魔都精兵のスレイブ:紅鬼伝   作:マーベルチョコ

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第11話 組長会議

魔防隊本部ではまた緊急の組長会議が開かれた。

 

「緊急にも関わらずよく集まってくれたわ。今回の議題は訓練校の襲撃と捕獲した醜鬼についてよ」

 

代表として恋の言葉です始まる。

 

「銀奈、説明を」

 

「はい!激恋様!静岡の訓練校襲撃の被害状況から説明します。死者8名、重傷者22名、軽傷者57名になります」

 

十番組組員 備前 銀奈の説明を聞きながら全員がタブレットに目を向ける。

 

「訓練校とは言え教員は元魔防隊所属の人間だったんだろう?それなのにこの死傷者の数は大惨事だね」

 

「襲撃してきた醜鬼のリストを見ると全部が異常体だね。これはまさしく異常だ」

 

りうと夜雲がそう呟く。

次に風吹希が天花に向けて苦言を呈する。

 

「この襲撃に何故遅れたのですか?出雲組長」

 

「言い訳になってしまいますが門の発見が遅れたと言うしかありません」

 

「門の近くに異常体の醜鬼がいやがった。しかも今まで見たことのない奴だ」

 

テーブルの中央に映し出されたのは風夏の能力を封じた醜鬼とよく似た服装をした醜鬼だった。

 

「この醜鬼は周りの光景を歪ませる能力、気配を消せる能力を持っていて発見が遅れてしまいました」

 

「俺らが着いた時にはもう死んでたけどな」

 

全員がその醜鬼だけでなく今回襲ってきた醜鬼達を神妙な目で見る。

 

「能力を持った醜鬼……」

 

「今までの異常体はあくまで外見、姿が変わったものばかりだったが今回は能力を持った醜鬼が現れた。醜鬼の進化するスピードがここ最近で一気に上がった。総組長、即刻魔都の殲滅を行うべきです!」

 

「………」

 

醜鬼に強い恨みを持つ京香は魔都殲滅を進言するが、恋は少し考え話し出す。

 

「みんな、白鎧の鬼の出現時期と場所を覚えているかしら?」

 

その言葉に全員が疑問符を浮かべる。

 

「今この話は関係ないのでは?」

 

「落ち着いて京香。白鎧の鬼の出現は今回のことと大きく関わりがあるわ。銀奈、白鎧の鬼の出現場所を時系列で出していって」

 

「はい!」

 

中央の映像に仁太郎が戦った場所が時系列で表示されていくと全員があることに気づいた。

 

「これは……」

 

「場所を割り出そうとしている?」

 

ベルの呟きは全員が考えたことと同じだった。

 

「私はこれから今回の魔都災害には首謀者がいると考えているわ。今回の異常体醜鬼の数と目的も合わせてね」

 

「目的とは?」

 

「『白鎧の鬼の捕獲』だと考えられるわ。この異常な魔都災害の数は確保するため布石だと考えられる。そこである提案があるの」

 

恋の次の言葉に会議に参加していた全員が驚いた。

 

 

一方、仁太郎は魔防隊の地下牢に鎖に繋がれていた。

手足を特殊な鎖で巻かれており、動かすことができない状態だった。

 

「腹減ったなぁ……」

 

『この状況でそんなことを言えるなら怪我の方は大丈夫だな』

 

仁太郎の独り言に呆れたように覇鬼は呟く。

あの襲撃から数日が経過しており、捕えられた仁太郎はそれから何も飲まず食わずで捕らえられている。

 

「風夏達、無事かねぇ……?」

 

『あの場では全員の無事は確認した。あの女共は一般人に危害を加えないだろ』

 

覇鬼が珍しく慰めの言葉を言ってくれることに仁太郎は驚いたが魔防隊が一般人に手を出さないことは仁太郎も分かっていた。

すると牢屋の前に恋が現れ、横たわる仁太郎に話しかけて来た。

 

「ご機嫌はいかがかしら。白鬼さん?」

 

「……最悪だよ」

 

「醜鬼にはお似合いの場所だと思うけど?」

 

「………分かりやすく挑発しないで用件を言ったらどうなんだ?」

 

要件を言わない恋に仁太郎はため息混じりに恋に質問する。

恋は目を細めて仁太郎を見下ろす。

 

「今後の貴方の処遇についてよ。貴方は陰陽寮に引き渡されてあらゆる手段を使って調べられるわ。醜鬼だもの人権なんて言わないでね?」

 

「………」

 

死刑宣告とほぼ同じ事を言われて、仁太郎は苦い表情になって黙ってしまう。

 

「それか……私に飼われてみる?」

 

「……はぁ?」

 

笑みを浮かべる恋に仁太郎は間の抜けた言葉を出してしまった。

 

 

場所は戻り、再び大会議室で各組長が揃っているが全員が入口付近で跪かせられている仁太郎を注視する。

体には鎖が護符が貼られている鎖が巻き付いており、体の自由が効かず口にも護符が貼られて話すことができない状態だった。

 

「異常体醜鬼32号を魔防隊で管理することになったわ」

 

恋の一言に全員が驚く。

 

「32号は報告にあった通り、知能があり人間に友好的だと分かった。なら私達が使い潰してやりましょう」

 

「陰陽寮は何と?」

 

知性ある醜鬼など陰陽寮が喉から欲しがる物を黙っている筈がなく、りうが質問する。

 

「私の権限で黙らせたわ」

 

その一言に組長達は何とも言わなかったが仁太郎は心の中で恋の無理矢理さに呆れていた。

 

「反対の者は挙手を」

 

手を挙げたのは一番組 りう、六番組 天花、七番組 京香が手を挙げた。

りうは人型醜鬼の恐ろしさを知っているから、天花は風夏との約束のため、京香は醜鬼かもしれない者を警戒してのことだ。

その他は事の成り行きを見て決めるようだ。

 

「反対の数は少ないわね。異常体醜鬼32号は我々魔防隊で管理する事に決まったわ」

 

自分の意見は何もなしにとんとん拍子で決まる事態に仁太郎は既に諦めの目で見ていた。

 

「それでは京香。貴女の能力で奴隷にしなさい」

 

「は?」

 

「ふぁ?」

 

京香と仁太郎が驚きの声が上がる。

 

「貴女の能力なら32号を使役することが出来る筈よ。それにそれが強くなるなら試してみる価値はあるんじゃないかしら?」

 

「………分かりました」

 

京香は少し不満気な顔をしながら跪かされている仁太郎に近づく。

 

「悪いな。これも命令だ」

 

(いや、おい!奴隷って何だよ!?)

 

混乱している仁太郎に向かって、京香は手を伸ばす。

彼女の能力は生命体を服従させて強化する能力だ。

 

「屈服の時間だ」

 

京香の手が仁太郎に触れた瞬間、光が弾けた。

 

『やめろ』

 

しかし次の瞬間、現れた光景は仁太郎が屈服された姿ではなく、体から炎が吹き荒れ抵抗する光景だった。

全員が立ち上がり臨戦態勢を取る中、恋は吹き荒れる炎を凝視する。

その炎は一瞬だけ人の形を取って姿を現し、炎は掻き消えた。

炎が消えると口にあった護符は燃え消えて、口の自由は効くようになった。

 

「………能力での屈服は難しいそうね」

 

「そうですね」

 

恋の言葉に京香は返事をする。

突然の発火に組長達は驚いているが渦中の仁太郎は突然の事態に混乱していた。

 

(覇鬼!何やってんだ!?)

 

『俺を隷属させようとしやがった。火炙りにしなかっただけありがたいと思いやがれ』

 

覇鬼は不満そうな顔をしながら言った。

覇鬼がまたやらかすのではないか内心ヒヤヒヤしていると恋が再び提案する。

 

「能力での隷属が無理となると、彼の身内を使うしかないわね」

 

「は?」

 

恋の一言に仁太郎は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になる。

 

「総組長、それは幾らなんでも非人道的です」

 

「あら?国を守るためなら人の命1つや2つ犠牲にするべきではないかしら?それにあくまで人質として使うだけよ。何かしようという訳ではないわ」

 

天花が恋の提案に一言物申すが恋は気にした様子がない。

天花自身は何かと縁がある風夏に危害が及ばないようにしようとするが失敗してしまい、気付かれないように眉を顰める。

事件の後、天花は何度も風夏と連絡を取っており仁太郎の近況と減刑を頼まれていたが、詳細を話せないため適当な事しか言えていなかった。

 

(せめて彼女達には何もないようにしないと……)

 

「ふざけるなッ!!」

 

天花がどうするか考えていると仁太郎の怒号が響く。

 

「約束が違う!!お前達に協力する代わりに家族には手を出さないはずだろうがッ!!」

 

「貴方が約束を守るかどうかなんて分からないじゃない?何か形にするべきだわ」

 

激昂する仁太郎とは逆に恋は冷静に話す。

その態度に仁太郎の神経を逆撫でする。

 

「俺の家族は何も知らない!無関係だ!!」

 

「貴方と暮らしていたんですもの。無関係とは言えないわね。それに……もしかしたら貴方の家族も醜鬼かもしれないわ。なら処理対象の候補ね」

 

「ッ!!!」

 

その一言に仁太郎の中の何かがプチっと切れる音がした。

跪いていた足を立たせて恋に詰め寄ろうとするが鎖が繋がれており前に行けない。

しかし、腕に力を込めて引きちぎろうとする。

その様子を見て近くにいた京香が宥めるように声を掛ける。

 

「やめておけ。その鎖はお前用に作った特製品だ。並の醜鬼百体分は拘束できるように作られて……」

 

「ああああアアアアァァッ!!!!」

 

仁太郎が更に力を込めると鎖の隙間から炎が漏れ出し、鎖から鈍い音が鳴り始める。

次の瞬間、鎖を引きちぎった仁太郎は腕だけを変身させて恋に向かって飛び出す。

あと数cmで届きそうな所で伸ばしていた手を京香が刀で串刺しにして止めて、各組長が仁太郎の体を組み伏せる。

 

「まるで狂犬ね」

 

「俺の家族に手を出してみろ……!ぶっ飛ばしてやる……!!」

 

仁太郎の怒りの炎が燃えたぎる目に対して、恋の目は楽しい玩具を手に入れたように愉悦に浸っていた。

 

 

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