【第5歩】
ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。
王子様がいると思われるエリアにやってきたボクらは、数匹のケルビが戯れているのを発見した。
「なーんだぁー、ギャルばっかじゃぁーん」
そこにいたケルビ達は皆、雌ばかりだった。
と、そこへ一頭の雄ケルビが姿を現した。
「あっ、王子様かもぉー! ちょっとファンゴ君、和気あいあい的に私とおしゃべりしてる様子をあの王子様へ見せつけるわよぉー! フレンドリィな感じでねぇー」
はたしてソレは……意味のあることなのでせうか?
ボクは仕方なく、普段言わないギャグ話をしてケル嬢をケラケラと笑わせ、フレンドリィな感じをモンデミー賞主演男優賞さながらの演技力で演じてみせた。
すると、ボクらに気付いた雄ケルビが、こちらを見ている。
まさかのケル嬢企画が、通ったのか!?
次の瞬間、雄ケルビは「プっ」と吹き出して笑い、
なんだ、アイツ?
ヤな感じのケルビだな。
「ちょっとぉー! 笑われちゃったじゃなぁーいっ! アンタのせーよぉっ!」
え?
雄ケルビに笑われたケル嬢は、怒りの矛先をボクへ向けた。
元々、ケル嬢が言いだした無駄な小芝居のせいだろっ!
「もぉーっ! どーしてくれんのぉ? せっかく理想の王子様と巡り合えたのに、アンタのせいでぇー台無しじゃなぁーいっ! アンタが自分といればカジュアリストに見えるから、きっと王子様から声を掛けてくるだろぉーって言ったんでしょぉー!? 責任取ってよぉー! せ・き・に・んっ!!」
むろん、ボクはそんなことは一言も言っていない。
ボクの怒りは有頂天に達した。
総統閣下もケル嬢にお怒りのようです。
「は? 君はアレか? バカかっ? 最初にボクを連れまわそうとしたのはソッチだろっ! ksgっ! そもそも君は特別にカワイイわけではないぞ! その辺のケルビと同じくらいカワイイってだけだっ! それに雄どもから声をかけてもらえないだとっ!? それは、君がメン○ラオーラを辺り10km四方に飛ばしてるからだろ! bkgっ! 普通のケルビらしく振舞っていれば、普通にカワイイんだからアッチから声掛けてくるだろフツーっ! まずはそのバカっぽいしゃべり方を直せ、すべてはそれからだっ! あとな、そんなにモテたいんだったら、君が変わらないとこの先も今までと何にも変わらないぞっ! はいっ論破っ!!」
ふーっ、スッキリしたw
……あ、ちょっと言い過ぎたかな?
「アンタってぇー……何にも考えてないようでぇー、私のことをそこまで真剣に考えてくれてのねぇー」
そっちの方向で受け取ったかw
なんともめでたいオツムをしておるのぅ。
きっと、君のオツムの中は年中、お花がいっぱい咲いているんだろうなww
「私、頑張るねぇー……じゃなかった、頑張るねっ! 今までありがと。じゃぁねっ!!」
何はともあれ、改心したケル嬢は軽やかケルビステッポで、その場を去っていった。
(ふふっ、そっか、私ってやっぱりカワイイんだ♪ もっと自信持とうっと♪♪ らんらん♪♪♪)
テッテレ~♪
ケルビと別れた!
とりま、ケル嬢のおかげでこの遺跡平原もほぼ制覇したな。
それじゃ、次の未知なる地へと向かうとするか。
ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。
【第6歩】
ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。
遺跡平原を出発したボクは、まるで地底に続くような洞窟にやってきた。
ここを進むには下へ落ちる……しかないのか?
目をつぶったボクは、息を止めて奈落の底にダイブした。
ドシンっ!
イテテテっ!
おぅふっ、
あれ?
ふと周りを見ると、遺跡平原で出会ったクン玉があちらこちらにいた。
こんなところにもいるんだな、こいつらw
ボクは尾てい骨の痛みも忘れ、抑えきれない衝動でクン玉の1匹を突っついた。
カキーンっ!
ボクの一突きで、堅い玉状となったクン玉はコロコロと遠くへ転がっていく。
キキィーっ!
Uターンをしたクン玉は、再びコロコロとこちらに戻ってくると、ボクの目の前で元の姿に戻った。
「チュウーっ! そういうイタズラはしないで欲しいでチュウ! プンカプンカ!」
「ははっ、ごめんよ。その……つい、ねっ♪」
「……君、見たことないモンスターでチュウね?」
「ボクはファンゴ、よろっ!」
「オイラ、クンチュウでチュウ」
チューチューと、こいつはネズミーランド出身なのか?
「オイラ、これでも傭兵クンチュウを目指してるでチュウよ。危険な旅のオトモに、絶対防御のクンチュウがあなたの盾となってお守りするでチュウ。今なら特別キャンペーンで大変お求めやすくなっておりますでチュウ」
コイツ……営業慣れしてやがるw
「お安くって、どれくらいなんだい?」
「ご新規さんだと……1日100ゼニーってところでチュウ」
「金かよっ!? お金なんて持ってないよ!」
「ちっ……しょうがないでチュウね。ならば、精算アイテムの物納でもいいでチュウよ。たとえば化石骨、黄金魚、ガマの大粒ナミダ、厳選キノコ……」
げ、厳選キノコっ!?
あとでお腹が空いた時に食べようと、1個だけスカーフの中へ隠してあるけど……。
厳選キノコの出費を大きいとみるか、小さいとみるか。
「じゃ、じゃぁ、この厳選キノコでオナシャンス」
ヨダレを飲んで放出した厳選キノコを、チュー助はマジマジと鑑定している。
「うーん、ちょっと傷が付いてるでチュウ。これなら……半日ってところでチュウね」
なん……だとっ!?
特選じゃないぞ!
厳選だぞ!
レアもんだぞっ!?
こいつ、ボクの短い足元を見やがって……。
「イヤならいんでチュウよ。ただ、この地底洞窟には、危険極まりない輩がワンサカといるでチュウ。無傷で旅を終えたいなら、盾はあって損はないと思うんでチュウよ」
くっそ、この商売魂の塊めっ!
しかしながら、チュー助の言うことも一理あるな。
未知なる危険な敵に、保険をかけるつもりで厳選キノコを放出しても損はないかもしれまい。
「分かったよ、厳選キノコを出しますよっと」
「ちり~ん。契約完了でチュウ! 毎度ありがとうござい~でチュウ」
テッテレ~♪
クンチュウが仲間になった!
「ところで、お金を貯めてどうするんだい?」
「よくぞ聞いてくださったでチュウ! お金を貯めて、ゆくゆくはクンチュウギルドを設立しようと考えてるでチュウよ。そこで防御特化の傭兵を派遣して、オイラはその総元締めになるでチュウっ!」
「へー(棒」
ボクにとっては、わりとどうでもいい話だったな。
まぁ、でも夢とか目標があるっていうのはボクも禿同。
「総元締めになったら、傭兵どもにガンガン稼いでもらって、楽して余生を過ごせるでチュウ。ウっシっシ」
こいつ、銭ゲバかっ!?
ともあれ、今はボクの盾となって、ガンガン働いてもらおうではないかっ!
最恐モンスターどもの牙をも止めるウォール・チュー助。
ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。