それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

12 / 21
第24歩~第25歩

【第24歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 オドちんママとの口論で、ボクの脳内はヒートアップしていた。

 

「あのさー、よそさまの家庭に口出しするのはあんま好きじゃないけど、普通、ママっていうのはさ、自分のことより子供を優先するんじゃないのかな? 子供のために餌を持ってくるのも親の務めだと思うんだ、常識的に」

 

 我ながら、まともなことを言ったと、ボクは自負していた。

 

「何を偉そうに! 私が餌を取りに行ったら、無駄なカロリーを消費してしまうじゃないか!」

 

 いや、あなたの場合、消費するカロリーより餌から得るカロリーのほうが、格段に上だと思うんでつが。

 それに、これ以上、いったいどれだけカロリーを摂取すれば気が済むのでせうかね?

 

「はたから見たら、ママは肥えてるのに子供は小さいままで、明らかに成長不良じゃまいかっ!」

「何言ってんだい! 子供の成長は早いんだよ! ちょっと食べたら、すぐに私ぐらいに成長するのさ!」

 

 確かに、さっきボクに噛み付いたやつも成長が早かったけど、オドちんママのレベルには、ちょっとやそっとじゃならんだろww

 

「それにしても、ママさんは子離れしてダイエットするべきだと思うよ」

「いったいなんなのさ! アンタなんてペシャンコにしてやるよ!」

 

 ボクの正論に業を煮やしたオドちんママは、この狭い洞窟内で、巨体をボヨ~ンとジャンプさせてボクに襲いかかってきた。

 

 ボクは、洞窟の端っこギリギリに回避したが、いかんせん狭過ぎるこの洞窟で、ぽよぽよのオドちんママを避け切るのは不可避だ。

 もはや、これまでっ! と思ったその瞬間、ボクの鋭い牙が、オドちんママのぽよぽよお腹に突き刺さってしまった。

 

 ブシューーっ!

 

 辺りは突風が吹き荒れ、オドちんママの膨らんでいたお腹は見事に縮んでいった。

 あれって……脂肪じゃなかったんだー。

 一段とスリムになったじゃない。

 

 一瞬でダイエットに成功したオドちんママは、ボクへの怒りがまだ収まらない様子だ。

 ジャギンっと音を立てて体中に氷を(まと)い、体をくの字に曲げて、何かとんでもない攻撃のタメに入ったように見えた。

 

 これまでのボクの歴戦練磨の戦いの感が、危険信号を発信した。

 オドちんママがスリム体型になったおかげで、洞窟の空間は大きく空いている。

 そこを走って、反対側の出口へ一気に駆け抜けるしかない。

 

 終始オドオドしているオドちんに、ボクは声をかけた。

 

「とりま、君も一緒に逃げるんだっ!」

 

 ボクは、小さなオドちんの尻尾を軽く咥えると、一気に猪突スピードで洞窟を駆け抜けた。

 

「え? ……え? ……ママ、あの……ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

 洞窟を出るまでの間、オドちんはずっとママに謝り続けていた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

【第25歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 鬼母から花嫁をかっさらってきた気分のボクは、隣にある洞窟にたどり着いた。

 

「あの……ごめんなさい。家庭のごたごたに巻き込んでしまって……本当にごめんなさい」

「いいんだよ。ボクは、間違ったことをしてないつもりさっ! だからオドちんも、もう親離れして自由に生きるといいよ」

 

「……ごめんなさい」

「だ~か~らぁ~、もう謝るの禁止なっ! 今度謝ったら、罰金として特選キノコなw」

 

「ごめんなさい……あ……」

 

 絶対にまた言うと思っていたボクは、予想通りのセリフに吹いた。

 それに釣られたオドちんも、クスクスと初めて笑顔を見せてくれた。

 そう、女の子は笑っているのが一番さ。

 

 しかしながら、約束通り、罰金キノコはきっちりと貰い受けるっ!ww

 

「あ、何かお礼がしたいんですけど……」

「それじゃ、罰金キノコ×1個もらうまで、この辺を案内してくれると助かるかな」

 

「……ごめ……あ、この氷海にはキノコは……ないんです」

 

 ぬわんだとぉぉぉぉーーっ!!

 キノコが……ない、だと?

 なんて寂れたフィールドなんだっ!

 

「あっそー。……んじゃ、なんか美味しい実か、種がいいかな」

「ちょうど隣のエリアに、力がみなぎると言われている種があります!」

 

 もしや、あの種かっ!?

 

「では、そこへ向かってレッツらんらんGoっ!」

 

 テッテレ~♪

 スクアギルが仲間になった!

 

 ボクらは、隣のエリアへ向かおうとした。

 

 その途中、ズサっ……ズササっ……と、何かが()いずるような音が頭上から聞こえた。

 見上げると、天井を這いずっていたのは、真っ赤なブヨブヨだった!

 

「あ、あれはフルフル亜種さんです! 目は見えないんですが……匂いで獲物を見付けると言われてます」

 

 知ってるさっ!

 確か、雪山では真っ白なブヨブヨを見たけど、真っ赤バージョンもいたとはっ!

 

 匂い、か。

 こんな時、チャラ猿だったらあちこちで放屁をかまして、赤ブヨの嗅覚を麻痺させるんだろうなw

 放屁がダメなら……やっつけだけど、お聖水でダイナミックマーキングかっ?

 

 否、この氷海に来てから、ボクはまだ何も食べてないし、ましてや、さっき青魚に汁を吸われたばかりで、ボクの体内に残された水分は、生命を維持するのにギリギリの分量だ。

 

 それに、こんな小さなオドちんが一緒じゃ、正直、戦いには足手まといだ。

 ここは……素直に逃げるか。

 逃げの戦法を考えていると、赤ブヨは天井から地面に降り立った。

 

「よしっ、逃げるぞ! オドちんっ!!」

「は、はい!」

 

 ボクらが隣のエリアに逃げようとした時、赤ブヨは頭を地面に伏せ、3方向に電気のブレスを吐出した。

 

 おわっ!

 なんという大技3WAYっ!!

 

 ボクは間一髪、そのうちの1WAYを避けた。

 しかしながら、オドちんは別の1WAYが、少しかすってしまったようだ。

 

「あ!」

「だ、大丈夫かいっ?」

 

 ボクは、親猫が子猫を咥えるように、またもやオドちんを咥えながら逃走を計った。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。