【完】転生したら倒産確定地方トレセン学園の経営者になってた件   作:ホッケ貝

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エセ理事長、ブームを起こす

=学園の状況=1989

・教育の春

教育の改革は、全国的に注目を集める事となった。

迷える仔ウマ娘達に導きの手を差し伸べるには、充分だろう。

話題性が大幅に増加する

経済力が大幅に増加する

やる気が大幅に増加する

※陳腐化するまで効果は続く

 

・安定し始めた経営状態

小さな改革は着実に実を結び、予想以上の成果を収めた。

我々が思っている以上に周囲に影響を及ぼしており、これは未来世代のウマ娘の進路、ひいては日本ウマ娘史に絶大な影響を与えている。その事に我々は気づいていないのだが……

それでもなお、依然として適切に策を立て続けなければ、また傾くだろう

運で手に入れたものを維持するには、実力が必要だ

 

・改革に適応するホッカイドウシリーズの枠組み

北海道を基盤とした各地開催レースは、一定の成果を生んでいる。

だが、学園間の緩い均衡は、急進的な改革により崩れようとしている。

話題性が増加する

経済力が増加する

ハイリスク・ハイリターンにも程がある

 

・レジェンド理事長

今代の理事長は、改革に意欲的なようだ

もっとも、成功するかどうかは置いておいての話だが……

話題性が少しずつ増加する

経済力が少しずつ増加する

やる気が少しずつ増加する

 

・不穏な好景気

おかしい……なにかがおかしい……

こんなお金まみれの世の中は、普通じゃあり得ない筈だ

まるで、泡のような夢を見ているようだ

 

・横の繋がり

人は、一人では生きていけない。人は、一人では強くなれない。

どんな苦難の壁が立ちはだかっても、みんなと協力すれば何とかなる……かもしれない。

 

・オグリコール

「オグリ!オグリ!オグリ!」

誰もがそう叫んでいる。

地方の寂れたトレセン学園から彗星の如くデビューしたオグリキャップは、瞬く間にアイドルホースの座に上りつめた。

これにより、普段なら見向きもされない地方レースに、民衆の関心が向くようになった。

話題性が少し増加する

経済力が少し増加する

 

・奨学金制度

チャンスは万民公平にあるべきだ。

与えられたチャンスを生かすどうかは、本人の行い次第だ。

経済力が少し低下する

話題性が少し増加する

エースウマ娘出現率が少しUP

 

 


 

 

 史実のドクタースパートは、8月末の北海道3歳優駿に勝利したのちに中央へ移籍し、皐月賞を勝利したり、ステイヤーズステークスでレコード勝ちをする。

 これにより、ダート1200と芝3600の勝鞍とレコードを持つという、恐らく未来永劫現れない記録を持った馬である。

 

 そんな読むだけでおなかたっぷり!な戦績とドラマを持つドクタースパートは、不幸にも白塗りの名馬に衝突してしまう……(オグリキャップとメジロマックイーン、ついでにりゃいあんに挟まれた世代に生まれてしまったのである)

 

 充分個性が強いのに、さらに強い個性を持つ馬がいたせいで、どうにもいまいち知名度に欠けてしまう……というのが、北海道が誇る名馬、ドクタースパートである。

 

 そんな不運な名馬…改めウマ娘が、ここ旭川トレーニングセンター学園に"未だにいる"。

 

 ……あれ、なんかおかしいぞ?

 

 北海道3歳優駿に勝った後にはもう中央に移籍し、とっくのとうにここはおろか、北海道からいなくなっているはずである。

 

 だがどういうわけか、史実で勝った京浜杯3歳ステークスが開催される時期になっても、まだここにいるのである。

 地獄の確定申告を乗り越え、いよいよ新学期目前というあたりで、ようやく俺は歴史が変わったことに気が付くのだが、「まぁ、ここまで好き勝手動きまくったら、そりゃ歴史壊れるよな」と、納得する。

 

 しかし、歴史が変わると弊害というものが生まれてしまう。

 このことでドクスパが中央に移籍しなかった結果、ダートと芝のレコードと、皐月賞勝鞍という個性が失われてしまったのである。

 

 話題性の塊がここにいることは大変嬉しいのだが、本当にそれでよかったのかと、素直に喜べない感覚に陥る。

 

「これでいいのか……」

 

 得体の知れない罪悪感のようなものに、心が包まれるのであった。

 

 

 

 

 

「ドクタースパートさん!いったいなぜ中央に移籍しないのですか!」

 

 気分転換がてらに学園の敷地内をブラブラ歩いていると、数名の記者と思しき男が、我が校の生徒に絡んでいたところに、偶然出くわす。

 

「取材の申請なんてあったかなぁ……」

 

 否、そのような予定はなかったはずである。

 

 という事はつまり、あの記者たちは勝手に学園に侵入して、嫌がる生徒に無理やり取材を強要しているという訳である。

 

 えぇ、こんな絵に描いたような悪徳記者ってマジで実在してるん?

 怒りを通り越して呆れである。

 

 まぁ、史実のオグリ周りの記者とかの話を思い出すに、ああいうやべーのがいてもおかしくないかと、謎に納得する。

 

 そんなことはどうだっていい、とにかく生徒を助けなければならない。

 

「いや、あのっ…!」

 

「そうですよ!あなたは"こんなところ"で留まるべきではないほど強いウマ娘ですよ?!なのに!なぜ!?」

 

「…こんなところ?」

 

「君たち!何をしているのかね!!」

 

「げ、理事長!」

 

「逃げろ逃げろ!」

 

 俺が大声を上げながら近づくと、悪徳記者たちは一目散にずらかる。

 俺はそれを追おうとするのだが、今の俺の体はおっさんだ。

 前世の20代土木のノリで走ろうとした瞬間、腰を痛めてしまった。

 

「いててて、老いを感じる…(小並感)」

 

「あ、あの、ありがとうございます…」

 

「いや、俺のことはどうだっていい…それよりも大丈夫かい君!?何か危害を加えられたりとか…!?」

 

「い、いえ、なにも。大丈夫ですよ」

 

 何かヤバいことをされていたら大変!と、心配するあまり、俺は大丈夫かどうか質問攻めしてしまう。

 

 それから間もなくして我に返り、具体的に何をされたのか、聞かれたのかを冷静に聴き取り調査し、一応事態はいったん収束する。

 

「…ところで、一つ聞きたいことがあるんだ」

 

「はいっ!なんでしょうか?」

 

 ドクスパは元気よく返事をする。元気旺盛で心優しく、強いウマ娘である。

 そんな彼女に、どうしても聞きたいことがあった。

 

「いったいなぜ、ここに留まる判断をしたんだい?君は強いウマ娘だ。もしも中央に移籍すれば…皐月賞は勝てるだろう。でも、なぜ?」

 

「…ここが好きだからです」

 

 ここが好き…?思いのほかあっさりとした理由だった。

 だが同時に、愛がなければわざわざここに残らないだろうな…という妙な説得力を感じ、納得する。

 

「ここの制服ってかわいいですし、先生とか私たち思いですし、なにより、足が悪い私に寄り添ったトレーニングをしてくれるトレーナーがいて……こんな最高なところ、中央にはきっとないでしょう……だから私は、ここに残ることにしたんです」

 

「なるほど、そうかい……」

 

 本人の意思であれば、それでいい。

 下手に引き留めるようなことはせず、俺は本人の意思に従う他あるまい。

 

「…ありがとう、君たちのお陰でもっと頑張れるよ」

 

 俺はそう言い残して、その場を去った。

 

 

 

 

 

 

 さあ、俺にはやることがある。

 それは二つ、警備の強化とドクスパの知名度を上げることだ。

 

 警備に関しては、地元の警備会社に敷地内の警備を依頼し、警察に依頼して、付近を定期的にパトカーで巡回してもらうことにした。

 さらに、生徒と職員に向けて不審者の対応方法の講座を、臨時的にやることにした。

 とりあえずこれで、応急的な処置になったはずだ。

 

 警備強化の取り組みと同時並行しつつ、ドクタースパートの知名度を上げるPR活動に、精を入れる。

 

 史実のドクスパは、より強い個性を持ったオグリに飲み込まれてしまったことで、いまいち知名度に欠けてしまうことは、何度も説明しただろう。

 

 これを回避するためには、局地的な力強い取り組みが必要だと、俺は考えたのである。

 

 その協力相手とはズバリ、行政である。

 

 旭川はもちろんのこと、この世界の彼女の出身地である函館、そして道にも協力を仰ぐ。

 

 ドクスパを歴史の中に埋もれないようにするためには、我々だけでは火力不足だ。

 だから、官民一体の取り組みが必要なのである。

 

 また、行政以外に、観光会社や地元メディアなどといった民間にも協力を仰ぐ。

 

「勝負服のコスプレ用衣装を売る、なんてのはどうでしょう?」

 

「オグリのようにぬいぐるみを作るなんてのはどうだ!」

 

「「あーだこーだあれだこれだ!」」

 

 熱心に売り込みまくった結果、雪だるま式にどんどん取り組みの規模が大きくなっていった。

 

 また、デビュー以来無敗で北海道三冠を成し遂げた事や、本人自身の人望も拍車をかけて、ドクスパは少なくとも北海道だけで見れば、オグリをも上回るスーパースターへと進化したのである。

 

 北海道だけオグリキャップのグッズ販売の業績が芳しくなかったり、ドクスパの三冠のレースは珍しく万単位の入場者数を記録したりなど、官民ともに前向きに協力してくれたことも相まって、俺が予想していたよりも遥かに強大な規模で、ドクスパブームが北海道で巻き起こる事になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

北海道で起きたドクタースパートブームは、局地的なマーケティング集中戦略として、最も成功したブームとも言われ、当時理事長であった氏が官と民を円滑に結んだことによって、最大限の効力を発揮したのである。

 

この成功は、のちにホッコータルマエなどといったご当地ウマ娘戦略に影響するのだった。

 

また、ドクタースパートは当時の最先端の科学を取り入れたスポーツ医学の先例となった。

 

足に不安を抱えていた彼女が無敗北海道三冠を成し遂げられたのは、経験則ではなくデータに沿って適切なトレーニングを施すことができたところが大きかったのである。

 

―2022年、理事長亡き後に放映されたドキュメンタリー番組のフレーズより引用―




ん?流れ(歴史)変わったな

悪徳記者がどうなったかは、想像にお任せします

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