邪神様にお願い!   作:腐ったぼうけんのしょ

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平民主人公編
プロローグ


道を誤ったきっかけはある。

だけどそれは些細な事だ。

どの道、私はこの道を選んでいた。

私は、邪神の誘いをいつまでも跳ね除けられるほど、強くはなかったのだから。

 

 闇獣を倒すと、コアが生まれる。

 それは、人の意思で、人の体に封印するしかない。

 それは、悪意を体に取り込む行為。

 徐々に化け物へと変じていく行為。

 

 

 しかも、邪神の愛し子たる闇獣を取り込むと、邪神より誘いの声を受けるのだ。

 神は祈り方を教え、聖印の作り方を説く。

 指示通りの聖印を作って祈れば、コアは聖印に移動した。

 いっぱいになると、聖印は真っ黒に輝く。

   

 その聖印を大量に集めると、奇跡を起こせるらしい。

 それこそ、転生でもなんでも。

 

 失ったものがあった。

 取り戻したいものがあった。

 

 コアを取り込むのは、本当は大嫌いだった。

 

 だから私は、聖印をこっそりと集め続けた。

 

 そして、大量の聖印を使い、大儀式を行うという直前、私は邪教徒として処刑をされた。

 

 抵抗する私を剣で貫いたのは、エリートで最強で貴族様な私の親友だった。

 

 その剣が私を貫き、私はコプリと血を吐いた。

 

「ごめんな」

 

 そういって、親友は私にキスをした。

 次の瞬間、私は剣で私自身を貫いていた。

 

「!??」

 

 私が、剣で切り裂かれながら私の知らない力をその手に集める。は?

 

「お前に俺をやるよ。全部忘れたっていえばいい、幸せになれよ、親友」

 

 そして、黒い光が輝いて、私は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつけば、私は豪勢な屋敷の寝室、もっといえば親友の寝所にいた。

 起き上がると、鏡に親友が映る。私だ。

 

「は?」

 

 気持ちが追いつかない。

 

 いや、わかる。わかるさ。親友は、光しか知らないような、光そのものだと思っていた親友は、私よりレベルの高い邪教徒だったってことだ。

 それこそ、体の入れ替えなんて奇跡を達成してしまえるほどに。

 だって、私だって本当に人を生き返らせられるなんて信じてなかった。

 奇跡が起こるって信じてなかったのだ。でも、親友は多分確信してた。

 でも、だからって。

 

「馬鹿じゃないか!?」

 

 叫ぶ。

 

「なんで私なんかのために命を捨てた!!」

 

 私は親友に嫉妬してた。親友の地位が、力が欲しいと思ってた。

 それを私は、親友のお情けで手に入れたわけだ。

 

 己の醜さに鳥肌が立つ。ボロボロと涙がこぼれる。

 

 全然、全く理解ができない。

 こんな醜い男のために、親友は命を落としたのか。

 

 ああ、でも。

 

 親友は、とても優しくて、まるで光みたいな人だった。

 

「……救わなきゃ」

 

 親友を生き返らせて、この体を返さないと。

 私は、これからそのためだけに生きるんだ。

 

 エゴとか、絶望とか、欲望とか、そんなの全部どうでもいい。

 

 親友の為に、冬芽の為に。

 

 邪神様ならば、親友を救えるはずだ。

 

 ぐしぐしと涙を拭く。

 

 誇り高く気高かった親友。彼のためにも、この体で泣くのはダメだ。

 そう自分を叱咤し、次に部屋を家探しをした。

 

 日記なんてあればいいのだが……。

 

 残念ながら見つからず、どうしようか考えていると、ノックと共にドレスの女性が入ってくる。

 

「封魔宮様! 私が参りましたわ!」

「誰?」

「わ、わた、私を知らないと!? 婚約者の私を!??」

「こ、婚約者!? すまない、記憶喪失らしくて、何もわからなくて」

 

 そういうと、可愛らしい子リスの様な女性は目を輝かせた。

 

「お可哀想に、風魔宮様……! 私に全てお任せください!」

 

 明らかに記憶喪失を利用する気満々のご婦人に戸惑いつつ、私の戦いは始まった。

 

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