バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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脱出と救援

 何とか奈緒の助言もあって、無事に本拠地から脱出できたサファイアだったが、しかし――。

 

『ううん……。どうやらここまでみたいだねぇ』

「……は? 奈緒さま?」

『奈緒さんが出来る手伝いはここまで。後は頑張って窮地を切り抜けてくれたまえ』

 

 そのまま奈緒によるハッキングは終了する。いつも飄々としていた奈緒らしからぬ態度に疑問を抱くサファイア。

 だが、次の瞬間にはなぜそうなったのか、というのを嫌でも理解させられることとなる。

 

「……外には逃げられた、か。だが――!」

「…………ぐっ!」

 

 背後から突然の奇襲。それをサファイアはブルーコメットを顕現させることで何とか防ぐ。

 棍と()がぎちぎち、と力比べで軋む音を立てる。

 しかし、拳をぶつけている存在はともかく、サファイアは後ろ手にコメットを持ち、力比べとなると不利な状況。

 それを終わらせるため、彼女は意図的に力を抜くと敵の攻撃たる拳の振り抜きを加速するために逆に利用して前方に飛び出し間合いを広げる。

 そして安全が確保されたサファイアは拳を振り抜いた、奇襲の下手人を見る。

 そこにはある意味予想通りの人物が立っていた。

 

「貴女は、確か……。ブラックオニキス――!」

「裏切り者にその名前を呼ばれる謂れはないが――!」

 

 オニキスはそう言いながら、今度こそ逃がさない。とばかりにサファイアに向けて突貫する。

 それをサファイアは手に持ったコメットを使い迎撃するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、レオーネから告げられたサファイア脱出の報を受け、歩夢は部下のオペレーターたちとともに市内の精査を急いでいた。

 

「商業地区、クリア! ……そちらはどう?!」

「こちら、郊外地区! 彼女の反応はありません!」

「そう……。それなら別地区の応援を!」

「了解です!」

 

 郊外地区を担当していたオペレーターの報告を聞いた歩夢は、そう言って新たな指示を出す。

 オペレーターも、歩夢の指示を聞いて即座に行動を取る。

 

 サファイアを捜索していた彼女たちの間では逼迫した空気が流れていた。

 それもその筈。現在、サファイアの状況が分からない以上、彼女らの頑張りがそのままサファイアの命運を握っている可能性すらあるのだ。

 ならば、仲間のため。今まで自分たちを守ってくれたヒロインを守るため、奮起しない理由がどこにあるのか?

 

「……見つけた! ――発見しました!」

「……どこに、あの娘は無事なの?! バイタルはどうなっているか?!」

 

 ……サファイア発見の報に、歩夢はそう言って確認を取らせる。その問いに、サファイアを発見したオペレーターは興奮気味に答える。

 

「場所は……、工業地区。廃工場近辺! なお、彼女のバイタルは興奮状態。今だ交戦中のようです!」

「良し、分かった。――千草! こちらオペレーターチーム!」

 

 部下から詳細な報告を聞いた歩夢は、自身も若干興奮しながら千草に、バルドル司令に通信を繋ぐ。

 その証拠に、本来の彼女であれば千草を立てる意味でも南雲司令、と呼ぶ筈なのにかつて同僚だった時の感覚で名前を呼び捨てている。

 むろん、千草もそのことに関して気付いている。が、そんなことはサファイア発見の報の前には些事。

 その証拠に――。

 

『歩夢、霞さんが見つかったのね?』

 

 歩夢の言葉使いを指摘することなく、彼女は歩夢に霞、サファイアを発見したのかを問いかけていた。

 そのことに、是と答える歩夢は同時に――。

 

「こちらは既に転送座標を登録済み。二人を転送室に向かわせてくれればいつでも可能よ!」

 

 ……と、千草に報告をあげる。

 そのことに千草は通信越しに渚とレオーネに指示を出しているのが聞こえてくる。

 

『聞こえていたわね。なぎささん、レオーネちゃん』

『うんっ! ボクたちはすぐに向かうよ! なぎさちゃん!』

『はいっ、レオーネさん!』

 

 その声が聞こえた歩夢は即座に部下たちへ指示を出す。

 

「転送準備開始! 彼女らが到着次第行うわよ!」

 

 そして、彼女らが転送室に到着するのを待つのであった。

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