。
魔法界で出版されて販売されているグリンデルバルドの冒険は、売れに売れているようで、人気の本となっているらしい。
グリンデルバルドの冒険を何冊もまとめ買いしていく魔法使いの多くは、銀色の動物の形をしたネックレスを首にかけているホグワーツの卒業生であるようだ。
そんなホグワーツの卒業生達は、まとめ買いしたグリンデルバルドの冒険を職場で配って布教をしているようである。
一躍人気作家として有名になったギルデロイ・ロックハートが、人気者になれて喜んでいることは間違いない。
現在ホグワーツは休暇に入っており、今回クィリナスは両親の元に帰らせているので、暇な時間ができていた。
魔法生物飼育学の教師としての仕事は、ホグワーツが休暇に入ってから直ぐに終わらせているから本当にやることがない。
暇潰しに、ギルデロイ・ロックハートから届いたグリンデルバルドの冒険を読んでみるのも悪くないだろう。
我が恩師、グリンデルバルド先生の冒険の記録を此処に記そう、という文から始まっていくのは、かつての俺の冒険の話。
旅先での出会いとは様々なものである。魔法界を旅する俺は魔法生物と遭遇することが多かった。
人に友好的な魔法生物もいれば、そうではない魔法生物まで存在しており、旅先では様々な出会いをしたが、特に記憶に残っている魔法生物達との出会いがある。
本を読みながら、そんなかつての記憶を思い出していく。
世界中に生息している天馬。その群れと出会った時のことだ。どうやら天馬は酒も飲めるようで、俺が持ち歩いていた酒を欲しがる仕草を見せて、近付いてきた。
持ち歩いていた酒は酒造を営む魔法使いを助けた時に貰った自慢の逸品というものだったが、一人酒もつまらないのでとっておいたものだ。
天馬の群れの長らしき天馬があまりにも酒を欲しがっていたので、分けてやることにした俺は杖なし魔法で作った器に酒を注いで天馬の前に置く。
器に口を突っ込んで酒を飲み始めた天馬の前で、俺も自慢の逸品とやらを飲んでみると確かに美味い酒だったな。
あっという間に酒を飲み終えた天馬は、おかわりを求めて器を蹄で叩き出す。
器に酒を注いでやると直ぐに飲み始めた天馬は凄い勢いで酒を飲んでいた。
見た目はただの酒瓶だが、内部は拡張されており、外見以上に量が入っていた酒瓶の中身がどんどん減る。
大量の酒を飲んでいても全く酔っている様子がない天馬。この天馬は、かなりの酒豪であるようだ。
酒を飲む天馬の前に座って酒を飲んでいると、空からドラゴンが舞い降りてきた。
天馬の群れを狙っているドラゴンに、逃げ惑う天馬達。これも何かの縁かと思ってドラゴンと戦うことにした俺は、杖なし魔法を使って周囲の土ごとドラゴンを持ち上げて吹き飛ばす。
ドラゴンが離れた隙に天馬達の群れを逃がしていくと、長である天馬だけが逃げようとしない。
それどころかドラゴンに向かっていく始末。この天馬も戦うつもりであるようだ。
仕方なく天馬を守りながらドラゴンと対峙することになった。守護霊の呪文で呼び出した銀色のドラゴンの守護霊で、本物のドラゴンを撹乱していくと、飛び上がった天馬が後ろ足でドラゴンの鼻先に蹴りを叩き込む。
ドラゴンが開いた口から火炎を放射しようとした瞬間に、杖なし魔法で作成した鎖で口を閉じさせておくとドラゴンは空に飛んだ。
近付いてきた天馬が背に乗るように促してきたので、天馬の背に跨がると翼を羽ばたかせて天馬が飛び上がる。
空を舞う天馬の背に乗りながらドラゴンと戦っていくと、上空で口を塞ぐ鎖を引きちぎり火炎を放射してきたドラゴン。
杖なし魔法で生み出した大量の水と盾の呪文で火炎の放射を防ぎ、接近したところで杖なし魔法で強い衝撃波を叩き込み、ドラゴンを怯ませて追い払った。
ドラゴンとの戦いが終わり、天馬が地面に降り立ったところで、俺が背から降りるとすり寄ってきた天馬。
人懐っこい天馬は俺に感謝をしているようだ。戦いに勝った祝いの酒として、残っていた酒を器に注いで天馬の前に置く。
酒を飲み始めた天馬は喜んで飲んでいるようで、瞬く間に酒を飲み終えてしまった。
酒瓶の酒を全て天馬と一緒に飲んだ俺は天馬と離れようとしたが、しばらく俺に着いてきた天馬の群れと行動を共にすることになる。
天馬の群れが住みかを別の国に変えるまで行動を共にすることになったが、長である天馬がいつも俺の隣にいたことは確かだ。
俺の旅はそれからも続き、ある時マンティコアとも出会うことになった。
人の頭部にライオンの胴体で毒がある蠍の尾を持つマンティコアは、気性が荒く肉食である。
マンティコアの皮膚は大抵の呪文が効かないので、魔法使いが相手をするには危険な魔法生物だと言えるだろう。
そしてマンティコアは知能も高く人の言葉を理解して喋ることも可能だ。
出会ったマンティコアと会話することになったが、荒々しい言葉使いで喋るマンティコアは、何人もの魔法使いを喰らってきたことを自慢気に語る。
お前も喰ってやろうか、と言ってきたマンティコアに、喰えると思うならやってみろ、と言うと此方を睨んできたマンティコア。
俺が睨み返しておくとしばらく睨みあう形になったが、マンティコアに全く怯えていない俺に、お前は今までわしが喰ってきた魔法使い達とは違うようだ、とマンティコアは言った。
今まで出会ったのは、怯えていた魔法使い達ばかりだったが、お前は全く怯えておらず、いきなり魔法も使ってこない、何故お前は、わしを前にしてそこまで落ち着いているのだ、と不思議そうに聞いてきたマンティコア。
大抵の呪文が効かない皮膚があろうが、間接的に魔法を使えば問題ないからな、戦おうと思えば戦えるし、逃げようと思えば逃げられる、と答えておいた。
なるほど余裕があるからか、ならばその余裕を崩してやろう、と言い出したマンティコアが襲いかかってくる。
骨まで喰らい尽くしてくれるわ、と言ってライオンの胴体にある前足の爪を振り下ろしてきたマンティコア。
高速移動の魔法を杖なしで使い、振り下ろされた爪を避け、マンティコアの後方に回り込むと周囲の岩を杖なし魔法で動かして加速させて、マンティコアの頭上から連続で落とす。
重量のある岩を人の頭部に連続で落とされて、頭部から血を流したマンティコアは、おのれ小癪な、と叫びながら毒を持つ蠍の尾で此方を狙ってきた。
周囲の岩を自在に杖なし魔法で動かして盾にすると、蠍の尾先が1つの岩を貫く。
1つで足りないなら2つ、2つで足りないなら3つと岩を操り、マンティコアからの攻撃を防いでいき、岩による攻撃を叩き込んでいくと、徐々に疲弊していったマンティコア。
頑強なマンティコアの身体だろうと、杖なし魔法によって高速で飛び、魔法で硬化までされた岩による攻撃を受け続けるとダメージが蓄積されていっていたようだ。
容赦なくマンティコアに岩の雨を連続で降らしていくと、降参だ、もう止めろ魔法使い、と言ってきたマンティコアは負けを認めて大人しくしていた。
攻撃を止めると、座り込んだマンティコアは、わしの皮膚も万能ではないということか、と落ち込んでいたな。
寿命が近い時に、まさかお前のような魔法使いと出会うことになるとはな、と言ってきたマンティコアは、此方をじっと見る。
お前は、わしに勝ったんだ、寿命でわしが死んだら皮を剥いで持っていけ魔法使い、と言うマンティコア。
だが、わしが寿命で死ぬまで話し相手になってもらおう、とマンティコアは続けて言った。
それからはマンティコアと共に過ごすことになり、一緒に狩りをして野牛を捕まえて食べてみたりもして、マンティコアの寿命が来るまで話し相手として時を過ごす。
マンティコアの性別が雌であることも判明したりもして、名前が無かった彼女に俺がティアと名付けたりもして楽しく時を過ごしていたが、数週間後に終わりの日が訪れた。
座り込んで動くのも億劫という状態になっていたティアは、そろそろ寿命のようだ、と言って此方を見る。
最期にお前が一緒にいてくれるのは悪くない気分だぞゲラート、と言ったティア。
寂しくない最期を迎えられるわしは、幸せだな、そう言いながら笑ったティアの顔に優しく触れる。
わしの皮を持っていっておくれ、ゲラートと一緒に旅がしたい、と頼んできたティアに、必ず連れていくさ、と笑いかけておくとティアは、とても嬉しそうだった。
俺が手で触れていたティアの顔に伝わっていた熱。近付いていく寿命によって徐々に力が抜けていくティアの身体。
ああ、暖かいな、そう言い残したティアは瞼を閉じるともう動くことはない。
完全に寿命を迎えたティアが死んだ。ティアは人を害する魔法生物だったが、それでも彼女の願いは叶えておこうと思った俺はナイフでティアの皮を剥いでいく。
皮を剥いでからティアの遺体を埋葬しておき、しっかり墓標も立てておいた。ティア、と彼女の名前を書いた墓標の下にはティアの遺体が眠っている。
それから剥いだティアの皮を有効な魔法で加工していき、俺はコートを作っていった。ティアという彼女の名前は俺だけが知っていればいいと考えて、マンティコアコートと名付けたそのコートを羽織って、俺は魔法界を巡る旅を続けていく。
旅先で補給の為に人里に向かうと大量の家畜が何度も消えたと言っている男がいた。
詳しく話を聞くと魔法使いの仕業であることは間違いない。放置しておく訳にはいかないし、何故家畜を拐ったのか確かめてみる必要があるだろう。
人里が近くにある森の奥深くで、魔法使いはアクロマンチュラ達を育てていたようで、痕跡を発見した俺は調査を開始した。
アクロマンチュラが通常では生息していない地域で、痕跡を発見することは有り得ないことだ。
魔法使いの手が加わっていることは間違いない。アクロマンチュラを育てて何がしたいのかはわからないが、どう考えても近くの人里が危険であることは確かだろう。
人肉を好むアクロマンチュラは人のことを積極的に襲う巨大な蜘蛛であり、大人は馬車馬並みの大きさとなる。
既に卵は孵化されており大量のアクロマンチュラが森の中に存在していた。森の中にいた生物はアクロマンチュラ達の餌食となっているようだ。
アクロマンチュラの早急な駆除が必要になることは確実だろう。このままでは人里の人々が間違いなく襲われる。
近くにある人里から大量の家畜を拐ってアクロマンチュラ達に与えていた魔法使いは、家畜がいなくなったら人を与えればいいと考えていたのかもしれないが、それをさせるつもりはない。
人語を理解して喋ることもできるアクロマンチュラの長は、自分を育てた魔法使いと何かを喋っているようだった。
アクロマンチュラを処理しようとすれば抵抗するであろう魔法使いに失神呪文を放ち、失神させておくと此方に気付いたアクロマンチュラ達。
此方の周囲にアクロマンチュラ達が集まってきたが、もう遅い。
瞬時に森を全て覆う巨大な蒼い炎の円。プロテゴ・ディアボリカ、悪霊の護りにより、森を焼かずに敵となるアクロマンチュラだけを焼き尽くす。
全てのアクロマンチュラを焼き滅ぼし、アクロマンチュラを育てていた魔法使いを捕らえて、この国の魔法省に引き渡しておいた。
魔法省の魔法使いが開心術を使うとアクロマンチュラを育てていたことがわかり、問題の魔法使いは犯罪者として捕まることになったらしい。
旅先でいつも危険な魔法生物達とばかり出会っている訳ではなく、危険ではない生物とも出会うこともある。
光り物を集める癖がある魔法生物のニフラーが俺が貨幣を数えている間に近寄ってきたことが、ニフラーとの出会いだった。
ニフラーに奪われないように貨幣を財布にしまうと更に近寄ってきたニフラーが、胡座で座っていた此方の膝の上に登ってくる。
あまりにも警戒心がないニフラーの頭を撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めるニフラーは可愛らしい。
黒い毛並みでカモノハシに似た姿をしている魔法生物であるニフラーは、腹に袋を持っており、その袋はまるで検知不可能拡大呪文をかけられているかのように、多くの物が入るようになっている。
ニフラーには見つけた光り物を腹の袋にしまう習性があるので、このニフラーも何か持っているのかもしれない。
そうは思ったが特にニフラーに光り物を奪われた訳ではないので、ニフラーを逆さにして腹の袋の中身を出させたりはしなかった。
しばらくニフラーを撫でて過ごしていると、俺の膝の上でニフラーが寝てしまう。
警戒心の欠片もない野生のニフラーに、大丈夫だろうかと不安になりながらもニフラーが起きるまで待つ。
数時間後にようやく起きたニフラーが此方を見て首を傾げるような仕草を見せる。
とても可愛らしいニフラーを膝の上から降ろそうとするが、中々降りようとしないニフラーは膝の上が気に入ったようだった。
財布から貨幣を1枚取り出してピカピカの銀貨を見せると反応したニフラーが動き出す。
此方の身体をよじ登って俺が手に持っている銀貨に近付いていったニフラーが手足を伸ばしたところで、持っていた銀貨を少し離れた場所に放り投げた。
銀貨を見てから俺を見て、悩んでいるようだったニフラーは、光り物の魅力に負けて俺から降りて銀貨の元へと向かっていく。
拾った銀貨を腹の袋にしまってから、此方に近付こうとしたニフラーから距離を取ると、更に近付いてくるニフラーは完全に俺に懐いてしまっているようだ。
俺から離れないニフラーを抱き上げて、これからどうしようかと考えていると、此方に近付いてきた魔法使いが、きみもニフラーを飼っているのかい、と笑顔で話しかけてくる。
これがニュートとの最初の出会いであり、長い付き合いになる友人との初めての出会いでもあった。
それ以外にも様々な魔法生物との出会いが素晴らしい文章で書かれたグリンデルバルドの冒険は、かつての俺の出会いを思い出させる本であり、読んでいて面白い本であることは確かだ。
読んだら感想を贈ってください、というメッセージが本には添えられていたので、グリンデルバルドの冒険の作者であるギルデロイ・ロックハートには感想を贈っておくとしよう。
脚色することなく素晴らしい文章で冒険が書かれているこの本は、とても面白かった、と手紙に書いておき、フクロウに手紙を運んでもらうことにした。
しばらくして、ギルデロイ・ロックハートから感謝の手紙が届く。開いてみると異様に長かったが悪い内容ではない。
グリンデルバルド先生がネタを提供してくれたおかげで人気作家になれました、ありがとうございます、と最後に書かれており、ギルデロイ・ロックハートが心底感謝していることが伝わってくる。
それからもギルデロイ・ロックハートは取材をして、様々な本を出版していった。
しかし今でも1番人気な本は、最初に出版したグリンデルバルドの冒険だったらしい。
知られても構わないことしかギルデロイ・ロックハートには教えていないので、日本の人魚である八尾や河童の三太、ヴィーラのクーラ、吸血鬼のシルヴィア、それ以外にも現在も俺と関わりがある魔法生物については何も話してはいなかった。
だからグリンデルバルドの冒険には書かれていない魔法生物との出会いも、俺は経験している。
出版されたグリンデルバルドの冒険を遅れて読んだ吸血鬼のシルヴィアから、わたくしが書かれていないのはどういうことですの、という怒りの連絡が来たが、迷惑がかからないように黙っていたことを伝えると、シルヴィアの激しい怒りは鎮火したようだ。
ホグワーツに通う生徒達もグリンデルバルドの冒険は読んでいたようで、相談室にやってきた生徒達がグリンデルバルドの冒険を片手に、これって全部本当のことなんですかグリンデルバルド先生、と聞いてくる。
ああ、全部本当のことだ、と答えておくと、何故か作者であるギルデロイ・ロックハートではなく俺にサインを求めてくる生徒達。
ギルデロイ・ロックハートにサインを貰わなくていいのか、と聞いてみると、グリンデルバルド先生からのサインが欲しいんです、と答えた生徒達は、本であるグリンデルバルドの冒険を差し出す。
まあ、俺のサインで良いなら、幾らでも書いておくぞ、と言ってゲラート・グリンデルバルドとサインを本に書いておくと、物凄く喜んでいた生徒達は全員笑顔になっていた。
それからというもの相談室には毎日、グリンデルバルドの冒険にサインをしてもらいに生徒達がやってくる。
1日10人という人数制限があるので、問題にはなっていないが、こうも毎日サインをしてもらいにくる生徒達ばかりだと、本当に困っている生徒達が相談できなくて可哀想だろう。
という訳でサインをしてほしい生徒は別の時間で纏めてサインすると言っておくと、ホグワーツの半数以上の生徒が持っているグリンデルバルドの冒険にサインをすることになった。
ひたすらサインをしていくと腕にかなりの負担がかかり、日本の人魚である八尾の肉を食べていなければ腕が激しい筋肉痛になっていたことは間違いない。
とりあえずグリンデルバルドの冒険を買っていたホグワーツの生徒達全員にサインをすることはできたので、これ以上サインを求められることはない筈だ。
滞っていたクィリナスとの特別授業も再開することができて、クィリナスも喜んでいたな。
順調に特別授業を続けていき、しっかりと知識と経験を積んだクィリナスは、確実に成長していく。
とても優秀な生徒であったクィリナスが6年生になった時には、もう俺から教えられる魔法生物飼育学についての知識は全て教えてしまったので、後は実践で魔法生物と触れ合って経験を積むだけとなったクィリナス。
ホグワーツが休暇になってからクィリナスの両親に許可をもらってニュートの元に、クィリナスと一緒に向かう。
ニュートと俺が見守る中で魔法生物達と触れ合っていくクィリナスは、魔法生物が大好きなようで、良い顔をしていた。
そして今日も河童の三太と相撲をとることになったクィリナスが、最初の頃よりかは善戦していたが結局投げられており、投げられたクィリナスが地面に叩き付けられる前に受け止めておく。
まだまだクィリナスには負けん、と自慢気な河童の三太は、すっかりニュートとの生活にも慣れているようだ。
日本に帰らなくていいのか、と三太に聞いてみると、ニュートが元気な内は、此処にいるのも悪くはないと思ってな、と三太は笑う。
朝から休まず動き続けていたクィリナスを休憩させて、昼食の時間にすると、俺が用意しておいたサンドイッチを食べていくクィリナスとニュート。
河童の三太も俺が特別に用意したキュウリサンドを食べていき、今日のキュウリも美味いなゲラートと言って嬉しそうである。
クィリナスにとっては濃密な休暇も終わり、ホグワーツの7年生となったクィリナスは、生徒としては最後の魔法生物飼育学に真剣に取り組んでいった。
魔法生物飼育学以外にはあまり興味を抱いていなかったクィリナスだが、様々な科目で優秀な成績を修めることができており、首席となることはできなかったが、ホグワーツの教師たちには優秀な生徒だと思われていたようだ。
クィリナスがホグワーツを卒業してから、直ぐに俺が担当する魔法生物飼育学の助手となったことに納得していた他の教師達。
助手として活躍していたクィリナスに、次第に授業を任せることも増えていき、俺が見守る中で魔法生物飼育学を生徒達に教えていくクィリナス。
何回か授業を任せてみて問題が無さそうだったので、本格的にクィリナスを魔法生物飼育学の教師にすることにした。
校長であるアルバスにも話を通しておき、俺が魔法薬学を担当できるようになったことをスラグホーンにも伝えておくと、安堵していたスラグホーン。
後任がゲラートなら安心だ、と喜んでいたスラグホーンは、現在受け持っている生徒達の授業の進行状況を俺に教えてくる。
できれば直ぐにでも退職するつもりであるスラグホーンは、ホグワーツの教職に未練はないらしい。
それから数日後、クィリナスが魔法生物飼育学の教師となり、俺が魔法薬学の教師となった。
「一身上の都合によりスラグホーン先生は退職となり、俺が魔法薬学の教師となった。今日からよろしく頼む」
生徒達にそう言っておくと、喜んでいた生徒達は、グリンデルバルドの冒険の読者であるようだ。
魔法薬学の授業を行いながら、好奇心旺盛な生徒達からの質問にも軽く答えておく。
ホグワーツの新入生を相手にした魔法薬学では、とにかく失敗させないように気をつけることになったが、しっかり助言をしておくと失敗した生徒はいなかった。
魔法薬の材料を鍋に入れる時に順番を間違えると失敗することになるので、新入生にはその点をしっかり教えておく必要がある。
どの科目にも向き不向きがあるのは仕方ないが、できる限りは失敗じゃなく成功させてやりたいところだ。
授業を終えたクィリナスに、魔法生物飼育学の教師としての初授業をした感想を聞いてみると、掴みはばっちりでしたよグリンデルバルド先生、と答えたクィリナス。
生徒達には私のように魔法生物飼育学を好きになってもらいたいですからね、と笑っていたクィリナスは初授業で生徒の心を掴めたらしい。
生徒達の安全管理もしっかり気をつけておくように、と言っておくと、それはもちろん気をつけておきます、とクィリナスは頷く。
会話を終わらせて部屋に戻ろうとした俺に、ありがとうございましたグリンデルバルド先生、とクィリナスは頭を下げていた。
頑張れよ、クィリナス、と言った俺に、はい、グリンデルバルド先生、と力強く返事をしてきたクィリナス。
しっかりと知識と経験を積んだ今のクィリナスなら、魔法生物飼育学の教師として、何も問題はないだろう。
これでホグワーツの教師に穴が空くことなく、生徒達は問題なく授業を受けることができる。
一時期は忙しかったトムの負担も大分軽減された筈だ。世話になったトムには礼を言っておかなければいけないな。
手土産としてトムが好きな葛餅も持っていくとしよう。
葛餅を用意してトムの部屋に向かうと、トムは生徒達が提出した羊皮紙を纏めているところだったようだ。
お邪魔だったかと思って部屋を出ようとすると、ああ、もう終わるんで大丈夫ですよ、とトムに引き止められた。
トムの部屋にある来客用の机に葛餅と緑茶を用意しておくと、魔法で軽く浮いて椅子ごと近付いてきたトム。
ちょうどいい時間だったんで休憩しますね、一緒にお茶しましょうグリンデルバルド先生、と言ってトムは笑った。
葛餅を食べていき、緑茶を飲んで一息ついていたトムは、ホグワーツの教師に穴が空くことがなくて良かったですよね、と言う。
生徒達に迷惑がかからない内に新しい教師であるクィリナスが俺の後任になってくれたからだな、と俺が言っておくと、クィリナスはグリンデルバルド先生が育てていた生徒でしたよね、とトムは言いながら葛餅をフォークで刺す。
黒蜜ときな粉がかかった葛餅を食べながら、僕も何かあった時の為に後任を育てておいた方がいいんでしょうか、とトムは言った。
トムなら元気そうだから大丈夫な気もするが、後任を育てておいた方が安心できることは確かだな、と言うと、やっぱりそうですか、と頷いていたトム。
ホグワーツの卒業生でいい人いませんか、グリンデルバルド先生、と聞いてきたトムに、優秀な闇祓いになったバーティ・クラウチ・ジュニアなら闇の魔術に対する防衛術の教師になれそうだが、本人のやる気次第じゃないか、と答えておく。
バーティですか、確かに優秀な生徒でした、今は闇祓いになっているなら、闇の魔術に対する防衛術の教師として働けるかもしれませんね、と納得していたトムは、バーティを後任にするかを考えているようだ。
まあ、とりあえず今の僕は元気なんで、バーティは後任候補ということにしておきます、と言ったトムは、緑茶を飲む。
トムとのお茶も終わり、部屋から出ようとしたときに、グリンデルバルド先生、サインをもらえませんか、と本であるグリンデルバルドの冒険を差し出して頼んできたトム。
グリンデルバルドの冒険をトムが買っていたことに驚きはないが、やっぱりトムも俺にサインを頼んできたな。
今まで色々と世話になっているトムには特別に、トム・マールヴォロ・リドルへ、ゲラート・グリンデルバルドより、と書いておくと感激していたトムは物凄く喜んでいる。
喜んでもらったならサインをして良かったと思った。そんなことがあった翌日アルバスに呼び出されることになり、何の用かと思って校長室に向かえば、1冊の本を持っていたアルバス。
その本は間違いなくグリンデルバルドの冒険であり、昨日トムに特別なサインをしてもらったと自慢されてのう、わしも特別なサインをしてもらいたいんじゃがゲラート、とアルバスは言った。
いや、お前もかアルバス。
原作と違う点
ギルデロイ・ロックハートがジャーナリストになり、取材をして記事を書いて金を稼いでから、様々な魔法生物と出会ったグリンデルバルドから聞いた話を元にグリンデルバルドの冒険を書いて出版
グリンデルバルドの冒険が大人気となり作家としての知名度が上がったギルデロイ・ロックハートは様々な人に取材をして、聞いた体験を本にしていく
魔法族を中心にグリンデルバルドの冒険がベストセラーとなって、更に有名になったグリンデルバルド
グリンデルバルドの冒険を読んだホグワーツの生徒達がギルデロイ・ロックハートではなくグリンデルバルドからのサインを欲しがり、グリンデルバルドがしばらくサインを書き続けることになった
クィリナス・ クィレルが魔法生物飼育学の助手としてしばらく働いてから、新しい魔法生物飼育学の教師となる
スラグホーンの後任としてグリンデルバルドが魔法薬学の教師となった
トム・リドルが買っていたグリンデルバルドの冒険に、グリンデルバルドからの特別なサインをもらって喜び、アルバス・ダンブルドアに自慢しにいく
トム・リドルを羨ましいと思ったアルバス・ダンブルドアは特別なサインをグリンデルバルドに頼んで、買っていたグリンデルバルドの冒険に特別なサインをしてもらった