リコリス・リコイル 5話モブ救出RTA機動捜査隊チャート   作:ぽけー

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『後輩から見た、その時までの話』


Side by cop’s buddy

 

「─戸村天理君、君の次の配属先だが、4機捜になることg」

「ほっ、ほんとーですかっ!?」

「待て、落ち着き給え戸村君。君の希望通りで喜びたいのは分かるが、待て圧がちょっと」

 

 

 

 

「─あなたは」

「本日警視庁第4機動捜査隊に配属となりました!戸村天理です!あ、天の理って書いてアマリって読むんですけど…」

「…私じゃなくて、最初に隊長に報告が必要なんじゃ?」

「いえいえっ!わたしのバディは真桐先輩だと聞いていたのでっ!運転技術は機捜イチとの噂はかねがねっ!」

 

「(あー…やっば先輩やっぱり美人…二年間追い続けてきた甲斐があったぁ!しかもこんなにイケメンな上にスタイルは綺麗だし基本無口なのに優しいのが分かるしもーさいっこー!)」

「警ら出るけど…えっと、どうしたの?」

「なんでもないです!」

 

「んー、ひったくり事案の報告はこれで良くて…」

「…戸村、車内で事務仕事なんてよくやるね」

「フィジカル以外は優秀な自覚あるのでっ!」

 

「─シェラ」

「先輩?」

「シェラ、でいい。私の呼び名。親しい人とか、隊長とか他の4機捜メンバーは皆、私のことそう呼ぶから」

「……う」

「戸村?」

「嬉しいっですっ」

「…?ただのニックネームなのだけれど」

「だからこそ、ですっ!あ、わたしの呼び名もどうぞ下の名前で…」

「…アマリ?」

「ありがとうございますっ!」

「…?不思議な子だね、アマリは」

 

 

 

 

 

 

「あっ、せんぱーいやっと来た!遅いですよー!」

「そんなに遅くは、なってない」

「でも今目線そらしましたよね?」

「…早く点検、しようか」

 

 

「─あそこの道路封鎖、なんか、変」

「へ?」

「行くよ、アマリ」

 

 

「やっぱり…っ!嫌な予感がすると思ったっ!」

「アナウンス入れます!」

「私が撥ねられた子を見る、アマリは呼びかけを続けて!」

 

 

「先輩、なんか車が戻ってきて」

「降りて来た…?待って、アマリ伏せて!」

 

 

 

 

 

 づゅん、という音と共に、セダンの天井から火花が散りました。

 訳が分からなくて、一瞬固まって。これが拳銃の射撃だということと、それが反対側で静止を呼び掛けていた先輩を狙い損ねたものだと理解するのに、そこからさらに数瞬も必要でした。

 

「─シェラ先輩!?」

 

 助手席横に立つわたしから見て覆面パトの反対側、さっきまで立ち上がっていた先輩の姿が見えません。思わず口から出た悲鳴に応えたのは、わたしの腰に下がっているのと同じ、官給品の拳銃の発砲音でした。

 

「アマリ、車の中に…いや、当てなくていいから牽制して。けっこう腕いいよ、相手」

「せ、先輩無事で…じゃなくて、射撃前の警告は!?」

「暇がない。牽制して。時間が惜しい。早く」

 

 銀髪を揺らしながら眼前の車両に発砲しつつ、いつも通りの簡素な言葉でそう指示してきます。視線が一瞬後ろを向いたのは、先ほど轢かれた学生を気にかけているからか。

 一方のわたしは、震える手で腰に下げた拳銃を抜き構えます。10年前のテロを最後に、元々よかった日本の治安はさらに改善され、警察官が拳銃を構える機会など、ほとんどなくなっていましたから。よりにもよってなんで今、それもお世辞にも射撃の腕がいいとは言えない自分が。

 

「アマリ」

「せんぱ」

「当てなくても、いい。少しだけ時間を稼いで」

 

 パトカー越しに、先輩がこちらを見ながらそう言いました。

 月光のような銀の髪に、静かな蒼い瞳が、震えをゆっくりと止めて。

 『当てなくてもいい』という言葉が、最後の一押しになりました。

 

「うご、くなっ撃つぞっ!」

「もう撃ってるじゃねぇか!」

 

 緑髪のその男の文句をかき消すように、がむしゃらに引き金を引きます。

 着弾点はバラバラ、男が身を隠したスポーツカーに当たるものもあれば、逆方向の路面に当たって火花を散らすものもあります。

 『お前の射撃、不正確すぎて逆に撃たれた側はどこ撃たれるか分からなくて出てこれないんじゃね?』と、昔同期に言われたことを思い出します。その言葉は正しかったのか、男は身を出して反撃しようとはしてきません。

 

 その間に、先輩も拳銃で牽制を入れつつ、後部座席のドアを開いてはねられた女子高生と思しき子を中に入れようとしていました。ちらりと確認していたら、先輩がお姫様抱っこをしていて、普通に羨ましいと思ってしまいました。こんな事態になっていなければ、わたしもやってほしいとねだっていたことでしょう。…事件が解決したら、お願いしてみようかな。

 

 そう思う間に、先輩はシートベルトを使って女の子を固定したのち、運転席に乗り込みました。アマリも乗って、と声を掛けられ、わたしも助手席に乗り込む─のを待たずに急発進させられ、体が座席に押し付けられます。普段の警らでもたまにあることですが、それでも車を出すと声もかけずに出すあたり、信頼されているのか、それだけ先輩も混乱しているのか…。

 

 今はただ、うんともすんとも言わない無線と携帯を元に戻して、助手席担当として今後すべきことを考えなければ。

 夜が長くなるという確信と共に、車は不気味なほど静かな街を走り抜けていきました。

 




リアルの都合でひと月も空いてしまったので失踪します
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