魔都精兵のスレイブ:紅鬼伝   作:マーベルチョコ

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第17話 六番組

初日は六番組隊員との挨拶をすることになった。

 

「挨拶は最初が肝心だよな」

 

組長室の姿見で身だしなみに問題がないか確認しながらそんなことを呟いた。

 

「大丈夫。みんないい子達だよ」

 

天花はそう言いながら仁太郎を微笑ましく見ていた。

すると立ち上がって仁太郎のすぐ目の前に立つと髪を整えてあげた。

 

「ほら、ここが跳ねてるよ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「ふふ、何で急に照れてるの?」

 

「い、いやぁ……」

 

天花のような美人に詰め寄られれば誰だって照れてしまう。

天花自身もそれを分かっていながら仁太郎を揶揄うためにわざとやっていた。

 

「さぁ、これで大丈夫。行こうか?」

 

「はい!」

 

仁太郎は気合を入れて隊員達が待つ場所へと向かった。

 

 

「何で醜鬼、しかも男が私様達の六番組にいるんじゃぁ?醜鬼と男の臭いで鼻が曲がりそうで仕方ないわ」

 

突然の罵倒に仁太郎の目元がピクリと動いた。

挨拶した途端に喋り方が特徴的な女性から罵詈雑言の嵐に仁太郎は怒りを我慢し、その様子を見ていた天花は苦笑いをしていた。

 

「どうしたのじゃ?何も言い返せんのか?臭いのに腑抜けとは見るに耐えんのじゃ!」

 

「頭に出てる触覚抜くぞ。こののじゃロリ女」

 

「んなっ!?」

 

流石にむかついた仁太郎が言い返すと言い返された本人 東 八千穂は驚いた顔で固まった。

その隙にもう1人が少し眠そうな顔で自己紹介を始めた。

 

「私は若狭 サハラだよ〜。よろしくね」

 

「よろしくお願いします。赤城 仁太郎です」

 

礼儀正しく挨拶する仁太郎に八千穂は怒りでプルプルと震える。

 

「待たんか!誰がのじゃロリ女じゃ!?」

 

「自分の胸に聞けよ。よし、じゃあ早速管理人さんに作業内容聞きに行きますね」

 

「だから、待たんか!!」

 

八千穂が叫んだ瞬間、八千穂が仁太郎の目の前に移動して拳銃を仁太郎の眉間に押し付けていた。

 

「どうやら立場が理解できていないみたいじゃから。ハッキリ言っておこう。私様は副組長!お前の処刑権限もあるんじゃぞ?言動には気をつけた方が良いぞ?」

 

「………」

 

脅す八千穂に仁太郎は黙って八千穂を睨み、一触即発の空気が流れる。

そんな空気のなか、天花が動いた。

 

「コラ、勝手なことしない」

 

「ふぎゅぅ」

 

天花は八千穂の背後に回り脳天にチョップをぶつけた。

 

「確かに八千穂にも処刑権限はあるけど六番組にいる間はそんなことはさせないよ」

 

「ぬぐぐぐ……!」

 

天花の決定に八千穂は悔しそうに唸るだけしか出来なかった。

 

「赤城くん。彼女は東 八千穂。六番組の副組長だよ」

 

「東?もしかして百紀の親族?」

 

「そう。八千穂は彼の妹なんだよ」

 

百紀と八千穂の関係にそうなんだ、と思っていると八千穂が心底気に食わないと言った表情しながら吐き捨てた。

 

「あんな男!兄なんかではないわ!」

 

「おい、家族なんだからそんなこと言うのは……」

 

「子供の頃、人間の限界を知りたいとか言われ池に限界まで浸からされ……!風邪をひけば状態を知りたいからと電極を体中に貼られる……!

能力を得れば知りたいからと寝ている間に裸にされ体中を調べられる……!私様と日万凛、麻衣亜がどれだけ苦労したことか……!!」

 

「あ〜……アイツ、小さい頃からそんな感じだったんだな」

 

十番組にいた頃にいきなり身包み剥がされる、無茶苦茶な実験で研究されると気苦労が絶えない状況を思い出し、八千穂に少し同類の意識が芽生えた。

トラウマが呼び起こされた八千穂に天花は苦笑いしながら仁太郎に説明を始める。

 

「はは……まぁ、これが今の六番組かな?他にもいるんだけど全員出払っていて基本的にこの3人しかいないよ」

 

「3人?随分と少ないですね?総組長のところでも十数人いたのに」

 

「十番組は魔防隊の総本山だから必然と人が多いのさ。それに山城総組長は何かと政府の仕事で席を外すからそれを補うために人も多いよ」

 

「なるほど……」

 

仁太郎が納得しているとトラウマから復帰した八千穂が仁太郎に絡んできた。

 

「フン!お前が六番組にいるのは組長からの命令じゃ。そこは渋々、仕方なく!納得してやろう。じゃがぁ?お前の力はこの魔防隊でやっていけるのかのぉ!?」

 

物凄く煽ってくる八千穂に仁太郎はまた実力試しかと思ったが天花がそれを止めた。

 

「実力を確認する必要はないよ。私達は彼の力は知っているからね」

 

六番組は何度も仁太郎と交戦しているためお互いに実力は分かっていた。

 

「八千穂の能力は分かっているよね?」

 

「はい。時間操作ですよね」

 

「そうじゃ!私様の高貴な力は『東の辰刻』!!時間を操作できるのじゃ!!貴様のような炎を出すだけのマッチ棒とは違う!!」

 

また挑発してくる八千穂に仁太郎ではなく、覇鬼が眉間に皺を寄せながら八千穂を睨む。

 

『この触覚が生えた小娘はどうすればいい?頭から徐々に燃やしてやろうか?』

 

「お、落ち着けよ、覇鬼……」

 

あまりの剣幕に仁太郎も引いてしまう。

その様子を見た天花は仁太郎の視線の先を追って声をかけた。

 

「そこにいるのが赤城くんに取り憑いているしゅう……鬼の覇鬼でいいのかな?」

 

『何だ女?』

 

「……あ、なんか用があるのかって聞いてます」

 

「貴方が憑依している赤城くんは正式にこの私、六番組組長 出雲天花の預かりとなりました。つきましては貴方も私の預かりになりました。今後はよろしくお願いします」

 

『ふん、殊勝な態度だ。この小娘が下手なことをしない限り俺は構わん』

 

「……そいつが変なことしない限り大抵は大丈夫だって言ってます」

 

「なんじゃと!?」

 

仁太郎は八千穂を指差しそう言うと指された本人は怒鳴り声をあげた。

天花はそれを見てクスリと笑みをこぼした。

 

 

六番組での最初の仕事は夕食作りで仁太郎は十番組で学んだことを思う存分に振る舞った。

 

「ん、おいしいね」

 

「本当だ〜凄くおいしいよぉ」

 

「………」

 

「そっか、喜んでくれたなら何よりだ」

 

天花とサハラは顔を綻ばせて喜んでいるが八千穂はどこか面白くなさそうだった。

それに気づいたサハラが八千穂に聞く。

 

「ヤッチどうしたの?黙っちゃってさ?」

 

「……何でもないわ」

 

「もしかして赤城くんのご飯が美味しかったから。素直に褒めるのが嫌なの?」

 

「………」

 

どうやら図星のようで八千穂の顔が少し赤くなった。

 

「ヤッチは相変わらず素直じゃないなぁ。だから妹さんとの仲が拗れるんだよ?」

 

「喧しいわ!?」

 

「妹……?」

 

妹という言葉にシスコンの仁太郎は反応してしまう。

 

「八千穂の妹さんは別の組にいるよ。ほら君を奴隷にしようとした彼女の組にね」

 

「ふーん……妹さんと仲が悪いのか?」

 

「……お前には関係のない話じゃ」

 

八千穂はそっぽを向いて話さなくなってしまい、仁太郎はこれ以上聞くことは無理だと思ったが1つだけ言っておくことにした。

 

「後悔のないようにしろよ」

 

「余計なお世話じゃ」

 

八千穂はそれから黙ってしまった。

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