第7回ウマ娘小説合同企画   作:通りすがる傭兵

2 / 5
1.フクキタルのトレーナーは三年間の単独契約の後ドトウをスカウトしている
2.ドトウ加入から少ししてチーム結成 
3.他のチームメンバーは皆モブです。名前はありません。ありません!! 


彼岸より、福を込めて (作:嵐山三太夫)

 

「むむむ、これをこうして、ここに刺して……」

 

 

 

8月──

 

合宿所の自室にて、マチカネフクキタルはあるものの準備を進めていた。

 

 

 

「よし、これで完成ですっ!シラオキ様をお迎えする準備は万端ですね!」

 

「フクキタルさん、それは何ですか~?キュウリと、ナス……?」

 

「おおドトウさん!そういえばドトウさんは外国暮らしが長かったのでしたね!これはお盆の時期にあの世から渡ってこられるご先祖様をお迎えするための乗り物なのです!」

 

「あの世から……ひぇぇぇぇぇ~!?つつつまり、オバケが来るんですかぁぁぁ~!?」

 

「オバケとは失礼な、あくまでもご先祖様の魂がこの世にいらっしゃるだけですよぅ」

 

 

 

占い小屋のアシスタントを始め、同じチームの同僚となり、トレーニングを同じくするメイショウドトウは転勤族である両親と共に暮らしており、外国にいた期間が長い。

 

そんな彼女にとって死者が現世に渡り来る日とはつまり『ワイルドハントの夜行』であり、何事も起こらぬよう祈りながら過ごす日である。

 

日本の盆の風習に驚くのも無理はないことだろう。

 

 

 

片方はキュウリで作られたウマ娘と籠、もう片方はナスで作られた四つ足の何か。

 

 

 

「フクキタルさん、どうして乗り物が二つあるんですか~?」

 

「これはですね、キュウリの方は見ての通りウマ娘の籠で足が速いので『早くお越しください』という意味、ナスの方は牛なんですが反対に足が遅いので『ごゆっくりお帰りください』という意味が込められているんですよ」

 

「へぇ~、きちんと意味を込められているんですねぇ」

 

「お盆はご先祖さまなど亡くなられた方々がこの世に渡り、家で子孫と語らい過ごされる時間なんですよ。なので、シラオキ様がお越しくださるように準備しているのです!」

 

そう言いながら、手慣れた動きで次々に飾りを作り上げていくフクキタル。

 

 

 

「……あれ?フクキタルさん、どうしてそんなに飾りを~?」

 

「何をおっしゃるんですかドトウさん、これはチーム皆の分ですよ。皆さん恐らく飾りを準備されてはいないと思いまして、私の方で準備させていただきました!」

 

「フ、フクキタルさぁん……!」

 

 

 

「フクちゃん先輩なんですかそれ?……え?お盆の飾り?うわなっつ」

 

「……あの、飾り方わからないので……教えてください……」

 

「わぁ、ありがとうございます!フク先輩の飾りならなんかご利益あるかな」

 

「おじいちゃんの家行くと大体この時期飾ってたなあ……久々に会いに行こうかな」

 

「これ、ご先祖様じゃなくてシラオキ様来たりしないですよね?え、自分のご先祖様とは別口?そんなんあるんですか……?」

 

 

 

「よし、これで皆さんに行き渡りましたね!」

 

「結局全員分作ったんだな……」

 

「材料の買い出しを手伝って頂きありがとうございましたトレーナーさん!おかげでシラオキ様もばっちりお迎えできます!」

 

「まあシラオキ様にはフクのことでお世話になってるからな。俺の部屋にも飾りと神棚は用意したし」

 

「むっふっふ、トレーナーさんもシラオキ様のお力を実感され始めているようですね!良いことです、このままシラオキ様を崇め奉りましょう!」

 

ありがたや~ありがたや~とゆらゆら謎の拝み方をしているフクキタルに手刀一つ。

 

「ふんぎゃろ!?ちょ、いきなり何するんですかぁ!?」

 

「拝むんならきちんと拝みなさい。で、今日の夜は行くのか?」

 

「ええもちろん!せっかく浴衣も用意させていただきましたし、ちょうどいい息抜きにもなりますし!」

 

 

 

「せっかくの、夏祭りなんですからっ」

 

 

 

 

 

彼岸より、福を込めて 著:嵐山三太夫

 

 

 

 

 

その夜。

 

色とりどりの浴衣に着替えたチームメンバーと、黒の着流しに着替えたトレーナーは宿のロビーに集まっていた。

 

「よし、全員揃ったか?」

 

「はい、準備はばっちりですっ」

 

「……フクキタル先輩は……」

 

「さっきドトウ先輩の着付け手伝ってたからそろそろじゃない?あ、来た来た」

 

 

 

「お待たせしましたっ!さあさあ皆さん、ドトウさんをご照覧あれ!」

 

「に、似合ってますでしょうか~……?」

 

かたやぱたぱたと元気な足音を立てながら、かたや自信なさげながらもしずしずと現れた二人。

 

 

 

先に現れたフクキタルは、白地に橙や黄色の花柄を散らした彼女らしい明るい色調の浴衣。

 

一方のドトウは同じく白地だが、こちらはやや青みがかった白に青色の花を散らした落ち着きのある趣の浴衣となっている。

 

どことなく周りの明度が上がりそうなフクキタルに対し、しとやかで静かな空気を纏ったドトウのコンビは良く映えていた。

 

 

 

「おお、二人ともよく似合ってるじゃないか」

 

「フクちゃん先輩カワイイー!!」

 

「ドトウ先輩……涼やかで大人っぽく見えますね……」

 

「はー、トレーナー両手に花束じゃん。嬉しいかー、このこのー」

 

「ははは、ちんちくりんが何言ってやがおい踏むな痛い痛い」

 

わいのわいのとそれぞれの浴衣姿について話していると。

 

 

 

「おや皆様、祭りにお出かけになるんですか?でしたらこちらをお持ちください」

 

そう宿の従業員の方からさし出されたのは、造りのしっかりした天狗や狐、般若といった種々のお面。

 

「こちらのお面は一体?」

 

「わぁ、ヤギさんやタヌキさんもいます~」

 

「なんでも町おこしの一環で地域で作っていたお面を付けてお祭りに参加していただこうということらしくて……あ、そういえばお二人にはこちらをお渡しするように言付かっております」

 

そう言った従業員からトレーナーは天狗の面を、フクキタルは狐の面を受け取った。

 

どちらの面もしっかりとした拵えであり、ところどころに金箔が使われていたり白木や漆を使って作られたと見え、何度か修繕したような跡がありつつも明らかに他の面よりも良い拵えになっていた。

 

 

 

「これは……見たところかなり貴重なものに見えるのですが、よろしいのですか?」

 

「むむっ、何やら開運パワーを感じます!どうやら霊験あらたかなもののようですが、お借りしてもよろしいのでしょうか!?」

 

「申し訳ありません、私どももお二人にお渡しするようにとしか言付かっておりませんので……」

 

仮面を持ってきた従業員の方のどこか困ったような表情から、何か事情があるのは間違いないようだが追及をするのはためらわれた。

 

……フクキタルが既に面を被ってはしゃいでいるというのもあったが、自分たちを名指ししてきたということは『シラオキ様』と関係している可能性があるからだ。

 

 

 

「……まあ、そういうことでしたら。ありがたくお借りします」

 

「トレーナーさんっ、早く行きましょう!このお面を身に着けていれば無敵ですよーっ!」

 

「ふ、フクキタルさん待ってくださいぃぃぃぃ~……!」

 

「……なんであの二人浴衣であんな早く動けるの?」

 

「待って待ってフクちゃん先輩、ドトウちゃんがこけちゃいますからー!?」

 

「トレーナーさん、行きましょう。あのままだとフクキタル先輩が一人で迷子になりかねませんから……」

 

「はぁ、夜でもまだ暑いのに元気なことだ」

 

「皆様、どうか楽しんでいらしてくださいね」

 

そうして歩き出した彼女たちとトレーナーの背中を見送ると、

 

 

 

「……この世とあの世は表裏一体。どうか、失礼の無きようにお気を付けください」

 

そうつぶやくと、『従業員の姿をしていた』それは、始めからいなかったかのように消え失せた。

 

 

 

 

 

「こうして皆さんで揃って出かけるのもなかなかないですから新鮮ですね!」

 

「フクちゃん先輩、前見て前。転ぶかぶつかるかしますよ」

 

「うう、またほかの方にご迷惑をおかけしたりしないでしょうか~……」

 

「大丈夫ですよドトウちゃん!みんなで一緒なら他の人に迷惑がかかることも少なくなる……はず!」

 

「……そこはせめて言い切りませんか」

 

合宿所から少し歩いた先、地元の神社の参道の広場に設けられた櫓を中心として出店が広がり

 

ソースや醬油の香ばしい香り、綿あめやチョコの甘い匂いが広がる。

 

道行く人は先ほど宿で聞いた通り様々なお面を被ったり付けており、中にはやけにリアルなフクロウなどの

 

動物やペストマスクなどの変わり種、かと思えばホオノキの大きな葉で作られたお面など本当に

 

様々なお面を身に着けた人々があちこちの店を覗き込んでははしゃいだり笑ったりしている。

 

 

 

「まるで渋谷のハロウィンだなこりゃ」

 

「これはこれでありなのかもしれませんが……」

 

「風情も何もあったもんじゃないよね、これ」

 

「あはは……にぎやかなのは神様もお喜びにはなるとは思いますけどねぇ」

 

「こ、こういうのでもいいんでしょうかぁ……?」

 

やや予想外の光景に気圧されていた一行。

 

 

 

『ええ、全くここまで騒がしいとゆっくり話もできませんね』

 

『──【招・待・状・】を渡してよかった。さあ、いらっしゃい我が愛し子達よ』

 

 

 

 

 

 

 

「──え?」

 

 

 

「──フクキタル、さん……?」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

「……フクキタル先輩?トレーナー、さん……?」

 

 

 

つい数秒前に隣・に・い・た・二・人・の姿は消え失せ。

 

 

 

「……えっ?」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

そこから『踏み込んだ』二人の前には、今まで見えていた祭りのざわめきとは違う世界が広がっていた。

 

 

 

 

 

「え、ついさっきまで隣にいたよね……?」

 

「……はぐれるにしても集団で来た人は私たち以外には同じ方向から来た人はいませんでした。今の一瞬で消えたとしか」

 

「──は、はは、二人とも電話圏外だって。何それ、冗談きついんですけど……?」

 

「ややややっぱりオバケがぁぁぁぁぁぁ!?フクキタルさぁん!トレーナーさぁん!?」

 

「ドトウさん落ち着いて!ひとまず宿までの道中と祭りの方と別れて探そう、いい?!」

 

二手に分かれた彼女たちは、『いたずらであってほしい』と願いながら走り出す。

 

 

 

一方、フクキタルとトレーナーの眼前の祭りの様子は様変わりしていた。

 

身に着けるお面は天狗や狐、ひょっとこや隈取を施された武者。

 

服装もいやに古めかしい着物や浴衣であり、そして誰もが面をしっかりと着用して顔を隠している。

 

「と、トレーナーさん。これは、この場所は……」

 

「……とりあえず、面をちゃんと被っておこう。後、食べていいものか分かるまでは飲み食いはやめた方が良いな」

 

「そ、そうですね。もしかしたら神様へのお供え物かもしれませんし──ハッ!?ということは私達、今とんでもないラッキープレイスにいるのでは!?」

 

「ぶれないなぁお前」

 

思わず笑いながら、フクキタルの手を取ってトレーナーは祭りの喧騒の中へと踏み込んでいく。

 

 

 

「……ほぇ?」

 

「すまんな、はぐれると合流できるか分からんから今だけ我慢してくれ」

 

「い、いえそんなっ。我慢とかっ、別にそういうことは……うう、やっぱりトレーナーさんはにぶトレーナーです」

 

 

 

重ねた手。常人より少しだけ高い、あたたかく確かな体温。

 

ひょっとこや狐、武者などのお面を被った子供たちが笑いながら手に小銭を握りしめて二人を追い越していく。

 

豪快に炎を上げながら鉄板で焼きそばを作り上げているのはひょっとこを被った葦毛のウマ娘と思われる店主で、隣ではタヌキ腹を隠そうともしないタヌキの面の店主がりんご飴やあんず飴を仲良く並んだ熊の面のカップルらしき二人に渡している。

 

 

 

吊るされた提灯の火はゆらゆらと揺らめいて、踊る人々の影は明かりに揺らめいて溶けるように姿を変える。

 

見れば猫のお面を被った人の頭には耳と長い猫の尻尾が見えるし、狐の面の人々は狐のようなふさりとした尻尾を隠すことなく踊る。

 

「あ、あわわわ、トトトトレーナーさん私達化かされたりしてませんよね!?」

 

「まあ今のところ悪さはされてはないから大丈夫じゃないか?」

 

 

 

櫓では獅子の面を被った男衆が力強く大太鼓を一層打ち鳴らして、鬼の面を被った小太鼓集が小気味よくリズムを刻み、踊る人々は絶え間なく腕を振り足を動かして踊り続ける。

 

「うーん、私も一つ踊っていきたいところではありますが」

 

「気持ちは分かるが、戻ることを優先しないとな。ドトウがパニックになってそうだし」

 

 

 

何やら気になる気配がするとフクキタルが言い出し立ち寄った射的。

 

フクキタルはお目当ての招き猫のぬいぐるみとフクロウのモチーフを取り入れたような小さな達磨を狙うも、中々当てられず。

 

蛇の面を被った的当て屋の店主がなかなか的を倒せないフクキタルににやにやと笑う。

 

「ぐぬぬ、なんで当たらないんですかぁ!今日の運勢は中吉と出ていたのにー!」

 

「シャハハハ、がんばりなぁお嬢さん!うちは当たりすりゃきちんと落ちるからよ、シュルルル!」

 

「……ふむ。フクキタル、俺がやっていいか?」

 

「え?まぁ、占いでは確かに自分でやる必要はないとのことでしたが」

 

「よし、店主さん次は俺が」

 

「お、兄ちゃんやるのかい?なら彼女さんにいいとこ見せなくっちゃねエ!」

 

「か、彼女!?わわわ私が「はは、残念ながら彼女は教え子ですよ。トレーナーなので」……むむむぅ」

 

「いた、ちょっとフク尻尾当てるのやめて痛い痛い」

 

「……シュルルル、兄ちゃん。年貢の納め時を間違えちゃいけねえぜ」

 

「本当に違うんですけどねぇ……っと」

 

フクキタルから射的用のコルク銃を受け取り、財布から小銭を支払うとトレーナーは的のわずかに右上を狙うように構える。

 

パシュ。と軽い音が響くこと二回、撃ち出されたコルクは招き猫の額を叩いて後ろへ下がらせ、見事に置かれた台から下の網へ落として見せた。

 

「……すすす、すごいですトレーナーさん!一撃ですよ!?」

 

「フシュー、おいおいマジか兄ちゃん、こりゃ商売あがったりだなぁ」

 

「フクが撃ってるとこを見てたからな、どんな風に落ちるのかある程度分かったよ。さて、次だ」

 

そして数発の後、見事達磨を落としてきれいに弾を使い切り、トレーナーは見事お目当てのぬいぐるみと

 

達磨を手に入れたのだった。

 

 

 

「いやあ参った参った、やるじゃねえか兄ちゃん。目当てのもの以外欲もかかないとはよう。包みはサービスだ。持っていきなぁ、フシュル」

 

「わあああ、ありがとうございますトレーナーさん!これは家宝にして神棚に飾らなくては……!」

 

「いや、そこまで大げさにしなくてもいいんだけど……」

 

ぬいぐるみと達磨を白い風呂敷に包んでもらい、フクキタルに手渡すと今度はフクキタルがトレーナーの手を取って、二人は再び歩き出す。

 

 

 

「さて、道すがら歩いては来たが……多分、ゴールはあそこなんだろうな」

 

「ええ、やはり神様がいらっしゃる場所としてふさわしい場所はあそこしかありませんから」

 

 

 

一方その頃──

 

「だ、ダメですぅ……やっぱり宿にも戻ってませんし、途中でも見た人はいないって……」

 

「祭りの会場にもいなかった、スマホも二人とも圏外のままだよ」

 

「放送もかけてもらいましたが、残念ながら……」

 

「えぐっ、ひっぐ、二人と"も"と"こ"行っ"ち"ゃ"っ"た"の"ぉ"ぉ"ぉ"」

 

残されたメイショウドトウたちは消えた二人を探していたものの、見つけることができず途方に暮れていた。

 

「これじゃ、お祭りどころじゃないって。信じてもらえなくても警察に行くべきなんじゃ……」

 

「うぅ、どうして神様を一番信じてるフクキタルさんが連れ去られちゃったんでしょうか~……」

 

「神様……神様……?──そうか、なんで私達はあそこを調べようともせずに──!」

 

「ぐすっ……えう?どうしたの?」

 

何やら考え込みだしたメンバーの一人は、何かに気づくとはじかれたかのように顔を上げた。

 

 

 

「さあいざ行きましょう、神社へ!」

 

「神社に行きましょう、皆さん。もしかしたら、何か手掛かりがあるかもしれません」

 

 

 

 

 

フクキタルとトレーナーを出迎えたのは、石造りの鳥居と大きな注連縄に明々と炎を燃え上がらせ並び立つかがり火の列。

 

そして門の下には、フクキタルとよく似た立ち姿のウマ娘がたたずんでいる。

 

「……あ……」

 

「──盆の季節は彼岸と此岸が近づく季節。この時期なら、私もここまで近づくことができますので」

 

「……こうしてお会いするのは初めてですね。妹さんのトレーナーを務めさせていただいております」

 

「こちらこそ、いつもフクがお世話になっております」

 

 

 

「…………お姉ちゃんっ!!」

 

 

 

飛びつくように抱き着いたフクキタル。

 

それを受け止めてよしよしと頭をなでる彼女の姿は、かつてフクキタルのアルバムで見た彼女の姉その人だった。

 

 

 

「ひぐっ、ふえぐっ、お姉ちゃぁぁぁん……」

 

「ふふ、よしよし……大きくなってもフクは変わらないね」

 

大泣きするフクキタルの姉……姿はよく似ているがよく見ればフクキタルより背が高くよりしっかりとした

 

身体を持っているようだった。

 

フクキタルからは『将来を嘱望されていた』と聞いていたが──なるほど、確かにそうだったのだろう。

 

 

 

「ずっとがんばってきたよっ、ぐすっ、ずっと弱い私だったけど、トレーナーさんのおかげで、トレーナーさんや、スズカさんや、ドトウさんもタイキさんも、チームのみんなも、みんなと、ひぐっ……」

 

「うん、ずっと見てたよ──ずっと、ずーっと、フクの事を……」

 

 

 

一方、同じ頃。

 

ドトウたちが辿り着いた現世の神社は、一部に年季が感じられたりやや全体的に古ぼけつつあるような印象があるものの、丁寧に管理されていることを伺わせている。

 

鳥居から境内に提灯は吊るされているものの、一方でなぜか人の姿は異様なほど見えない。

 

「……おかしくない?祭りで何か準備があるにしても人いなさすぎでしょ」

 

「なんだか静かすぎますし雰囲気も怖いですぅ……」

 

「やっぱり、ここおかしいよね。こう、何かいそうなのに見えないというか……」

 

「──いえ、いらっしゃいますよ。ほら、そこに」

 

 

 

示された方向、拝殿の前にはいつの間にそこにいたのか、どことなくフクキタルと似た雰囲気を纏うウマ娘が一人。

 

「フクちゃん先輩……じゃ、ない?」

 

「どどど、どなたですかぁぁ!?」

 

 

 

「そうおびえずとも大丈夫ですよ。……日頃はフクキタルと仲良くしてくださってありがとう」

 

「フクキタル先輩の事を……!?それじゃあ、あなたは──」

 

 

 

「私の名はシラオキ。まぁ、あなたたちより昔に走っていただけのただのウマ娘ですよ」

 

巫女装束のそのウマ娘──シラオキはそう言ってにこやかにほほ笑んだ。

 

 

 

 

 

「……落ち着いたか、フク?」

 

「ぐしゅっ、はい……えへへ、こんなに泣いたとこ見られちゃったのは初めてですね……」

 

「うんうん、やっぱりフクはいいトレーナーさんに会えたね。幸せそうで本当に良かった」

 

「ええ!やっぱりあの出会いは運命だったんだって、改めて思いますっ」

 

フクキタルが落ち着くまで拝殿の階段に腰かけて、3人は少しずつそれまであったことを話していった。

 

クラスメイトのタイキシャトルとの騒がしくも楽しい出来事、サイレンススズカの走りへの熱情と普段のちょっと抜けた姿とのギャップ。

 

恥ずかしがり屋のメジロドーベルが、のんびりマイペースなメジロブライトが実は誰より強い気持ちを秘めていること。

 

同期のテイエムオペラオーに何度も行く手を阻まれながら、それでもあきらめず真っ向から立ち向かい続けたドトウのこと。

 

競技かるた大会でドトウとハルウララが見せた活躍と、それを支えてくれたテイエムオペラオー、アドマイヤベガの事。

 

──彼女たちに手伝ってもらいながら、宝物であった『着物』を見つけ出したこと。

 

 

 

離れていた時間を埋め戻すように、思い出を語り、話していった。

 

 

 

「今のフクの隣には、本当にたくさんの人がいるんだね」

 

「はい!スズカさんやブライトさんとはライバルでもありますが大切なクラスメイトですし、チームの皆さんも大切なカワイイ後輩です!」

 

「そっか、ふふっ。──良かった。これで、後は最後の心残りだけ」

 

 

 

「心残り……ですか」

 

「お姉ちゃん──?」

 

 

 

フクキタルの姉は立ち上がり、少し離れるとフクキタルへと向き直る。

 

 

 

「──フク。私と、走りなさい」

 

 

 

 

 

同時刻、現世にて。

 

「今、彼女はかつて死に別れた彼女の姉と語らっています。普段はもうこの世を離れた魂は決して現世に近づくことはなりませんが……この時期だけは別。故に、あの子が飾りを置いてここの幽世への道筋を導いてくれた、このタイミングしかありませんでした」

 

シラオキと、そう名乗った彼女はフクキタルの姉の望みを叶えるためにここへ現れたのだと言う。

 

 

 

「──じゃあ、見えてはないけどトレーナーとフク先輩は近くにいるんだ?」

 

「ええ。とはいっても幽世と現世は合わせ鏡。互いに触れることは叶わず、見ることも叶わず。ですが、より合わせるようにしてつながりを作ったり、渡るための【招待】があれば行き来することはできます」

 

「でも、二人はそんな祭りに来る途中で特別なことなんて無かったよ!」

 

「いえ、二人にしか起きていないことはあります。……このお面を渡された時、二人だけは別の面を渡されていました」

 

「あ、あぁぁっ!あの立派なお面さんですね!?」

 

チームからの指摘にシラオキは一つ満足そうに頷く。

 

 

 

「そう、あれこそが幽世へ通行するための招待状。遥か昔よりこの地に伝わる逸品です」

 

「じゃ、じゃああの従業員さんはそれを知ってて……」

 

「ああいえ、あれは私たちの遣いといいますか。あの宿の従業員の姿をお借りはしましたが人間ではありませんよ」

 

「うええっ?」

 

「……もうなんでもありかよ」

 

「あ、ちなみにお面を付けて祭りに参加するのはウソではありませんからね。貴方達に渡したものもそのために用意されていたものでした」

 

「まあ、確かにそれはウソではありませんでしたが……」

 

若干不審そうな目で見つめてくる面々に苦笑しながら、シラオキは更に口を開く。

 

 

 

「さて。二人を現世へ戻すための方法ですが──皆さんの中の代表一人に、私とレースをしてもらいます」

 

 

 

 

 

神社から伸びる道は参詣者のためにか大通りは一直線になっている。

 

ここからトレーナーとフクキタルが幽世へと足を踏み入れた場所まで、二つの世でレースを行い二つの世を一時的に結ぶ『点』を作ることで渡ることが可能になるという。

 

「ただし、そのためには本気のレースで勝っていただかなくてはなりません。私に負けるか、幽世であの子が姉に負ければ渡ることは叶いません」

 

「そんな!?そっちが勝手に引き込んだんでしょう!?」

 

「それだけ二つの世界は交わってはならぬものなのですよ。故に、これだけ強固に隔てられているのです」

 

 

 

「……私が負けたら、トレーナーさんも私も帰れない」

 

「そして、私も元々渡った魂であるからそう長くはここには留まれない。今はフクの飾りのおかげもあって存在を保ててるけど、いつまでもはいられない」

 

「──やっぱり、もうお姉ちゃんはここにはいないんだね」

 

「今回はフクに会いたくて、シラオキ様にもだいぶ無理を通してもらっているから……これ以上は、ちょっとね」

 

「……ううん。こうしてまた会えただけでも、凄く嬉しかった。もう一度、会えて良かった!」

 

「うん、私も会えて良かった。──だから、フク。全力で、私と走って」

 

「……うん!もう二度とないこの機会、負けるつもりはないからっ!」

 

 

 

「……なら、負けなければいいんですよねぇ」

 

「お、おお!?ドトウちゃんがレースモードに!」

 

「うん、やっぱりここはアンタしかいないよ」

 

「では、満場一致ということで」

 

「はいっ……その勝負、私が受けますぅ!」

 

 

 

元々神事の一環としてレースを行う運びにはなっていたようで、神社への一本道からは人が避けられ、ロープが渡されたその脇には今まで祭りを楽しんでいた人々が寄ってきては興味深そうに話をしている。

 

現世側のゴール地点にはフクキタルのチームメンバーが。幽世側のゴール地点にはトレーナーが、結末を見届けるべく待機している。

 

 

 

「よう、兄ちゃん。ずいぶんなお祭りになっちまったなあ」

 

「あ、これはご主人。先ほどはどうも」

 

トレーナーへ声をかけたのは先ほどの射的屋の蛇の仮面をつけた店主だった。どうやら店そっちのけで見に来ている人も少なくないようだ。

 

 

 

「俺ぁあの嬢ちゃんがどれだけ速いのかは知らねぇが……どうだ兄ちゃん、あの子は勝てるかい」

 

「勝ちます」

 

間髪入れず、迷いすらなくトレーナーは言い切った。

 

「あいつは負けませんよ。絶好調のあいつは、誰よりも速い」

 

 

 

 

 

浴衣では流石に走りづらいということで神事用のレース装束へと着替えたフクキタルとドトウが、鳥居の前で同じ装束姿の姉とシラオキにそれぞれ並ぶ。

 

 

 

「スタートは今から投げる石が地面に落ちた時。先にゴールへとたどり着いた方が勝ち」

 

「準備は良いかしら?」

 

 

 

「いつでもどうぞ!」

 

「絶対に、負けませんっ……!」

 

 

 

そして、石が投げ上げられ──カツンという音とともに、それぞれがスタートを切った。

 

 

 

幽世側はフクキタルの姉が先行し、それをフクキタルがぴったりと背について追う。

 

現世側のスタートはほぼ互角。そしてそのまま二人が並んだままに駆けていく。

 

 

 

「始まったぞ!」

 

「おおお、やっぱり迫力がすごいなぁ!」

 

「どっちもがんばれーっ!」

 

 

 

「マチカネフクキタルは最後の末脚が優れている。故に普段は後方に控えるようなレースを取る」

 

「だけど、今回のレースは彼女の普段のレースよりずっと短い。スタミナ配分など考えている暇はない」

 

「だからこそ、仕掛けてくるタイミングを見ることができ、スリップストリームが利用できる後ろに着けた……」

 

「理屈は良いけどさ、お兄さんたち。結局どっちを応援するんだい!」

 

 

 

「あのウマ娘さんたち、ずっと並んでるじゃないか!?」

 

「距離が短すぎるんだ……だからこそ、最初から全力で競り合うことを選んだんだ!」

 

「うおおおおあっちいいいいいい!!がんばれぇー!!」

 

 

 

メイショウドトウは譲らない。

 

彼女を負かす相手は、はるか先をかける覇王とそれを射落とさんとする一等星、愚直に進み続ける不撓不屈の挑戦者とその陰すら捕えてしまいそうな末脚をもつ敬愛する先輩以外にあってはならない。

 

不屈の闘志が、彼女に競り合いを選択させた。

 

(でも、この人もかなり速いですぅ……!それに、巧い……!)

 

 

 

(二つ、読み違えましたね)

 

皐月賞、5着。

 

日本ダービー、2着。

 

オークス、3着。

 

今よりティアラ路線とクラシック・シニア路線の分化が進んでいなかった時期ではあるが、その中でシニアの相手すら下してきた猛者。

 

それが──『シラオキ』という、ウマ娘だった。

 

(一つは、私の実力。そしてもう一つは──競り合いという言葉すら生ぬるい中で戦ってきた、私の経験!)

 

バ体を合わせ、わずかに先行したところで接触寸前のギリギリのところで抑えるように競り合う。

 

現世側は消耗戦の態を成し始めた。

 

 

 

その一方、幽世側は一見動きがないまま、淡々と進んでいた。

 

「フシュシュ!おいおい、あの嬢ちゃん大丈夫か!?もうここまで距離がないじゃないか!」

 

「いや、あれが作戦なんですよ。見てください」

 

 

 

(まずい、ずっと後ろからのプレッシャーが……!本当に巧くなったねフク……)

 

(末脚はこっちの方が溜まってる、ここからの加速はこっちの方が有利ですけど、後はブロックを交わさないと……!)

 

後ろに付かれマークされ続けたことで想定以上のスタミナ消耗を余儀なくされたものの、フクキタルはブロックをされ続けた場合かなりのロスを覚悟で外に飛び出す必要がある。

 

だが、元より彼女はブロックから抜け出すのはかなり上手(本人曰く『シラオキ様の加護』らしいが)のため、後はタイミングを計るだけ。

 

そして、そのタイミングは──レース勘こそが、モノをいう。

 

 

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「なぁっ!?嬢ちゃんがいつの間に前に!?」

 

 

 

「フク……!」

 

「これが……私の走りですっ!」

 

 

 

一瞬、姉の意識がフクキタルのフェイントによって左へ逸れた瞬間を見逃さず、フクキタルは右から飛び出してスパート。

 

そして、その差は一気に開いていく。

 

 

 

「私と、トレーナーさんが磨き上げた、この走り!シラオキ様もご照覧あれぇぇぇ!」

 

 

 

トレーナーの見守るゴール地点を先に駆け抜けたのは──マチカネフクキタル。

 

その差、3バ身。

 

 

 

(──ああ、あんなにも、あんなにも速い。大きくなったね、フク……)

 

 

 

幽世側の決着がつくその前、現世側も決着の時が迫っていた。

 

「負けない、敗けない、絶対に!あああああああああ!!」

 

「なんと……!」

 

(スタートしてからここまで一度たりとも譲らず──!なんというスタミナ、いやそれを支えているのはこの娘の闘志!見誤ったのは私の方かッ!?)

 

互い譲らぬレースは、しかしスタミナで勝るドトウが先行したシラオキに並び、徐々に盛り返して

 

いたのである。

 

 

 

「ドトウちゃーん!そのままー!」

 

「負けんじゃないよドトウ、オペラオーに勝つんだろ!」

 

「あと少しです、最後まで全力で!」

 

 

 

「うあああああああああああああッ!!」

 

「まだだあああああああああああッ!!」

 

 

 

最後の最後までせめぎ合いになったレースは、しかし最後にドトウが抜け出しゴール。

 

──その差、1/2バ身。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……どうですかっ」

 

「はっ、はっ、はっ……ははは、参った。完敗です」

 

シラオキは自然と手を差し出し。ドトウはその手を取って固く握手を交わす。

 

その互い劣らぬ走りと闘志に、観客からは惜しみない拍手と称賛が贈られた。

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナーさん、やりました!私、お姉ちゃんに、お姉ちゃんに……」

 

「ああ、君が勝ったんだ。いい走りだったぞ、フク」

 

「──完敗です、ね。すごい走りだったよ、フク」

 

「うぅぅ、お姉ちゃん……うぅ、ぅ……」

 

レース後、惜しみない拍手を贈られたフクキタルとその姉。

 

フクキタルの勝利後、ゴール付近の空間が揺らぎ始め、だんだんと光を放ち始めていた。

 

「どうやら、向こうも終わったみたいだ。……これで、お別れですね」

 

「ええ、これで最後の未練もなくなりました。……本気で勝負してくれてありがとう、フク」

 

「ぐす、私は……私はっ、お姉ちゃんの、妹ですからっ……!」

 

「ふふ……そうだよ。明るく人を元気にしていく、私の大切な、自慢の妹……」

 

 

 

涙を流すフクキタルを抱きしめた後、姉はトレーナーへと向き直る。

 

 

 

「トレーナーさん。フクを……私の妹を、どうかよろしくお願いします」

 

「──はい。必ず、自慢のウマ娘にしてみせます」

 

「ふふ、なんなら末永くの方が良いかしら?」

 

「お、お姉ちゃぁん……!最後の最後で、もう……!」

 

「はははは……フクが走り続ける限りは、トレーナーとして支えますよ」

 

「──まあ、今はそれで良しとしましょうか。フク、頑張ってね」

 

「も、もう!知りませんっ!」

 

ぷいとそっぽを向いてしまったフクキタルの姿に姉と笑い合いながら、トレーナーはフクキタルの手を取って光へと歩みを進めていく。

 

──ふと、光に踏み入る前に振り返った先。二人を見送る彼女は、一筋涙を流しながら『ありがとう』と口元を形どった。

 

 

 

そして現世。

 

「──もう間もなく、二人は還ってくるでしょう。これにて神事は成されました」

 

「じゃあ、向こうも勝ったんだ……やったぁ!」

 

「まぁ、勝負で手を抜く人ではないと思ってたけどさ、うん」

 

「──目元が赤いですよ?」

 

「んなっ、ちちちちがうし!」

 

喜ぶチームメンバーの一方、ドトウはシラオキをどこか納得がいかないような眼で見つめる。

 

「……良いんですか?お姉さんは会えても、シラオキさんはフクキタルさんに……」

 

「いいえ、これでいいんですよ。あの子たちが再び出会い、そして望みを果たした……私の役目は果たされました。後は、再びあの子を見守ることにします」

 

ふわりとまるで子供のような笑みを浮かべて、シラオキは言葉を紡ぐ。

 

 

 

「──望外でした。もう二度と、あんな走りは出来ないと思っていた。あんなレースは出来ないと思っていた……それが今日、貴女と成せた。それだけでも、甲斐があったというものです」

 

「そそそそんなぁ!?おお、大げさですよぉ」

 

わたわたと腕を振るドトウに微笑むと、蛍のような光が立ち上り始め、その姿は急速に薄れ始めた。

 

 

 

「し、シラオキさぁん!?」

 

「ウソ、どんどん消えてっちゃう……!?」

 

「──二人がこちらへ渡り来るようですね。私もまた、幽世へと戻ります」

 

「お別れ……ですね」

 

足元から姿は消え、次々に光の粒子に変わりながら──彼女は最後まで微笑む。

 

 

 

「ああ、何たる歓びか。ありがとう、はるか先の後進達。どうか、あの子たちを、頼みます──」

 

 

 

シラオキの姿がすべて光に変わり、消え、そして突然目を開けられないほどの光が差し──

 

 

 

 

 

気づけば、一行は元通りの浴衣姿で、祭りの通りの入り口に佇んでいた。

 

「……あれ?ここ、最初私たちが来た時……」

 

「どうやら、戻った時に時間も巻き戻されたらしいな」

 

「ほえー、流石はシラオキ様ですね」

 

「っ!?フ、フクキタルさぁん、トレーナーさぁん!?本物ですよね良かったですぅぅぅぅぅ!!!」

 

「ぶげっ、ど、ドトウさん落ち着いてくださあばばばばばば」

 

「うええええん二人ともー!!良かったぁぁぁぁぁ!!」

 

「ああ、良かった……お二人とも戻ってきました……!」

 

「バカ!バカ!ホントこれっきりにしてよね、バカ!」

 

「ぐごごご落ち着いてくれ皆完全に目立ってるから……あ、そうだ」

 

片手に重みを感じたトレーナーが風呂敷の存在を確かめると、確認するため包みを解く。

 

──その中には、間違いなくあの時落とした招き猫のぬいぐるみとフクロウのモチーフを取り入れた達磨があった。

 

 

 

「トレーナー、ナニコレ?こんなの持ってなかったよね?」

 

「ああ、『向こう』で手に入れたんだ。無事持ってこれたみたいだな」

 

「おおお、なんとこちら側にちゃんと持って帰れるとは!宿に戻ったら神棚に飾りましょう!……あ、でもその前に何か食べましょうか」

 

「そういえばなんだかお腹ペコペコですぅ~……」

 

「なんだかんだずっと食べずに走り回ってましたからね……」

 

「よし、じゃあフクちゃん先輩のお話はご飯を買ってからにしましょ!」

 

 

 

わいわいと盛り上がりながら、一行は祭りの中へと歩いていく。

 

──どこからか流れるエレクトリカルミュージックが、軽やかに空を渡っていった。

 

 

 

 

 

後に祭りから宿に戻ったところ、盆の飾りが全て消失しており宿の人たちから驚かれることになるのだが、それはまた別の話である。

 

 

 




元はこの話はとある楽曲のMVにインスパイアを受けて「レース中の事故で昏睡状態のフクキタルが夏祭りの会場に迷い込み、現世に帰るために姉と勝負する」という内容で去年考えていたものでした。が、描写の難しさや構成の難航により一度断念し、それを今回リファインしたのがこのお話になります。1年も後になってリベンジが叶うとは思いませんでした。お姉ちゃんももっとフクキタルに会いに来てくれて良いのよ?


作者:嵐山三太夫
ハーメルンマイページ(https://syosetu.org/user/383581/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。