第7回ウマ娘小説合同企画   作:通りすがる傭兵

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シリウスが祭りに行くのか疑問でもありますが、まぁ、そういう概念もいいね


シリウスシンボリの人形狂劇 (作:暁桃源郷)

空が真っ赤に染まりヒグラシが鳴き始める。

そんな中で商店街の入り口に佇む少年が一人。

この少年、今年で三年目になるトレセン学園のトレーナーで皇帝シンボリルドルフの担当トレーナーであり今年からは新たにシリウスシンボリのトレーナーとなった。

つまりはトレーナーになってすぐにシンボリルドルフの担当になったと言うことだ。

新米であるトレーナーがシンボリルドルフを担当になることは当時波紋を呼んだがシンボリルドルフの一喝で収まったのだ。

それはさておき周りを見ればカップルらしき男女の組が商店街に入っていく。

少年はその組に悪態をつきながら自分のスマホを見る。

今は六時四十六分。

約束の時間は七時ジャスト。

その間に明日のトレーニングを確認しておく。

今は夏合宿の真っ最中であるのだがこの時期に行われる夏祭り。

大抵のウマ娘がトレーナーと共に夏祭りに来る。

それはこの少年も例外ではなかった。

 

 

「よぉ」

 

 

聞き覚えのある声にスマホから目を離す。

 

 

「・・・・・・シリウス」

 

 

目の前に居たのはシリウスシンボリ。

トレーナーを祭りに誘った張本人だがトレーナーは何故シリウスが自分を誘ったのかすら分かっていない。

一瞬だけシリウスを見たあとまたスマホに視線を落とす。

 

 

「オイオイ。私が来たってのにゲームに夢中か?今は私だけを見ろ」

「・・・・・・・はぁ。で、シリウス。お前が俺を誘った理由はなに?」

「オイオイ。周りを見てみろ」

「カップルで溢れかえってるな。全く妬ましいことだ」

 

 

トレーナーはスマホをポケットに仕舞いながらシリウスに悪態をつく。

シリウスは少し笑いながら祭り囃子の聞こえる方に進んでいく。

 

 

「行くぜ。ちゃんと着いてこいよ」

「シリウス様シリウス様。あなた様はまさかこのカップルの巣窟に私めと乗り込むおつもりで?」

 

 

トレーナーの質問を聞いたシリウスの顔からは笑みが消え、その口からは溜め息が溢れる。

そのまま踵を返しズカズカとトレーナーの元まで来ると胸ぐらを掴み顔を寄せる。

 

 

「いいから、文句言わずに着いてこい」

「・・・・・・・・」

 

 

トレーナーがしばらくシリウスを見つめると諦めたようにシリウスの手を離し祭り囃子に向かって歩き出す。

それを見たシリウスはまた笑いながら早足でトレーナーの隣に来るとトレーナーに合わせて歩きだす。

 

 

「で、何処周るのよ?」

「どこでもいい。腹が空けば飯を買うし遊びたけりゃ遊ぶ。それだけだ」

「・・・・・・あっそ」

 

 

シリウスから外方を向きで店の方に目を向ける。

チョコバナナを買い占め爆食いする者。

焼きそばを売る者。

たこ焼きを売る者の隣で山の様にたこ焼きを食べる者。

どれも顔見知りなわけだが無視して歩を進める。

そんな時、急にシリウスの足が止まる。

それに気付いたトレーナーがシリウスを見てその視線を追う。

視線の先にあったのは射的屋。

 

 

「面白そうだな・・・」

 

 

そう呟くとシリウスはスタスタと射的屋に歩いていく。

シリウスに気付いたグラサンを着けた射的屋のオヤジが立ち上がり手を叩く。

 

 

「いらっしゃい。一回五発二百円だよ。やってくかい?」

「一回だ」

「まいどあり」

 

 

銃をシリウスに渡し、商品台を見る。

実はこのオヤジ、台に細工を施していた。

台と商品を糊で固定していたのだ。

だから取れるわけがない。

そう高を括っていた。

しかし・・・・・、パリン、と音が鳴ると同時にオヤジのサングラスが落ちる。

 

 

「え?」

「撃ち落としたぞ。よこせよ、グラサン」

「いや、ちょ・・・・」

 

 

待ってくれ、と言おうとして今度はオヤジの時計が壊れる。

シリウスが隣を見るとそこに居たのはグラサンを掛けてココアシガレットを加えて銃を担ぐトレーナー。

 

 

「あぁ、あぁ、時計まで・・・・。嬢ちゃん勘弁してくれぇ・・・」

「・・・・・・・・・・」

 

 

シリウスはトレーナーをしばらく眺めてから笑ってオヤジを見る。

 

 

「悪かったよ。これ、弁償代だ。邪魔したな」

 

 

シリウスがスタスタ歩いていくとトレーナーがシリウスに着いていく。

正直トレーナーにも今シリウスが何を考えているのか分からなかった。

このトレーナー、基本は人の心を見透かすことに長けている。

学園での二つ名は『トレセンのジョセフ・ジョースター』と呼ばれるほどだ。

そんなときだった。

だれかの鋭い視線を感じた。

そんなことはいざ知らずシリウスはまたスタスタと歩いていく。

それを見たトレーナーは視線を気にしながらもシリウスに着いていきしばらく経つと着いたのは崖だった。

 

 

「・・・・・・・・どうしたんだよシリウス?こんな所に連れてきやがって・・・」

 

 

トレーナーがシリウスに近付こうとしてシリウスが振り向く。

しかし先程までの様な目では無く明らかに少し残念そうな、面白そうな物を見る顔だ。

 

 

「アンタ、モテねぇだろ。勝手にウマ娘の気持ちをわかった気になるなよ」

「わかるさ・・・・。モテたことくらい・・・ある」

「嘘だッ!」

 

 

大声で否定したシリウスがトレーナーに近付いてくる。

 

 

「アンタはズボラで杜撰で面倒くさがりで、クズで変態でウマ癖が悪くて・・・。そんなアンタがモテるだって?」

 

 

トレーナーが息を呑みシリウスを見る。

自分がシリウスにどう思われていたか知って驚いたからでもその端正な顔が近いから緊張したわけでもない。

あんな感情的なシリウスはてっきりルドルフにしか見せないと思っていたから驚いたのだ。

 

 

「でもな、そんなアンタみてぇな男でも好きになるウマ娘がいる。それが・・・「待つんだシリウス」・・・」

 

 

声が聞こえ二人が振り向くとそこにいたのはシンボリルドルフだった。

ルドルフを見た瞬間シリウスがまた先程とは違い親の仇でも見る目でルドルフを睨む。

 

 

「オイオイ、よいこちゃんの皇帝様が覗きとは感心しねぇな」

「そうじゃないシリウス!今すぐソイツから離れろ!」

「あ?」

 

 

シリウスは隣で同じようにルドルフを見つめるトレーナーを見る。

そしてルドルフが自分のトレーナーをソイツ呼びしたことへの疑問に頭を働かせながらもやはり分からずに一度疑問を置いておく。

 

 

「シリウス、君にはソイツがトレーナー君に見えるのか・・・・?」

「あ?なに言って・・・」

「私には見えない」

 

 

ルドルフがそう言うとシリウスは自分の背筋が凍りついたような気がした。

ルドルフが嘘を言っているようには見えない。

つまり本当にトレーナーはシリウス以外には見えていないのだ。

では、今となりにいるトレーナーは何者なのか?

恐る恐るトレーナーがいる筈の隣を見るがそこに居た、いや、あったのはトレーナーの形をしたぬいぐるみだった。

 

 

「なんだよ・・・、これ・・・」

「それが君がずっとトレーナーだと思っていたものだ。他の者にはタダのぬいぐるみにしか見えていない」

「じゃあ、なんでテメェはわかったんだよ!」

「単純明快。私もつい先程まで同じ症状に陥っていた。それを助けてくれたのが・・・・」

 

 

ルドルフが後ろを見るがそこには誰もいない。

ルドルフは眉を潜めて辺りを見渡す。

すると聞き慣れた叫び声が聞こえてきた。

 

 

「ギャアァァァァァァ!!セミファイナル!?ってションベンかけられた!?不幸だァァァァァァァァァァ!!!!」

「トレーナー君・・・・」

 

 

そこには先程までシリウスが見ていたトレーナーが居たのだ。

 

 

「・・・・・いや、俺もカフェが居なきゃヤバかったんだけどよ。大変だったぜ。子連れの探偵と彼女とオッサン連れの高校生探偵が近くにいてさ、事件巻き込まれるわ解決して急いで来ようとしたらいきなり魂だけになってたし・・・。いやー、夏って怖いわ」

 

 

だいぶヤバいことを言っている気がするが、ツッコむのも駄目なような気がして黙り込むシリウスとルドルフ。

しばらくブツブツ言っていたトレーナーがそれはそうと、とシリウスに振り返る。

 

 

「お前良くもさんざん言ってくれたな!悪かったな、ズボラで杜撰で面倒くさがりで、クズで変態でウマ癖が悪くて」

「あぁ・・・・・」

「でもよ、その後言ってたこんな俺でも好きになるウマ娘って・・・」

 

 

ここまで言ってシリウスの顔が紅くなる。

先程は勢い任せに言ってしまいそうになったが今になって顔が熱くなってくる。

それを見かねたルドルフが溜息をついてトレーナーに近づいていく。

ルドルフがトレーナーに話そうとした瞬間シリウスがトレーナーの唇に人差し指をつける。

 

 

「まだ内緒だよ。残念だったな」

「・・・・・・なんだそりゃ・・・」

 

 

トレーナーがしばらくシリウスを見たあとに顔を緩めて気の抜けた声で叫ぶ。

仕方ないといった感じでトレーナーは近くのクヌギにハチミツとマヨネーズを塗りたくりしまいにはカブトムシの着ぐるみを着てカブトムシを待つ。

 

 

「奇想天外。トレーナー君は全く想像の出来ないことをやってくれるな」

「ずっと昔から変わらねぇな。・・・・・なぁ、ルドルフ」

 

 

シリウスは何を思ったのかルドルフの名を呼ぶ。

 

 

「・・・・なんだい?」

「昔っから私はお前に勝負で負けてきた」

「・・・・・・」

「だが、アイツだけは絶対に負けねぇ・・・」

 

 

シリウスの顔を見てルドルフはフッ、と笑うと正々堂々と呼ぶに相応しいほどに仁王立ちでどっしりと構えシリウスを見据える。

 

 

「絶対無敵。私もタダでは譲らないさ。皇帝として一等星から守り続けよう。レースの一着も、彼の一着も・・・」

「・・・・・・・・・ッハ」

 

 

シリウスが笑って空を見る。

すでに空は暗く一番星も見え始めている。

そしてその一等星の輝きを掻き消すように空に大輪の花が咲き乱れた。

祭りも終焉。

命短し恋せよ乙女。

一等星と皇帝と二人の杖は空を見上げたまま辺りにはトレーナーがメイショウドトウからもらったホットコーヒーならぬホット醤油の激臭とともに劇終となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てか、この人形危ないからポイしよ」

 

 

筈だった。

捨てられたトレーナーの形をした人形を拾ったトレーナーが人形を海にほうり投げる。

その人形は更に風に攫われシラオキ様を呼び出そうと近くでキャンプファイヤーをしていたゴールドシップとマチカネフクキタル、メイショウドトウの元まで飛んでいき見事に人形がキャンプファイヤーにホールイン。

そのまま人形は燃え尽きて、今度こそ物語は真の意味で大団円となった。




はい、素直に告白します。とある神絵師様がシリウス様の絵を描かれており、ツイッターで連続で来たのであります。神がかって繋がってましたね、はい


作者:暁桃源郷
ハーメルンマイページ(https://syosetu.org/novel/263151/
代表作:『担当を持たないトレーナー』
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