「試合終了! 結果は4対4対0で岡村隊と影浦隊の引き分け」
「試合時間は30分、最後のアル対影浦で10分くらい戦ってたからな……面白い試合だった」
「二宮さん達が0点なのが以外でしたがアルの強さが目立つ試合だったね……元A級部隊相手に4点は大きいんじゃないかな?」
「今回の結果で影浦隊と岡村隊は現時点で同率17位となりました。ただ次の試合は別チームとの試合となると思うので、純粋なB級下位の部隊と試合になります」
「アル、影浦、二宮の単独でもB級下位は全滅させられる可能性が高いからな。次の試合7点8点の大量得点だって有り得る」
「一旦映像を巻き戻して総評に入ろうかお二人とも」
「出水隊員失礼しました! では映像を巻き戻していきましょう……まず初期位置ですがアル隊員が球場に、影浦隊長が市民プール近く、二宮隊長と犬飼隊員がテニスコート近く、辻隊員が球場から緩やかに続く坂道、反対側の坂道に北添隊員でマップ端の駐車場に絵馬隊員が転送されました」
「初期転送位置だけだとどこも悪い位置じゃないな。強いていうなら合流が容易だった二宮隊が有利かもしれない……で、ゾエの開幕適当メテオラで犬飼めがけてぶっぱなし、球場で上空を通過したメテオラを見つけたことでアルはゾエの場所をある程度把握したのがポイントか?」
「で、グラスホッパー高速移動でゾエさん撃破、そのままの流れで絵馬も撃破してアルは2点、標的を辻に移したが二宮さんのハウンド……いや、ホーネットだね。これをエスクードで防御したんだけどエスクードを展開し過ぎて影浦さんの奇襲に1歩遅れてしまったけど体を捻ってダメージを最小限に留めたのは流石としかいえないねぇ」
「さぁさぁここでアル隊員は逃げの姿勢になり、アイビスをぶっぱなして逃げ切りましたがアイビスってあんなに威力有りましたか? まるで砲撃ですが」
「俺等も狙撃手じゃないからよく知らないが、アイビスも射手トリガーと同じでトリオン量が多い人が使えば威力が上がるタイプなんじゃないかな? 結果は砲撃みたいになって脱出に成功しているし」
「さてさてアル隊員の離脱により影浦隊長対辻隊員とのタイマン勝負になりましたがお二人はどう見ますか」
「辻も弱くは無い……というか弧月のマスタークラスだから普通に強いんだが影浦はポイント没収の前は13000のナンバー4アタッカーだから相手が悪かったとしか言えねえな」
「事実辻も約8分もここから粘るし、影浦さんの片腕を斬ってるんだよね」
「なるほど確かに相手が悪かったと言う表現が正しいように感じます」
「ただ1つミスなのは辻を三つ巴にしようと突っ込ませた点だな。合流重視で球場に3人が集結した場合次のアルの戦闘が影浦と戦闘後の疲弊したどちらかになるからな」
「二宮さんの長距離ハウンド乱れ撃ちもできるし場合によっては2名が二宮さんの攻撃で落ちていた可能性も……あ、影浦さんのサイド・エフェクトが有るから影浦さんは落ちないかな? まぁアルは確実に落ちてたと思うねあの場面辻が居なかったら」
「なるほど……さて場面が変わりアル隊員の500mの死闘に移ります」
「エスクードとグラスホッパー、アイビスの使い分けがとにかく上手かった。特にエスクードからエスクードを生やすのはどうやるんだ?」
「出水が知らないのも無理無いがエスクードに直接触れている場合にのみエスクードからエスクードを生やすことが可能だ。個人ランク戦の時にアルが発見して俺殺られたし」
「そしてここ! エスクードで四方を囲むことで動けなくするボックスが炸裂! 普通ならエスクードの耐久力もあり目隠しか上からメテオラ、ハウンド、バイパーを放り込むくらいしか攻撃手段が無いと思われたが! なんと! アイビスによる砲撃で撃破」
「これ二宮焦っただろうな。二宮の集中シールド2枚なら前面のエスクードも合わさって抜かれない可能性も有ったがアルの速射によって腹部ほぼ持ってかれてベイルアウトだし」
「二宮さんと犬飼さんの前半のアルの追い込みは完璧だったけどアルが上手すぎた。怖いよーこれからアルと戦うB級部隊達は……こんなレイドボスみたいなの相手にしないといけないからね」
「続けて弧月ピンボールを披露! これ太刀川隊長できたりします?」
「俺が教えた。俺もあまり披露しないがこれ明確に弱点が有ってグラスホッパーを弾トリガーに当てると消えるグラスホッパーの性質を知っていれば対処可能……事実犬飼はすぐさまグラスホッパーを破壊しているし」
「ただアルにとってはこれも足止めの技でしかなかったみたいだね。ここでアイビスによる砲撃が犬飼を直撃したし」
「なるほど……っと! ちょうど良かった東隊長が会場に居ますので東隊長ズバリアル隊員の狙撃の腕をお聞かせください」
「俺? ……あー、アルだけど固定目標命中率は99%、得点形式の的だと90点以上に95%当ててくる残りの5%も80点以上だな。移動目標も初撃で80%で当ててくる」
「それは狙撃手としては優秀なのでしょうか?」
「優秀だね。10番以内には入ってくるよ」
「東隊長ありがとうございます! そして犬飼隊員を落としたことで4点となり引き分け以上が確定しましたが、ベイルアウトによる勝ち逃げをすること無く影浦隊長と激突」
「勝ち逃げも十分有り得た場面が勝負に出たのは偉い、そして最終局面の影浦対アルだがアルの失敗というか経験不足が響いた」
「経験不足ですか?」
「俺とばかり個人ランク戦してたからスコーピオン使いとの戦闘経験がC級の奴らで止まってるからな……あと影浦のマンティスの変化斬りに初見であれだけ防げれば見事と言って良いかもしれないけど、手札を全て切った時の対応が甘かったな」
「ボックスアイビスも弧月ピンボールからのアイビスも影浦隊長は防ぎましたからね」
「ボックスアイビスは天井が開いているのを利用してすぐさま上に脱出からの集中シールド2枚で直撃を防いだからな。たぶんサイド・エフェクトでどこにアイビスが飛んでくるか理解していたから瞬時の脱出が可能だったんだな」
「ボックスアイビスは強制的に4択を迫られるからね。上に逃げる、左右どちらかから逃げる、その場で運頼みの集中シールド2枚展開して防ぐの4択だね。ただこれもアルが射手や銃手トリガーに手を出した場合更に選択肢は狭まるけどね」
「しかしそれだとアル隊員のトリガー構成が破綻しませんか? メインの弧月、旋空、アイビス、シールド、サブのバックワーム、グラスホッパー、エスクード、シールドという一種の理想的なトリオン構成となっていますが」
「まぁそれはアルが決めることだから俺らからは何も言えないがな……で、二宮と犬飼倒すのにエスクードを使いすぎたことによりトリオン残量がきつくなり、弧月単体で倒そうとして斬り合いになり、もぐら爪マンティスにトリオン器官を刺されてベイルアウト」
「実はアルもサイド・エフェクトを持っていて強化トリオン器官と言うんだ。これは心臓が大きい人がいるみたいにトリオン器官が人より2周り大きくてトリオンの回復量、トリオンの出力、トリオンの総量が増える体質なんだよね。だからアルは二宮さんよりもトリオン総量が多いし、あれだけエスクードを展開できたんだよね」
「なるほど……公開してもよろしかったので?」
「アルに了承は得てるからね」
「では大丈夫ですね! 少しアル隊員の強さの秘訣がわかったところで今回のMVPを決めましょうか! お二人ともせーのでいきますよ……せーの」
「「「アル」」隊員」
「では私から、二宮隊が0点の元凶であり、グラスホッパー走行による高速移動で盤面を常に掻き回してアル隊員が戦場での主導権を常に握り続けていました。最後の攻防でも勝つことができれば7点だったことも含めてMVPに選出しました!」
「じゃあ次は俺だな。俺はアルの旋空弧月に同じ弧月使いとして注目した。グラスホッパーを踏むことで間合いの調整が可能であり、高速移動中に旋空弧月を当てる技術は俺でも難しいのにそれをランク戦で見せることで弧月使いに新たな可能性を見せたので選出した」
「じゃあ最後に俺から……やっぱりアイビスだよね。弾速が比較的遅いアイビスを当てるための工夫に富んでいたから見ごたえも解説もやりやすかった。しかもエスクードに至っては他の隊員が真似したくても真似できないオンリーワンの技術だからエスクードを中心に戦う場合とグラスホッパーを中心に戦う場合で相手は嫌な二択を押し付けられるし、アルは状況によって瞬時にスタイルを変更できるから今後の試合のことも考えての選出だね」
「はい! 太刀川隊長! 出水隊員! ありがとうございました! それでは実況の武富桜子でした」
初戦を4点で突破したアルはとあるフリーB級隊員から部隊に入れて欲しいとの要望が来た
その為アルは入隊希望の者達の資料を岡村さんから貰い、とりあえず入隊希望者をとりあえず隊室に呼んだ
「アル・ガガーリナです。資料は拝見しました。今日は来ていただきありがとうございます」
「あー、えっと……
鈴原さんは年齢は18歳の今年大学に入学した大学生で、弧月使い、ポイントは4200で約2年C級で過ごしてきたという過去を持つ
「鈴原さんはなぜ私に声をかけたのですか? 他の部隊でも良かったと思いますが」
「……アルさんの下であれば弧月の使い方をしっかり学べるのではないかと思ったからです」
岡村さんの資料によると鈴原はトリオン量は豊富の部類だが、不器用、超負けず嫌いで何度も同じ相手に対戦するのだが不器用だからなかなか勝てなくてポイントを相手に多く支払ってしまうのでC級に長く居ることになったのだとか
「とりあえず何か食べませんか? フレンチトーストは嫌いですか?」
「あ、いえ……どちらかといえば好きですが……頂いても?」
「食堂から余り物の食パンを頂いたから食べようと思ってたんだよね。ちょっと待っててね」
アルはIHコンロを複数個取り出すとそこにフライパンを乗っけたり、ボールをどこからともなく持ってきてそこに卵を12個、砂糖、バニラエッセンスを投入して電子レンジで暖める
アルは料理というものを覚えてから学習用のパソコンを使い、料理を片っ端から覚えては食堂の余った食材を貰いおやつと夜食を自分で作って食べていた
なのでアルは現在朝昼晩の3食+おやつと夜食の5食を毎日食べている
防衛任務を行ってお給料が増えれば貰い物ではなく新品の料理機材や炊飯器や新しい大きな冷蔵庫も買える為気合いが入っていたり
「お待ちどうさま……フレンチトーストです」
鈴原に出されたフレンチトーストは5枚程で、アルも5枚程焼いて食べ始めている
鈴原はその量とアルの食欲に圧倒されながらも出されたのだから食べなければと思い一口……
「……普通ですね」
「そうかな? めちゃくちゃ美味しいと思うけど……舌が皆肥えてるんだよ日本人はさ」
アルにとって甘いというのはご馳走の証でサテラスに居た頃は食べたことの無い味であり、玄界に来てから知った味で、この未知なる味覚を玄界は普通に食べられるというのにも驚きつつ、料理が作れるようになった今はおやつの時には甘い食べ物を好んで食べるのがアルの日課だ
甘い食べ物を食べると頭が活性化して物覚えが良くなるようにも感じていたので太刀川さんと戦う前等もバナナ等の果物を食べたり、アメを舐めてから挑んだりしている
「無理して食べなくて良いからね。残ったら私が食べるし」
「いえ、大丈夫です。食べます……」
「食べならがでも良いから聞いてね。鈴原さんが声をかけてきてくれたのは嬉しいんだけど弧月が上手くなりたいからだけじゃないよね? ……例えば……近界民を殺したいとか<span class="FIND_IN_PAGE FIND_IN_PAGE_SELECT">復讐</span>したいとか……いや、あなたの場合は闘争本能を満たしたいだけかな?」
「ゴホゴホ……わかるんですか」
「はい水……何人も見てきたからね。そういう奴はトップエースになるか早死するか……あなたはどっちかな?」
「……」
「食べ終わったら個人ランク戦しようか。私10本勝負して4本勝てたら部隊に入れるように努力しよう。どうかな?」
「……やります」
食後アルは鈴原と10本勝負のランク戦を行い10-0で鈴原を叩きのめした
「……アルさん、一回だけとは言ってませんでしたよね……もう一回お願いします」
10-0
「もう一回!」
10-0
「まだまだ!」
10-0
「次こそ」
10-0
「今度こそ」
10-0 10-0 10-0 10-0 10-0 10-0 10-0
「ランク戦閉鎖の時間だ皆帰るように」
「……時間だね。鈴原今日は終わりにしよう」
「まだまだ……まだ……」
「……鈴原、少し話そうか」
職員食堂で食事をした後にアルは鈴原を隊室ではなく自室に招待した
「120戦したけど鈴原の悪いところと良いところを幾つか見つけたわ……どっちから聞きたい? ……いや、先に私と戦ってみて感じた事を聞こうかな」
アルは自室の会議室等で使う長テーブルとパイプ椅子を出して鈴原を座らせた
対面にアルが座りまるで面接の様な感じになる
「えっと……まず凄かったです」
「何が?」
「弧月の速度と……旋空の効果時間を調整してましたよね……明らかに旋空の残る時間が長い時と長距離に飛ばしていました」
「じゃあそこから教えようか」
アルにとって年齢というのはあまり気にする要素ではない
勿論玄界の常識として目上の人にはさんを付けたり敬称を付けたりするのは理解しているが、鈴原亜由美には戦ってみて教えるべき存在と認識したためやや上から目線で話を始める
アルは鈴原の悪いところとして不器用と自身を認識していることを上げた
鈴原は決して不器用ではない
器用とは言えないが普通である
なぜ鈴原が不器用と自身を言っているか戦ってみたアルの感想として自らの感情を抑制しているため動きが硬くなっていると説明した
「鈴原が疑問に思った点は大きく4つ。旋空の時間、グラスホッパーの使い方、エスクードの速度、アイビスの役割……私が気がついて欲しかった点は見えてると思うよ。強いて言うなら弧月投げの力の伝え方や押し込みシールドなんてのも有ったけど4つ見えただけども上出来だと思うよ」
アルは最初から全力で鈴原と対決した
鈴原の明確な欠点は以下の通り
・シールドが苦手
・奇襲に弱い
・戦闘体の使い方がなっていない
の3点だ
奇襲に弱いは視界が狭まってしまうからであり、これは本人の性格も相まって治すことは困難
ただシールドが苦手と戦闘体の使い方がなっていないは治しようが幾らでもある
鈴原の良い点は
・覚えた事は十二分に発揮できる
・見えている
・負けず嫌い
で、覚えた事が十二分に発揮できるのは弧月単体の使い方は一般的なC級いや、B級の中でもそれなりの位置に居るくらい使いこなしている
アルが見せた弧月投げも試してみたりと覚えようという考えも良い点かもしれない
見えている……アルはこれが一番重要だと思っており、弧月も旋空もエスクードもアイビスも避けようというそぶりを見せており、ちゃんと見えて体が反応しているが体の使い方が下手だから避けきれずに倒される場面が多々あった
見えてなければ避けることはできても次の行動に移れない
反撃や逃走の選択肢が出てこないのだ
となると一方的に攻撃され続けて倒されてしまうが、見えていれば次の行動に移ることができるため選択肢が広がる
そして負けず嫌い
近界だとすぐ死ぬ大きな欠点で、深追いして死ぬ典型的な最初に治す性格なのだが、緊急離脱(ベイルアウト)が存在し、訓練では幾らでも戦える性質上これはここだと長所となる
負けたくないから考える
そして工夫する
現にアルの動きを見て対策を次々に実践していたし、勝つために最後まで諦めることが無かった
アルはその点は評点している
「まずその内側に仕舞い込んだ闘争本能を出すことから始めよう……笑いなよ……そうそう戦う事を楽しむの。私の経験上鈴原みたいなタイプは死ぬ瞬間まで笑ってるよ」
ニコとアルが笑うと鈴原もぎこちなく笑う
「常に笑うことを意識していればたぶんすぐに効果出ると思うよ……明日試してみようか」
アルによる鈴原育成が始まった瞬間であり、後に狂人、タイマンだと必ず相討ち以上にする女、ホラー映画よりも恐怖を感じると呼ばれる鈴原亜由美が始まった瞬間だった
影浦のサイド・エフェクトは感情受信体質
相手の感情を肌で感じる
敵意や殺気、嫌味、恐怖等はチクチクと不愉快な感じがし、友好的等は心地好い感覚を得る
ちなみに作者の射撃成績は最高50点中40点、平均38辺りでしょうか
移動目標?・・・まず当たらないからね
ワートリの狙撃手優秀すぎ!東さんは化物