Fate/IdeateBliss‐Ib‐美術館聖杯戦争 作:放仮ご百物語
「…私はイヴ。アル……キャスターのサーヴァント、イヴ・ゲルテナ。あなたが私のマスター、だよね?」
「はえ…?」
槍の狂人女から助けてくれたのは、わたしの腰ほどもない小柄であどけない少女だった。絵の具で汚れたエプロンが微笑ましい。だけどこの子、今なにもないところから出てきたような…。
「キャスター?サーヴァント?マスター?な、なんのこと?」
「…やっぱり違うよね。ギャリーはギャリーだ」
「あれ、私、自分の名前言ったかしら…?」
「言ってたよ」
言った覚えはないのだけど……まあ、言わないとわからないわよね。どこかで言ったんでしょう多分。
「その右手に刻まれているのが令呪でマスターの証。私はギャリーのサーヴァント。簡単に言うと……使い魔、かな」
イヴに言われて右手の甲を見てみると、Ibと描かれている様な赤い三画の文様が。え、何時の間に!?
「使い魔って…そんな魔術師みたいな…いるわけないじゃない」
「魔術師は本当にいるんだよ。なんでも願いを叶えられる聖杯があって、マスターと呼ばれる七人の人間がサーヴァントを召喚して聖杯戦争って言う殺し合いをして手に入れようとしているの。ギャリーはそれに巻き込まれたみたい」
「じょ、冗談じゃないわ!?」
殺し合いに巻き込まれた。すぐ傍に転がっている見知らぬ男の死体や私を殺そうとしてきたあの女を思い出して身震いする。こんなことに巻き込まれるなんてごめんだ。
「大丈夫。ギャリーは私が守るから」
そう宣言するイヴの儚げながらも頼もしい言葉に、思わずどきっとなる。い、いやでも…。
「イヴみたいな子供に殺し合いさせるなんてそんなことさせるわけないじゃない」
「今度は私が守る。私はギャリーのサーヴァントだから」
「…何言っても聞いてくれなそうね。ところでゲルテナって…マイナーだけどたまに個展やってる芸術家と同じ名前ね?こんなあどけない少女だったのね…」
「あ、それは……うん、そうだね。とりあえず移動しよう」
そう言ってひょいっと軽く私を横抱きに抱えて持ち上げるイヴ。なんて力だ、ただの子供じゃない・・・これがサーヴァント?
「喋らないで、舌噛むよ」
「へ?あぁああああああああっ!?」
とか思っていたら、そのまま凄い勢いで跳躍して夜の街に飛び出すイヴ。思わず絶叫を上げてしまう私なのであった。
ギャリーとイヴがいる街の、警察署の屋上にて。胡坐をかいて座り月を見上げながら、趣味の悪い髑髏風の
「よう、沖田。仕事は終わったのか?」
「マスターを呼び捨てにしないでくださいアーチャー。それより、最後のマスターが現れたとは本当ですか?」
「ああ、マスター候補の魔術師を殺しているのを見物に来たら、ランサーめに喧嘩を売られたから買ってやったのじゃがな。その時目撃して逃げてた奴がそうらしい」
「…一般人なんですか?」
「そうらしいの。面白いサーヴァントを呼び寄せておった。ありゃ難敵じゃぞ。是非もないな!」
「笑ってる場合ですか…」
アーチャーと呼ばれた少女の笑い声に沖田と呼ばれた女性はげんなりする。それを見てカラカラと笑うアーチャーは髑髏の杯を掲げて月を見上げながら一思いに呷る。
「…ぷはぁ!まあ安心せい。天上天下唯我独尊、第六天魔王の織田信長がついているのじゃ。大船に乗ったつもりでおれ、沖田桜」
「そう願いますよ…」
同時刻、古びた教会の中にて。
「マスターが呼び戻さなければ殺せていたんですけどねえ」
「文句を言わないでくださいランサー。正体もわからぬサーヴァントに万が一不覚を取ったら死んでも死にきれません」
長椅子にだらけて座りぶーたれる白黒のコントラストが目立つ髪の女性をたしなめる金髪の少女。前者はギャリ―を襲った槍の女性だった。
「あははは!面白い冗談だ、マスター。まさかこの私が万が一にも負けるとお思いで?」
「…私が冗談を言うとでも?手痛い反撃をもらって、
そう睨む金髪の少女に、ランサーは肩を竦める。
「脅しも通じない真面目なところは好きですよ、アルトリア」
どこかで見た様なマスターたちと、サーヴァント参戦。とりあえず明かせるのはキャスター、アサシン、アーチャー、ランサーの四組。サーヴァントには共通点があったりします。
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