亡命者アル   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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鳩原さん

 アルの一日……平日

 

 朝6時起床

 部屋にてイメージトレーニングしながら素振り

 7時食堂にて食事(平均米5合に生卵5個、ベーコン10枚、梅干し4つ、たらこ少々、海苔10枚、お味噌汁)→食後風呂に直行して汗を流す

 8時半e-ラーニングにて学習開始

 ~12時まで~50分学習したら10分休憩を繰り返す

 12時昼食(日替わりランチかカレー、米5合、それに見合うルー大量、カップアイス)、昼寝

 13時e-ラーニングで学習

 17時狙撃手の合同訓練が有れば参加し、無ければランク戦にて戦う

 19時夜食(日替わり定食超特盛)

 20時イメージトレーニングしながら筋トレと素振り

 21時お風呂

 22時e-ラーニングにて学習

 0時取ったノートの復習

 2時就寝

 

 土日の場合は合同訓練が有れば参加、無ければ13時過ぎから19時までずっとランク戦に籠っている

 

 アルは今の生活は楽園であると感じていた

 

 命のやり取りもなく、訓練の事故で死ぬこともない

 

 食べたい分だけの食事量により餓えることもなければ、勉強という素晴らしい知識を与えてくれる

 

 与えられたノートという物とシャーペン、カラーペンを使いパソコンという機材の流れる映像により勉強を行う

 

 パソコンから流れる映像はとても便利だ

 

 ノートに集中したい時は動画を止めることも、速度を早くしたければ1.5倍速、2倍速と変えられ、聞き逃した所は巻き戻せば再び同じように聞ける

 

「これが……玄界の学習……」

 

 あまりに進んだ学習方法に紙の媒体、筆記具を大量に消費できる環境……アルは涙を流しながら感動した

 

 なんという贅沢かつ合理的かつ効率的な学習方法なのだと

 

 しかもわからない所は教員免許なる物を持つ岡村さんに聞けば教えてくれる

 

 なんと充実した環境なのだろうか

 

 ボーダー本部としてはアルにはある程度の学力と常識が身に付かなければ市中に放つことができないため勉強して貰うことは良いことなのだが、アルにとってサテラスの価値観だと勉強というのが高価な娯楽であり、特権階級のみ身に付けることを許された物のため、アルは玄界ではこれが普通と理解していながらもサテラスの価値観により死に物狂いで勉強を行う

 

 1つ理解すれば10を理解できる

 

 10を理解できれば100理解できる

 

 アルの手は止まること無くノートに必要な事を模写し、例題を解いていく

 

 玄界に来て1ヶ月半で小学生の数学と理科を完全に理解し、国語と社会、道徳の授業を受けていく

 

 特に道徳は岡村さんが時間を作ってパソコンではなく対面しながらの授業を行う

 

 価値観、倫理観が全く違うアルに対して岡村は1つ1つ丁寧に教えていく

 

 特に命の重さには重点を置く

 

 アルは自身が死にたくはないからと平気で同期や後輩を磨り潰した過去があるため他人の命の重さがやたらと軽い

 

 もちろんアルの命の重さも玄界の普通の人に比べれば軽いが……

 

「いい、アル人は1回こっきりの命なの、その限られた命の時間の中で出会い、別れ、温もりを得て生活するの。アルだって美味しい物を食べれば嬉しいし、お風呂は気持ちいいでしょ……他人を暴力を振るえば相手は悲しい気持ちになるし、殺してしまったら殺された家族は悲しむわ」

 

「殺した相手の家族の事なんかを考えていたら戦闘なんてできませんよ」

 

「そう、その通り、じゃあボーダーの皆がなぜ戦うかわかる?」

 

「命令されているからではなくて?」

 

「正解は無数にあるけど大事な人を守る為、国を地球を守る為に戦っているわ」

 

「守る為……」

 

「守る者があると弱くなると言う人も居るけれど、守る者を守りきるために今の自分より強くなろうと気持ちが入るわ……結果強くなれる」

 

「でも私には守る者なんて無いですよ」

 

「ボーダーにいる面々と交流して仲間になれば良い! 仲間は守るに値するものだよ」

 

 と岡村さんに言われた

 

 パッと思いつく感じでよく話すのは水神と柊だろうか

 

 同じC級でトリガーや戦闘体での効率的な動き方等を教えているし、彼女達を通じてどんな服装が玄界の流行りだの美味しい料理について等を教えてくれる

 

 外に出れるようになったら三門市を案内してくれるとも言ってくれた

 

 他は……特に居ないか

 

 尋問官と岡村さんも数に含めて良いのか微妙だが、関わりがあるとすればこの2人か? 

 

 あ、太刀川さんもか

 

 太刀川さんは弧月の戦い方について協議したりする仲で、太刀川さんを通じて太刀川さんの部隊で私と同じ年の出水さんを紹介され

 

「よーアルちゃん、太刀川さんとの試合凄かったね……あの後太刀川さんにっこにこでめちゃくちゃ上機嫌だったよ。とりあえず初めまして、太刀川隊の射手の出水公平! よろしく」

 

「アルです。あ、アル・ガガーリナです」

 

「あぁ、俺A級だから名字は気にしないから」

 

「ほれではアルとお呼びください。出水さん」

 

「出水で良いよ同じ年なんだし」

 

「ありがとうございます」

 

「……いや、資料見るまで同じ年とは思わなかったわ……大人びてるしお姉さんって感じがするし」

 

「老けて見えますか」

 

「いやいや、何て言うか……魅力的だよ(汗)」

 

「自分は別に気にしないので良いですが他の女性には気を付けた方が良いかもしれませんね……本にそう書いてあったので」

 

「本かい!」

 

「近界民に常識を問われるとは出水ダメだな~」

 

「いや、太刀川さんも最初同じ年くらいかなとか言ってたじゃん! 資料見返して驚いてたじゃん」

 

「あ! 出水てめえバラすなよ!」

 

 ということがあったりして出水さんと縁ができていたりします

 

 そんな縁を増やしたいなぁと思っていたら狙撃手の合同訓練にて鳩原さんという1つ年上の女性が私に話しかけてきました

 

「ちょっと良いかな」

 

 第一印象は顔にそばかすが特徴的で大人しそうな方だなぁと思った

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「私近界に興味があって……よかったらアルちゃんの行ったことのある近界について教えてくれないかな」

 

「良いですがボーダーって玄界の防衛組織ですよね? 知ったところで防衛の足し位にしかなりませんよ」

 

「あれ? 知らない? ボーダーって近界に遠征したりしてるよ」

 

「……岡村さんやっぱりサテラスに逆侵攻出きるじゃないですか! 先兵になるって言ったのに……」

 

「ずいぶんと過激だね」

 

「祖国より人として扱われてますからねボーダーでは……サテラスでは一部を除いて物扱いですから……私でも忠誠心の高い代わりが少ない物扱いですから」

 

「そんな国にもし玄界の人が拐われたらどうなるの?」

 

「人造トリオン兵の素材ですね。祖国だと捕虜に食べさせる食料も時間も無いので」

 

「そっか……」

 

 私が行った事のある国を鳩原さんに紹介していく

 

 まず雪原の大国キオン

 

 攻め込んで雪で視界不良、そこから繰り出される遠距離攻撃と弾幕でそもそも近接に持ち込めない

 

 近くに行けても地の利が相手側だからすぐに隠れられるし、奇襲して一撃離脱されるから守りがガチガチ

 

 トリオン体が消えれば寒さで凍死する羽目になる

 

 それで何人も同胞が死んだことも説明する

 

 産業はトリオン開発が盛んでその技術力の高さで友好国から食料を輸入している国だ

 

 ただ馬鈴薯や甜菜、トナカイ等の寒くても大丈夫な作物や家畜は大国なだけあり沢山育てていたため輸入が止まってもなんとかなったりするくらいには餓えない大国だ

 

 続いてリーベリ

 

 海洋国家なだけあり海中移動に富んだトリガーやトリオン兵を防衛時には使用し、淡水なため豊富な水資源を友好国に輸出している国で水という資源を握っているためトリオン富豪国だけど農業には向かないから食料生産系が弱い

 

 だけど水中戦は近界最強だと思うとアルは説明する

 

 事実攻め込んだアルは死にかけて海底で何日も遭難した経験がある

 

 トリオン体が切れれば溺死するためトリオン富豪しか生き残ることはできなかった

 

 レオフォリオ

 

 攻めた事は1回だけで玄界を襲うきっかけとなった初撃の奇襲で大打撃を与えるに成功した国で攻めた時に中枢まで攻め込んだが決死の抵抗と騎兵部隊の機動力で分断包囲されて侵攻部隊はほぼ壊滅

 

 死ぬ気で逃げた

 

 国の特徴としては家畜を育てられるだけの食料基盤がしっかりしており、山岳地帯が多数あり防衛にも強い

 

 特殊なトリオン騎兵がとにかく厄介で逆侵攻された際にこちらも大打撃を受けて玄界襲撃作戦に繋がった

 

 最後にアフトクラトル

 

 8国家と戦争中だけど自分が行った事があるのはこの4つと説明し、アフトクラトルは次元が違ったと言う

 

 人口、トリガーや関連の技術力、農業生産力、戦力どれも近界最強国家の名は伊達では無く、なぜ祖国はここに喧嘩を売ったのか本当に謎

 

 特に黒トリガーの数がアルが確認した限り13本以上存在し、トリオン兵もラービットという強力なのが量産されているし、通常トリガーも走攻守どれも高いのがゴロゴロしているし、使い手に合わせてオーダーメイドできるくらいトリオンに余裕がある国で複数の属国を持つ物質も玄界の次に豊富な神の国

 

 アルは特に星の杖と呼ばれるトリガーがヤバイと説明する

 

「星の杖……オルガノンの使い手に何度殺されそうになったか……長距離を連続で切り裂く斬撃に全力レーザーが通用しない防御力、使い手も老練で瓦礫に隠れて足下から奇襲したのに全く通用しなかった。侵攻中に3回も戦闘体を破壊されたしあの時程死んだと思った事は無かった……もうあれとは戦いたくない」

 

 と説明する

 

 どの国も祖国より強く、ボーダーなら守るなら大丈夫だけど逆侵攻を考えているならアフトクラトルだけは無理だと断言した

 

「地の利も無い状態でアフトクラトルは死にに行くような物だ。……ただ玄界襲撃回数も多いから結構玄界から拐った人が居るとの噂はあったけどね……鳩原さんこれで良いですか?」

 

「アフトクラトル……行き方わかったりしない?」

 

「すみません一兵卒に惑星配置図は公開されていなかったので……ただもしかしたら私が乗っていた遠征艇の中ならあるかもしれませんが」

 

「遠征艇があるの!?」

 

「はい、司令官が玄界襲撃の失敗時に自殺した可能性が高く玄界近くの空間に放置されている可能性が高いですね……地図有りますか?」

 

 鳩原はタブレット端末を操作して私に三門市の地図を見せてきた

 

「たぶんここらへんに放置されていると思いますよ。まぁボーダーの技術力なら旧式の遠征艇を回収しても意味ないと思うので言いませんでしたが、鳩原さんもし上に言う必要が有れば言っておいてくれませんか? 私ボーダー本部から出れませんので案内しようにもできませんし」

 

「任せて! ありがとう助かった。……せっかくだし合同訓練後狙撃手の訓練に付き合うね。そうだね……みっちり仕込んであげる」

 

 と言って合同訓練後鳩原さんの弟子の絵馬さんと共に射撃の手解きを受け、鳩原さんと弟子の絵馬さんの命中精度に驚いたが、訓練すれば誰でもできると絵馬さんは言う

 

「的に当てるだけなら誰でも慣れればできる。現にアルも止まった的にはほぼ当たるだろ。動く的に当てるコツは……ほら鳩原先輩を見てなよ」

 

 鳩原さんは動く的の腕先をピンポンで射撃する

 

 絵馬さんが言うには鳩原さんは人を撃つことができないらしい

 

 撃ってしまうと寝込んでしまうくらいの精神的ダメージを受けてしまい、それでもボーダーの戦闘隊員をしているのは近界民に拐われてしまった弟を探すため遠征部隊に入る為に頑張って頑張って頑張って……遂に武器だげを狙撃する技術を会得して、A級まで上がり、遠征試験にも合格することができたらしい

 

 が、人を撃つことができない鳩原さんの事を上層部はこう評価した

 

 遠征部隊には適正ではないと

 

 鳩原さんは遠征部隊から外された

 

 絵馬さん曰く今鳩原さんは失意の中にいるはずなのに明るく振る舞っている

 

 いや、何か希望を見つけた様な顔をしていると絵馬さんは言う

 

「絵馬さんじゃなくて良いよ。アルも鳩原先輩の弟子になるんだから絵馬かユズルでいいから」

 

「じゃあ絵馬で」

 

 こうして鳩原さんに弟子入りみたいな形となり約1週間教わったある日の事……

 

 鳩原さんは失踪した

 

 

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