それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

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第22歩~第23歩

【第22歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 原生林を出発したボクは、雪面が眩しい寒い場所にやってきた。

 日光が反射する真っ白な雪面は、ボクの網膜(もうまく)を刺激する。

 

 プルプルっ。

 さすがに、ちょっと寒くなってきたな。

 ここは早いとこ、通り過ぎるのが得策か。

 ボクは滑って転ばないよう気を付けながら、足早に歩いた。

 

 一面、氷のような艶やかなエリアに来た時、数匹の青くて小さい魚のモンスターが、氷の上をペタペタと歩いていた。

 氷の上で魚が歩いてるぞっ!?

 こいつら、どういう生態系してやがるんだ?

 

 カプっ!

 

 えっ!?

 

 おケツに違和感を感じたボクが振り向くと、なんと! ボクの大事な桃尻に青魚が噛み付いていた。

 慌てて振りほどこうとしたが、青魚はガップリと噛み付いて離れない。

 それどころか、その青魚はボクのエキスを吸い取っているのか、みるみると膨らんでいった。

 

 ……!?

 こ、こりは非常にマズいっ!

 

 こいつら、ギギ坊みたいに、ほかのモンスターの汁を吸うのか?

 このままだと、ボクはミイラになってしまうじゃまいかっ!!

 

 ボクは、犬が自分の尻尾を追い掛けるようにグルグルと回り、その遠心力にも打ち勝つスピードで、大きくなりつつあるソイツの尻尾になんとか噛み付き、思い切り引っ張った。

 

 あうっ、ボク自身の桃尻にも被ダメが!!

 がしかし、そんなことも言っていられない。

 ボクは、ありったけの力を込めてソイツを引っ張った。

 

 ふんぬぅーーっ!!

 コイツ、絶対あとでムニエルの特選キノコ添えにしてやるぞっ!!

 

 互いの引っ張り合いは、ボクの闘志のほうが一歩抜きんでていた。

 とうとう観念したのか、青魚は噛み付きをゆるめた。

 

 スッポーーーーーン!!

 

 青魚がボクの桃尻から離れると同時に、ボクはソイツを空高くに振り飛ばした。

 しかしながら、グルグルと回っていたせいで、ボクの三半規管は麻痺していた。

 平衡感覚を失ったボクは、よろよろとその場でよろけてしまった。

 

 トスっ!

 

 よろけたボクは、何かにぶつかった。

 

「あわわ、ごめんなさい、ごめんなさい!」

 

 何かがボクに謝ってきた。

 ぶつかったのは、ボクのほうでつが?

 

 よく見ると、さっきの青魚と同じで、サメのような姿に4本の手足が付いた、やや小ぶりの青魚がペコペコと頭を下げている。

 

「いや、謝るのはボクのほうだと思うんでつけど?」

「え? あっ、ごめんなさい。私が何か気に障ることをして、あなたを怒らせてしまって、それでどつかれたのかと……ごめんなさい」

 

「……いやいや、これは10-0で完全にボクが悪いのでふよ、お嬢さん。それにしても、君達って、魚……だよね?」

「ごめんなさい……私、スクアギル……です。これでも両生種なんです、ごめんなさい」

 

 両生種って、カエルさんとかの仲間かな?

 それにしても、どうしてこの子は、こんなにもオドオドしてるんだろう?

 過去に、よほどのトラウマでもあったのかしら?

 

「ねえ、どうして君は、そんなにオドオドしてるんだい?」

「あ、ごめんなさい。……何か周りに迷惑を掛けてないかなって……気になって気になって。……ごめんなさい」

 

 オドちんは、周りをキョロキョロと気にしている。

 

「ボクは君に迷惑をかけたけど、君は何にも悪いことをしてないんだから、もっと堂々としなよ」

「ごめんなさい……ありがとう……」

 

 う~ん。

 どうにかこのオドオド精神を強靭な精神に矯正してあげたいけど、ボクは先を急ぐ身だし……。

 

「ごめんなさい。私……ママにお使い頼まれてたので、この辺で失礼します。……ごめんなさい」

 

 あっ、そう。

 

 オドちんは、ペタペタとぎこちなさそうな歩き方で足早に去っていった。

 あの子のママって、やっぱりデカいのかな?

 あのギサギサの歯は、ヤバい気がするぞ。

 やはり、ここは関わらないのが定石か……。

 

 ……うぅぅ。

 それにしてもアイツのせいで、ボクのプリプリおケツの一部が丸禿げになったじゃまいかっ!

 おケツが風邪を引いてしまわないうちに、とっととこの寒いところからおサラバしなくてはっ!

 

 ボクは氷の上を小走りしながら進むことにした。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

【第23歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 オドちんの将来と、自分のおケツを心配しながら、ボクは先を急ぐべく、目の前にぽっかりと口をあけた洞窟に小走りで駆け込んだ。

 

 洞窟の中に一歩足を踏み入れた途端、ポヨ~ンとした、とてつもなく大きく、そして、とてつもなく柔らかいものに弾き返されたボクは、洞窟の外に弾き飛ばされてしまった。

 

 ……っ!?

 なんだっ?

 何にぶつかったんだっ?

 

 洞窟の入口に、青い大きな風船が見えた。

 洞窟の中で、バルーンパーチィーでもやってんのかw

 入口にあんなデカイ風船を置いたら、誰もパーチィーに参加できないじゃまいかっ!

 

 ボクは、また弾き返されないよう、風船のわずかな隙間から慎重に洞窟の中へ入った。

 すると、いきなり怒声が聞こえてきた。

 

「なんだい、なんだい! お使いもまともにできないのかい、この子は!!」

「ごめんなさい、……ごめんなさい」

 

 ん?

 この声は……、そしてこのセリフは……。

 さっきのオドちんか?

 

 このデカい風船で前が全然見えない。

 ま、まさかと思うけど、このデカいのって……。

 

「本当にもう情けないねぇ、ママがこの体だからアンタが餌を持ってきてくれないと、餓死してしまうんだよ! それでもいいのかい?」

「ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

 餓死って、こんだけ脂肪の蓄えがあれば、数か月は生き延びれるだろw

 どうみてもメタボを通り越してるぞww

 一発でドクターに『アウトォーーっ!!』って、宣告されるレベルだろ?

 

「あ、あのさ……ちょっといいかな?」

「あん? なんだい、アンタは?」

 

 オドちんママは、大きなお腹をずらしながら振り向いた。

 おほーーっ、お顔までぽよぽよぉーんっ!

 

「あのさ、健康のためにも、もう少しダイエットすることを推奨しまつが」

「はぁ? 何言ってんだい、アンタ。何様のつもりだい?」

 

「あ! さっきの……ごめんなさい、その節は……」

「コイツ、アンタの知り合いかい?」

 

「ごめんなさい。さっき、そこで会ったばかりで……ごめんなさい」

「どうりで帰りが遅いと思ったら、こんな猪豚と遊んでたわけかい? そんでもって、手ぶらで帰ってくるとは、どういうことだい!?」

 

 い、猪豚……だとぉ?

 こりは聞き捨てならんぞっ!

 

 オドちんは相変わらずオドオドしているが、猪豚扱いされたボクは、ここで引き下がるわけにはいかない。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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