バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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アナザーレッドルビー

 突如として現れた成長した渚らしき戦士の姿を見て霞は、サファイアは動揺をあらわにする。

 確かに彼女は自身の親友、真波渚と瓜二つ。彼女が成長すればこうなるだろう、という予想通りの姿をしている。

 しかし、彼女が知る渚にはついていない顔の傷。そして、どちらかと言えば快闊な彼女には似つかわしくない怜悧冷徹な仕草の違和感を感じられた。

 

「貴女は、一体……」

 

 サファイアの口から、思わず疑問がこぼれ落ちる。そんな彼女に対し、成長した渚――あえて言うならアナザーレッドルビー――は……。

 

「今はそんなことより、魔物たちを蹴散らすのが先の筈よ」

「それは……」

 

 アナザールビーの指摘を受け、サファイア自身もそのことは理解している。

 こうやって問答している合間にもルビーへ、親友が危機に陥っているかもしれない。

 ならば今は目の前の問題を一時棚上げしてでも敵を殲滅するのが得策。

 

「わかりました。……リーフ、まだやれますか?」

「アタシはまだ大丈夫だよ、サファイア先輩!」

 

 サファイアの問いかけに、リーフは元気よく答える。確かに彼女自身多少なりとも消耗しているが、それでもまだ倒れるほどではないし、なにより――。

 

「こんなとこで足踏みしてたら、春菜を助けるなんて夢のまた夢だ! やってみせるって!」

 

 リーフは拳をぎゅっ、と握りながら宣言する。それは彼女なりの覚悟であった。

 それをアナザールビーは微笑ましそうに見つめる。その表情はまるで慈母のようであった。

 だがその表情をみせたのは一瞬だけで、すぐに怜悧な顔に戻ると。

 

「ならやってみせなさい、オーラムリーフ。貴女の大切な人を助けるため、貴女はもっと力をつけなくてはならない」

「……どういう――」

 

 ――意味だよ。

 

 その言葉をアナザールビーにかける前に彼女は動く。

 

「あ、おいっ――!」

 

 魔物へ吶喊するアナザールビーの姿を見て、リーフやサファイアもまた慌てて追いかけるのだった。

 

 

 

 

 魔物へ吶喊したアナザールビーは、まず手始めに目の前にいたゴブリン型の魔物を獲物として定める。

 

「……破っ!」

 

 彼女は力強く足を踏みしめるとアスファルトを砕きながら跳躍。外套を獲物めがけてバサッ、と絡ませて拘束するように振るう。

 そして同時にアナザールビーが外套を脱いで使ったことにより、彼女の全貌がついに明らかとなった。

 その姿はルビーの軍服風のコスチュームとは異なり、どちらかというとサファイア。むしろ、バベルのブラックオニキスに近かった。

 

 全身で言えば黒に赤いラインが入ったラバー状のパワードスーツに、肩や腰部分にはPDCもどきを付け、胸やデルタラインには簡易的な装甲。そしてルビーと同じような手足にレッドルビー本来のPDCを装着。

 胸や下腹部こそ隠れているが、成長した彼女の丸みを帯びた魅惑的なボディラインをこれでもかとさらけ出していた。

 

 しかし、そのことにアナザールビーは羞恥心を感じていないのか。もしくはもう慣れてしまったのか、顔色一つ変えることなく拘束した魔物を振り回して空中に放り投げる。

 

「――――!」

 

 唐突な浮遊感に目を白黒させる魔物だが。

 

「――疾ィ!」

 

 アナザールビーはPDCの装甲をガコン、とスライドさせるとサイキックエナジーを形成。手刀に纏わせる形でエナジーブレイドを生み出し魔物へ振るう。

 

「……スラッシュ!」

「――ギ、ァ……!」

 

 そのまま手刀に両断された魔物は、切断時に体内に注ぎ込まれたサイキックエナジーが膨張し、空中に大輪の華が咲く。

 空中でその衝撃を受けたアナザールビーは、それを利用して地面へ加速。次にオーガ型の魔物へ狙いを定める。

 

「……ブレイク!」

 

 そのまま飛び蹴りの要領で魔物へ突撃するアナザールビー。

 その飛び蹴りは魔物を貫き、アナザールビーもまたザザ、と着地したあと地面を滑っていく。

 そして、地面を滑りアナザールビーがその場を離れたあと。ようやく魔物は思い出したかのようにドスン、と地面に倒れ爆砕。爆発の衝撃でクレーターが出来上がった。

 

 だが、それでも魔物はまだまだ健在で、しかもオーガは群れの中にいたこともあってアナザールビーは魔物たちに囲まれることになってしまった。

 あわれな獲物を見て卑下た笑みを浮かべ取り囲む魔物たち。

 しかし、アナザールビーもまた獰猛な笑みを浮かべると。

 

「お前たち程度で、私を止められると思わないことねっ!」

 

 アナザールビーは力強く宣言するとファイティングポーズをとるのだった。

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