それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

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第20歩~第21歩

【第20歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 原因不明の超モン的戦闘能力を得たボクは、ゲネりんもよそに、黒ゴマちゃん相手にサシの勝負をしていた。

 本気を出した黒ゴマちゃんは、ブレス攻撃や、連続叩きつけの攻撃を繰り出した。

 

 はははっ、どれもワンパなんだよっ!

 この黒ゴマ野郎gっ!

 

 いくら本気を出そうが、黒ゴマちゃんの攻撃は一つもボクには当たらない。

 次第にイライラしてきたのか、攻撃の一つ一つに乱れが生じてきた。

 とはいっても、いまだにボクも黒ゴマちゃんに対して、傷一つ付けられずにいる。

 

 ボクへの突進も軽い身のこなしで避けると、黒ゴマちゃんはバックジャンプをした。

 が、バックしたその先のアミアミの天井に引っ掛かり、ボテっと地面に落ちてしまった。

 

 それをみすみす逃すボクではない。

 仰向けで、もがもがしている黒ゴマちゃんの脳天に、ボクは無慈悲な超モン的超絶ハイパー頭突きスペシャルバージョンセカンドをかましてやった。

 

 すると、ボクの鋼鉄まがいの牙が、黒ゴマちゃんの生えたての触角にゴツンと鈍い音を立てて命中した。

 その衝撃で、黒ゴマちゃんの触角はポッキリと折れた。

 角と同時に心も折れたのか、黒ゴマちゃんはどこかに飛び去っていった。

 

 ぶははっ、おとといきやがれってんだっ、ちくしょーめっ!

 

「君、大丈夫か?」

 

 ゲネりんが、慌ててアミアミから降りてきた。

 

 あっ、ゲネりん……の存在をすっかり忘れてた。

 大丈夫も何も、ゆゆう過ぎてメシウマれす。

 

 あ……れ?

 ボクの身体を支配していた戦闘意欲は、今では微塵も感じられない。

 あれは……いったい何だったんだろう?

 

「上から、君達の戦闘を見ていて思ったんだけど、たぶん、いや、常識的に見ても、アイツの黒い鱗粉は、何らかのウイルスなんじゃないかと思うんだ」

「ウ、ウイー……ルスン?」

 

「実は、僕がいた場所にも黒い鱗粉が舞っていて、息を止めていた僕もさすがに息苦しくなって、思わず吸い込んでしまったんだ。だけど今度は何も変化がなかったから、もしかしたら僕にはすでに抗体のようなものができてたのかなって……」

「ほぉー」

 

 なんだかよく分からないけど、君がそう思うんならきっとそうなんだろうね。

 

「でも、感染した僕と一緒にいた君には感染しなかった。君はヤツから直接、感染したんだ。そして僕も君も、一度感染したら凶暴化して、一通り暴れたら完治するっていう、常識では考えられない、なんとも摩訶不思議なウイルスなんだよ! でも、きっと一度完治したら抗体ができて、二度と感染することはないと思うんだ!」

 

 小難しいことをペラペラと、よく舌も噛まずに言えますな。

 あ……っれ?

 なんだか、体中の節々が痛いぞっ!

 まるで全身筋肉痛のようだっ!!

 

「なんか……体中が筋肉痛のように痛いんでつけど?」

「もしかしたら、後遺症かもしれないね?」

 

「えっ? 君にも後遺症あったのかいっ?」

「いや、僕には何もなかったよ。むしろ、完治した時は爽快な気分だったね」

 

 どうしてボクだけなんだってばよっ!?

 ……そうか、一見、ボクの体は厚い脂肪に覆われているように見えるが、実はそのすべてが筋肉で、体脂肪はめちゃんこ低いんだ!

 

 だから痩せっぽちのゲネりんは、なんともなかった、と。

 まさに、ノー筋ノーライフだな。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

【第21歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 黒ゴマちゃんの撃退に成功したボクらは、アイルー達がひしめく狭いエリアにやってきた。

 

「でも、アイツをこのまま野放しにしておくと、この原生林一帯が凶暴化したモンスターで溢れかえるかもしれないな」

「でも、どうするのさっ? ゲネりんだけじゃ太刀打ちできないんじゃない?」

 

「うん、そうなんだよね。常識で考えたら今のこの貧弱な戦闘力じゃ、アイツには敵わないよ」

 

 ボクらは二匹揃って、うーん、うーんと悩みながら歩いていると、そこへ一匹のアイルーが近付いてきた。

 

「ゲネポスが餌を連れて歩いてるニャー」

「ファンゴは餌じゃないよ! 大事な仲間さ!」

「そうだぞっ! 失敬なっ! プリプリっ!!」

 

 ボク達は、アイルーの誤解を解いてやった。

 

「へー、珍しいこともあるもんニャねー」

「ところでさ……」

 

 ボクらは、黒ゴマちゃんと謎のウイールスンのことで何か知っていることがないか、アイルーに聞いてみた。

 

「ニャーんだ、そんニャことか」

 

 え?

 そんなこと?

 

「あれは狂竜ウイルスと言ってニャ、ホレ、このウチケシの実を食べたら、発症を遅らせることができるニャ、これ常識ニャー」

「ガーン!」

「ガーンっ!」

 

 おいっ!

 このアイルーに常識を問われたぞっ!!

 

「いやー、でも、それで発症を遅らせても、元の元凶を野放しって、なぁ? 常識的に考えて、これはマズイ状況だろ?」

「そーさ、黒ゴマちゃんをなんとかしないと! あちこちにウイールスンとやらをばら撒いてんだぞっ!?」

「うーん……それも、自然の摂理(せつり)ニャー」

 

 おいっ!

 このアイルー、摂理を語ってるぞっ!!

 

 ボクらは、このアイルーではまったくお話にならないので、その場を後にすることにした。

 

「僕は、何らかの方法を見付けてみせるよ! アイツの存在を常識化するわけにはいかないからね!」

「うん、そうだね。頑張んなよ、ゲネりんっ!」

 

 君ならできるさ、きっと。

 こういう熱い志を持ったモンスターが、世の中を変えていくんだな。

 

「君は……これからも旅を続けるのかい?」

「うんっ! この原生林も名残惜しいけど、ボクの旅はまだまだ終わらないさっ!」

 

「そうか。……頑張れよ!」

「ありがトンっ」

 

「あっ、そうそう、一つ言い忘れるところだったよ」

 

 何かしら?

 

「君と僕は、これまで仲間として一緒にいたけど……もしも、次に君がこの原生林を訪れた時は、僕は肉食系で君は草食系だ。君を捕食することになるかもしれないよ? だって、それって常識だろ?」

 

 Uuu……Guuの音も出まてん。

 おっしゃっているのは、まさに正論でございますです、ハイ。

 

「……そ、そだね」

「でも君なら、そう簡単には捕食されなそうだから、大丈夫だと思うけどね」

 

「うっ……そ、そうさっ! そう簡単にヤられるボクじゃないぞっ! 逆にコテンパンにされないよう、そちらも気を付けたまえっ!!」

「ははっ、じゃぁな! 気を付けて行けよ!」

 

 テッテレ~♪

 ゲネポスと別れた!

 

 短い間だったけど、禁断の絆は永遠ではなかった。

 まー、そーだよねー、それが普通だよねー。

 

 ……あれっ?

 なんだろう??

 なんだか、前が(かす)んでよく見えないや。

 

 ボクは、モニョる悲しみに堪えながら、この原生林を出発した。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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