【完】転生したら倒産確定地方トレセン学園の経営者になってた件 作:ホッケ貝
「――やっぱり、ルドルフは卒業したらURAに行くんですかね」
「―――――いや―――――行かないらしい―――――」
「えっ」
皇帝の襲来を知ったのは、去年の春頃だった。
ウマの合う友人としてシンボリ家当主と俺の二人でオッサンズラブ……ではなくゴルフ場でゴルフをしていたとき、ルドルフの事で色々と駄弁っていたら、なんと"ルドルフがURAへ行こうとしていない"という驚愕の真実が明かされたのである。
それマジ?開いた口がふさがらないほどの衝撃を受けるが、その衝撃から少し遅れて、「まぁ、そらそうなるわな」と妙な説得力を感じて納得する。
「あ~、はい。まぁ、ルドルフは正義感が強い聡明なウマ娘ですからね。"例のアレ"の中身を知ったら、さすがに……」
「――――あぁ―――――世の中には、光すら呑み込む闇がある―――――知らない方が、幸せな事があるのだ―――――」
「ごもっともです」
お互いに「はぁ…」とため息をついて、明後日の方向に目線を流す。
無敗の三冠ウマ娘という話題を提供し、メディアやグッズ展開、ファンサービスを快く受け入れ、学園生や民衆の"みんなの皇帝"として、ルドルフは理想の為に、これでもかとURAに貢献してきた。
だが、URAは既得権益の保護のため、徹底的に制服更新を妨害するどころか、生徒会の自治権拡大や業務効率化のための委員会統廃合といった諸々の改革策を妨害して頓挫させるというかなりえげつない仕打ちをした。
これはどう見てもルドルフの理想を嘲笑う行為である。
事情を知っていれば、案の定そりゃそうなるだろうと納得する。
"隷属による繁栄か、自由による貧困か"で、貧しくなってでもルドルフは自由を選択したのである。
皇帝を彷彿とさせる貫禄があったとしてもまだまだ子供な一面を持つルドルフが、大人社会の悪意を間近で見て、理想か現実という究極の取捨選択を迫られて苦心したことは想像に容易いし、まだ若いのにそんな決断をしなければならないルドルフの心情を思うと胸が締め付けられる。
とにかく、自分の選択を信じて自分の道を往くルドルフに幸あれと願うばかりである。
と、その時点ではさも外野のように願っていたのだが、どうやら対岸の話では無かったようだ。
なんと、"シンボリルドルフがホッカイドウシリーズに入社しようとしている"のである。
「理事長ーっ!シンボリルドルフともあろう国民的英雄がここに就活しに来てるんですよ!どうすりゃいいんですかーっ!」
的な知らせ(要約)が、面接官から舞い込んできたのである。
やべーよやべーよ…ちょっと扱いミスっただけで大爆発するやつだこれ…と、俺は思わず震え上がる。
URAに関わらずに自分の理想を叶えようとするのかなと予想していたものの、まさかホッカイドウシリーズを頼るとは思わ…いや、0.01%ぐらいの確率で起きねーかな~(笑)と冗談混じりで考えていたものの、ガチのマジで起きるとは思わなかったのである。
なんせホッカイドウシリーズは北海道に対して異常に強い地方の企業という立ち位置であり、そこらの大企業でも顔パスで行けるであろうほどの逸材であるあのシンボリルドルフが、わざわざ、繰り返すがわざわざホッカイドウシリーズを選ぶという事態は、はっきり言って異常だ。
必要以上に自分を卑下するのはどうかと思うが、それでもそういう例えをするぐらい、本来ならあり得ない現象が起きているのである。
本当に何が起きてるんだ????もしかして天と地がひっくり返るのか?!?!それとも植銀が爆発するのか!?!?
嬉しさと疑問が入り交じって混乱するものの、「きっとルドルフにも認められる企業になったんだ、ヨシ!」とポジティブに考える事で落ち着かせる。
とにかく、新年早々とんでもない問題が向こうからやって来た。
これが有名税というものかと呑気な冗談を言っている暇など無い事は明らかだ。
なんせ、対応次第では、俺と親しい仲のシンボリ家や世間に対する信頼を揺るがすことになるからである。
かくして、刻一刻と迫る決断の時を、俺は固唾を飲んで待つのであった。
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