【完】転生したら倒産確定地方トレセン学園の経営者になってた件 作:ホッケ貝
エセ理事長、ホッカイドウシリーズの代表になる
=ホッカイドウシリーズの現状=1990
・不穏な株価降下
あれ?おかしいぞ?
株価が下がってる?
まぁ、たまにはこんなことがあってもおかしくないだろう
大丈夫、きっと上がるはずだ
・レジェンド理事長
今代の理事長は、改革に意欲的なようだ
もっとも、成功するかどうかは置いておいての話だが……
話題性が少しずつ増加する
経済力が少しずつ増加する
やる気が少しずつ増加する
・オグリコール
「オグリ!オグリ!オグリ!」
誰もがそう叫んでいる。
地方の寂れたトレセン学園から彗星の如くデビューしたオグリキャップは、瞬く間にアイドルホースの座に上りつめた。
これにより、普段なら見向きもされない地方レースに民衆の関心が向くようになった。
話題性が少し増加する
経済力が少し増加する
・ドクタースパートブーム
ここにはオグリやイナリワンにも劣らないスターがいる。
その名もドクタースパート!
北海道無敗三冠を成し遂げ、圧倒的な強さで全道民を魅了した。
官・民の絶妙な連携体制が、ブームの効果を底上げしている。
話題性が大幅に増加する
経済力が大幅に増加する
やる気が大幅に増加する
エースウマ娘出現率がUP
・中央、地方、北海道
ここ最近、レースの世界を志すウマ娘と親に新たな選択肢が浮上してきている。
スポーツ医学の大々的な導入や、卒業後の進路サポートなどといった改革が功を奏し、新たに北海道という枠の概念が浸透しつつある。
話題性が少し増加する
経済力が少し増加する
エースウマ娘出現率がUP
・陰の実力者
官・民・軍、北海道の隅々まで友好関係を広めた元理事長の活躍によって、我々の事業は成功しやすくなっている。
背中には気をつけろ
やる気が大幅に増加する
――助けてお嬢様!――
と、
しかし、そう叫んだところで某お嬢様は餡パン男のように助けに来てくれるわけがない。
嗚呼悲しいかな、この世界線に彼女はいないのである。
崖っぷちだった学園を見事に再建することに成功した俺は、その手柄を上層部に認められて、大変嬉しい事に出世が決まって早数ヶ月、その間にスウェーデン視察団おもてなしや禁煙を推し進めたり、後任への業務移管作業だったりとキツい仕事を乗り越えて、遂にホッカイドウシリーズの代表となった。
もはや言うまでもないだろうが、ホッカイドウシリーズの経営は、かつての学園経営のそれとは圧倒的に規模が違う。
札幌・旭川・函館・岩見沢・北見にある加盟校やレース場、そして子会社と、数千に及ぶ従業員と生徒を従える、北海道を基盤にした巨大企業である。
そんな巨大企業ともなれば、動かせる金が増えるというのは当然の理だろう。
まぁ、デカくなった分、出ていく金も多いのだが…それはともかく、昨年巻き起こしたドクタースパートブームによって利益がかなり出た。
行政と民間の緻密な連携によって効果と利益が底上げされた結果であり、当然、それに携わった行政と民間企業も恩恵を受ける事ができ、みんなwin-winな状態である。
このブームによって一気に北海道経済に対する莫大な影響力を有する事ができ、一部の専門家曰く、植銀に次ぐ影響力を保持していると評される程になった。
これによって、これから実行する官民を巻き込んだ計画は少しばかり実行しやすくなるだろう。
ひとまず、一連の利益による蓄えで、向こう数十年は経営を維持する事ができるだろう。
しかし、維持するだけでは生存競争に勝てないというのが経営の世界だ。
新しい事への挑戦を怠れば、やがて他所に追い付かれ、抜かされ、いずれジリ貧になるだろう。
勝つというよりも、生きる為に前へ進むというニュアンスが、最も正しいだろう。
不況という希望が見えない荒波の舵取りを、俺がしなければならない。
少しでも裁量を誤るものなら、北海道経済と共に沈没してしまう。
あまりにも重大な責任に「俺に北海道経済が懸かっているのか…」と、心が締め付けられる。
ふと、頭の隅にこんな考えが浮かんだ。
それは、"俺がこの世界に転生したワケは、北海道を救う為なんじゃないか?"と…。
考えすぎかもしれないが、それぐらいデッカい使命がなきゃ、神はそう簡単に転生させてくれないだろう。
そうだ、そうなのだ。きっとこれは三女神から授かった天啓なのだ。と、自分を鼓舞する。
それぐらいデッカく精神を構えなければ、やっていけないのだ。
という訳で、さっそく改革していく。
動かせる金が増えたのなら、ここはリゾートなりベンチャーなりでデッカく大量投資で利益爆上げ…!と行きたい所だが、それは確実に失敗する。
なんでそうなるかって?バブル崩壊が起きるからなんだよなぁ。
未来知識チート様々である。
もはや説明するまでもない、日本の経済と希望をどん底に突き落としたヤベー不況である。
人や文献によって具体的な発生年がずれるが、少なくとも、1989年12月29日に発生した株価の大暴落が決め手だろうと俺は考えている。
そう、実はもう崩れているのである。
だが、大衆の多くは「きっとすぐ回復するだろう」と、「おいおいそりゃ不味いぞ」と言いたくなるほど牧歌的で、そして恐ろしいまでに楽観的な考えのままなのが、現状だ。
遠方で発生した地震が、すぐに自身がいる場所に影響を及ぼす訳ではないように、株価が大暴落したところで、世間にすぐに影響を及ぼす訳ではない。
そのタイムラグを察する事が遅れた結果、悲惨な目に……という事は、想像に容易いだろう。
危機を察知して、すぐに売り逃げすることができた者はどれ程いるのだろうか?と、俺は思う。
結局いつの時代も得をするのは、冷静な判断と大胆な決断ができる者だけなのだ。
では、タイムラグという最後のセーフティーラインに乗り遅れた大多数の民衆と社会はどうなってしまうのか?
そんな者達に訪れるのは、不景気という重石を背負わされる運命である。
銀行は貸し渋り、給料は下がり、ボーナスもカット。しまいにはリストラと来た。
そして、備え無しの中小企業群は次々と窒息して倒れ、そのシワ寄せは大企業にもジワジワと押し寄せてくる。
既存の従業員の面倒を見るだけで精一杯の辛うじて生き残った企業は、新規採用を絞り、結果就職氷河期の到来……
トドメに消費税増税だ。
これから先、転生チートどうのこうのじゃどうしようもならないほどの、文字通り地獄のような時代が訪れる。というか、もう始まってる。
こうなるともう手遅れなので、未だに泡の夢を見ている者に対して目を覚ますように呼び掛けるぐらいしか、俺にできることはないだろう。
それはともかく、俺には乗り越えなければならない壁がある。
それは、"植銀倒産"である。
これに関しては、説明するとあまりにも長くなるので割愛させてもらう。
とにかく、この爆弾が起爆した途端、北海道じゅうの中小企業が連鎖倒産を起こして大変な事になるのである。
そんな未来を知っているのなら、なんで助けないの?と、疑問に思うかもしれない。
理由は至ってシンプル。そんな金が無いからだ。
某お嬢様のように買収して不良債権を消化して立て直すようなマネができるほど資金力があるわけではないから、自力で生き残るしかないのである。
危機になったときに一番頼れるものは、今まで地道に積み重ねてきたものであると俺は確信している。
だから、積み重ねてきたものが真の力を発揮する事を信じつつ、俺は改革を考えるのであった。
「ここから先、失われた30年と言われる大不況が訪れるでしょう」
1990年に放送された北海道のローカル番組に出演した際、理事長はまるで未来を予言するような発言をした。
当時、日本はバブル景気に浮かれており、理事長のような好景気終末論は聞く耳を持たれなかった。
だが、理事長のような絶大な影響力を持つ人物の警告は、夢に浸かる民衆に少なからぬ警戒感を与えたのであった。
―2022年、理事長亡き後に放映されたドキュメンタリー番組のフレーズより引用―
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