【第3歩】
ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。
クン玉との一時の
「さぁー、頑張って王子様を探すわよぉーっ!」
ケル嬢の瞳は、赤く血走っている。
ギラギラとしたその目は、まさに獲物を探す捕食者のようだ。
メンタル面ではやや難ありだが、あれですか? キレたら怖い系ですか?
なんて恐ろしい子!
ブーーーン。
キチキチキチ……。
上空から、なんだか嫌な悪寒のする音が聞こえてきた。
空を見上げると、そこにはとてつもない大きさの虫が羽ばたいていた。
「あっ! あれはアルセルタスっていう徹甲虫よぉーっ! お尻からイケナイ汁を噴射してくるから、気を付けてぇー!」
え?
ええっ?
イケナイ汁って……??
すると、突然、低空飛行をしてきて、ボクらの頭上をかすめ飛んでいきやがった。
どうやら、ボクらをからかっているようだ。
くっそ、たかが虫の分際で!
アルアルはホバリングしながら、ボクらを目掛けてお腹をブルブルと振るわせている。
次の瞬間、アルアルはイケナイ汁を噴射してきた。
くっそ、空中ダイナミックマーキングかっ!?
ボクらは、ケルビ&ファンゴステッポで、軽やかにその汁攻撃を避けた。
なめくさりおって。
しかしながら、相手はボクが一番苦手とする空中戦を仕掛けてくる。
どうにかうまいこと、地上戦に持っていけないかな?
ピッキーーンっ!!
ボクは、ある作戦を思い付くと、ケル嬢に耳打ちをした。
「あなたって……やればできる子なのねぇー」
よし、これで勝つるっ!
ボクは、ホバリング中のアルアルの真下を目掛けて、ソフト突進をかました。
もう少しでアルアルの真下というところで、つまづいたボクは華麗に転んだ。
「イテテテテテっ!」
その隙を狙って、アルアルはモゴモゴしているボクを目掛けて降り立ってきた。
「ニヨっ)今だっ!」
その合図で、ケル嬢は素早くアルアルへ近付き、後ろ向きになると、その後ろ足でアルアルを勢いよく蹴とばした。
「えーーーいぃっ!!」
ケル嬢のか細くも力強い一蹴りが、アルアルの腹の柔らかいところに命中した。
背後からの奇襲により、アルアルはヨロヨロとよろめきながら、どこかに飛び去っていった。
「やったな! 名付けて『転んだフリ作戦α』が功を成したぞっ!!」
ボクって、まさしく天才のそれに近いなww
「やだぁー、
ケル嬢は、その辺の草むらで力強く地団駄を踏むように、蹄についた汁を落としている。
確かにあれで蹴られたら、昇天しそうな勢いだなw
アルアル、南無さんww
ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。
【第4歩】
ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。
ボクの考えた最強の作戦により、アルアルを撃破したボクらは、ツタが網状になって下を見下ろせるエリアにやってきた。
なんだ、ここはっ?
「ここ、網網だから足を踏み外さないようにねぇー」
ケル嬢は慣れた足付きで、軽々とそのアミアミの上を歩いている。
ボクだって、これくらいなんてことないさ。
……ズボっ。
……ズボボっ。
おいっ!
めっさ歩きにくいぞ、これ!?
すると、少し離れた場所のアミアミに、オレンジ色の小さい何かが見えた。
なんだ、アレ……?
不慣れな足付きで近付いていると、それはオレンジ色の猿の手だった。
猿は、アミアミにぶら下がりながら眠っている。
「あっ、ケチャワチャだわぁー。何もしなければ大丈夫よぉー」
へぇー、ケチャ猿か。
……ズボっ。
ボクがアミアミを踏み外した振動で、眠れるケチャ猿が目を覚ましてしまった。
あぁ、起こしてしまったかい?
サーセンw
驚いたケチャ猿は、大きく空いた穴からムササビのようにアミアミの上に飛んできた。
うほっ!?
ムチャワチャかっ!?
……ズボっ。
……くっそww
ムチャワチャは、ボクがこのアミアミを歩くのが下手だと分かると、わざとこのアミアミを揺らし、ボクのバランスを崩そうとした。
網が激しく揺れるせいで、ボクは仰向けの状態に転ぶと、まるでゴムまりのように、ポーンポーンと宙に弾け飛んだ。
おいっ……(ポーン)やめろっ……(ポーン)……。
こ、こいつ……。
「ちょっとぉー!」
お、やっとケル嬢のお助けがきたか。
そのとてつもなく堅い蹄で、キャツを蹴とばしておやりなさいっ!
「ちょっとぉー、何遊んでんのよぉー! ところで、ケチャワチャぁー、この辺で私の王子様見掛けなかったぁー?」
えーと、叱られたのは……ボクれすか?
「王子様って、どんな王子様?」
「うんとぉー、カッコよくってぇー、優しくてぇー、私だけを見ていてくれる王子様よぉー♪」
「その王子様かどうか分かんないけど、あっちに何頭かいたよ?」
「ほんとぉー? ありがとぉーっ♪」
どうやら話は付いたようだ。
おかげで、ボクの揺れも止まった。
……うっぷ、ボクの臓物がまだグルグル回ってる希ガス……。
「さぁ、張り切ってあっちのエリアに行くわよぉーっ!」
ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。