魔都精兵のスレイブ:紅鬼伝   作:マーベルチョコ

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第7話 リベンジ戦

とある住宅街はいつも通りの平和な日常を過ごしていたが突然快晴だった天気が曇りになり、霧が立ち込める。

突然の異常事態に不安がる住人たちの前に複数の醜鬼とモールを襲ったタイプとよく似た姿の醜鬼が現れた。

住人たちは悲鳴を上げて逃げ始めるが醜鬼達もそれに合わせて人を追いかけ始めた。醜鬼の魔の手が住人に迫ろうとした瞬間、住人と醜鬼の間に鎧を装着した仁太郎が割って現れた。

 

「早く逃げて!」

 

仁太郎の言葉に人々は散り散りに逃げていく。

醜鬼は住人を追わず、仁太郎を凝視している。

 

『初の実戦だ。覚悟決めろ』

 

「わ、分かってるよ」

 

仁太郎は緊張しながらも構えると1体の醜鬼が近づいて攻撃を仕掛けてくる。

しかし、仁太郎は慌てず攻撃が当たる前に醜鬼の懐に入り込んで顎を上に向かって殴った。

その1発は醜鬼の顔を粉砕し絶命させ、あまりの呆気なさに仁太郎は驚いてしまう。

 

「え?……こんな簡単に?」

 

『当たり前だ。短い期間とはいえ俺が鍛えたんだ。あんな雑魚に苦戦してもらっては困る。自覚しろ、今のお前には奴らを簡単に屠る力があるというとを!』

 

覇鬼の言葉に仁太郎は笑みを浮かべ、醜鬼の群れに突っ込んでいく。

醜鬼達も応戦しようとするが仁太郎には意味がなく、蹂躙されていく。

何十体もいた醜鬼はあっという間に数を減らしていき、とうとうリーダーらしき特殊個体の醜鬼のみとなった。

 

「この前の奴と似てるな。リベンジさせてもらうぜ」

 

仁太郎は興奮してるのかそう強気な言葉を言うと醜鬼の尻尾の先が割れて巨大な剣のような器官が出てきて、仁太郎に向けられた。

 

「あー……やっぱりさっきの台詞なしで」

 

「グオオォォォッ!!」

 

そんな情けない言葉を無視して醜鬼は仁太郎に向かって剣を振るってくるが剣は全て避けられてしまい驚く。

仁太郎自身も自分が剣を避けられていることに驚いていた。

そして剣を避け続け、懐に入り込んで拳を握って力を込める。

 

「くらいやがれ!」

 

炎を纏った拳が醜鬼の胸に突き刺さり、醜鬼を上空へと吹き飛ばした。

地面に落ちた醜鬼の胸は拳の形に陥没し、炎で焼け焦げていた。

 

「や、やったんだよな?」

 

動かなくなった醜鬼達を見て仁太郎はそう呟くと、覇鬼が不満そうな表情で腕を組んで文句を言ってきた。

 

『まだ動きに無駄が多いし、攻撃も貧弱だ。もっと精進しろ』

 

「たまには褒めてくれよ。俺この1ヶ月めちゃくちゃ頑張ったんだぞ?」

 

『甘えたことを言うな。この調子だと先が思いやられる』

 

「何だと!?」

 

口喧嘩が始まりそうになった時、2人の背後の空間が歪んでそこから3人の女性が現れた。

 

「わぁ〜醜鬼が全滅してるよぉ」

 

「何を言っておるサハラ。目の前に1匹おるではないか」

 

「やっと会えたね。白鬼くん、あの時の魔都以来だ」

 

六番組隊員『若狭 サハラ』、六番組副組長『東 八千穂』、六番組組長『出雲 天花』が仁太郎の前に立ちはだかった。

鎧のお陰で表情は3人にバレていないが鎧の下では冷や汗が全身から流れていた。

 

(不味い!魔防隊に見つかった……!ど、どすれば……!)

 

『落ち着け、相手に気取られるな。機会を見て逃げるぞ』

 

(お、おう)

 

覇鬼は仁太郎と3人の力量差を即座に判断し、逃げることを提案した。

仁太郎は覇鬼の言葉に従い、落ち着いて3人の動きを観察する。

 

『(今の小僧には同時に3人は無理だ。眠そうにしている女と2つ括り髪の女ならまだ大丈夫だが短髪が不味いな……強者の風格を醸し出してやがる)』

 

『俺が合図したら地面に向かって大きな一撃を放てよ。目眩しになるようにな』

 

「わ、わかっ「八千穂、頼むよ」」

 

「了解じゃ」

 

天花に返事をした八千穂は変なポーズを取った瞬間、仁太郎の脇腹の数カ所に鋭い衝撃が走った。

 

「イッテェッ!!?」

 

「む?結構硬いの。生意気じゃ!」

 

何故か少し離れた所にいた八千穂は仁太郎の近くに接近しており、仁太郎の脇腹に向かって拳銃を向けていた。

銃口からは煙と脇腹の鎧の部分が凹んでいることから撃たれたらしい。

仁太郎は痛む脇腹を抑えながら、八千穂と距離を取る。

 

「何が起こったんだよ!?」

 

『二つ括りの奴が時間を止めたらしいな。そういう能力か』

 

覇鬼は今起きたことを分析してそう呟く。

 

「はあ!?時間を止めた!?」

 

まさかの能力に驚く仁太郎だが覇鬼は落ち着いていた。

 

『時間を止めて近づいて攻撃してきたんだろう。幸いにも攻撃は弱い。耐えろ』

 

「いや、死ぬほど痛いんだけど!?」

 

『鍛錬が足りん』

 

「鎧の硬さは鍛錬じゃ鍛えられないって!」

 

覇鬼の理不尽にツッコミを入れる仁太郎。

側から見れば1人で騒いでいるようにしか見えないため気味が悪い。

 

「何じゃあ?あやつは?1人で騒いでおるわ」

 

「本当に人の言葉喋っているね。あんな醜鬼初めて見たよー」

 

「………」

 

2人とは別に天花は静かに仁太郎を観察していた。

 

「八千穂、君は白鬼の前で能力のことは話した?」

 

「話しとらんが?」

 

「そう……(さっきの話していた内容、八千穂の能力『東の辰刻(ゴールデンアワー)』に気づいているようだったけど振る舞いは明らかに素人……演技でもして油断を誘っているのかな?)」

 

天花は1人で騒ぐ仁太郎を注意深く観察し、サハラに指示を出す。

 

「サハラ、八千穂とバトンタッチ。様子見で5でやって」

 

「りょーかーい」

 

眠そうに表情のサハラが仁太郎に近づいてくる。

 

「こ、今度はどんな奴なんだ……?」

 

怒れる羊(クレイジーシープ)!5!」

 

宣言するように自身の能力名を言うとサハラの体からオーラのような物が発生する。

仁太郎は兎に角、避け続けようと考えた時にはサハラは超人的な脚力で仁太郎の懐に潜り込んで拳を仁太郎の腹部にぶつけていた。

 

「ぐぎっ……!いつの間にぃ…!?」

 

『単純な強化系か。防御に徹して機会を待て!』

 

身を固めてサハラの連打を耐えていくが強化されたサハラの拳は鎧にヒビをいれ、仁太郎の体にダメージが蓄積されていった。

 

「む〜結構堅いなぁ。じゃあ攻撃方法を変えるよ!」

 

決定打にならないことがわかったサハラは戦法を変えて仁太郎の背後に回ると腰をガッチリと掴み、ジャーマンスープレックスを炸裂した。

超人級の力で繰り出された技で仁太郎は意識が飛びかける。

そしてサハラは倒れた仁太郎にトドメを刺そう足を振り上げる。

 

『小僧!体から炎を出せ!』

 

「アアアァァァッ!!」

 

「あつっ!?」

 

覇鬼に言われるがまま体に力を込め、全身から炎を吹き出す。

その熱量にサハラは思わず飛び退く。

サハラが退いたの確認し、ヨロヨロと痛む体を我慢しながら立ち上がった仁太郎はまだ逃げる機会ではないのかと焦り始める。

 

「ひゃ〜…とても熱いねー」

 

「(そろそろか……)サハラ、私と交代。逃げ遅れた人がいないか八千穂と確認してきて」

 

戦闘状況を見て、天花はサハラに指示を出した。

 

「私、まだやれるよ?」

 

「私がやる方が効率が良いだけだよ。後お願いね」

 

「……りょーかい〜」

 

「しょうがない。行くぞ、サハラ」

 

天花を信頼しているサハラは指示に素直に従いその場から八千穂と離れ、仁太郎の前に天花が立ちはたがる。

 

『チッ!さっきの女だったらすぐにでも逃げられたんだがな。あの女、状況をよく理解してやがる』

 

「ンな事言ってる場合かよ。また人変わったぞ。しかも次は組長……てことは1番強いってことだ」

 

仁太郎の額に緊張の汗が流れる。

それとは逆に天花は笑みを浮かべて余裕そうに仁太郎を観察し、口を開く。

 

「少し私とお話しをしないかい?白鬼くん」

 

「……その白鬼って俺のことか?」

 

「正体不明の醜鬼、更に人語を話すとなるとまとめて醜鬼とは言えないよ」

 

天花は気さくに話しかけてくるがその言葉に覇鬼がキレてしまった。

 

『誰が醜鬼だと!?あんな屑共と一緒にするな!!』

 

「君は人間の敵?それとも味方?どっち?」

 

怒鳴る覇鬼に内心五月蝿いと思いながら天花の言葉を聞く。

 

「味方って言ったら優しくしてくれる?」

 

「君の態度次第…かな?」

 

悪戯っ子ぽく笑う天花は男が見ればうっとりしてしまう程の美貌だが、今の仁太郎には悪魔が笑っているようにしか見えなかった。

 

「じゃあ!逃げさせてもらう!」

 

覚悟を決めて天花に構えをとる。

その様子に少し天花は残念そうにしたがすぐに好戦的な笑みを浮かべた。

 

「それじゃあ……追いかけっこ始めようか♪」

 

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