バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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邂逅、オーラムリーフ

 魔物を撃破して一息ついているオーラムリーフ。そんな彼女を見ていたブルーサファイア、彼女のもとにぴぴ、と通信が入った。

 

「はい、もしもし?」

『かすみさん、ちょっといいかしら?』

「司令……? はい、どうぞ」

 

 通信の主は千草であった。彼女は通信を介してサファイアに指示を送る。

 

『あの娘、オーラムリーフさんに接触してもらって良い? 色々とお話を聞きたいのよ』

「え……? あ、はい。あの化け物。彼女たちが言ってた魔物の件ですね?」

『ええ、そう。……お願いできるかしら?』

「たぶん大丈夫だと思いますよ?」

 

 そう返事するサファイアの脳裏には、彼女が現れた時、こちらをキラキラとした目で見つめていた姿が思い出された。

 案外こちらが提案しただけでホイホイ着いてくるのでは?

 それはそれで、彼女のことが心配になるが少なくともこちらはあの娘。オーラムリーフを害するつもりはないのだから問題ない、筈だ。

 それに、こちらにはレッドルビーが、誰とでも仲良くなれる社交性が高い彼女がいる。ならば――。

 

「それじゃ、話しかけますね」

『ええ、お願い』

 

 その言葉とともに千草からの通信が切断される。

 

「ルビー、行きますよ」

「そうだね、行こっか」

 

 お互いの顔を見て頷く二人。そして彼女らはオーラムリーフに近づいていく。

 

「ねぇ、きみ。オーラムリーフちゃん、だったよね?」

 

 息を整えていたオーラムリーフは、まさかレッドルビーに声を掛けられるとは思っていなかったようで、慌てた様子で彼女に振り返る。

 そんな彼女を見てレッドルビーは……。

 

(わぁ、この娘。以外と背が高いんだ……)

 

 レッドルビーの目算では自身より頭一つ。だいたいブルーサファイアと同じくらいの背丈であることが見て取れた。そして顔つきもキラキラとした目線にさらされた時は気付かなかったが――。

 

(うん、なんというか。カッコいい娘。可愛いよりもそちらが似合ってる感じだよね。……もちろん、チカくんが一番格好良いんだけど)

 

 自身よりも少しだけ若いのは確かなようだが、顔つきはどちらかといえば凛々しく、ブルーサファイア。霞とは別の意味で女性人気が高そうに見えた。それこそ、男装の麗人とか王子さまとして慕われそうな感じで。

 

「……あ、あの?」

 

 いつの間にか思考の渦に嵌まっていたルビーは不安そうな声が聞こえて、意識が現実に戻ってくる。

 そんな彼女の目に、なにか失礼なことをしたかな、と不安がっているオーラムリーフの姿が映る。

 彼女の不安を払拭するため、ルビーは慌ててフォローを入れる。

 

「あ、ごめんねっ! つい、考え事しちゃって――痛ぁい!」

 

 彼女の頭に落ちる拳骨。思わず頭を押さえたルビーは、拳骨を落とした犯人であるサファイアを見る。

 一方、恨みがましい目で見られたサファイアは、呆れ顔を隠すこともせず、こんこんとルビーへ説教する。

 

「まったく……。これから話をしようというのに、相手を不安がらせてどうするんですか」

 

 次にサファイアはオーラムリーフに頭を下げ謝罪する。

 

「この娘がすみません。なんというかこの娘、マイペースすぎるところがありますので――」

「……うぅ、サファイアにだけは言われたくない」

「……なにか?」

「……なんでもありません、はぃ」

 

 サファイアにマイペースなどと言われるのは心外だったルビー。しかし、続く彼女の眼光に恐れをなし、そっと目を逸らす。

 突如始まったヒロイン二人の漫才に面食らうオーラムリーフ。

 彼女にとって二人のヒロインは、憧れの対象だったのだから、それも致し方なし、というものだった。

 

「それで貴女にちょっとお願いしたいことがあるのですが――」

「なんでしょう!」

 

 サファイアのお願い、という言葉を聞いて突如元気になるオーラムリーフ。そんな彼女に、思わず圧倒されるサファイア。

 なんというか、彼女にとってはオーラムリーフの受け答えがいちいち想定外なこともあって、少しやりづらそうにしていた。

 まぁ、いままでヒロイン。ある意味英雄として扱われることは多々あったが、アイドル扱いされることはあまりなかった。

 それも、彼女らの活躍が基本怪人との戦闘に終始していたことから、仕方のないことではあるが。

 その結果、彼女たちは主に男性から羨望の眼差し――ごく稀に、下卑た視線を感じたこともある――を受けるのが普通で、女性。しかも、自身たちよりも年下から受けるのはあまり経験がなかった。だからこそ、彼女の裏表ない純粋な称賛の気持ちがむず痒かった。

 そんなサファイアを見て、どうしたんだろう? と、首をかしげるオーラムリーフ。

 二人のやり取りを見て、ルビーは内心サファイアの気持ちに共感しながら、彼女をフォローするためオーラムリーフに話しかける。

 

「あはは……。あまり気にしないで、ね? それよりも、わたしたちがお願いしたいことなんだけど。出来れば、わたしたちに着いてきて、バルドル基地でお話を聞きたいんだ」

 

 ルビーのお願いを聞いてますます目を輝かせるオーラムリーフ。

 確かに、彼女たちにとってはお願いなのだろうが、それでもオーラム本人からすればむしろご褒美――なにせ、本拠地にご招待――なのだから無理もない。

 そのことに一も二もなく頷こうとするオーラムリーフ。しかし――。

 

「喜んで! 是非――」

「ダメだもん!」

 

 オーラムリーフの言葉を遮るように怒鳴るアグと呼ばれたマスコット。

 

「えぇ、なんでだよアグぅ!」

 

 ルビーたちの要請を勝手に断ろうとするアグにじと目を向けるオーラムリーフ。しかし、そんな彼女にアグは苦言を呈する。

 

「オーラムもオーラムだもん! いくらなんでも危機感が無さすぎだもん!」

「えぇ……? 二人がアタシに嘘を吐く訳ないだろ?」

「そうかもしれないけど、でも軽率だもん!」

 

 アグも先ほど僅かに共闘したことで二人のひととなりは理解したつもりだ。しかし、彼女らの所属している組織まで信じる、というのは軽率だ。というのがアグの言い分だった。

 それでもオーラムからすると不満なのは変わらない。これは、バルドルという組織のことを知っているオーラムと、知らないアグ、という知識の差からくるものだった。

 

「そっかぁ、アグくん? は、行くの反対なんだね? ……じゃあ、仕方ないなぁ」

 

 ルビーの諦めるかのような言葉を聞いて安堵していたアグ。しかし、それは次の言葉を聞くまでだった。

 

「……なら、実力行使も已む無し、だよね?」

 

 その言葉に慌ててルビーを見るアグ。

 そこには悪どい笑みを浮かべ、指をわきわきさせているルビーの姿が。

 

「な、なんのつもりだもん……」

「ふっふっふっ……。怖がらなくて良いよ?」

 

 そう言いながらアグに近づくルビー。

 その後ろでは呆れた表情で頭を抱えるサファイア。いまいち状況が分からずおろおろしているオーラムの姿が見えた。

 オーラムに助けの視線を向けるアグ。しかし、彼女はそれに気付かずおろおろするばかり。

 その間にもルビーは刻一刻と近づいていて――。

 

「や、やめ――――!」

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく時間が進み、ここはバルドル基地内にある談話室。

 そこにオーラムリーフの姿があった。否、正確にはオーラムリーフではない。彼女は既に変身を解いていたのだから。

 そんな彼女に千草が話しかける。

 

「それで、改めてお話良いかしら。東雲(しののめ)秋葉(あきは)さん?」

「あ、はい……。アタシは大丈夫なんですけど――」

 

 そう言って千草とは別方向に視線を向ける魔法少女オーラムリーフこと、東雲秋葉。

 彼女の視線の先には変身を解いたレッドルビー、真波渚とアグの姿が――。

 

「ほぉら、わしゃわしゃ~」

「あ、やめ……。ひぃ、こんなの。癖になっちゃうもん……」

 

 ひたすらに指でアグを弄り倒している渚の姿があった。

 アグに危害を加えるつもりはないようなのは理解した。が、彼女の楽しそうな姿を見て、それはそれでなんというか複雑な気持ちになる秋葉。

 千草や歩夢も苦笑いを浮かべ、霞にいたっては痛みを感じているのか、頭を押さえている。

 

「なぎささん、そろそろ話をしたいから、その、アグさん? を解放してもらえるかしら?」

「――ほらほら、ここが良いんでしょう?」

「……ダメね、完全に自分の世界へ入ってる」

 

 完全にアグを弄り倒すことに夢中になっている渚を見て、お手上げになる千草。

 霞は深くため息を吐くと――。

 

「いい加減に、しなさい――!」

 

 その言葉とともに渚の頭をどつき倒す。不意の奇襲を受けた渚はカエルが潰れたような声を出した。

 それを見た秋葉は、ヒロインにも色々あるんだなぁ……。と、遠い目をするのだった。

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