Fate/IdeateBliss‐Ib‐美術館聖杯戦争 作:放仮ご百物語
「さあいらっしゃいませ!自分の家の様に思ってゆっくりしてね!」
そう言って、屋敷に通されるアタシたち。入り口をくぐると広大なエントランスホールが広がっており、その中心でライダーがクルクル回る。アマデウスがそれを見て溜め息を吐いた。
「やれやれ。ライダー。君の家でもないだろうに」
「まあつれないわねアマデウス。私は貴方のサーヴァントよ?私のおうちでもあるんじゃないかしら」
「アマデウスもまんざらじゃない感じだけど?ねえイヴ」
「うん。アマデウス楽しそう」
そうイヴと共にからかってやると、心底不満げにムッとなるアマデウス。あ、弄っちゃ駄目なタイプねこれ。
「やめてくれたまえ。まあ好きにしていいとも、ただ…鍵がかかっている部屋は入らないでくれよ。ライダーに霊体化して入られて面倒なことになったことがあるんだ」
「その節はごめんなさいね」
「霊体化って幽霊みたいになる事だったかしら」
「うん。見えなくなってものを擦り抜けることができるようになるんだよ」
そう言って近くの鎧に透明化させた袖から先の手を入れるイヴ。不思議ね、いつもは触れるのにこんな風にもなれるなんて。
「魔力消費を抑えることもできるのよ。だから魔力を消費した時は霊体化した方がいいわ」
「魔力を消費……消費するものなのね魔力って。そういえば、イヴは大丈夫なの!?」
ランサーを撃退し、バーサーカーと一戦交えたのだ。その際変な能力も行使してたし魔力を結構消費したんじゃ……。
「大丈夫だよ。私は、平気…」
イヴはそう気丈には言うが聞かれて自覚したのか顔を青くしてフラフラだ。明らかに無理している。ふらついたイヴを優しく抱き留めるライダー。そのまま抱きかかえて奥の扉を開いて歩いて行く。
「ちょっと、ライダー!どこにいくの!?」
「魔力を補充するのは食事も有効よ。お茶会しましょう!そうしましょう!ふふっ、きっと楽しいわ。私、サーヴァントのお友達と一緒にお茶会してみたかったの!嬉しいわ!」
「じゃあ僕は戦いの準備をするから。ギャリー、魔術を習いたかったらいつでも来るといい。ご教授するよ」
そう言ってエントランスホールの階段を上がって二階に上がって行くアマデウスを尻目にライダーを追いかけると、庭園に出た。月光に照らされるフランスを思わせる優雅なその光景は幻想的で。中央の東屋のテーブル席の椅子にイヴを座らせる。
「私、飲み物とお茶請けを持って来るわね。ギャリーさんは紅茶派?珈琲派?」
「あ、なら珈琲で…」
「ミルクとお砂糖は?」
「いただくわ」
「ホットかしらアイスかしら」
「じゃあホットで…」
「わかったわ!」
楽しそうに頷いて屋敷へ戻って行くライダーを見送り、私もイヴの隣の席に座り気怠そうなその頭を撫でる。
「私が、ギャリーを守る…」
「今は休むべきよイヴ。大丈夫、ライダーたちは信用できる。休息も大事なのよ」
「でも…」
「あなた、私の事を思って私から魔力をあまりもらってないんじゃない?魔力は消費するもので、サーヴァント召喚は話を聞く限りすごく魔力を消費するはずなのに倦怠感を感じないもの」
「そんなこと、ないよ?」
「あるじゃないの。もう、なんでそんなに強がるのかしら。子供は甘えていいのよ?」
「…こんな姿だけど子供じゃないもん。ギャリーを守れるようになったんだから、弱ってなんか…」
そう頬を膨らませるイヴ。この私をなんとしても守ろうとしているのは何故なんだろう。
「素直にならないと、飴あげないわよ」
「飴…?」
「ええ、レモン味のキャンディーよ。欲しくないかしら?」
そう言ってコートのポケットから黄色い包装紙にくるまれた球体を一個取り出す。何個か持っている、煙草をやめるために嗜んでいるものだ。口寂しい時に舐めると結構効果があるのだ。
「……魔力切れ、近い…かな」
「やっぱり。なら遠慮なく持ってきなさいイヴ。貴方は私のサーヴァントなのだから。はいこれ、素直に言えたご褒美ね」
「ありがとう…」
どこか懐かしそうにレモン味のキャンディを受け取り嬉しそうにするイヴ。そんなに好きだったのかしら。また買い足さないとね。
「あら。お茶請けはいらなかったかしら…?」
「わあ…」
「そんなことないわよ。ありがたくいただくわ」
そこに赤と黒の液体が入った茶器とクッキーとマカロン、ブリオッシュなどが入った皿が乗ったお盆を持って来たライダーに、イヴが目を輝かせる。そんなにマカロンが好きなのね。私と一緒だわ。子供らしい一面もあるじゃない、ちょっと安心した。
イヴとギャリーと言ったらこの二つのお菓子よね。
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