Fate/IdeateBliss‐Ib‐美術館聖杯戦争   作:放仮ご百物語

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どうも、放仮ごです。三枚当てることができたドラコーの三臨が好きすぎて辛い。その容姿でその性格はずるいて。楽しんでいただければ幸いです。


それは甘さか優しさか

「ギャリー。なんであんなことしたの?」

 

 

 自宅の壁が粉砕されてしまったので、とりあえず預金通帳や着替えや食料などを持てるだけ持って、近くの公園までやってきたアタシは正座で血塗れのイヴに怒られていた。無感情な表情をむすっとして人差し指を立てて怒ってる姿はちょっとかわいい。でもその血塗れの姿は心配になる。それどころじゃなかったから後回しにしていたけど、なんで痛がってないのだろうか。

 

 

「聞いてる?」

 

「いや、あの…その傷、大丈夫なの?」

 

「これ?」

 

 

 お腹の横一文字の傷から流れる血は止まってこそいるが、皮膚が裂かれて肉が見えてて痛々しい。ばんそうこう程度じゃどうしようも…って、んんん!?

 

 

「あれ、なんで血が流れてないの!?」

 

「これがダメージを肩代わりしてくれたからだよ」

 

 

 そう言ってイヴが取り出したのは一輪の血の様に真っ赤な薔薇だった。

 

 

「スキル【精神の具現化】。耐久の低い私の即死ダメージを心身ともに五回肩代わりしてくれるの。水に浸せば回数を回復できるよ」

 

 

 そう言って水飲み場に歩いて行って蛇口をひねって水を溢れさせて薔薇の茎を浸すと、花弁が一枚増えた。大事そうに胸ポケットにしまうイヴ。そのまま腹部の傷に手を触れると、服ごと傷が元々無かったかの様に塞がった。

 

 

「それにこの傷も、ほら」

 

「治った…」

 

「私はサーヴァントだからこれぐらいの傷ならすぐ治るよ。…それよりも」

 

 

 アタシの襟元を掴んで引き寄せ、真顔でジッとアタシの顔を見てくるイヴ。明らかに不服です、と言う顔だった。行動がイケメンすぎない?

 

 

「殺しちゃ駄目だなんて貴重な令呪で命令して……これからどうするの?生き残らないと助からないんだよ?そのためには敵のサーヴァントを殺さないといけないのに……」

 

「まず待って。その、そういうことは言わない様にしない?」

 

「なんのこと?」

 

「いやだから、殺すとか言わないでほしいのよ…」

 

 

 その幼い容姿から殺すとか言われる方の気持ちにもなってほしい。この子にそう言うセリフは似合わない、そんなふうに無言で訴えると、イヴは襟元を放してくれてあたしは尻餅をつく。

 

 

「私はこんな見た目だけど子供じゃないよ。ギャリーに守られる子供じゃないの」

 

「中身がどうあろうと私にとって貴方は子供よ。そんなあなたが殺し合いするなんて…耐えられない。さっきのバーサーカーに斬られた時も張り裂けそうな気持ちになったのに…」

 

「…甘いよ、ギャリー。そんなに優しいからあの時も…」

 

「あの時?」

 

 

 なんのこと?と首をかしげるとイヴは慌てて口を塞いだ。珍しく動揺している。

 

 

「イヴ?」

 

「……なんでもない。それより私の事はキャスターと呼んで。私は大丈夫だけど、真名を隠すのは大事だよ」

 

「…キャスターってニュースキャスターみたいで嫌なのよね。イヴって呼ぶだけで貴方の正体までわからないと思うけど」

 

「それはそうだけど…言っちゃったものはしょうがないから敵を殺さないでギャリーを守ってみせる。でも拠点、どうしよう…」

 

「アタシの家、壊されちゃったからね…」

 

 

 アタシはともかく、イヴを野宿するわけにもいかない。一応預金通帳は持ってきたからいくつか下ろしてどこかホテルでも……いや、容姿が似つかない大人の男(アタシ)年端もいかない少女(イヴ)が一緒にホテルに泊まったら警察のお世話になることは確実ね。どうしよう。霊体化してもらう?でも万が一ばれたときが怖い。うんうん悩んでいると、人の気配を感じた。

 

 

「お困りの様だったら、助けになれるかもしれないよ?」

 

「!」

 

 

 するとそこに聞こえてきた妙に耳に残るいい声に、イヴがパレットナイフを手に振り返る。私も見てみると、公園の入り口にいたのは妙な形の黒服に身を包んだ金髪ロングヘアーのの男。言ってることといい胡散臭いにも程がある。すると誰もいなかったその横に、一人の少女が現れた。赤いワンピースを身に着けた、大きな帽子を被った銀髪の美少女だった。今の出現の仕方、サーヴァント!?ってことは…。

 

 

「殺し合いしているとかいう物騒な魔術師たちの一人…!」

 

「失礼な物言いだなあ。信頼を得るためにも名乗るとしよう。僕はアマデウス。アマデウス・アムドシアス。時計塔の魔術師さ。こっちは僕のサーヴァント、ライダーだ」

 

「ライダーよ。マスターさん、お嬢さん。よければ私とお茶会はいかがかしら?」

 

 

 敵意を感じない笑顔に、私とイヴは顔を見合わせる。男の方は信用できないけど、少女…ライダーの方は信用してもいい気がする。

 

 

「家が破壊されたんだろ?僕のアジトに案内しよう。なんなら泊まってもいい」

 

「…なんのつもり?」

 

「うちのサーヴァントは我がまま娘でね。言う事聞かないとめんどくさいのさ。それに、君達にも選択肢はないはずだよ」

 

「…わかった。妙な真似をしたら容赦しないから」

 

「まあ、よかったわ!さっそく行きましょう!」

 

 

 そう言ってライダーが手をかざすと、出現したのはガラスでできた馬と、どうも生きてるらしいその馬に引かれた馬車だった。…ライダー、つまり乗り物を武器にする英霊。こんなこともできるのね…

 

 

「さあさあ乗って?屋敷につくまで楽しくお話ししましょう!」

 

 

 そうにっこりと笑うライダーの笑みが印象に残った。




精神の具現化A:血の様に赤い一輪の薔薇。物理的精神的問わずにダメージを肩代わりしてくれる。全ての花弁が散ると無傷だろうがイヴ自身が死に至る。水に活けると回復するが、散るたびに血管のちぎれるような音がする不吉な代物。

アマデウスを名乗る魔術師とライダー参戦。バーサーカー襲撃の際に見ていた二人ですね。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。
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