バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

11 / 208
ブルーサファイア 前編

 破壊、破砕音が響き渡る立塔市街地。しかし、その割には建物などの被害は(まば)らだった。

 事実、破壊活動を行っているバベルの戦闘用アンドロイド、バトロイドたちも破壊よりもむしろ何かを探すように忙しなく動いている。

 だが、そのことで民間人。一般市民に被害が出ることを抑えられているのもまた事実であった。

 

 しかし、問題がないとは言えなかった。それは――。

 

「うあぁぁぁぁぁぁん!! パパぁ、ママぁどこぉっ――」

「コウくん、どこにいるの。コウくん――!!」

 

 そう、今日が日曜日。そしてこの頃、バベルが破壊活動を行っていなかったことで、安心した家族連れが外出していたことが災いとなった。

 突発的な今回の襲撃によって一部の、バベルのことを知らない。あるいは覚えていない子供たちが中心となってパニック状態に陥ったのだ。

 その結果、恐怖により親から離れて逃げた子供や、パニック状態の子供につられた他の子供もパニックになる、などの二次被害まで発生していた。

 

 そんな中をひた走るブルーサファイアは、目についた子供たちを可能な限り保護。そして現在、緊急出動した機動隊や自衛隊の隊員たちに引渡しながら騒ぎの中心まで移動していた。

 

「すみません、この子をお願いします。――もう大丈夫だからね?」

「ご苦労様です、サファイアさん。……きみ、もう大丈夫だよ」

 

 今も保護していた少女をとある機動隊員に引き渡していたブルーサファイアは、少女を安心させるため、目線を合わせるようにしゃがみ込み、笑顔を浮かべる。

 そんな彼女の様子に、少女自身も安堵を覚えたのか満面の笑みで笑っている。

 

 「ありがとう、おねえちゃん!」

 

 本当にうれしそうな様子でお礼を言う少女。

 そんな少女にブルーサファイアや機動隊員も笑顔を浮かべている。

 そしてその場を去ろうとするブルーサファイア。

 その時、機動隊員に声を掛けられる。

 

「ブルーサファイアさん、ご武運を――」

 

 その言葉を背にブルーサファイアは先へと急ぐ。これから起きる悲劇を防ぐために。

 

 

 

 

 

「探せ、探せ! この周辺にいる筈なのだ!」

 

 今回の襲撃、その発端となった場所では一体の怪人がバトロイド相手に鼓舞を行っていた。

 その怪人の名はサモバット。

 どこかコウモリを思わせる頭部と翼を持つ人型の怪人だ。

 

「ぬぅぅぅっ! こうも人が多いと煩わしいわ!」

 

 休日ゆえ当然の話であるが、それでも人の多さに辟易しているサモバット。それも仕方なかった。

 サモバットには名前のもととなったコウモリと同じく、超音波による周辺の地形や目標を把握する能力を持っている。だが、ここまで人が多ければ、そもそも対象が多すぎて絞り込めないのだ。

 そうなると、今回のようなバトロイドによる人海戦術を取るしか方法がない。

 だがそうなると――。

 

「――見つけた!」

「ちぃ、また邪魔が――」

 

 このように再三再四、邪魔が入る。そのことに憤慨していたサモバットだったが、邪魔者の姿を見たことで憤慨は収まることになる。

 

「これ以上好き勝手はさせません!」

 

 現れた邪魔者、それはブルーサファイア。サモバットの()()()()()人物の一人だった。

 彼女を見たサモバットは喜色の声を上げる。

 

「やっと見つけたぞ、裏切り者め! ――まずは痛め付けてやれぃ、バトロイドども!」

 

 その号令とともに周辺のバトロイドたちが一斉に襲いかかる!

 あるものは腕を砲に変形させ、あるものはライフルを構え一斉射!

 砲火がブルーサファイアに集中する。

 

 しかし、彼女はあえて姿勢を低く、そしてバトロイドたちに突撃することで射線から外れ回避する。

 さらに、一部のバトロイドが放った砲撃による爆発の衝撃を背に受けて、より加速!

 あっという間にバトロイドの一体へ接敵。

 

 己の相棒たるブルーコメットを即座に大剣モードに変形させると――。

 

「――や、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 地面を深く踏み込むことで急停止! さらには急停止した時に発生した遠心力を無理やり大剣に乗せ――!

 

 ――一閃!

 

 胴薙ぎの要領で大剣を叩きつける。しかし、それだけでは止まらず、踏み込んだ足を軸に一回転!

 あわれ大剣を叩き込まれたバトロイドは上半身と下半身が泣き別れとなり、周辺に自身を構成する部品を撒き散らす。

 そして一拍をおいて、思い出したように爆発!

 

 その爆発と爆煙によってブルーサファイアの姿が隠れてしまう。

 その状況を見て、サモバットの中で嫌な予感が駆け巡る。

 

「……伏せろぉぉ!」

 

 反射的にそれだけ言って伏せるサモバット。

 しかし()()()であるバトロイドにそのような柔軟な行動が出きる筈がなく、次の瞬間。

 

 煙の中から放たれる銃撃、銃撃、銃撃の雨!

 それは寸分変わりなく先ほどまでバトロイドたちが、そしてサモバットが立っていた場所へ襲来!

 

 伏せることができなかったバトロイドたちは、皆一様に穴あきチーズのように蜂の巣とされ撃破、爆発する。

 

 唯一、難を逃れたサモバットは一瞬の内に壊滅した部下たちを見て呆然とする。

 そんな中、ブルーサファイアの姿を覆い隠していた煙が払われ、その中から。

 

「……一人、排除し損ねましたか」

 

 いつの間にか大剣を双銃に変化させ、銃口から煙を立ち昇らせている姿を現す。

 その姿を見てサモバットは激昂。

 

「己ぃ! 裏切り者がぁっ!」

 

 そしてサモバットはそのまま弔い合戦とばかりにブルーサファイアへ襲いかかるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。