それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

5 / 21
第9歩~第10歩

【第9歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 ネルス卿の卑劣な交渉に、チュー助の心が揺らいでる今、ボクは……もう何も言うまいと腹をくくった。

 万が一、チュー助がネルス卿側へ寝返ったとしても、ボクは君を責めたりしない。

 君が決断した選択肢を、ボクは甘んじて受け入れるよ。

 

「ぐぬぬぬっ……」

 

 チュー助は力んでいるのか、小さな身体をプルプルと振るわせている。

 さぁ、ジャッジメントのお時間ですのっ!

 

「……ぐぬぬっ! お客様は……神様でチュウーーーっ!! 一度失った信用は、二度と取り戻せないでチュウ!! オイラは、このファンゴの信用を一度裏切ってしまったから、倍以上の働きをしないとチャラにならないでチュウーーーーっ!!!」

 

 金色の小さな身体から、まばゆい金色の後光が輝きだした。

 やだ、なにこれ……かっこいい!

 覚醒、したのかっ!?

 コイツ、ニュータイプだったのかっ!

 

「ほぉ、こけだけの好条件を反故(ほご)にするとは。では、私の敵と見なしてもいい、ということだな?」

 

 カチカチっと、ネルス卿は顎を鳴らしている。

 

「オイラが君に合わせて動くでチュウ。イザという時、盾になるでチュウよ!」

「今度は、さっきのヤツなしだぞっ!」

 

「本能に飲み込まれないよう、理性をガッチリゴッチリ保つでチュウっ!!」

 

 途端に、チュー助が頼もしく見えた。

 

 このネルス卿めっ!

 こんな小っちゃいチュー助をここまで追い込むとは!

 それでは、命にかかわるタッコゥーをかましますよ?

 

 ボクらは、戦闘態勢に入った。

 さあ、狩りの時間だっ!

 

 すると、ネルス卿はトリッキーな動きで軌道を変えながら、ボクらの背後へ一気に近づいた。

 

 ……っ!?

 速いっ、速すぐるっ!

 なんだ、この動きはっ?

 

 速すぎるその動きに、ボクはネルス卿を捉えるどころか、避けるので精一杯だった。

 

「アイツにも必ず隙はあるハズでチュウ。それを見逃さないでチュウっ!」

「がってんっ!!」

 

 ネルス卿も、なかなか捕らえられないボクらに業を煮やしたのか、素早い動きを止め、前脚でカシャカシャと繭のような物を作り始めた。

 

「今でチュウよっ!」

 

 ボクは、ネルス卿が動きを止めている隙に、真ん中の脚を目掛けて、パーフェクトタッコゥをかました。

 

 前脚で繭を作り、実質4本脚で立っていたネルス卿は、少しだけバランスを崩した。

 ボクの観察眼が、その隙を見逃すはずもない。

 

 ネルス卿の腹下へ素早く潜り、腹の内側の柔らかい場所を目掛けて、ボクのハイパー鋭い牙をプッ刺そうとしたその時、ネルス卿はすかさず腹部に隠していた睡眠針を出そうとした。

 

 視界に針が迫ってくるのが、スローモーションのように映った。

 ま、マズイっ!

 

 しかしながら、勢いに乗っているボクの四肢は、自分でも止められない。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く?

 

 

【第10歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 目の前に迫るネルス卿の針に、ボクの脚はもう止まらないっ!

 

 と、その時!

 カッキーン!

 

 あれ?

 前が見えないぞ!

 どーなってるんだ!?

 

 チュー助が、盾となってボクの顔面に張り付いていた。

 盾となったチュー助の堅い殻に当たったネルス卿の針は、音を立てて折れたようだ。

 そのおかげで、ボクのハイパー鋭い牙は、ネルス卿の腹へ見事に命中した。

 やるじゃない、チュー助。

 

 ぐぬぬっ……息が……gっ……!

 おい、早く剥がれろっ! ksgっ!!

 

 急所を貫かれたネルス卿も、ぐぬぬと嗚咽を上げながら、どこかへ去っていった。

 

「やったでチュウね!」

「君のおかげで助かったよ、トンクスなっ!」

 

 やればできる子なんだよ、君ってヤツは。

 

「いやいや、ファンゴの一撃が効いたでチュウよ」

 

 まぁ、ボクは本気だったんで。

 

「えーと、これで戦闘回数が2回でチュウね。戦闘料金はオプション(有料)でチュウから、追加料金が1回に付き300ゼニーで、2回で……900ゼニー。今回は特別に、後払いで結構でチュウから」

 

 チュー助のブレない計算は、デフォだった。

 

「ん? ちょっと待てよ、2回ってなんだよっ? テツオさんの時は、君がテツオさんにくっ付いてたじゃまいかっ!? だから、戦闘回数は1回だぞ? 戦闘回数は1回、なっ。1回だぞ? とても大事なことだから、3回言いましたっ!」

「しょうがないでチュウね。それでは1回で500ゼニーでチュウ。2回以上だと割引制度があったでチュウよ」

 

 コイツの銭ゲバ度は、本物だった。

 ってか、オプション(有料)ってなんだよっ!?

 聞いてないぞっ!!

 

 まったく、君ってヤツは本当、そういうとこあるよね。

 

「そういや、今時点でお金はいくら貯まってるんだい?」

「うーん、貯蓄額としては正直かなり良い状況でチュウね」

 

「へー、そーなんだー」

 

 しかしながら、ギルドを建てるっていっても協力してくれるモンスターが果たしてお金を受け取るのだろうか?

 ま、チュー助のことだから、その辺はうまくやるんだろうな。

 

 ボクらの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。