バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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新たなる情報と、あらわれた疑問

 アナザールビーとサファイア。二人の息があった連携を見て、リーフは憧憬の眼差しをみせる。一線級のヒロインであればこれほどの連携も軽くこなせるのか、と。

 むろん、二人の連携がうまいのはそれだけではない。

 アナザールビーもまた成長こそしているものの真波渚であることにかわりなく、はじめは敵として死闘を演じ、バベルを離反したあとは相棒としていくつもの戦場を渡り歩いていたのだから、連携が上手くなるのは必然だった。

 そして、この連携のしやすさはサファイアにとっても、アナザールビーが渚であるということを確信させるには十分すぎるものであった。

 

「……今は聞きませんが」

「たすかるよ――ハァッ!」

 

 サファイアの銃撃で足止めし、アナザールビーのサイキックエナジーを込めた拳で制圧する。それだけではなく、アナザールビーは魔物がどうやってサファイアの攻撃を防いでいるのか理解しているらしく、サイキックエナジーを使うことで今まで攻撃を防いでいた防御膜を中和している。

 そのことを知らなかったサファイアは急に攻撃が有効になったことに戸惑っていた。

 

「これは……!」

 

 だが、この場にいるヒロインは二人だけではない。確かに半人前かもしれない、二人に比べれば弱いかもしれない。それでも――。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!!」

 

 リーフは顕現させた炎の剣、ファイアブレイドでオーガ型の魔物を切り捨てる。

 切り口から炎が吹き上がり、灰となる魔物。それを見送ったリーフは啖呵を切る。

 

「アタシだって魔法少女、ヒロインなんだ! サファイア先輩ほど動けなくたって――!」

 

 そのままリーフは足を力強く踏み込むと、軸にして回転。ぶぉん、と風を切る音とともに周囲を薙ぎ払う。

 その薙ぎ払いを受け、リーフを包囲しようとしていた魔物たちは結果として突然の奇襲に対処できるわけもなく、先ほどの魔物と同じ運命をたどる。

 

「これぐらい、なめんなよ!」

 

 ふんす、と自信満々に胸を張るリーフ。そんな彼女をアナザールビーは興味深そうに見ていた。

 

「……へぇ、さすが。でも――!」

 

 そこでアナザールビーは、拳にサイキックエナジーを集中させる。淡く発光するアナザールビーの拳を振りかぶる。その先にはリーフの姿。

 

「なにを……!」

 

 アナザールビーの凶行に驚き、止めようとするサファイア。しかし、その前に拳は放たれ――!

 

「――バスター!」

 

 彼女が放ったサイコ・バスターは、先ほどリーフが放った薙ぎ払いを運良く逃れていた魔物へ叩きつけられる。

 

「――――!」

 

 ちょうどリーフが影になって攻撃が見えていなかった狼男型の魔物は、断末魔をあげて消滅する。

 

「油断大敵、よ」

「あ、ありがと……」

 

 まさか背後から奇襲を受けそうになっていたと気付いていなかったリーフは、驚きに目を白黒させながら礼を言う。

 

「いいよ、それよりも――」

 

 アナザールビーは辺りを見渡す。今まで三人が散々暴れたこともあり魔物の数は大分減っていた。

 

「今はこいつらを片付けるよ」

「お、おうっ!」

 

 例え敵の数が少なくなっても油断なく魔物を見据え、拳を構える。

 リーフもまた剣を、サファイアはライフルを構えた。

 それを怯えた目で見つめる魔物たち。明確に人と魔物の立場が逆転した瞬間であった。

 

 

 

 

 周辺に(たむろ)していた魔物を掃討したあと、三人のヒロインは改めて顔を付き合わせていた。

 

「それで、貴女は結局何者なの?」

「わたしは……」

 

 言い淀むアナザールビー。彼女はなにか言おうとして、しかし、こらえるように口を閉じる。

 

「答えられないの?」

 

 さらに問いかけるサファイア。その言葉にアナザールビーは。

 

「ごめんなさい、今はまだ……」

 

 どこか申し訳なさそうにしている。そして彼女はリーフの方に顔を向けると。

 

「……魔人」

「え……?」

 

 唐突な言葉に驚くリーフ。そんな彼女に構わずアナザールビーは言葉を続ける。

 

「魔物たちが戦闘員だとすると、魔人は怪人のような者よ。気を付けて、貴女にとって重要な相手になる」

「それってどういう……」

 

 自身の未来を暗示するような言葉に疑問を抱くリーフ。

 しかし、アナザールビーは彼女の疑問に答えることはなく――。

 

「それじゃ――」

「待って……!」

 

 リーフの制止を振り切って去っていく。

 サファイアはそんなやり取りを見て。

 

「何が起きてるの?」

 

 疑問の声を上げるのだった。

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