バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~ 作:想いの力のその先へ
バベルにとって乾坤一擲とも言える怪人三体からなる襲撃。それが失敗に終わってから三日後。
バベル秘密基地内で以前と同じく、盛周と三人の大幹部たちが集まり、今回の襲撃に対しての問題点について、洗い出しを行っていた。
もっとも、それは反省会というよりも――。
「……――!」
実働班の長である楓が憤怒の表情に染まり、これでもか、言わんばかりの力で机を叩く。その威力は凄まじく、
それを見て冷や汗を流している他三名。……因みに、以前会議室の机は木製だったのだが、度重なる楓の台パンで破砕されており、それから鋼鉄製の机に変更された、という過去がある。
なぜ楓がそんな威力の一撃を出せたのか?
それは彼女もまた他の怪人たちと同じような改造人間だからに他ならない。
そもそも、彼女は組織壊滅前は精々上級戦闘員程度の立場でしかなく、簡単な薬物強化などの処置しか受けていなかった。
だが、偶然盛周、大首領の目に留まりまり、幹部候補として取り立てられた際に自身から改造手術を受けることを志願したのだ。
その事を聞いた盛周は最初、考え直すように言ったが、彼女の決意が固く、妥協案として怪人形態を造らない形での改造を認めた、という経緯がある。
それ故、彼女の戦闘力は凄まじく、そのことから表での護衛として立塔学院高校に赴任させたのだ。
少し話が逸れたため本筋に戻すが、実際のところ、前回と今回、二回の襲撃ともに本来敵対しているヒロインのレッドルビーとブルーサファイアだけでなく、新たに現れたヒロイン、レオーネという不確定要素がいたから失敗した側面もあるため、彼女の怒りも分からなくはない。しかも――。
「あの女ァ、毎度毎度私の邪魔をして――!」
どうやら、楓にとってレオーネとは個人的な怨恨があるようで、何度も邪魔されたことも相まって怒り心頭の様子。
そんな楓を見て頭を抱える盛周。
正直、前回と今回の失敗について彼女を咎めるつもりはないのだが、それでも問題が発生しかねない、というのがまず一つ。
そしてもう一つ、今回の会合。絶対に荒れることが確定してしまっている、というある意味大問題があった。
そんな頭を抱えている盛周をよそに、楓は鬼気迫る声で大首領たる盛周に進言する。
「大首領! やはり、
「……出せるわけないだろう、落ち着け楓」
「しかし――!」
怒りで完全に熱くなってしまっている楓を見て、どうしたものか。と、考え込む盛周。
そんな盛周の内心を
「楓、少し黙りなさい。見苦しいですよ」
「ですが、朱音さま……!」
朱音から咎められたことで、少し気が削がれた楓。
そして、それに続くように奈緒もまた彼女へ声をかける。
「楓くん? 奈緒さんもそろそろ黙った方が良いと思うよ? ――それに、今回と前回のこと。どうやら予定調和のようだし、ねぇ……」
「……え?」
そう言いながら盛周と朱音を流し目で見る奈緒。
そして、楓もまた奈緒が発した予定調和という言葉に目を丸くして二人を見る。
奈緒と楓、二人から見つめられることになった盛周と朱音はため息をつく。
それはようやく話を進められる、という安堵と。同時にこれからさらに煩くなることに対する諦観からだった。
そんな二人の内心を知ってか知らずか、奈緒はここにいる全員が認識している筈の、そして重大なことを口にする。
「それにそもそも、今回の会合。
「……え?」
「おや、楓くん? 今回の会合、
そう言いながら楓を不思議そうに見る奈緒。
対する楓は、連絡不備か、単純に聞いてなかったのか、鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情を見せている。
そんな彼女を見て、奈緒は心底呆れた。といわんばかりの顔をする。
もっとも、彼女の中では半ば予想は出来ており、おおよそ、怒り心頭になった彼女が連絡事項も聞かずここに来たのだと悟る。
どうやら、その予想は大当たりだったようで、楓は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染め、身を隠すように縮こまっている。
その時、会議室の扉が開かれ、一人の女性の姿が――。
「あちゃあ……。もしかして、もう始まっちゃってる感じ?
「いや、まだ始まっていないぞ」
「あ、ほんと? なら良かったぁ。……それと、ただいま。
「ああ、おかえり。良く無事に戻ってくれた」
盛周の労いの言葉を聞いた女性は、尻尾があれば千切れるじゃないかと思うほど動く幻覚が見え、上機嫌となっている。その四天王、最後の一人となる彼女の名は――。
「……じゃあ、改めて報告をして貰えるかな? ――
「うんっ、ご主人さまっ」
そこにいたのは今回と前回、さんざん組織の邪魔をした筈のヒロイン。
敵対者から、そして味方からもバウンティハンターと称される