バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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新規の一次小説として初投稿となります。よろしくお願いいたします。


第一部 バベル、再興 第一章 バベル、新生
転生


 ――転生、というものがある。

 古くは宗教用語の輪廻転生という言葉が語源であるが、現在では主に創作物において複雑なバックボーンを説明するための、一つのテンプレとして使われている。

 なぜこんなことをつらつらと説明しているかというと、実際にしたからだ。その、転生というやつを。

 まぁ、特に神様、仏様に会った覚えはないのだが、ある日、突然『自分』という意識が現れたことが、その証左となるだろう。

 勿論、自身が天才である、などというある意味自惚れた考えを持つのも一つの手であるとは思うが、それでも、当時一歳の子供――赤ちゃんともいえるかもしれない――が、論理的な思考を行うなど、気持ち悪いだけなのだから、転生と考える方がまだましだろう。精神衛生的な意味でも、だ。

 

 そのことはともかくとして、だ。

 転生した当初、周りを観察して分かったことは、ここが現代日本に連なる世界であること。

 地名こそ前世では聞いたことがない地名だったが、だからといって、そもそも前世でも完全に日本の地名を把握していた訳ではない――それこそ日本人であっても有名な、県庁所在地や観光地など以外の地名では読み方すら分からない場合すらある――のだから、そこは問題じゃない。

 それ以上の問題がこの世界にはあった。とは言っても、あくまでも俺という前世の主観ありきの話しになるが。

 その問題とは――。

 

 

 

 

 春らしい木漏れ日と気持ち良い風が吹く地方都市である『立搭(りつとう)』市。

 多少疎らではあるが高層ビルなども立ち並び、道にはこれから出社するサラリーマンや、登校している学生の姿も見える。

 行き交う人々の声、自動車の騒音、そして、()()()()()()()()()()()

 その音が聞こえると同時に、多少の悲鳴が聞こえるが、それ以上に()()()()()()()()()という異様な光景。

 即ち、この爆発音ですら、彼らにとっては日常の一幕でしかないということだ。

 

 そして、爆炎の先。揺らめく炎の奥から数多くの人影が姿を現す。その人影は人間にしてはあまりに武骨。まるで鉄の塊のような出で立ちだった。

 それもそのはず、彼らは正しく人工物であり、俗にいう戦闘用アンドロイドと呼ばれる存在だ。

 

 そんな彼らだが、民間人の救助、並びに爆発の下手人と戦うために派遣された――訳ではない。

 正確にいうなれば、彼らはむしろ爆発の下手人側であった。

 

 そもそも、この現代日本に彼らを製造するだけの技術力は、表向き存在しない。

 だが、現に彼らはここに存在し、今も破壊活動に勤しんでいる。それは何故か?

 なんてことはない、彼らを造れるだけの技術力を持つ組織が製造し、利用している。ただ、それだけだ。そして、その組織の名前は――。

 

 ――秘密結社バベル。

 

 ニチアサなどの特撮番組で出てくる所謂『悪の秘密結社』というやつで、その目標も世界征服という、ある意味お約束、ありきたりなもので()()()

 

 そう、あった。つまり過去形だ。

 その理由というのも、この組織は二年前に壊滅したはずの組織なのだ。

 そして、バベルを壊滅に追い込んだのは、当時十五歳の一人の少女。

 コードネームをレッド・ルビー。自身が持つ強大な超能力と、それで強化された肉弾戦を以て戦う『ヒロイン』と呼ばれる存在だった。

 

 

 

 

 

 

 そう、この世界は特撮よろしく正義の味方と悪の秘密結社が日夜しのぎを削る世界だったのだ。

 勿論、平和に暮らす。という意味では既に大問題なのだが、それ以上に俺、この世界に転生した池田盛周(もりちか)にとっての死活問題、それは――。

 

「ここにおられましたか、盛周様」

「……どうかしたのか?」

「はっ、これより()()()()()は再び活動を開始いたします」

「そんなことは分かっている、それで?」

「つきましては盛周様。いえ、()()()に号令を頂きたく……」

「まったく……」

 

 そう、なんの因果か。俺が壊滅した筈の秘密結社バベル、その二代目大首領に就任し、そして組織の建て直しを行う羽目になってしまったのだ。

 …………本当に、どうしてこうなった。

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