それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

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第26歩~第27歩

【第26歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 赤ブヨの攻撃で負傷したオドちんを咥えながら、なんとか無事に隣のエリアに逃げてきた。

 

「大丈夫かいっ? バチバチしてないかいっ?」

「……はい、ちょっとパチパチしてますけど……なんとか……大丈夫です」

 

 やはり、この子に戦闘はまだ早すぎるな。

 何の取り柄もないもんなw

 

「力の出る種がある場所に薬草が生えてるので……それでなんとかしのぎます」

 

 負傷したオドちんの案内で、ボクは力の種をむさぼり、オドちんは薬草をハミハミと食べた。

 

 体内のアドレナリンが増殖するのを感じたボクは、戻ってあの赤ブヨに一発お見舞いしたいぐらいの気持ちに駆られた。

 が、ここはオドちんの回復に専念しないといけない。

 我慢、我慢。

 

 そこへ、上空からバサバサと鋼色のモンスターが降り立ってきた。

 なんか、アイツ……見たことあるな。

 

「あ、クシャルダオラさんです!」

 

 そうそう、クシャクシャさんだっ。

 別名、オラオラさんとも言う(ただし、ソースはボク)。

 

 クシャクシャさんは、ボクらに気付くと、ギシャーっとお決まりの咆哮をかましてきた。

 そして、ボクらの上をホバリングしながら旋回している。

 

 と、その時、クシャクシャさんが(まと)っている黒い風の風圧で、ボクとオドちんは尻もちをついて、コロコロと転がってしまった。

 

 アイツ、完全にボクらをもてあそんでやがるっ!

 ……うっぷ。

 それにしても、あの風はヤバイっ!

 

 いくらボディバランスがあるボクでも、あれを受けたらコロコロと転がってしまうぞ。

 ましてや、オドちんなんて……あれ?

 オドちんは、その軽すぎる体ゆえ、遠くまでコロコロと転がっていた。

 

 まずは吹き飛ばされないよう、オドちんをどうにかしなくてはっ!

 ボクは、オドちんの元に駆け付けた。

 

「オドちんっ! 今からボクの言う通りにしてくれるかい?」

「え? あ、はい!」

 

「君は吹き飛ばされないように、ボクのたわわなおケツにガップリと噛み付くんだっ! 何があっても離してはいけないよっ!」

「……え?」

 

「いいかい? 間違っても、ボクの汁を吸ったらダメだぞっ! ボクの汁は内臓脂肪で脂っぽいから、万が一吸ってしまったら、胸やけどころかお腹を壊してしまうからねっ! だからボクの汁は絶対に吸ってはダメだぞっ! 何があっても吸ってはダメだっ! 大事なことだから3回言ったぞっ!!」

「……は、はい」

 

「あっ、できれば禿げているところを避けて、毛があるところを噛んでくだしあ。そのほうが痛みも少ないし」

「わ、わかりました!」

 

 おっほーーっ!

 オドちんは、ガップリとボクのおケツに噛み付いた。

 

 さぁて、どう料理してくれようかっ!

 ボクは、力の種でみなぎるこのパワーを活かし、クシャクシャにどんな奇策を挑むか、軍師のごとく思考をフル回転させた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

【第27歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 おケツにオドちんをぶら下げたまま、ボクは果敢にもクシャクシャさんに戦いを挑もうとしている。

 

 アイツが地上へ降りてきた時が、最大のチャダンスだっ!

 ボクは、クシャクシャさんが地上へ降り立つのをひたすら待った。

 

 さてと、時は満ちた!

 さぁ、全力でいくかっ!!

 ボクは、地上に降り立ったクシャクシャさんの、か細い前脚を目掛け、猛絶タッコゥをかました。

 

 と、その時、偶然にもクシャクシャさんが頭を下げたせいで、ボクとクシャクシャさんの頭がゴッツンコした。

 

 ガキンっ!

 

 いてててててっ、なんて石頭なんだっ!

 ボクの頭の回りには、ピヨピヨと小さなイャンクックの雛が羽ばたいている。

 

 そして、ボクのカラータイマーがピコンピコンと警告音を鳴らすと、ボクの中のみなパ(みなぎるパワー)が跡形もなく、どこかに消え失せてしまった。

 

 な……に?

 もしや、あの怪力の種の効果は、時間制限がある、のか?

 

 クシャクシャさんは、またもや空中に居場所を変えた。

 

 よしっ、次から本気を出すっ!

 ボクは、このエリアから脱出することにした。

 

「オドちん、もう離してもいいよ」

「(んぐっ)……は、はい」

 

 ボクのおケツから離れたオドちんの姿は、あの幼い風貌は微塵も感じられないほど、成長を遂げていた。

 

「……オド……ちん?」

「あ、……ごめ……(んぐっ)、吸うな吸うなって、吸えってことですよね?」

 

 ボクは、ガーグァ倶楽部ではないのですよ?

 いったいこの子は、どこからそんな小ネタを仕入れていたのかしら?

 

「あ、でも……美味しかったです(じゅるっ」

 

 そこは、素直に『ごめんなさい』だろっ!

 ったく、どういう教育……って、ボクかっ!?

 

「私、一度、母の元へ戻りますね」

「えっ? どうしてまた……」

 

「あんな母でも結構、寂しがり屋さんなんです」

 

 うぅぅっ、なんて親想いのいい子なんだろう。

 でも、あの鬼母の元に戻るなんて……。

 

「心配しないでくださいね。ちゃんとお別れの挨拶をしてから、親離れしようと思います」

「あ、それならボクも応援するよっ! オドちんなら、もう一匹で立派に生きていけるさっ」

 

「ありがとうございます」

 

 オドちんの顔は、この短時間で大人びた顔付きになっていた。

 否、変わったのは顔付きだけではない。

 身体も一回り大きくなったように見えた。

 

「あ、最後に一言いいですか?」

「なんだい? オドちん」

 

「その『オドちん』って呼ぶの止めてもらえます? 私、もうあの頃のオドオドした私とサヨナラしたので」

 

 なんとまぁ、しっかりしたお嬢さんだこと。

 

「うん、わかったよ、スクちん! 君はもう強い子だっ!」

「それじゃぁ、お元気で!」

 

「スクちんもねー、ママによろしくーっ!!」

 

 テッテレ~♪

 スクアギルと別れた!

 

 何はともあれ、あのスクちんが、この短時間で見事に成長してくれたことが、ボクは嬉しいよ。

 ……って、ボクの汁で成長したんじゃまいかっ!!

 

 あー、何か早く食べないと貧血でぶっ倒れてしまう。

 ボクは食べ物を求めて、この凍土にお別れをした。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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