かつての王国にて、旅を始めたばかりのとある一人の星の子の短編物語。
skyと言うスマホゲームの二次創作になります。

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生まれた理由を果たすために

 

 僕の旅は、まだ始まったばかりだった。

 

「……」

 

 砂と廃墟に覆われた孤島を一人飛び立って、たどり着いた先は広大な草原の大地だった。

 そんな場所を旅してまわって、今は……白い雲の海に浮かぶ小島のような場所に僕はいた。緑の草地と白く淡く輝く花に覆われて、石造りの桟橋に、大地の一部に竪穴のように作られた石の家と、大きな石造りの扉。ここだけじゃない、他の場所にもこんな遺跡が幾つも点在している。

 大昔、天空から降り立った精霊たちが築き上げた『雲の王国』、その名残り……つまり廃墟だ。ここからずっと真上の雲上には、精霊たちの指導者である大精霊の神殿が青い空の中輝いて見えた。

 しばらく見上げて見つめながら、意を決して頷いてから。

(さてと──行こうか)

 

 雲の中から大きな身体をなびかせて姿を表す、光のマンタの群れ。僕はそれに合わせて身体に溜めた光を放出して空へと飛んだ。ケープを翼代わりにして空を飛び、光のマンタと、それに無数の鳥の群れと共に飛び、神殿へと向かう。

 青い空と雲を背にして、ずっと高く空を飛ぶ。目の前に大きく迫る神殿と……そしてそのもっと先にある遥か巨大な山。頂上には厚い雲と宙に浮かぶ城、光の柱が天空にまで昇っていくのがここからでも見える。

 きっとそこがたどり着く場所だと。本能が、心の声がそう囁く。

 だから僕は行くんだ。僕の──星の子の『使命』のために。

 

 

 

 ずっと高く飛び続け、神殿前の石橋の上に着地した。魚が泳ぐ池にかけられた橋の上、そしてぽっかり空いた神殿への入り口。あの先には……きっと新しい場所が待っている。

 そして、後ろを振り返って見下ろすとさっきの、雲に浮かぶ幾つもの小島と、精霊たちの遺した遺跡群が一望出来た。

(あれだけの文明を築いた精霊達も、今はもう、滅び去った後で。けれど……)

 

 けれど、精霊たちの心は王国各地で闇に蝕まれたまま、今も地上に縛られていた。

 雲と草原で綺麗なこの場所でも何人も見かけた。黒い闇に覆われて動かなくなった精霊の残滓、あの中にその心も囚われて苦しんでいた。

 僕達、星の子の『使命』は各地に散った光を集め。精霊の魂を開放して──天空に戻すこと。

 

(その為に生まれた、存在している理由だ。……そしてそれは僕にとって幸福な事だから)

 

 誰から与えられたのか分からない。けれど自分自身が生まれて、存在している理由があることは、それだけでも満ち足りた事だと、そう思う。

 だから、その生まれた理由……使命を果たすために、神殿へと歩みを進める。

 例えその先にどんな運命が待っていようと、僕は僕の運命を果たしたいから。


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