前回の話で絵馬が鳩原の失踪理由を深くは知らなかったので修正しました
原作との違い
鳩原が失踪したのが5月2日なのですが、話の都合で5月の第3週辺りになっていますのでご注意を
アルが1ヶ月もかからずにB級に昇格したことはボーダーでたちまち噂となった
アルとよくお喋りするC級の水神と柊からはおめでとうとか弧月のやり方教えてとかこれで近界民を倒せるねとか言われ、その他のC級からはC級ランク戦の勝率が9割を超えている事から化物とかC級詐欺とか言われていたので、早急にB級に上がってくれて一安心といったところ
ただアルにとってB級に上がったということは防衛任務に参加できる権利を得た事になり、防衛任務で活躍すればお賃金が出るので、今の衣食住全てボーダーだよりの生活からおさらばできるということだ
で、アルは尋問官にこんなことを言い出した
「学生という方々が学校という所に行っている間の防衛任務は全て出撃できますので、防衛任務のシフトとやらに組み込む事は可能でしょうか」
と……
学生が戦闘員の大半を占めるボーダーにとって学生達が学校に行っている時間は正直穴の時間で、ボーダー職員や学校側に調整して貰ったりして穴の時間をどうにかこうにか埋めているのが現状だったりするので、アルの提案はボーダーにとって凄くありがたいことだったりする
「良いのか? 勉強する時間が削れるが」
「ノートパソコンやタブレットを待機時間に使って勉強します。あとどれをどれぐらい倒せばお給料が出るのか教えてくれませんか?」
「ああ、構わない」
尋問官は手元のパソコンを弄るとアルに画面を見せてきた
そこにはトリオン兵の単価と戦功についての説明が書かれていた
バムスター 1体 1000円 3ポイント
モールモット 1体 3000円 15ポイント
バンダー 1体 5000円 25ポイント
バド 1体 500円 1ポイント
その他大型トリオン兵 1体 5000円 25ポイント
その他中型トリオン兵 1体 3000円 15ポイント
その他小型トリオン兵 1体 500円 1ポイント
人型トリオン兵 1体1万円 30ポイント
近界民 要相談 最低5万円 100ポイント
戦功は複数部隊出撃が必要な事態(アルが侵攻した中規模侵攻クラス)になった場合に表彰とお金と使用トリガーのポイントが支払われる
特級戦功 150万円 1500ポイント
一級戦功 80万円 800ポイント
二級戦功 30万円 350ポイント
といった感じだ
また戸籍ができるまでの間は支援金と衣食住は支援するが、B級として稼げるようになったのだからあと2ヶ月で戸籍、住民票、パスポート、保険証の支給と同時に支援金の打ち切りと衣類、食事の有料化は覚悟しておくようにとのこと
ただ食事の有料化と言っても食堂のおばちゃんからアル盛り(特盛)は1食500円で良いと言われてるし、衣類も貰ったのが多くあるので洗って使えば当面困ることはない
だからとりあえず食費の4万5000円稼げればなんとかなるので防衛任務を1日8時間1週間で5日間入ればとりあえず少なく見積もっても5万円くらいは稼げる計算となるなーとアルは瞬時に頭の中で思う
今のアルの所持金は7万円なので1ヶ月ちょっとは食費で困ることも無いし、お金が苦しくなれば1日2食でも大丈夫なのでとりあえず生活水準を落とすこと無く生活できると判断した
「正直8時間以上防衛任務に着きたいのですが労働基準法? というので引っ掛かるのですよね?」
「あ、いけなくはないよ? ただその場合残業手当が発生するんだけど、1時間1250円がトリオン兵や近界民退治に関係なく支給されているんだけどなぜやらないかわかるかい?」
「ベストパフォーマンスを発揮できないとかでしょうか?」
「そう! 8時間だって普通の人にしてみれば睡眠時間の8時間と食事だったり勉強だったり生活に必要な時間が8時間だ。このバランスが崩れると人間はパフォーマンスが低下する。また休みを入れることでパフォーマンスを維持することができるんだ……僕達はねアル、長く使える便利な戦力が欲しいんだ」
「なるほど、健康の為に長時間の戦闘は望ましくないと」
「学生達には劣るけど戦える大人も居ない訳じゃないからアルは平日5日の8時から16時までの防衛任務のシフトになる。それ以外の時間は自由に使いなさい。若者の時にしかできないこともあるからね」
「わかりました尋問官殿……では防衛任務のシフトをよろしくお願いします」
「あいよ」
こうしてアルの防衛任務のシフトが決まった
ずっと戦闘しているわけでもないので昼の食事はまちまちだが食べることもでき、戦闘時間以外は勉強をする事になるアルだった
……尋問官との話し合いの翌日
いよいよB級ランク戦が始まる
B級ランク戦
B級隊員が4人までの部隊を作り、部隊同士で戦闘するランク戦で結果により上位2部隊はA級に上がる権利が与えられる
ちなみにボーダーとしてはA級部隊を12部隊運用したいという考えで動いており規律違反だったり暴力事件だったり、A級同士でのランク戦で明らかに実力不足と判断された場合にのみB級に降格となる
または部隊が解散した場合もA級隊員からB級隊員に一定期間後に落とされるので注意が必要だ
「でだ! 岡村隊の目標は勿論A級に上がることだけではなく! A級3位以内を目指していこうと思いまーす!」
「ちなみに岡村さんが隊員時代はどれくらいの順位の部隊を運用していたのですか?」
「ふふ、なんと……運用していません!」
ガクっとアルはずっこける
「しかーし! 今年25歳の私この岡村ですが初期ボーダーから中央オペレーターを伊達に長くしていた訳ではありません! シュミレーションは何度もしたし、実戦でもオペレーターの経験は豊富ですよ! ……だからアル単体をオペレートするのには問題無いですが3人、4人となったらわからないと先に言っておくね。この先必ず1人だと超えられない壁が出てくるから」
「そういうのは常に逃げてきましたが、命がかかってない分全力で乗り越える方法を模索したいと思います!」
「よく言った! じゃあ確認だ」
B級ランク戦は上位、中位、下位の3グループに分けられ、そのグループ内で三つ巴か四つ巴のチーム戦を行い点数の取り合いをしていく
前回ランク戦をしていたチームはボーナスポイントが付与され、21チームが有った場合は1位21点最下位1点の様前シーズンの戦績がもろに出てしまう
ただ今回は3チーム0点のチームが存在する
新規の岡村隊……アル達のチームが1つ
二宮隊と影浦隊の2チームは懲罰降格なので0点スタートとなる
ではどうやってポイントを稼いでいくか……他所の隊員を倒せば1点、他部隊が全滅した状態で生存していれば人数に関わらず2点となる
自殺やチーム同士での介錯が故意過失に関わらず行われた場合はダメージを一番与えた他所の隊員のポイントとなる
自主的なベイルアウトは半径60m以内に他部隊が居ない場合のみ行える
範囲外に出た場合は失格となり、これまた一番ダメージを与えた他所の隊員のポイントとなる
順位を上げれば勿論中位、上位のグループに入れ替わるので注意が必要だ
で、今回の部隊数は20
上位7、中位7、下位6のランク帯となる
で、アルの最初の対戦相手は
「うひゃー、ランダムとはいえこれはキツいね」
元A級4位二宮隊
元A級6位影浦隊
でマップ選択権は運良くアルの部隊である岡村隊が握った
「まず2つの部隊の特徴としてアルを除くと狙撃手が1人しか居ない」
「絵馬だけだね……正直長距離でアイビスを当てるのは無理だと思う。有効射程は200mかな」
「命中率は」
「移動目標は8割、固定目標は例え距離が5倍伸びても必ず当てる」
「よし! でもとりあえず狙撃を封じるマップ選択をした方が良いね。狙撃が楽なマップにすると影浦隊が有利になりすぎる。で、気を付けないといけないのが初動はゾエがレーダーに映った場所にメテオラをガンガン飛ばしてくる。これに注意しないといけないね」
「私としては射撃を目印に北添隊員を攻撃したいですが……ダメなんですよね」
「そう、よほど距離が近くないと機動力の高い影浦に捕捉されかねない」
「となると潰しあいしているところに奇襲をかけるのがベストですが、今回は逃げに徹して残った人を食べて生存点とラストキルの1点の3点を目指すのもあり……ですか」
「その場合だけどどちらかの部隊がまるまる残る可能性もあるよね。特に狙撃手の絵馬が残る確率が高いから絵馬+二宮隊全員という4人残りが最悪かな。まあ影浦強いから辻とか犬飼のどちらかは食らうと思うけど」
「では私から1つ提案が」
「なに?」
「犬飼、北添、辻の3名が近くに居た場合は殺りにいきますが、それ以外の場合は逃げに徹します……最悪タイムオーバーも視野に入れています」
「でもそうなると1試合捨てるような物じゃない?」
「元A級組を下位に押し込めることで1試合分彼らも損をさせれば次の試合で全員倒せばチャラにできるので……」
「まぁ最終的に今回はB級2位までに入れば良いからね……でも私は負けず嫌いだよ! 勝ちにいきなさいアル」
「了解しました」
「さてさて皆さんお待ちかねB級ランク戦のシーズンになって参りました!! B級ランク戦土曜午前の部下位グループの実況は私海老名隊オペレーター武富桜子と解説はこの人! A級1位の太刀川隊の太刀川隊長と出水隊員です! 本日はお越しいただきありがとうございます」
「武富よろしく」
「ういーっす」
「本日お二人をお呼びしたのは元A級部隊が2つもある為A級ランク戦で戦闘経験がある為です! そして不運にもランク詐欺の部隊2つに挟まれてしまった岡村隊のアル隊員はどうするのか!」
「まずじゃあ二宮隊から解説するか出水、二宮はお前が解説しろ」
「マジっすか! えー、じゃあ二宮さんですけど隊員の中でもずば抜けたトリオン量を持つトリオン大富豪な射手で、アステロイド、ハウンド、メテオラの三種のを操り射手の個人ランクだと1位、総合でも隊長の次の2位に居座る人で、注目すべきは3つにポイントが分散しているのにも関わらず25000点のアステロイドを保持しているのは同じ射手としても素晴らしいとしか言えません……これでいいですかね太刀川さん」
「OKだ出水、じゃあ次辻と犬飼だが、先に辻からだが辻は弧月1本の攻撃手で、普通の部隊ならエースに据えられる実力者だな。こいつの場合問題は異性がとことんダメな所、アルと1対1になったらたぶん辻が負けるくらいにヤバい弱点だな。克服すればこいつの弧月のポイントも1万は超えると思うな。それでもマスタークラスはあるから要注意。犬飼はサブマシンガンタイプの銃を使う銃手だな。表記上は突撃銃だが連射してばらまくタイプの銃を使うイメージだな。辻と犬飼は連携が上手く、両方が揃うと普通にA級のエースでも殺られる。サポーターのイメージが俺の中だとどうしても有るが辻同様に他の部隊だとエース級の実力はあるな」
「なるほど~、さすが元A級4位の二宮隊ですね。鳩原隊員が抜けてしまいましたが二宮隊長のトリオン量なら長距離の攻撃も可能性なので隙がほぼ無いでしょう。続いて影浦隊はどうですか?」
「まず影浦、こいつはサイド・エフェクト持ちのスコーピオン使いだな。何度も個人ランク戦をしたことがあるが、スコーピオン二刀流による手数の多さにスコーピオンを繋げることによりリーチを長くするマンティスはスコーピオンの形を自在に変形できるのと合わさって鞭のようにしなるし、間合いが読めないし、スコーピオンを伸ばすと強度が落ちるというのをある程度カバーできるから打ち合いにも対応できる。それにこいつのサイド・エフェクトが加わるととにかく攻撃力が高い……以上!」
「じゃあ次ゾエさんいきましょうか……ゾエさんは足が遅い、的がデカイ以外の欠点が無い優秀なヘビーガンナーだね。単独で点数を稼ぐこともできるけどなぜかみんなゾエさんへの当たり強いよね? まぁ愛されキャラってことで……冗談はおいておいて、ゾエさんの強みは通称適当メテオラと呼ばれる範囲攻撃。これが影浦さんの場合サイド・エフェクトも相まって誤爆の可能性が極端に減るから撹乱しつつ、運が良ければメテオラで殺り、そうでなければ影浦さんの援護と2つの役割をしっかりこなしてるんだよね。それでいて高トリオンだから威力も高いし……メテオラでダメだと突撃銃に持ち変えてアステロイドぶっぱなして来るのも恐ろしいね」
「影浦隊最後の絵馬だが、こいつに関してはランク戦の時の情報しか知らないからあんまり言えないが必ず当たる場面でしか撃たない、それでいて移動目標への命中率も高い……中学生の中だとどうやってそんなに稼いだってぐらいポイントも持ってるからなこいつ……狙撃手じゃなければ個人ランク戦したかったよ」
「はい、太刀川隊長の愚痴も聞けたところで最後のアル隊員について何か知っていることはありますか? 一応私調べでは東欧生まれの難民をボーダーがスカウトしてきたとありますが」
「アルを一言で表すなら怪物かレイドボスだな。まー死なない。欠損しようが腹に大穴空こうが持ち前の高トリオンで長時間活動してくる。武富も見てたでしょ俺とアルの公開戦」
「見てましたよー、なんなら実況してましたからね」
「まずあのアルは存在しない」
「と言いますと?」
「俺に対して直近10戦だと4:6に持ち込んでる……俺が弧月二刀流の全力を出してだ……まず成長速度が以上なのもあるが、理解力と想像力……いや戦闘に関しては頭がめちゃくちゃ良いんだろうな使える技術は全て使ってくるぞ……ただアルの欠点は中距離が苦手だ。弧月だけだと厳しいし、こいつたぶん居れてるアイビスは長距離の牽制が主な使用用途だ」
「狙撃トリガーも居れてるんですか!?」
「アルの奴合同訓練は必ず狙撃手で参加してるからな。東さんもアルの狙撃の上達速度は誉めていたぞ」
「ほえー! じゃあお二人にズバリアル隊員は何点取れるか」
まず出水が答える
「マップと転移位置次第で1ポイントは取るんじゃないかな? 太刀川さんはどう思います?」
「生存点入れて……4か5ってところか」
「おお! 太刀川隊長凄い点数が飛び出しましたが理由を聞いても」
「二宮隊や影浦隊はランク戦の映像が腐るほどあるから研究できるし、アルが持つ隠し球の数が何個有るか想像できない。点取らなくても他の隊に対して生存点潰しをする可能性もある。ただあくまで俺の予想は転移位置が良かった場合に限るな。転移位置が悪かったら何もできずに終わる可能性もある」
「なるほどお二人共ありがとうございます……出ました今回のマップは……運動公園!! なだらかな丘の上にある球場と付近をサッカー場、市民プール、テニスコートに3キロのマラソンコース等が点在し、林が外側にある狙撃手殺しのマップとなりました」
「高所が少ないから狙撃しづらいし、狙撃できるポイントが避雷針付きの鉄塔くらいか? 天候が嵐の場合落雷でこの鉄塔も使えないし、視界不良で完全に狙撃手を殺せるマップだな」
「ただ球場という高所を押さえられれば二宮隊長と北添隊員には有利と思われますが」
「そう、このマップ射手銃手は逆に超有利なんだよね。超距離を心配せずに高所から撃ち下ろすことで有利を取れる」
「どこが最初に球場を占拠するかで勝敗が決まるぞ……何か企んでるなアルは」
「では10分後にいよいよ始まりますので今のうちにトイレ等には行っておいてくださいね!! 制限時間は55分! 長期戦になるのか! はたまた短期決着となるのか! この後すぐ!」