Fate/IdeateBliss‐Ib‐美術館聖杯戦争   作:放仮ご百物語

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どうも、放仮ごです。アマデウスが書きやすいようで難しい。楽しんでいただければ幸いです。


それは提案か取引か

 擬態もできるのかライダーの運転で大胆にも街中を駆け抜けるガラスの馬車にイヴと共に乗ったアタシたちは、馬車の中でアマデウスと名乗った男と相対していた。

 

 

「マスターのギャリーに、キャスターのイヴであってるかい?」

 

「…なんで知ってるの?」

 

 

 いきなり真名を当てられたイヴがパレットナイフを抜いて向かいに座っているアマデウスの首に突きつける。

 

 

「なんで私達の名前を?名乗った覚えないのだけど?」

 

「会話を聞いていたのさ。…信頼を得たいから教えよう、僕は音楽魔術を使う。その影響で耳が良くてね。これに懲りたら外で無防備に会話しないことだ」

 

「…ギャリー」

 

「ごめんなさい」

 

 

 イヴに睨まれてイヴの隣の席で縮こまるしかない私。そんな私達を見てアマデウスは笑った。

 

 

「まあイヴって名前だけど旧約聖書の彼女じゃないだろうし、真名看破とまではいかなかったから安心してくれていいよ」

 

「それが私の強みだから。…ギャリー、お願いだから喋らないでね」

 

「善処するわ」

 

 

 まあゲルテナだなんて聞いてもピンとこないでしょうけど。未だにこのイヴがあのゲルテナと重ならないのよね…あの時計の天使の絵や薔薇の彫像とかはたしかにゲルテナを感じたけど。

 

 

「でも君、本当にキャスターかい?僕も外道とはいえ魔術師だ。君の戦い方には異質さを感じる。…実はキャスターじゃないんじゃないかい?」

 

「……」

 

 

 アマデウスの踏み込んだ問いかけに、無言でパレットナイフをしまうイヴ。しまいにはそっぽを向き始めた。なんて素直なのかしら。隠し事ができないタイプね。…って、アマデウスの言う通りキャスターじゃないってこと?え?するとそんな私達の様子を見たアマデウスが爆笑する。失礼しちゃうわね。

 

 

「アハハハハハハハハハ!面白いね君達は。すごくわかりやすいじゃないか!」

 

「もう、アマデウス?からかうのはそれぐらいにしなさい?」

 

「悪かったよライダー。誤解しないでくれ。僕たちは君達と争うつもりはない。むしろ、手を組みたいんだ」

 

 

 外で運転しているライダーに咎められて平謝りしてそんなことを言ってくるアマデウスに、私とイヴは顔を見合わせる。

 

 

「今、この聖杯戦争は二大サーヴァントが猛威を振るっているんだ。アーチャーとランサー……君がキャスターを召喚するきっかけになった争いをしていたサーヴァントたちさ」

 

「…ランサー」

 

 

 あの狂った様に笑いながら冷酷に殺そうとしてきたあの白黒の髪の女のことか。あの時戦っていた相手がアーチャーだったのだろうか。…まだあれから一夜も経ってないのが信じられない。

 

 

「覚えがあるみたいだね。あの二体は特に強力だ。お恥ずかしながら僕とライダーでは太刀打ちできなくてね。…ある理由で僕はライダーを死なせたくない。そこで、バーサーカーを撃退した君達と手を組みたいと言うわけさ。対価は住処でどうだい?」

 

「…私達からしたらありがたいけど……裏切らない保証は?」

 

「ないね。信じてもらうしかない」

 

 

 そう言って真剣な目で見つめてくるアマデウス。どうしたものかとイヴを見やると、イヴも悩んでいる様だった。

 

 

「イヴ?」

 

「…ライダーを死なせたくないと言う言葉は嘘じゃないと思う。それに、私だけじゃ多分、ランサーには勝てない。私もギャリーを死なせたくない。手を組むべき、だと思う。ギャリーは?」

 

「異論はないわ。イヴがそう言うならそうしましょう。アマデウス、アタシたちは手を組むわ。その代わりお願いがあるの」

 

「なんだい?僕にできる事なら善処しよう」

 

 

 そう言ってくれるアマデウスの興味深げな視線と、イヴの訝しげな視線を浴びながら私は一息吐いてから口を開く。

 

 

「アタシに魔術を教えて欲しいの。簡単なものでいいから」

 

「ギャリー!?」

 

「アタシはもう、イヴの足手まといになりたくないのよ」

 

 

 イヴの否定的な叫びに、そう訴える。バーサーカーに襲われて痛感した。アタシはイヴの足手まといでしかない。ブロック塀で反撃したけどまるで通用してなかった。このままイヴの邪魔になるのは嫌なのだ。

 

 

「トレビアン!素晴らしいわ!アマデウス、力になってあげて!私からもお願いするわ!」

 

 

 馬車が止まり、扉が開いて顔を出したライダーがそう笑顔で告げた。アマデウスは「やれやれ」と肩を竦めて頷いた。

 

 

「簡単な強化の魔術とかでよければ教えるよ。魔術回路は十分みたいだしね。同盟を結ぶ条件がそれならなおさらだ。うちのお姫様のお願いとあらば拒否権はないけどね。それで、ついたようだね」

 

「ええ。到着したわ。ここが私とアマデウスの居城よ。さあさあ、お入りになって!お茶会しましょう?」

 

 

 ガラスの馬車から降りると、けっこう立派な屋敷の前だった。アマデウスを傍に侍らせて輝く笑顔でそう言うライダーに、私とイヴは顔を見合わせ苦笑した。




イヴって聞くと最初に思い浮かぶのは旧約聖書のアダムの妻よね。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。
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