亡命者アル   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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出水さん

『レーダー反応あり、南南西距離500m』

 

「了解」

 

 アルシフトと呼ばれる長時間防衛任務初日

 

 アルは昨日の鈴原との120戦の疲れも見せずに防衛任務に挑んだアルだったが岡村との連携もあり約5分で5体のモールモットと3体のバムスターを撃破

 

 短時間かつ鮮やかな手腕に初の防衛任務ということで映像越しに眺めていたボーダー幹部は近界民ということを置いておいて称賛を送る

 

「建物になるべく傷が付かないように戦っているのがありがたい。幾ら破壊しても良い建造物だからといってむやみに壊すと被害が警戒区域外に出てしまう可能性もあるからな」

 

「鬼怒田さんそれは極端な例過ぎますよ……注目すべきはタイムだ。豊富なトリオン量による長距離グラスホッパー走行は広範囲をカバーできるし、長年兵士をしてきた経験から無駄な動きが一切無い……他の部隊だったら15分はかかる」

 

「これで他の隊員への学業への時間が増えれば広報としてもありがたい。言ってしまえば未成年の少年兵の部隊がボーダーだ。学業への時間が割かれるというのは親としては看過しがたいですからね」

 

「……このまま監視を続ける。不穏な行動を始めたら即刻処分する」

 

 城戸司令の言葉に幹部達は頷く

 

 この日からアルは平日5日間8時間のフルタイム防衛任務をこなすことになるが、複数部隊対応事案以外は20分以内でトリオン兵を薙ぎ倒していくこととなる

 

 それはボーダー幹部からの心情も良くなる一方で、他の一般ボーダー隊員からアルは学校に行っていない

 

 戦争孤児だからボーダー上層部が都合の良いように使ってる

 

 そもそも近界民なのではないか等の噂が水面下で広がっていくこととなるが、一番広がった噂は

 

【アルは馬鹿だ】

 

 という物だった

 

 常識を学んでいる最中でありどうしても話が噛み合わない、太刀川隊長と決闘じみた常軌を逸した個人ランク戦の数、学校に行っていない……これ等の要素からアルは学力的な頭が悪いのではないかという噂が一番広がりを見せた

 

 事情を知る者達もアルが馬鹿であるかどうか等どうでも良い為火消しする者も居らず自然とアル=学がないと言う感じになってしまった

 

 つまり太刀川さんと同類の戦闘狂にされてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか私戦闘狂扱いされているんですけどどうなんですかね出水さん」

 

「仕方ないんじゃない? 学校に行ってないのは事実なんだし、フルタイム防衛任務や太刀川さんとの個人ランク戦も事実だし……あんまり気にしないことだよ。俺だって皆から弾バカって言われてるし」

 

「いや、出水さんが弾バカなのは事実じゃないですか」

 

「酷くない? 俺だって落ち込むからね」

 

「いや、あんまり落ち込んで無いですよね? というか半分褒め言葉ですし」

 

「半分は貶しかな? あーあ、バイパーのやり方教えるやる気落ちちゃった」

 

「ごめんなさい。ふざけすぎました」

 

「アルちゃんの素直なところは良いところだと思うよ……じゃあおさらいしようか」

 

 ボーダーの訓練室で出水さんからアルは射手のトリガーについて学んでいた

 

 射手が初心者にお勧めされないのは設定の多さからである

 

 弾には3種類の構造でできており、威力を決める弾体、弾体を空気と反応するのを防ぎ、分厚ければ分厚い程射程が伸びるカバー、その2つを飛ばす推進材の3つにわかれているのは周知の事実がだ、その比率を戦況に合わせて変更する必要があり、しかも弾ごとに特性があるので初心者射手は設定を間違えてあらぬ方向に弾を飛ばしてしまったり、自爆してしまうこともあるらしい(例 里見隊員)

 

 で、アルが教わっているのはその弾の比率調整とバイパーの弾道のリアルタイム引き、合成弾のやり方の3つ

 

 アルにとって弾トリガーを加えることは、旋空が届かず、アイビスだと近すぎる30mから75mの間を埋めるためにも必要であり、このまま頑張ればアステロイドとアステロイドの合成弾のギムレット(徹甲弾)だけなら次の試合までに間に合いそうだ

 

「トリオン量が多いから弾がでかいよね……9×9×9の729分割とか初めて見たわ」

 

「でもそこまで分割するとバイパー並みに威力が落ちるから4×4×8分割の128発くらいが妥当でしょうか」

 

「729分割だと弾体25%防ぎ50%推進材25%で250mが射程圏内か? 729発が襲いかかってきたら怖いけどな」

 

 トリオン量5以下のシールドを数発当てれば割れるのが128分割、64分割で8以上、10以上は32分割、4分割だと出水のギムレットとどっこいの威力となる

 

 防ぎの割合を弾体に回すと8分割でも出水のギムレット並みとなるが射程が100m程になる

 

 100mも有ればアイビスの射程と被るので中距離も対応できるようになるが……

 

「バイパーは難しいからな。曲線や屈折するからその分推進材とカバーに振らないといけないし、何より弾道のリアルタイム引きはキュービットだっけ? あれを操れてたんだからすぐに出来ると思ったけどなー」

 

「キュービット操れるようになるまで3ヶ月かかりましたし、似ているとはいえコツを瞬時に掴めるほど私は天才ではないので……」

 

「学習能力は化物だけどな」

 

 ある程度教わると今度は実戦形式(弧月、アイビス禁止)で射撃戦を行う

 

 実戦こそ成長するという太刀川隊の信条のもと行われるランク戦

 

 まだ合成弾とバイパーは使えないからグラスホッパーを使いながらの機動戦に持ち込むが、当たらない

 

 移動しながらの射撃は当てるのが難しい

 

 特に高速移動中だと更に当たらない

 

 一方出水さんは高速移動しているのにバイパーやハウンドで当ててくる

 

 シールドや壁で防いでいくが、出水さんの射線管理能力や瞬時に合成弾を絡めていくことで徐々に(1時間以上)削られて最終的にギムレットが突き刺さりアルベイルアウト

 

「つ、疲れる……こんなん太刀川さんいつもやってるのかよ」

 

「まだ1戦ですけど……」

 

「今日ムリ……もうやりたくない。体の疲れは無いけど精神的に来るわ……」

 

 嬉々として弾を打ち出す出水がもうやだという程の長期戦

 

「1時間の戦闘なんてザラですよ。相手が精神的に参ってからが本番ですよ」

 

「……あぁ、なるほど。そりゃ太刀川さんが気に入るわな」

 

 少しばかりアルの狂気を感じた出水はたじろいだが、同じ年の女の子ということを思い出し、せっかくだから食事でも誘うかと思ったが、アルがまだ外食できないことも思い出したので

 

「アル、何か食べてみたい物、買ってきてほしい食材ってあるか?」

 

「でしたらフルーツ缶というものを買っていただけませんか? 普通の果物よりも甘いと聞きましたので」

 

「おう、わかった。じゃあ賭けようぜ! 次のランク戦で何点とれるか」

 

「次の試合ですか……来週の金曜日ですよね」

 

「そう! 点数がピッタリだったら5種類買ってくるよ。ニアピンで3種類、完全にハズレで1種類……どうだ?」

 

 出水のこの会話を聞いてアルは少し昔を思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アル、この戦争いつ終わるんだろうな」

 

「終わらないんじゃない? 何時までたっても攻めたり守ったり……配給の量を多くしてくれないかなぁ」

 

「お? 政府への忠誠心が高いアルが愚痴とは珍しいな」

 

「2日も食べれなければ愚痴も出るわよ……幸いここは祖国じゃないから聞いてるのここにいる5人しか居ないし」

 

「ちがいねぇや」

 

「……なぁ皆賭けねぇか? これから1人選んでそいつが全力で陽動しているうちに敵の物資集積所に奇襲して食料を奪取する」

 

「良いねぇこのまま全員干からびるよりはマシだ」

 

「ここは平等にコイントスで決めるか……コインの裏表を外し続けた奴が陽動な」

 

「コインなんかあるのか?」

 

「あ、私持ってるよ」

 

「出かしたってそれ尉官以上に配給されるっていう防衛コインじゃないか」

 

「良いのかアル? こんなもの使って」

 

「こんな事にしか使えないでしょ……階級云々でこういうのは決めたくないし」

 

「じゃあ恨みっこ無しだ」

 

「ヒムラー、カトリス、タッタル、ヤーデン……いくよ」

 

「「「「おう!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「……囮の私が生き残って、本命の皆が全滅してるんじゃないわよ……」

 

 誰一人として合流地点には帰ってこずに、敵の基地に仕方なく侵入したアルは既に処刑されていたり、殺されていたりして事切れていた仲間達を見つけた

 

 アルはその任務で敵の基地を破壊する功績をあげる

 

 油断した敵にとってそれが本当の奇襲となり、基地を燃やしたのは遺体をせめて燃やして弔ってやろうというアルなりの考えだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「アル? アルちゃんどうした泣いてるのか」

 

「少し……昔の事を思い出しまして……次の試合でしたね……8点とって見せますよ」

 

「おお! 強気に出たね」

 

「ただ射手トリガーの披露はまた今度にします……次の相手の吉里隊と早川隊の映像は見ましたが……最初の2部隊よりも弱いので」

 

「油断していると足元掬われるぞ」

 

「油断? ……私は常に最善手を打ちます……それが生存の鍵ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハ!」

 

「良いね! 調子出てきたじゃん」

 

 鈴原とは相変わらず10-0の試合が続いているが、鈴原の動きが良くなってきている

 

 とにかく攻め続ける、足が飛ぼうが腕が斬られようがとにかく攻撃を続ける

 

「こう! こうこうこう!!」

 

 かれこれ前回も合わせて200戦が終わる頃事件が起こった

 

「鈴原隊員ちょっとよろしいでしょうか」

 

「はい?」

 

 ボーダー職員の方が鈴原に話しかけてる

 

「鈴原隊員……ポイント1500点を下回ったのでC級降格です」

 

「……え?」

 

「C級降格です……規定ですので」

 

「……えぇー!?」

 

 鈴原アルにポイントを吸われ過ぎて1500点を下回りC級落ち

 

「嫌だぁせっかく楽しくなってきたのにぃ……」

 

「C級でも私とは戦えるでしょポイントの上下は無いけど……」

 

「あ! そっか! 鈴原もっと戦いたいです! まだ殺っても良いですか」

 

「時間一杯まで今日は付き合うよ。使うのは弧月だけで良いかな」

 

「はい! よろしくお願いします」

 

 その後50戦行ったが、鈴原はじわじわとだが実力をつけ始め、そして時間ギリギリの最後の1戦で弧月のみとはいえついに鈴原は1本を勝ち取った

 

「よっしゃぁぁぁぁ!」

 

「おめでとう鈴原」

 

「アル殺れた! やったぁ!」

 

 喜ぶ鈴原だが、アルは冷静に考える

 

 約250戦、しかも最後の50戦は弧月のみで1本なのでこのまま上達していったら最低1000戦、鈴原の実力からいって更に時間がかかる可能性が高い

 

 ただ鈴原の諦めの悪さ……負けず嫌いの性格はとても好感を持てるため、約束は必ず守ろうと思い、鈴原が更に強くなるために1つアドバイスを送る

 

「鈴原、明日私は太刀川さんと個人ランク戦闘で戦うけど、そこの中に入れて貰うように私からお願いするから……見て技を盗んでいこう」

 

「え? 太刀川さんとの試合みれるの!」

 

「個人ランク戦は外部からは公開しないと見えないけど、中に入ってみる分には支障は無いはず……ただその場合ポイントの上下は無くなるけど私も太刀川さんもポイントよりも実力を伸ばしたいから戦ってる(太刀川は己の闘争本能を満たしたいから戦っているが)し、問題ないと思うよ」

 

 それに太刀川さんに鈴原を紹介する意味合いもある

 

 鈴原の戦闘スタイルは防御よりの私よりも攻撃よりの太刀川さんの方が合っている

 

 玄界にはこんな偉人の言葉がある

 

 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

 

 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず

 

 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず

 

 まずはやらせている段階だ

 

 私の動きや太刀川さんの動きから成長の鍵を見つけさせる

 

 言って聞かせてや誉めるにもまずやらせてみなければ鈴原は伸びない

 

 部隊に入ってから話し合いをしての段階になるからとにかく今はやらせるしかない

 

「……鈴原が小麦粉と卵持ってきてくれたから今日はパンケーキ作ってみようと思うんだけど食べる?」

 

「食べる食べる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、俺とお前の殺り合いに鈴原を巻き込んだ訳か」

 

「鈴原はお知り合いで?」

 

「大学の後輩だから……と言いたいが名前くらいしか知らなかったが」

 

 殺し合いの中、つばぜり合いの時に軽く鈴原の事をアルは太刀川に聞く

 

 アルの事は軽くしか知らなかったらしい太刀川は名前くらいしか知らないと返す

 

「しっかし見るだけでも辛いんじゃないか? かれこれ巻き込まれて5回もベイルアウトしているわけだし」

 

「巻き込まれないっていう訓練も兼ねています。B級だと部隊戦になった時にこうやって斬り合いになれば周囲に旋空や弾がバンバン飛んでくる場面が発生しますので、それを避けるのも必要となります」

 

「本来ならそういうのは攻撃側が配慮するんだがな」

 

「私はできますけど、鈴原は配慮できるほど実力は無いので、避けれるようにしておいて、部隊運用時には鈴原をエースに据えます」

 

「アルがアシストに回るのかよ!?」

 

「私は防御よりとは前々から言っているようにアシストも得意ですよ……もっとも組んだメンバーはことごとく戦死しましたが」

 

「……わりいな」

 

「いえ、私のガードが甘かったこともありますから……置き弾」

 

「フルガード強要するアステロイドは厳しいなおい!」

 

 両左右に設置した置き弾による強制両ガード

 

 全体シールドだと威力不足でアステロイドに抜かれてしまうため強制的に両ガードを強要するこの技はアルにとって絶妙な隙を作り出し、ここで弧月による一太刀

 

『戦闘体活動限界ベイルアウト』

 

 アステロイドをある程度使えるようになったアルにとって間合い勝負の太刀川は工夫をすれば勝率を45%まであげることができるようになっていた

 

 前から5%しか上がっていないように感じるが、太刀川がアルに対して迅と同じレベルであると認め、更にギアを1段階上げた結果を加味してほしい

 

 そんな太刀川でも置き弾アステロイドによる両ガード強要攻撃は防ぐのがやっとであり、アルにとって待望の1対1で詰み技を身に付けた瞬間だった

 

 この置き弾アステロイドは128分割くらい小さくすることで見えにくくし、瓦礫に隠すなど工夫もされている

 

 置き弾はアステロイド限定ではなく他の弾種でも可能なので、アルはバイパーでこの詰めを行いたいと考えていた

 

 バイパーの軌道であれば避けられる心配が減るからだ

 

 置き弾不発は太刀川レベルであれば見破られて避けられ、そのまま空中旋空によるアルのシールド斬りでベイルアウトというのが減るため対太刀川の為にもバイパーは早急に覚える必要があった

 

「で、とりあえず10戦見て鈴原は何を思った?」

 

 物陰からひょっこり現れた鈴原は高次元で行われる読み合いと数手先を読んだ攻防に目をキラキラさせながら

 

「詰みの手がいかに有効かわかりました。エスクードによるボックスからのアイビス、両ガード強要アステロイド弧月、ピンボール弧月からの大玉アステロイド……ただ私にはそれができるほどのトリオン量は無いので独自の詰みを作らないといけません。あとはオンリーワンの戦い方ができればそれだけで強いと思いました……アルいや師匠は詰みを切り札として何枚も持っている。太刀川さんも二刀流弧月からの両旋空みたいなオンリーワンの攻撃を持っているから私もそういうのが必要かなって思いました!」

 

「あとは鈴原はガードも少しは上手くなろうね。攻撃特化も強いけど変則攻撃のシールド対応くらいは覚えておいて損はないと思うよ」

 

「……なら私がやるべき事は再びB級に戻ること、そしてシールドを最低限使いこなす事、自分の戦い方を見つけること」

 

「よし! それでいきましょう! 今日は太刀川さんとあと140戦するから奇襲できると思ったら攻撃に参加しなよ。太刀川さんも了承しているし」

 

 擬似的な三つ巴想定の訓練

 

 鈴原は常に奇襲を意識しなければならず、太刀川とアルは鈴原の奇襲に備えながら対面の相手を倒さなければいけないという訓練だ

 

 見ているだけじゃ鈴原が我慢できないだろうと思っての判断で、太刀川さんも10戦やったら鈴原交ぜても良いと言ってくれたので実現した戦いだ

 

 この後鈴原も交ざるのだが殺気がバリバリで直ぐに見つかる為100戦はアルのアステロイドか太刀川の旋空にバッサリ殺られる鈴原だったが、残り40戦は隠れるのが上手くなり、まだ甘いが殺気を抑えながらの攻撃を仕掛け、3回ずつアルと太刀川が鈴原に斬られる事が発生した

 

 鈴原の育成はまだまだ続く……

 

 

 

 

 

 

 岡村隊室にて岡村さんが買ってきた肉を使って、ペッパーランチなるものをアルがレシピとにらめっこしながら作り、お帰りと2人で食べながら次の対戦相手である吉里隊と早川隊への作戦を練る

 

「実力差が有るからごり押しで良いんじゃない?」

 

「と相手も考えていると思うので開幕全員がバッグワームを着用すると思われます。で、この場合部隊全員が合流を優先するとおもうのでバッグワームを外すのはその時かもしくはずっと着用しっぱなしも考えられます」

 

「それだと凄い塩試合になりそうだけど」

 

「今回マップ選択権は早川隊ですが、まず私は高所を確保して目視で敵を見つける、それを岡村さんがモニター映像越しにロックして倒すやり方と集結させてしまい、纏まれば発見しやすくなるのでそれまでじっと待つ、2つの部隊が戦闘開始した時に奇襲するの3つを要領よく使い分けていこうと思います」

 

「不味いのは不意な遭遇戦に他の部隊2つの誰か同士が発生した場合かな?」

 

「その場合はバッグワームが解除されると思うのですかさずアイビスによる砲撃を敢行します。混乱して足が止まれば良し、逃げて合流に動けば次点、そのまま戦い続けるようなら私がトドメを刺しに行きます」

 

「となるとアルはとにかく高所を陣取る必要が有るね……マップ発表から転送までの10分で一番高い建物を教えるのが第一に、マップ把握が二の次になる感じかな」

 

「それでいきましょう……岡村さんアシストお願いします」

 

「任せなさい! アルが見落としている場所は私がカバーするよ」

 

「助かります……あぁ……美味しい……」

 

「アルも料理上手くなってきたよね。最初はとにかく甘く作りたがるし、普通のは薄味だから心配したけど」

 

「舌が味に適応してきましたからね。前は薄味でもインパクトを感じていましたが、慣れてきたので……」

 

「まあ料理が上手ければ上手いほど良い人と結婚できるから頑張りなよアル」

 

「結婚ですか? 近界民と結婚したい人が玄界にいるんでしょうかね?」

 

「居るよ、アルの性格と器量に惚れ込む人は居ると思うよ。まぁボーダーの思考チェックは入ると思うけど」

 

「まぁアルは常にとはいかなくてもボーダーに身柄を拘束されている事実は変わらないし、三門で近界民で結婚したいって人は少ないと思うけど、器量は常に磨いときな。ボーダーの男で良いなって人は居ないの?」

 

「交友関係って言うんでしょうか? それが狭いですし……よく話すの太刀川さんと出水さん、この前の試合で気に入られたのか影浦さんと北添さん、犬飼さんには声を掛けられましたね」

 

「その中で良い子居ないの?」

 

「強いて言うなら……影浦さんと北添さんでしょうか? あの人となら強い子が産めそうですし……太刀川さんとは戦友のままが良いかなぁ……なんとなく戦闘狂と毎日居たら疲れそうですし」

 

「野生児かな? 弱肉強食で男を判断してる気がするんだけど」

 

「出水さんは強いしトリオン量も豊富ですが、ああいったタイプと体の相性が悪いのかトリオン量の少ない子供しか産まれなかったからなぁ」

 

「トリオン量で考えるのはやめよう……? じゃあ何で影浦と北添なの?」

 

「影浦さんは怖そうに見えて喋ってわかりましたけど裏表の無い人ですし、北添さんは豊満な体が素敵じゃないですか」

 

「……あぁ、デブ専かぁ」

 

「サテラスでは豊満な体の人は憧れだったんですよ。痩せてる人ばっかりなので豊満な体の方が沢山食べられている証ですし」

 

「ここサテラスじゃないからねー」

 

「デブ専と言われようともあの体は魅力ですよ岡村さん!」

 

 岡村の中でアルはデブ専というのが固定化された瞬間だった

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