それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

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スピンオファンゴ君[リノッチ編]~[ファンゴママ編]

【スピンオファンゴ君[リノッチ編]】

 

 リノッチは、天空山で4次元マンションを多用しながらファンゴを探しているうちに、いつのまにか別のフィールドにたどり着いていた。

 

「ま、マズイな。シュールに道に迷ってしまったぞ」

 

 完全な迷子と化したリノッチは、単独で探索することにした。

 

 どうやら、ここは一本道のようだ。

 平原のような景色だったり、突出した細い岩柱が沢山あったり、狭い通路だったりと、未知のエリアに足を踏み入れるごとに、その景観は違っていた。

 

 すると、上空から大きな鳥のようなモンスターが舞い降りてきた。

 

「なっ、なんだ? あのデカい耳とクチバシは!? シュール過ぎるぜっ!」

 

 それは、リノッチが初めて目にするイャンクック亜種だった。

 幸い、こちらに危害を加えそうな雰囲気は感じられず、イャンクック亜種は地面を掘り返しては虫を捕食するのに夢中だった。

 

「今のうちに、そっと通り過ぎるのがシュールだな」

 

 リノッチは、イャンクック亜種を刺激しないよう、次のエリアに進んだ。

 

 と、そこに入った途端、目の前に青と白の縞模様で、馬のようなモンスターが凛とたたずんでいた。

 

「なんだっ、アイツ!? なんか、シュールにカッコイイな」

 

 それもまた、リノッチが初めて目にするモンスター、キリン亜種だった。

 

 キリン亜種もまた、こちらに危害を加えそうな気配は感じられず、優雅にエリア内を闊歩している。

 

「なんかこの辺のモンスターって、穏やかでシュールなヤツが多いのな」

 

 リノッチは少し安心しながら、さらに次のエリアを目指した。

 

 隣のエリアに入ると、これまでの長旅の疲れが一気に湧き出てきた。

 どこか休める場所はないかと探したリノッチは、淡いピンク色の結晶の塊のようなものの近くに、ドスっと腰を下ろした。

 

「あ~、シュールな疲労でクタクタだ」

 

 リノッチは、結晶の塊へ背中を預けた。

 すると、結晶の塊だと思っていたモノが、ズズズっとその正体を現した。

 

「おわっ! な、なんだ、なんだっ!?」

 

 それは岩の塊のようなモンスターで、背中や体のあちこちにピンクの結晶を付けたバサルモス亜種だった。

 

「やぁ、こんにちわ」

「えっ?」

 

 バサルモス亜種に声を掛けられたリノッチは、一瞬、戸惑ってしまった。

 

「あ、あぁ、こんちわっ! えーと、君は……」

「僕は、バサルモス亜種だよ」

 

「あ、あぁ、バサルモス亜種か。えーと、天空山ってどっちに行ったら、シュールにたどり着けるか知ってっか?」

 

 バサルモス亜種は、う~ん、う~んと、頭を左右へ捻って考えている。

 

「僕、生まれも育ちもこの未知の樹海だから、天空山ってところは知らないんだ」

「へ、へぇー。ここって未知の樹海っていうんだ」

 

「ここはね、一度迷い込んだら二度と出られない不思議な場所らしいんだ」

「は? なんだよ、二度と出られないって!?」

 

「でも話によると、入るたびに地形が変わるらしいんだ。僕は地形が変わってるなんて、全然感じないんだけどね」

「なんだよ、それ!? まるでシュールな迷宮じゃねぇか!」

 

 リノッチは、急に不安になった。

 

「でも、ハンター達は、なんらかの手段でここを行き来してるみたいだから、この隣の行き止まりのところにいる人間のお爺さんに聞いたら、出られるかもしれないよ?」

「げっ、ジジィハンターかっ! 歳老いてもなおシュールだな」

 

「ハンターじゃなくて、ハンター達をお迎えに来てるみたいだよ」

「う~ん、でもあまり人間とは関わり合いたくないしな。……って、その前に、俺が人間とシュールに話が通じるワケないだろっ!」

 

「ここに来る途中、アイルーがいなかったかい? アイルーなら通訳してくれると思うよ」

「あ、あぁ、確かに、ここに来る途中でポツンと寂しそうにしていたアイルーがいたな」

 

 また戻るのかと思ったリノッチは、疲労を癒す間もないことに、肩を落としていた。

 

「とりあえず分かったよ。アイルーを探しに行ってみるよ。ありがとう!」

 

 リノッチは、アイルーがいた場所に戻ると、ことの経緯を説明した。

 快く通訳を引き受けてくれたアイルーと一緒に、行き止まりのお爺さんがいる場所にやってきた。

 

「お爺さん、お爺さん、このリノプロスが可哀相な迷子になったみたいだから、地底火山でも氷海でも、どこでもいいから送ってって欲しいニャ」

 

 アイルーがお願いすると、お爺さんは微笑んで快く承諾してくれたようだった。

 

「おいっ、ちゃんと説明したんだろうな? 目的地はシュールな天空山だぞ?」

「ニャー。ちゃんと説明したニャー」

 

「そうか。ありがとうな」

 

 リノッチは、馬車へ乗せられると、通訳してくれたアイルーへ手を振った。

 

「よし、これでやっと天空山に戻れっぞ! ファンゴ、俺がたどり着くまでシュールに待ってろよっ!!」

 

 リノッチを乗せた馬車は、地底火山に向かっていた。

 

 

【スピンオファンゴ君[ファンゴママ編]】

 

 これは、ファンゴ君の妹が旅に出る少し前のお話し。

 

「ねぇねぇ、お母さん。前から気になってたんだけど、お兄ちゃんのあの青いスカーフって、お父さんから貰ったものなの? 私は何にも貰ってないのに……」

「えっ? アレは……お父さんのじゃないのよ」

 

「えぇっ? そうなの? お兄ちゃん、アレお父さんから貰ったと思ってるよぉ?」

「えっ? そうなの? あら、どうしましょう」

 

 母娘の間で、しばらくの沈黙が続いた。

 

「それじゃ誰から貰ったの?」

「それはね、お母さんがまだお父さんと知り合う前に、お付き合いしていた方なのよ」

 

「えーっ? 元彼ってこと?」

「そうよ。とてもハンサムで、人気もあったんだけど……喧嘩にはめっぽう弱くてね」

 

 母は思い出しながら、はにかむように苦笑いをした。

 

「それで、喧嘩に強くなりますようにって、お母さんが付けていたスカーフをプレゼントしたのよ」

「で? 強くなったの?」

 

「(くすくす)ぜ~んぜんっ!」

「ダメじゃん、そいつ!」

 

「でもね、正義感が強くて優しいところもあるのよ。優しいくせに喧嘩がモン一倍弱いから、お母さんを取り合いしてほかの雄と喧嘩になった時、お母さんが彼の代わりに戦ったものよ」

「なにそれ、カッコワル。……ってお母さん、そんなに強かったの?」

 

 その辺の雄どもにも負けず、連戦連勝の日々を母は思い出していた。

 

「ふふっ。でもね、ある日、いつものように代打でお母さんが喧嘩していた時、初めてお母さんが負けたことがあったの」

「もしかして、それってお父さん?」

 

 母は、恥ずかしそうに照れ笑いをしている。

 

「そう。初めて負けた悔しさも勿論あったけど、それよりもめちゃめちゃ強いお父さんに、一目で恋をしてしまったのよ」

「で、乗り換えたってワケね。お母さんもやるじゃない」

 

 父は誰よりも強く、喧嘩では負け知らずの密林では唯一無二の存在だった。

 

「お父さんはね、攻撃力が強いのはもちろん、なんといっても独特の観察眼を持ってるのよ」

「観察眼? ナニソレ??」

 

「相手の弱点や、次の一手を予測したりして、攻略方法を瞬時に確立するのがお父さんの一番すごいところよ。もちろん、相手が瀕死状態になる瞬間も見逃さないわ」

 

 母は、自慢げに父のことを語った。

 

「お父さんって、すごいのね! そういえば、お父さんって今どこにいるの? 一度も会ったことないけど……」

「お父さんはね、『俺は究極のドスファンゴになるっ!』って言って、修行の旅に出てるのよ(くすくす)」

 

「さすが、親子ね。誰かさんとそっくりだわ」

 

 しかしながら、あの負けず嫌いの性格は母譲りか……と、密かに妹ファンゴは思っていた。

 

 【それいけ!ファンゴ君 シーズン4(完)】

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