伸元お兄さんと舞白ちゃん(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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幸せを願う

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

家の鍵のロックを解除し、そっと玄関の棚に鍵を置く

静まり返った室内の様子から

まだぐっすり眠っているんだろうと

舞白の部屋をのぞき込む

 

「……?」

 

ベッドにいるはずの舞白は居らず

むしろ布団一式が抜かれているのを確認すると

もしや、とリビングへ向かう

 

 

薄暗いリビングに転がっている2人

唯一ダイムだけが気配に気づくと狡噛へと歩き向かい

尻尾をふりふりと降り出す

 

 

「ご主人様を借りて悪かったな、ダイム」

 

よしよしと頭を撫でると嬉しそうに体を擦るダイム

そして2人に目を向けると

気持ちよさそうに寝息を立てている様子

 

宜野座の手を無意識にギュッと両手で握り

口をポカンと開けて安心しきっている舞白を目にすると

微かに笑みを零す狡噛

 

 

 

ダイムを残し、リビングから出ると

狡噛はシャワーを浴び、2人が目を覚ますのを待っていた

 

 

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「…………ん……」

 

 

陽の光に気づき瞼を持ち上げる宜野座

傍らでまだすやすやと眠っている舞白に手を握られているのに気づくと思わず笑みを浮かべ頭を撫でる

 

 

「……可愛いもんだな……妹って」

 

傍で座っているダイムに目を向けると

その視線が自分に向いていないと気づく

 

ダイムの視線の先に目を向けると

可笑しそうにクスクスと笑う狡噛、

その様子に気づいた宜野座は恥ずかしそうに赤面すると

舞白から手を離し上半身を起こす

 

 

「……お前……いつから……」

 

「小一時間前くらいだ」

 

パタンと持っていた本をテーブルに置くと

体を宜野座の方に向ける

 

 

「ありがとな、お陰で安心して祖母の手術に立ち会えたよ」

 

「大丈夫だったのか?」

 

「あぁ、手術は成功だ

また見舞いに行く時は舞白も連れて行く」

 

「そうしてやれ、心配している様子だった」

 

タオルケットを舞白に掛け直してやると

宜野座は体をぐーっと伸ばし狡噛の向かいへと腰をかける

 

 

そして狡噛が読んでいたであろう本を手に取る

 

「ルネ・デカルトの"方法序説"……

本当に本が好きなんだな、お前は」

 

学校でも暇さえあれば本を手にしていた狡噛

家でも、そして妹にもその姿勢は伝染しているようで

正に"博覧強記"

 

しかしとある事を宜野座は気にしていた

 

 

「妹の部屋の本棚、なかなか難しい本が並べられていたが

サイコパスは大丈夫なのか?」

 

なかなか舞白の年齢で読むべきではない書物が並んでいたのを目にしていた宜野座

中身を理解しているのかしていないのかは置いておくとして、普通ならば読ませるのは危険だと判断するはずだった

 

「勝手に俺の本棚からいつも盗んでは隠れて読んでる

あいつが自分の意思で読みたいって思ってるなら

俺は黙認し続けるさ」

 

デバイスを操作するととあるデータを宜野座に見せる

それは舞白のサイコパス情報、定期診断結果

その結果は驚くべきものだった

 

 

「色相は常にホワイト

それに一度もメンタルケアの製品を口にしたことも

セラピストにも合わせたことは無い」

 

「…………」

 

勿論幼い子供はよっぽどの事がない限り

サイコパスが悪化することはない

しかし異様すぎる結果に宜野座も言葉を失う

 

「勿論、悪化していたとすれば

難しい本を早くには与えてないさ」

 

狡噛は立ち上がると

コーヒーを入れる為にキッチンに向かう

 

「知識は力なり、そう言うだろう?

人間の知識と力は一致する、

舞白は父親と母親からの世間一般的な愛情というものはほとんど受けていない

兄の俺にも出来ることは限られてる

…だったら俺らしく、あいつに何か残せるなら

それは知識だと思ってる」

 

それなりに考えがきちんとある様子で

宜野座は感心の目を向ける

 

「将来、あいつが困らないように

普通の生活を、普通の人生を

そうでなくなったとしても、最終的に幸せになってくれれば

それでいい、兄としての本望だ」

 

コーヒーの入ったカップをテーブルに置くと

再び椅子に腰かける

 

なんとなく重苦しくなった空気を変えようと

ふと宜野座は話を変える

 

 

「妹が嫁に行く時、お前発狂しそうだな」

 

ギクッと肩を揺らすと

ゴホゴホと咳き込む狡噛

 

「シビュラが相手を決めたとしても

ろくな奴じゃないと俺が判断すれば

速攻反対するさ」

 

「お前が義兄なんて、相手も可哀想だ」

 

「言っておくがお前にはやらんぞ」

 

「有り得ないだろ歳を考えろ、歳を

それに俺もお前が義兄になるのはゴメンだ」

 

なんだとー!?と言い合う2人の声に気づいた舞白は

目をゴシゴシと擦りながら体を起こす

 

 

「…………おはよう…………」

 

舞白の声に気づくと2人は言い合うのをやめ

狡噛は眠そうにぼんやりする舞白を軽々と抱き上げると

優しい笑みを浮かべる

 

相手が兄だとはっきり分かると

舞白は手を伸ばす

 

「お兄ちゃん!お帰りなさい!!」

 

パッと目を覚まし兄に抱きつく妹

その様子を宜野座とダイムは穏やかに見守っていた

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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