バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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第四章 あなたを助けるために
報告と相談


 秘密結社バベルが岩の魔人、魔法少女-ヴィレッジロックこと石原里桜を救出して3日後。その立役者の一人、レオーネは単身首相官邸へ訪れていた。

 そこでは既に伊達総理大臣と片倉官房長官が彼女の到着を、今か今かと待ち構えていた。

 

「すみません、お待たせしました」

「いや、こっちは大丈夫だ」

 

 レオーネの謝罪に伊達総理はがはは、と豪快に笑って問題なしと告げる。そんな伊達を、片倉官房長官はまたはじまった、と言いたげに頭を抱える。

 伊達と古くから関わりのある彼は、良くいえば豪快な、悪くいえば考えなしな行動に付き合わされることも多く、尻拭いに奔走したのも一度や二度ではない。それでもなお、彼に付き従うのはそれだけ魅力的な、もしくはカリスマ性を伊達から感じるからだろう。

 

「それでレオーネさん。今回は何やら朗報がある、とのことでしたが……?」

 

 レオーネが今回、急遽二人に会談を申し込んだ理由について尋ねる。

 彼の言葉に、レオーネもまた神妙になると今回の目的、ヴィレッジロックのことを説明する。

 

「はい、今回はバルドルと特務部隊の出撃で遭遇した魔人に関して、その顛末の説明になります」

「……そうか、しかし残念だったな。あの女の子、助からなかったんだろう?」

 

 レオーネの話で、バルドルから報告があった件だと察した伊達は沈痛な表情を浮かべる。しかし――。

 

「あ、いえ。そこの部分でも報告が……」

「ん……? そうなのか?」

「ええ、実はこちら(バベル)の青木奈緒の手によって、件の少女。石原里桜さんの蘇生に成功。現在は経過観察中になります」

「なんと……」

 

 レオーネの報告を目を丸くして聞く片倉。伊達もまた顔に出さないものの驚きを見せている。

 

「しかし、そうなるとバルドルが間違った報告をあげていることになるが……」

「あぁ……。たぶん、それはボクの気が動転してて……」

「……どういうこった?」

 

 レオーネの言い訳染みた言いぐさに訝しげな目で見る伊達。そんな目で見られたレオーネは、自身の恥をさらすように小声でボソボソと話す。

 

「実は、彼女をバベルに運び込んだ当初。奈緒ねぇ、じゃなかった。青木奈緒から既に死亡しているということを告げられまして……」

「……あぁ、もしかして?」

「はい、それをそのまま千草さんに報告を……」

 

 そのときの情景が想像できたようで、伊達と片倉は然もありなん、と頷いていた。

 

「それで、その報告がそのままこちらに上がってきてしまった、と」

「はい、その……。すみません」

 

 本当に申し訳なさそうに、肩をすぼめて謝る。そんなレオーネの姿に、顔を見合わせる二人。

 

「まぁ、起きちまったことは仕方ねぇ。それに嬢ちゃんがわざとやった訳じゃねぇんだ。なら、気にしても仕方ないだろ? なぁ?」

「えぇ、そうですね。こいつが言うように、あまり気にしてはいけませんよ、レオーネさん」

「……はい、ありがとうございます」

 

 二人にフォローされたことが嬉しかったのか、頬を薄く染めはにかむレオーネ。いままで見たことの無い、予想外に可愛らしい最強とうたわれるヒロインの姿を見て、少々動揺した伊達は咳払いをしてごまかすと話を切り替える。

 

「それで、朗報ってのは? 誤報の件を知らなかったってことは、その魔法少女の嬢ちゃんが生きてた件とはまた別なんだろう?」

「ええ、そうですね。実は、その魔法少女。ヴィレッジロックから、スプリングリーン。西野春菜さんと一時期行動をともにしていた、という情報を得まして」

「なんだって……?!」

 

 レオーネがもたらした情報は確かに朗報だった。なにせ、西野春菜の父親は伊達たちの派閥に属しており、ともに盟友として行動していたのだから。

 そしてさらにいえば、今回のヴィレッジロック。彼女が生還したことも多いにプラスへ働く。なんと言っても一度彼女が死亡し、そのあと蘇生された、ということならば、もし彼女に万が一問題があったとしても取り返しがつく可能性がでてきたからだ。

 

「そ、そうかそうか! それは確かに朗報だ!」

 

 膝を叩いて喜ぶ伊達。片倉もまた、ほっとしたように息を吐いている。

 

「しかし、よく知らせてくれました」

「いえ。以前、西野氏とお二方が親しい関係だとうかがっていたので。それよりも、一つ相談事が……」

「うん、なんだ?」

 

 レオーネが相談事がある、と告げると怪訝そうな顔になる伊達。少なくとも、いままで聞いた範囲だと特に問題もないように思えたからだ。

 

「保護したあの娘、ヴィレッジロック。里桜ちゃんのことなんです」

「……ん? そりゃあ、バルドルに……。あぁ、そういうことか」

 

 自身が途中まで言葉にしたことで、問題に思い至った伊達は顔をしかめる。

 

「もしバルドルに移したら、最悪命の恩人たちと敵対するんだもんなぁ。流石に後味が悪すぎるか」

「……えぇ、そう言うことでして」

 

 そう、もし石原里桜がバルドルへ移動となると対バベル戦にも投入される可能性は十分ある。それを割り切れ、と中学生――しかも、最近まで小学生だった――にいうのは酷な話だ。しかも、大幹部の奈緒とレオーネ、二人に懐いている状況ではなおさら。

 まだレオーネの方はバルドルにも――スパイというかたちだが――所属しているので問題ないが、奈緒の方はどうしようもない。そうなると選択肢は1つだ。

 

「ま、そうなると。もう取れる方法はバベルの方に任せるしかねぇわな。頼めるか?」

「もちろんです! ……ありがとうございます」

「いいや、構わねぇよ。こちらでもそれとなく手をまわしておこう。良いよな、片倉?」

「えぇ、問題ありません」

 

 政府の実質的No.1とNo.2。二人からお墨付きをもらったレオーネ。彼女はそのことに安堵のため息を漏らすのだった。

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