それいけ!ファンゴ君 シーズン4   作:JUBIA

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第16歩~第17歩

【第16歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 ゲネりんの猛攻でガラガラを撃退したあと、なぜか謎の病が完治したゲネりんと、ボクは次のエリアを目指した。

 

 おっ!

 お魚ちゃんっ!

 

 行く手を(はば)む高い崖の手前で、数匹のいろいろな魚が泳いでいる場所を見付けた。

 

「魚食いたいのか? 捕ってやろうか?」

「いや、ボクは生魚はちょっと……ってか、見てるとなんだか落ち着くよね。癒されるというか、いわゆるアクアリウム効果ってヤツだよね」

 

「そうか。ま、無駄な殺生をすると、生態系が崩れるしな。これ常識」

 

 しばらくの間、ボクらは悠々と泳いでいる魚達を眺めていた。

 

 ドサッ!

 

 背後から、何かが降り立った音が聞こえた。

 振り返ると、そこにはシャカシャカによく似た黒っぽいモンスターが、ギシャーっと鋭い牙を露わにしている。

 

「まずい! ティガレックス亜種だ!!」

 

 亜種?

 どうりで……シャカシャカ2号かっ!

 

「アイツは非常にマズイ! ここは逃げるのが常識だ!!」

「えーっ? さっきのハイパー破壊神タイムになれば、コテンパンにできるんじゃまいか?(ホジホジー」

 

「いや、今はあんな状態になれる感じは、まったくしないんだ」

 

 なんだとおぉっ!?

 それじゃぁ、本気でマズイ状況じゃまいかっ!

 

 そうこうしているうちにシャカ2は、まさにシャカシャカとこちらに向かって突進してきた。

 ボクらは間一髪、ヤツの突進を避けたが、アイツは確か……そう、とてもしつこく追いかけまわしてくるタイプだ。

 

 かといって、ここには隠れられそうな場所はどこにもない。

 も、もちつけ、ボクっ!

 

「ここは二手に分かれて、隣のエリアで落ち合おう」

「おk。……って、ボクはどっちに行けば?」

 

「君は一度さっきの場所まで戻って、右側沿いに次のエリアを目指してくれるかい? 僕は別の方角からそのエリアに向かうからさ!」

「らじゃあっ!」

 

 ゲネりん、無事に逃げ切れるかな?

 足の早さなら、ボクのほうが速いと思うけど……って、おいっ!?

 

 ゲネりんは、すぐそこにある隣のエリアに通じる場所へ姿を消した。

 近っ!!

 ボクが目指すはずのエリア境界線まで、あの3倍の距離はあるぞっ?

 

 くっそ、ゲネりんめっ!

 ハメおったな?!

 この湧きたつ憤りをスピードに乗せ、ボクは超三倍速走行モードで、悔し涙と鼻汁を辺りへ巻き散らしながら、湿地帯を駆け抜けた。

 

 二匹それぞれ違う方向へ走って行くのを、シャカ2はどちらを追い掛けるべきか、少し迷っていたようだ。

 このわずかの時間が、後にシャカ2にとっての誤算となった。

 

 シャカ2は、ボクより足の遅そうなゲネりんへ狙いを定めた。

 しかしながら、ひょろっとしてマズそうな肉食ゲネりんよりも、ボクのほうがプリプリと美味しそうな後ろ姿をしている。

 ボクに狙いを変更したシャカ2は、ボクのほうへシャシャカ突進をしてきた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

【第17歩】

 

 ボクは、究極のドスファンゴになるのを夢見て、旅をしている。

 

 二手に分かれ、シャカ2を回避しようとした結果、ボクがオトリになってしまった。

 いくらボクの足が早いとはいえ、シャカ2とは歩幅が違う。

 絶対に止まってはいけない湿地帯!

 

 ボクは、がむしゃらにバシャバシャと水音を立てながら、湿地帯を駆け抜けた。

 

 あと少しというところで、ボクはシャカ2に追い付かれるよりも先に、エリチェンできた。

 もしも、シャカ2が最初から迷うことなくボクを狙っていたら、今頃ボクは、あの鋭い牙の餌食になっていたかもしれまい。

 

 はぁはぁ……ぐじょぅ~っ!

 ゲネりんは、とんだ香具師だっ!

 合流したら、文句の一つくらい言ってやらないと、ボクの気がおさまらないぞ!

 

 ブツブツと呟きながら、ゲネりんの言っていた通りに道を進み、待ち合わせ場所のエリアに向かった。

 ようやくたどり着くと、待ちくたびれた様子のゲネりんがいた。

 

「やあ、やっと来たね」

 

 やあ!

 じゃねぇよ、bkgっ!!

 

「ゲネりん……もしかしてさ、ボクをオトリにしなかった?」

「オトリになんてするハズはないさ! だって、仲間だろ? 仲間をオトリに使うなんて、常識外れもいいところだよ!」

 

「いや……だって……ゲネりんが逃げた方向より、ボクのほうが三倍も距離があったし……」

「そうか。僕の考えた作戦は、君に誤解を生ませてしまったようだね」

 

 え?

 

「僕と君の足の速さを考えた時、断然、君のほうが速いのは事実だ。お互いの時速と逃げられる距離を計算した結果、あの方法がベストだったと今でも思っているよ。戦闘時は、いかにしてリスクを減らすか、いかにして生存率を高めるか、というのが定石だと思うんだ」

 

 ふむふむ、確かに。

 なんて最適解な戦略っ!

 そんなふうに考えていた時期が、ボクにもありました。

 それなのにゲネりんを疑ってしまって、ボクは恥ずかしいれす。

 

「ごめんよ、そうだよね。うん、まぁ、その作戦のおかげで、こうしてお互いに無事で合流できたんだもんねっ」

「そうさ! こう見えても実は僕って仲間思いなんだよ」

 

 仲間っ!

 ジィィーーンっ!!

 

「最近は、仲間と思える仲間がいなかったから、初めて仲間らしい仲間に巡り合えて、僕は今最高潮だよ」

 

 仲間、ナカマ、なかまっ♪

 なんて心地よい響きなのかしら。

 

 ボクのことを仲間と認めてくれたゲネりんは、素敵ngですの。

 肉食と草食の壁を越え、紡がれる禁断の絆!!

 

「……ん? なんか、あっちのほうから嫌な気配がするな」

 

 え?

 どっち?

 

「な、何っ? 何かいるのっ?」

「……前にもあったこの感じ。……いや、気のせいかな。でも、これは……」

 

 隣のエリアに目を向けたまま、ゲネりんの顔からは緊張が消えない。

 いったいそこに何がいるのか?

 その緊張は、ボクにも感染したようだ。

 

「い、行ってみようか?」

「もしも、アイツだったら……気を引き締めていかないと!」

 

 アイツ?

 そこに待ち受けているのは、いったいどんなモンスターなのか?

 ボクのハートは、好奇心と緊張で満たされていた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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